先行制圧には勝てなかったよ……
「もう1回! もう1回やりましょう! すごく満足なんですけど満足出来てないです!」
にべもなく先行制圧盤面に敗北した私は、デュエルが終わった直後に思わずそう叫んでいました。ああも一方的な展開は、自分がする分には楽しいですけど、されて楽しいものじゃないのですから。
「うん、いいよ。熱くなってたけど、ルールミスしてた気もするし」
「三戦の才の所ですよね? 今更ですけど多分、私攻撃出来なかったと思います」
真竜皇V.F.Dの効果が適用されていたのだから、いくら私がコントロールを奪っても攻撃は出来なかった筈です。やっぱりデュエルディスクを介さないと不便ですね。うっかりも含めて、楽しく遊ぶなら醍醐味な気はしますけれど。
「それで、先攻後攻はどうする? 負け先で月城さんに譲ってもいいけど」
「いえ、ここは公平にデュエルディスクに決めて貰いましょう?」
譲ってもらった先攻で勝ったとしても、何となく気分がよろしくないです。ここは負ける可能性があっても公平に、その方が私の気分がいいです。
「「デュエル!!」
遊好 LP8000
楽人 LP8000
そこまで決まれば早いもので、お互いのデッキをカット&シャッフルして卓上にセット。掛け声と共にデュエルが始まりました。デュエルディスクがランダムに決定した先行は楽人くん。どうにも今日の私は、運が良くないみたいですね。
初期手札は……覇王眷竜ダークヴルム、増援、オルフェゴール・トロイメア 、灰流うらら、オルフェゴール・ディヴェル。少しカットが足りなかった気がします。でもディヴェルがあるのは不味いですけど、悪くはないですね。
「僕のターン! むぅ……スタンバイ、メイン。
僕は手札から、ローンファイア・ブロッサムを通常召喚!」
対して、楽人くんの手札は余り良くなかったみたいです。たっぷり数秒は悩んで、渋々といった様子でモンスターを召喚しました。ローンファイア・ブロッサム、植物族下級モンスターでその効果は──
「そのままローンファイア・ブロッサムの効果発動! このカードをリリースして、デッキから植物族モンスターを1体特殊召喚する!」
「んー……ちょっと、チェーン考えますね」
ここで私が灰流うららをチェーンしなかった場合、出てくるのは多分『光の王マルデル』でしょう。普段なら絶対に止めますけど、今回は王の舞台を使われても、上手くいけば後攻1キルに持っていけます。この動きなら先攻V.F.Dは無いと思いますし、無視して可能性に賭けるか、それとも堅実に止めに行くか。迷いますね。
「やっぱりチェーンはなしで。通します」
どうせなら、やっぱりさっきの意趣返しをしたいです。ということで、少し賭けになりますけど通すことにしました。
「なら僕は、デッキから光の王マルデルを特殊召喚。そのまま効果を発動したいけど大丈夫?」
「通します」
「なら、デッキからフィールド魔法 王の舞台をサーチするよ」
ここまでの動きは、私も勝手知ったる
「そしてそのまま、王の舞台を発動。カードを1枚セットして、何もなければターンエンドだよ」
「何も無いので、私のターン!」
ドローしたカードは……墓穴の指名者。よし、保険が引けました。しかし私がデッキからカードをドローしたことにより、王の舞台が起動します。
「月城さんがデッキからカードをドローしたことで、王の舞台の効果を発動!」
「チェーンはなしで」
「ここも無し……? 効果でデッキから、王の影ロプトルを特殊召喚。そして3体のジェネレイドトークンを攻撃表示で特殊召喚!」
手札3
□ □ 伏 □ □
ト ト 影 光 ト 舞
□ □
□ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □
手札5+1ドロー
楽人くんの場には、攻撃表示のジェネレイドトークンが3体と攻撃表示の光の王マルデル、そして守備表示の王の影ロプトルが並んでいます。女は度胸、突き進むのみです。
「スタンバイ、メイン。私は手札から、覇王眷竜ダークヴルムをペンデュラムスケールにセッティング。そしてそのまま、ダークヴルムのペンデュラム効果を発動します!」
「ならそれにチェーンして、ジェネレイドトークン1体をリリースしてロプトルの効果を発動!」
「それにチェーンして、灰流うららの効果発動! このカードを手札から捨てて、デッキから特殊召喚する効果を無効にします!」
「ここで!?」
そう、このタイミングが最高の筈です。これで楽人くんの場には、攻撃表示の特殊召喚されたモンスターが3体残ります。鉄の意志と鋼の強さをもってして、打ち砕くべき壁が。
「ロプトルはうららで止まったので、ダークヴルムの効果でデッキから覇王門零をもう片方のペンデュラムスケールにセッティングします」
覇王眷竜ダークヴルム
闇 レベル4 ドラゴン族 ペンデュラム 効果
ATK1800/DEF1200
【Pスケール:青5/赤5】
【ペンデュラム効果】
①1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキから「覇王門」Pモンスター1体を選び、自分のPゾーンに置く。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしかP召喚できない。
「覇王門零のペンデュラムスケールは0、これで私はレベル1から4のモンスターが同時に召喚可能になります!」
「なら僕は手札から増殖するGを捨てて効果発動!」
「チェーンして墓穴の指名者を発動して無効にします!」
これで楽人くんの手札は残り2枚、手札誘発は……無いと信じます!
