「えぇっと・・・・・確かここで待ち合わせなんだよな」
エリアCの公園に着いたヴァン。待ち合わせているエールを探しながら歩き回っていた。
「ヴァン!」
「あっ!エー・・・・・・ル?」
エールの声が聞こえた。
後ろを振り向くとそこにはピンクのワンピース姿のエールが目に入った。
「お前・・・・・その恰好・・・・・・・」
普段と違うエールの恰好を見て俺は少々戸惑っていた。
「よかった・・・・・無事で」
会ってすぐに胸を抑えながらエールはヴァンの方に歩いていった。
「あっ・・・・あぁ、心配かけてゴメン・・・・・」
「うぅん、ヴァンが無事なら・・・・・・」
にしても・・・・・随分決めて来たな・・・・エールの奴。しっかし、よく見ると・・・・・可愛いもんだな。
「あっ・・・・コレ?この間友達と遊びに行った時に買ってさ、中々着れる機会がなかったから・・・」
「そっ・・・・そうなんだ!結構、似合ってるぞ!」
ヴァンは顔を真っ赤にしていた。
「あっ・・・ありがとう」
エールも同じ様に顔を真っ赤にして髪をいじりながら横を向いていた。
「でっ、これからどうするか?」
「えぇっとね、コレ!」
エールがポケットから何かを取り出した。コレは・・・・・・・映画のチケットか?
「前に友達が用事でいけないからって貰ったの。2人分あるし、どうかな・・・・って」
「いいねぇ、早速行こうじゃねぇか!」
俺達は公園からそれ程遠くない映画館へ向かった。しかし、どんな映画なのか・・・・・・・?
ちょっとチケット見せてもらったぐらいで全然内容が分からんのだが。
「んでさ、何を見るってんだ?」
「アレだよ」
アレって・・・・・・・「愛の大迷宮」!?オイ、これって・・・・・・所謂恋愛映画って奴じゃ・・・・
「ヴァン、どうしたの?」
「あっ・・・・いや・・・・何でもない」
ヴァンの顔はかなり引きつっていた。まさか恋愛映画を見る事になるとは思ってもいなかった。
「さっ、行こっか!」
「あっ・・・・・・・あぁ」
こうして俺達は席へ座り映画が始めるのを待った。
そして映画「愛の大迷宮」始まった・・・・・・・・・・・・・
『君が好きだ!もう離さない・・・・・・・・・』
『嬉しい・・・・・私も愛しているわ!!』
映画もラスト、2人の男女が愛の告白をして互いに抱きしめあった。そして――――――――――
オイオイ、マジかよ・・・・・!?そこまでしちまうのか!普通に見るならともかく、コレをエールと見てるってのがどうにも気まずくて・・・・・・・・・・
そのエールはかなり釘付けになって、うっとりしながら映画を見て居た。アイツもこういうのが好きなんかな~
「ハァ~!面白かった~」
映画が終わりエールも満足気な様子だ。アイツのあんな楽しそうな顔、久しぶりに見た気がする。
「そんなに面白かったか?」
「うん!思いを寄せていた人に最後の最後に勇気を振り絞って告白する瞬間なんてトキメいちゃうじゃん!!」
エールも・・・・・そういう恋ってのをしてみたいのかな?もしかして、そういう人がいるんじゃ!?
いやいや・・・・・別に俺達はそういうんじゃないし、アイツに好きな人がいようがいまいが俺がどうこう言うもんじゃねぇし。むしろ幸せを願ってやるべきだろ、うん、そうだ。
「ゴメンね、なんか無理に付き合わせちゃったみたいでさ」
「いやいや、全然!」
「ねぇ、屋上の方行ってみようよ」
「もちろん、構わないぜ」
ヴァンとエールは映画館の屋上へ向かった。そこはちょっとした遊園地みたいな所だった。
「・・・・・・・・・」
エールは胸を押さえて体が震えていた。アイツ・・・・・何で自分からこんな所に・・・・・?
こうなるって自分が一番分かってたはずなのに・・・
「大丈夫か?無理しなくていいんだぞ」
俺はエールの肩に手を添えた。そんな俺の手をエールは握り返した。
「うん、大丈夫・・・・でもないかも。自分でも分かってるんだ。今でもこういう所に来るとあの時の事を思い出して凄く怖くなるの、でもこのままじゃダメだって思うんだ。だから少しでも踏み込もうって思ってね」
「そうだったのか。まぁ立ち止まってるのも何だから少し座ろうぜ」
「うん」
俺とエールは近くのベンチに座った。目の前では遊具で遊んでいる子供達の様子が見える。
「楽しそうだね」
「あぁ、昔は俺達もこうだったな」
俺達は物心ついた頃から家族絡みで親しかった。よく遊んでは派手に汚れて怒られたり、たまには喧嘩だってしたりして仲直りしたり。今でもよく覚えている。
あの日、イレギュラーの襲撃がある日までは。あの日から何もかも一遍した。だから俺はイレギュラーを許せない。
エールの為にも、他にも傷ついた人はいっぱいいる。俺にはみんなを守る「力」がある、だから俺は・・・・・・・・
「あのさ・・・・エール」
「ん、どうしたの?」
・・・・・・・ダメだ、やっぱり言えない。いくらエールがトラウマから立ち直ろうと頑張いても今の俺には言える勇気何てない、不安にさせてしまうのか?何て言われるのか?正直怖くて仕方がない。
「いや・・・・なんでもない」
「そっ・・・・そう」
エールは何かを期待していたのか、顔を赤くしながらヴァンの方を見つめていた。
「あっ・・・・・もう、夕方か」
気が付けばもう夕方、時間が経つのは早いもんだな。
「帰ろっか、今日は楽しかったよ」
エールの満面な笑みを見て、ヴァンもニッコリ笑っていた。
「・・・・・・・・・・・・・」
自分の部屋のベッドで眠るヴァン。ミッション続きでかなり疲れている様だ。
何時かは・・・・ちゃんと言わなくちゃな、本当の事。
本当の事、聞きたいな。それとも、私の方から先に言った方がいいかな・・・・・・・・・・・
何時も一生懸命で、優しくて、たまにドジな所もあるけど、カッコ良くて、笑顔の素敵な貴方に。
「でもよかった・・・・・本当、無事でよかった・・・・・」
エールの瞳から涙が一粒零れた。たった1人の家族の様な存在であるヴァンがまた帰って来てくれた事に。
そして朝がきた・・・・・・・・・・・・・・・
「おはよう」
「おはよ」
ヴァンはエールにコーヒーを差し出た。息を拭いて暑いコーヒーを冷ましながら一口いただく。
「あのね、ヴァン」
「ん?どうした」
「私、ヴァンが何を伝えたいのかは分からない、けど、ちゃんと言える日が来たら・・・・・・・教えて欲しい。私も・・・・ちゃんと伝えるから」
「おっ・・・・・・・おぅ、分かったよ」
「やっぱり何かあるんだ」
「なっ、お前っ!ハメたな・・・・・・・っ」
エールに一杯喰わされたヴァン。引っ掛かってしまった自分が恥ずかしく、顔を赤らめていた。
「エヘヘ・・・・・今日もお仕事あるの?」
「まっ・・・・まぁな」
「なるべく、早く帰って来てよね」
「分かったよ」
コップを置いてヴァンは玄関を開け外へ飛び出していった――――――――――
エールもトラウマを克服する日が来るのでしょうか?
アレ、これひょっとして・・・・・・・・・・・・おっと誰かが来た様だ。
次回からミッション再開です!