あれー?おっかしいなぁ
新世界、今の時代ではそう呼ばれる強者の集まる海。
セイン達は新世界を目指して船を走らせていた。
「ふむ、まさか海軍が基地を放棄していたとはな……」
セインは何回目か分からないセリフをこぼす。
賞金が発表されてから暫く、ブラインが持ってきた情報によると海軍は長い様子見に入ったらしい。
セイン海賊団は一般市民には手を出さないし寧ろ治安が改善されている。
よってこれ以上海軍による攻撃は無駄であると判断したらしい。
本当のところは害もない厄介者に手を出すほど暇ではないということであろうとセインは解釈した。
つまり、
「待って損した。私の我慢を返せ、海軍め」
セインのイライラが増した。
そのイライラ解消の為突如、強者のひしめく新世界行きが決定した。
航海途中のある日、セインはサファイアにお茶をいれさせていた。
「お嬢、そろそろ凪の帯に入ります」
「だからなんだ、私のムーンライト号はそこらの船と違うことくらい分かっているだろう」
サファイアがセインに船が凪の帯に入ることを告げる。
セインは今更なにをとサファイアを見る。
ムーンライト号は風で動くのではなく、特殊な動力によって動く。
700年前はマッドな技術者が作った動力は使われていたのだが、夜王家と竜王家の滅亡に伴い技術は失われてしまっていた。
「いえ、その、海王類が近づいてきているようです」
セインはポカーンと口を開けて固まる。
それほどこれはあり得ないことであった。
セイン達神祖や真祖の吸血鬼は生物の頂点にはるか昔から立っていた。
それゆえに海王類が彼女達に近づいて来ることはまずあり得なかった。
「………長い間眠っていたからか、魚をつけあがらせてしまったようだな」
セインは深い溜め息と共に静かに立ち上がる。
しかし、その顔はどこか嬉しそうだ。
「お、お嬢、我々にお任せください。海王類ごときにお嬢が出向くことはありません」
セインが対処に向かおうとするのをサファイアは慌てて止める。
「むう、いいじゃないか少し遊びに行くくらい」
「お嬢の遊びは我々にも被害が来るじゃないですか!少しは周りのことをですね」
「むむう…」
その後長いお説教をセインは受けた。
ちなみにその日の夕飯は魚がいっぱい出ていた。
海王類が接近してから、必ず1人は覇気を出して威嚇することで魚一匹近づいて来なかった。
例え海王類が近づいてきても瞬殺されるのだが。
そして特に何もなくセイン海賊団は凪の帯を抜けた。
今日はウーノがセインにお茶をいれている。
「最初はどこに向かいますかセイン様」
「ブラインから聞いたんだがな巨人族がまだ生きてるらしい」
「巨人族ですか」
「あぁ、しかもここいらでは有名な海賊をやってるらしい」
セインはニヤぁとしてクックックと笑いをこぼす。
「セイン様……。お顔が怖いです」
「クックック……」
次は5日です