「私は手札から魔法カード、増援を発動します」
「今度は僕が、もう手札に何も無いよ」
「なら飛ばして行きます! 増援の効果で、デッキからダークグレファーを手札に加えます」
そして一旦深呼吸。
「揺れろ魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚!
現れてください、オルフェゴール・ディヴェル、ダーク・グレファー!
そのままダーク・グレファーの効果を発動。手札のオルフェゴール・トロイメアを墓地に送り、デッキから闇属性モンスター『幻影騎士団サイレント・ブーツ』を墓地へ。
そしてディヴェルとグレファーでオーバーレイ! 漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今降臨せよ! エクシーズ召喚、ランク4ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!
そして、ダーク・リベリオンの効果発動。このカードのオーバーレイ・ユニットを2つ取り除き、光の王マルデルを対象として発動します。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップします!」
光の王マルデル
ATK3400→2200
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ATK2500→4200
「そして墓地に存在する、幻影騎士団サイレント・ブーツの効果を発動! このカードを墓地から除外し、デッキから『ファントム』魔法・罠カード……
そして、墓地からオルフェゴール・ディヴェル、ダーク・グレファーの2体を除外して、ダークリベリオンを対象に発動!」
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①自分・相手のメインフェイズに、自分の墓地から闇属性モンスターを任意の数だけ除外し、自分フィールドの闇属性Xモンスター1体を対象として発動できる。除外した数だけ、その自分のモンスターよりランクが高い、「幻影騎士団」、「RR」、「エクシーズ・ドラゴン」Xモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
「誇り高きハヤブサよ。 英雄の血潮に染まる翼翻し 革命の道を突き進め!
ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!
現れて! ランク6! RR-レヴォリューション・ファルコン! 」
ここまで上手く展開できるなら、ソリッドビジョンを起動しておいた方が良かったかも知れません。幸いにもこの世界は、いつどれだけデュエルで口上を述べようと何も言われませんけど、迫力と満足感が違いますからね。
「RR-レヴォリューション・ファルコン? 月城さん、ちょっとカード見せてもらって良い?」
「あ、はいどうぞ」
掻いてもいない汗を拭う様にして満足感に浸っていると、そんな風に楽人くんが聞いてきたのでカードを手渡します。すると効果を読んでいくうちに、みるみるその顔が青くなっていきました。
「……あれ、これもしかして」
「はい、バトルフェーダーでも握って無い限り、後攻ワンキルです!」
RR-レヴォリューション・ファルコン
闇 ランク6 鳥獣族 エクシーズ 効果
ATK2000/DEF3000
鳥獣族レベル6モンスター×3
①このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
②このカードが特殊召喚された表側表示モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。
③このカードが「RR」XモンスターをX素材としている場合、以下の効果を得る。
・1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
残念ながらこのデッキだと3番の効果は使えませんが、私のデッキの中だとトポロジック・ボマー・ドラゴンに次いで
「墓地に存在する、オルフェゴール・トロイメアを除外してレヴォリューション・ファルコンを対象に効果発動! デッキから闇属性・機械族の星遺物-『星杖』を墓地に送ることで、攻撃力をターン終了時まで800ポイントアップ!」
RR-レヴォリューション・ファルコン
ATK2000→ATK2800
「そして、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、レヴォリューション・ファルコンの効果を発動。このターン、このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃ができる様になります!」
つまり、攻撃表示のジェネレイド・トークン2体と光の王マルデルの3体分の貫通ダメージが入るということです。伏せカードがハノイの崇高なる力でも無い限り、これで2800×3=8400。私の勝ちになるはず。
「全体攻撃です。敗れた者たちの意志を継ぎ、全ての敵を殲滅しろ! レヴォリューショナル・エアレイド!」
「まさか、そんなテーマデッキでしか見ないカードが出てくるなんて……!」
楽人
LP8000→5200→2400→0
そんな私の心配は杞憂に、序でにロプトルも狙った4連撃は直撃。さっきの意趣返しに、後攻1ターンキルを決めることが出来ました。精神的なマウントも取れましたし、思わず抑えきれないガッツポーズを取ってしまいました。やった! 決まった!
遊好の初期札+ドロー
オルフェゴール・トロイメア
覇王眷竜ダークヴルム
増援
灰流うらら
オルフェゴール・ディヴェル
+墓穴の指名者
楽人の初期札+ドロー
ローンファイア・ブロッサム
轟の王ハール
王の憤激
ハーピィの羽根帚
増殖するG