SCP-▇▇▇-jp 『鳥の王国』   作:COTOKITI JP

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エタりかけたので怒りの初投稿です。
お兄さんゆるして


レッドカラーとホワイトカラー

我々は世界の終焉を観測した。

そしてその先でさえも観測した。

滅びても尚、終わりを告げる事の無く時が進み続けるこの世界に、我々は生きている。

 

ここにいる者達は皆今年が1989年と言う。

新聞でもラジオでも同じだ。

だが、その1989年は一体いつから(・・・・)始まった?

ここに古代の遺跡や古代文明の存在を証明する物は一切無かった。

 

「……見よ、今回で730697回目の未知の恒星だ」

 

「いつも通りに朝が来たか……いや、厳密に言えばあの月のような惑星が消失した(・・・・)、か」

 

遥か先に見える太陽擬き。

我々も一時は太陽と推測していたが観測し、距離とサイズを計測して太陽では無い事がハッキリと分かった。

太陽と比べるとアレはかなり大きい。

サイズで一番近いのはシリウス辺りだろうか。

 

距離は大分離れている為、地上から見た大きさは太陽と変わらない。

そしてこの世界には更なる異常が存在した。

あくまでまだ推測だが、この世界は……平面世界(・・・・)であると言う事だ。

これは星の動きや、地平線の観測を行って出た結論だ。

 

平面世界なら、端が存在するのではと考え、調査を行った。

方法は単純、世界の端に辿り着くまでひたすら進み続けるという物だ。

その際に使用したのは一式陸攻。

素晴らしい航続距離を兼ね備えたこの機体で世界の端を目指して飛んだのだが、結局は失敗に終わった。

 

どこまで進んでも見えるのは荒野ばかり。

そもそもここが平面世界だとしてどれ程大きいのか、我々がどの辺りにいるのかも分からなかったので無謀とも言える調査だった。

 

だが、収穫がなかった訳ではない。

飛行中に例の空間領域の発生を確認したのだ。

それも我々の真上だ。

とは言っても空間領域の規模は大分小さく、すぐに消えてしまったのだが、驚くべきは調査を中断して帰った時だ。

 

その日は丁度空間領域が発生していて、自分はその間一式陸攻の整備を行っていたのだが、主翼の上に立っていると何故だかザラザラとした感触が足元からしたのだ。

何かと思って見てみれば、そこには白い粉状の何かが付着していた。

粉は砂よりも細かく、小麦粉のようだった。

 

勿論我々は一式陸攻に小麦粉やその類の粉をぶちまけた覚えは無いので、念の為に採取して小瓶に入れて置いた。

その後一式陸攻の整備を終えて彼に粉を見せようとした。

空間領域はその時には既に消えていて観察を終えた彼は居間で寛いでいた。

 

そして小瓶に入った粉を見せようとしたのだが、小瓶に入っていたはずの粉は消えていた。

採取した粉の性質は特殊で、どうやら穴の発生した時にしか可視状態にならないらしい。

彼の推測に拠ればこの粉は空間領域を構成している物質の可能性があるとの事。

 

調べれば調べる程、異常性の見つかるこの世界。

しかし、一つ我々の世界と共通する所があった。

それは…………。

 

『我々の世界に存在する物は、この世界にも存在している』

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「こちら一番隊!敵編隊と交戦!機種は恐らくスピットファイア!」

 

雲の中を突き進みながら俺はコックピットの中で叫ぶ。

目の前にいるのは紛れもない敵機。

訓練の標的でもアグレッサー部隊でもない。

点灯した光学照準器の中心に敵機を置き、操縦桿の引き金に指を掛ける。

 

それを察知したのか敵のスピットファイアは左上方に旋回し、回避を図った。

こちらも逃すまいと操縦桿を引き起こし、六時を取り続ける。

フラップも展開し、オーバーシュートを防ぎつつ射撃のタイミングを見計らっていると、敵機がインメルマンターンを行おうとした。

その隙を逃さず、機首を上げ、照準器に敵機が収まる僅か数秒のタイミングで引き金を引く。

両主翼の機関砲から放たれた薄殻榴弾が右主翼に喰らいつき、引き裂いた。

 

空中分解したスピットファイアを見下ろしていると、今度は後ろから敵が来た。

まだ体制が安定していない為、撃ってこない。

もうすぐ撃ってくる。

三、二、一、今。

 

飛んできた曳光弾を下方への旋回で躱す。

大丈夫だ、僚機がまだいる。

後ろを見ると敵機の更に後ろに僚機が着いてきているのが見えた。

ヘンリーの機体だ。

 

「ヘンリー、俺がコイツを釣り上げる!お前が墜とせ」

 

《了解!》

 

ヘンリーの返事を聞き、すぐに機首をを真上に上げる。

敵機もしっかりそれに釣られて急上昇する。

速度計の数字がどんどん減っていき、間も無く失速する速度まで下がった。

だがそれは敵機でも同じだ。

 

「今だ!やれ!」

 

《くたばりやがれ!》

 

失速していたスピットファイアは、ヘンリーの射撃を躱すことも出来ず、呆気なく蜂の巣にされ、火の玉と化して墜ちていった。

機体を水平に戻した俺は周囲を見るが、敵機は既にいなくなっていた。

見えるのは生還した9機の僚機だけだ。

 

「初戦闘は、損失無し……か」

 

《敵の全滅を確認、よくやった。 全機、RTB。 繰り返す、母艦へ帰還せよ》

 

 

 




カクヨムの方で新作のオリジナル小説描き始めたので今後も更新は遅れると思われます……。

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