SCP-▇▇▇-jp 『鳥の王国』 作:COTOKITI JP
ここはヘッジホッグの中心部にある格納庫である。
合計60機もの航空機が格納されているこの場所で、俺達はこれから乗る事になる戦闘機を眼前にしていた。
「こんな戦闘機、見た事ないな」
自分の記憶の中にある全ての戦闘機と照らし合わせるが何れとも一致せず。
恐らくは財団が独自に開発したものか。
機体形状はBF109とハリケーンを足して二で割ったような感じだ。
だが明らかに性能はそれらとは桁外れだろう。
翼面荷重は小さめ、速度性能を重視している。
エンジンは戦後に開発されたであろう大馬力の液冷エンジンを使用している。
ターボチャージャーも搭載しているようだ。
更に二重反転プロペラによってカウンタートルクを打ち消せるようになっている。
主翼はハリケーンの頑丈さを受け継いだのか分厚くがっしりとした作りのなっている。
降着装置も特に問題は無さそうだ。
武装は20mmが四門。
爆装も可能でヤーボとしての運用も視野に入れている。
「ただ、乗ったら少し前が見にくそうだな」
エンジンが大きいのとラジエーターの配置の所為でコックピットが大分後ろに下がってしまい、下方への視界はあまり良くない。
まぁ、そこは経験でどうにかすればいいだろう。
「まさか初戦闘がレシプロ機で行く事になるとはなぁ」
自分の乗機を眺めながらヘンリーが呟いた。
俺は第一飛行隊の隊長を任されていた。
そして俺が乗る隊長機は赤く塗りつぶされ、白色に塗られた他の僚機と区別がつきやすいように勝手にしてある。
「全く……赤く塗れば強くなるとでも思っているのか? 俺は赤い彗星なんかじゃないぞ」
文句を垂れながら今度は胴体側面と主翼に描かれたラウンデルに目を移した。
多分財団のシンボルマークを弄ったのだろうが、色々弄りすぎて何だか生物兵器を彷彿とさせる物騒なデザインになってしまっている。
「これじゃ空賊というより、闇の組織とでも名乗った方がしっくりくるな」
苦笑いしながらヘンリーは言った。
◇◆◇◆◇◆◇
場所は変わり、艦橋。
そこではレーダー観測員が突然声を上げ、ヘルフリート艦長の方を向いた。
「10時の方向より不明機!数は10機!高度5600より時速450kmで接近中!」
「早速来たか……」
席から立ち上がってヘルフリートはその手を振るい、声を上げる。
「第一飛行甲板のハッチを開けろ!第一飛行隊の発進準備急げ!」
ヘルフリートの指示を部下が通して船内の放送で伝える。
放送を聞いたパイロット達は飛行服に着替え、第一飛行甲板へと集結する。
飛行甲板には既に戦闘機が並べられており、後はエンジンを稼働させるだけだった。
緊張をする間も無くコックピットに乗り込み、操作を行う。
驚いた事にこの戦闘機の操作はいつも乗っていたジェット戦闘機とあまり変わりがなかった。
計器類は全て一つのタッチパネルに纏められ、大分簡略化されている。
初めての飛行なので不安だったが、思ったよりも簡単そうだった事に安堵した。
タッチパネル右側のボタンを押し、セルモーターを回してエンジンを稼働させる。
凄まじい轟音と共に二重反転プロペラが回転し、風を巻き起こす。
そしてそのまま発進の合図を待つ。
「初飛行が初戦闘か……出来れば避けたかったが……」
緊張を表す激しい動悸を押さえ込みつつ呟く。
僚機も全機発進準備が出来たらしく、プロペラを回転させたままその場に並んでいる。
そして誘導員が発進の合図を出し、隊長機に乗る俺が一番初めにスロットルレバーを押し込んだ。
「一番隊隊長、アルノフ、出る!!」
これは朝食に目玉焼きを食った直後の事だった。