とっとこ(グラ)ハム太郎   作:zhk

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シリアス?

ああ、グラハムが踏んじゃってなくなったよ。

だからここからはずっとギャグのターンだ。


逃げ出せ グラハムの森

 地平線の彼方、海のどこかに、エーカー島と呼ばれる島がある。

 

 人口はゼロ、最近流行りの無人島移住パッケージとやらでめでたく有人島となる、そんな島。

 

 木が生え川が流れ、自然豊かな島に、移住してやって来た少年が一人。

 

 名前はカヅキ。虫取り用の網を片手に、楽しげに彼は飛行機から降りる。

 

 わくわく、どきどき。初めての島へと訪問に心踊るカヅキ少年。ここで新たな生活が彼を待っていると思うと、彼も高揚を抑えられないようだ。

 

 そして遂に、彼の無人島生活が、幕を開ける!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや待てなんだこれ」

 

 手に握られてる虫取網ぶん投げて、俺は冷たい目で吐き捨てる。

 

 えっ? 急に? 何このあつ森感満載の世界観。てかあつ森だよね? あの今流行りの。報道ス○ーションのあつもりぃ!! の方じゃなくて。

 

 えっ? なんで?? (困惑)

 

 なんで俺無人島にいるの? あんな現実じゃ絶対に実現不可能な無人島移住パッケージが実現した? んなご冗談を。

 

 あとこの島の名前よ。エーカー島って、エーカー島って(大事なので復唱)

 

 よりにもよってあいつが島の名前なの? つけたたぬきち頭イカれてんのか。もしやたぬきちもホモ? だとしたらまさに獣なんだけど。動森の闇だぞこれ。

 

 疑問点が降って沸いて止まらん。けどまぁ、多分きっとこれは…………

 

「夢だな。うん…………」

 

 夢だなも(たぬきち感)

 

 きっと寝る前にあつ森やりまくってたのが悪かったのか。だってさ? 楽しいんだもんタランチュラ乱獲。あれで生計経ててれるってあの世界の蜘蛛の価値は計り知れない。

 

 うーん、頬を引っ張っても痛い。夢の中じゃ痛みは感じないって言うけれど、これは感じるタイプの夢なのかもしれない。新種じゃないか。夢だって進化するんだね、知らんけど。(バカ)

 

 なんだかんだ言ったけれど、夢なら遊べるだけ遊んでやろう。俺もあのゲームやりながら無人島生活に憧れてたし。あーいう俗世から離れて暮らすって楽しそうじゃない? 

 

 と、言うわけで、

 

「いつ覚めるかわからないし、すぐに行動するのが吉だろーな」

 

 これは夢(仮定)なので、いつあのグラハムスター目覚ましに叩き起こされるかわからん。あの公害レベルの騒音を聞くまでに、やれるだけ楽しんでおかねば。

 

 ここは夢の中。グラハムも現れないし、俺も久しぶりにのびのびと行動させてもらおうか━━━

 

「おーい、早く進んでくれないか? 後ろがつっかえてるんだよ。どっこい」

 

 おっ? この口調で話す奴はあいつしかいない。そうだ猿のさすけだ。もう語尾にどっこいなんて癖の強いもんつけるのはあいつしかいない。

 

 結構あのキャラ俺好きなんだよ、なんか癒されるというかなんというか。

 

 じゃなくて、今は退く方が先だ。そう考えたら俺ずっと飛行機の出入り口の所で突っ立ってるやベー奴だったのか。反省反省。

 

「わりぃ、無人島ってのが楽しみで受かれてたわ。今退くか…………ら…………」

 

 笑顔で振り向いたけど、その笑顔はホントに一瞬で消し飛んだ。

 

 なんでって? 知りたい? 

 

 後ろにいたのは、さすけではなかったからだよ。

 

 体が猿、頭はがっつりグラハムのよくわからん生き物だったから。

 

 うん…………うん?? 

 

 なにこれ? (ゴロリ)

 

「これからここで一緒に生活するんだよな? 俺ははむすけだ。よろしくな、どっこい」

 

 猿なのにはむすけなのな(当然の疑問)

 

 いや唐突にグラハムワールド? 島の名前はなんかナレーションがエーカー島だとかほざいてたけどさ、グラハム要素それだけじゃないの? まだあるの? 

 

 もうこれ以上同じようなパターンで出てこられたら、SAN値削られるんだけども。

 

 と、そんな時だった。またも俺の背後に人━━いんやもう人じゃないのがいるからなにかでいいや━━何かの気配を察知。

 

 疲れたように俺が振り向いて見れば、俺の後ろにいたのはどうぶつの森シリーズを代表する金取りだぬき、たぬきちだった。

 

 人気だよね、あいつ。パッと見可愛いよね。それは俺も同意するよ。

 

 でも背後にいるのは顔面グラハムタイプなんだよね。

 

 はい、SAN値チェックでーす(棒読み)

 

「カヅキさんですね。無人島を感じてるところだと思うんだけれども、今からオリエンテーションを行うので無人島中心部に集まって欲しいんだなも」

 

 その顔面でだなもを使うんじゃねぇよ気持ちが悪いっ!! 

 

 それは可愛らしいキャラが使って意味があるんだよ!! オメーみたいなごりごりのホモ野郎が使っていい語尾じゃないんだよ!! 

 

 てかキモい。何もともかくまずキモい。あのふくよかな体型のたぬきちでさえアンバランスなグラハムの頭がついてんだぜ? 気持ち悪い以外何でもないだろ。

 

 悪夢だ…………まさに悪夢だぜこれは。死神13(デスサーティーン)でさえましな夢見せるレベルの悪夢だぜ…………

 

 まだグラハムが俺を起こしてくれる気配はない。手のひら百八十度回転してそろそろ起こしてほしいところなんだけどなぁグラハムさーん? 

 

「他の人はもう集まってるので、出来るだけ早く来て欲しいだなも」

 

 俺は早く帰りたいんだなも(悲痛)

 

 でも着いてかないと話進まないんだよね? ああわかったよ! 着いてくよ! 着いてきゃいいんだろ!! (投げやりオルガ)

 

 すったらほったらとグラハム式たぬきちの後を追いつつ、辺りを見渡すと木にはサクランボが生えてる。ゲームしてて思ったけどサクランボって木になるの? やっぱサクラになるからサクランボなのか? わからん(バカ)

 

 で、たどり着いた無人島中心部。

 

 そこはもうね、地獄だったよ。

 

 サイの体にグラハムの頭。鳥の体にグラハムの頭。犬の体にグラハムの頭。猫の体にグラハムにマスクつけてる奴。

 

 俺は狂気入りオッケーですか? (白目)

 

 もう頭おかしなるで? 右見ても左見ても前見てもグラハムの顔だし。どいつもこいつも顔と体のサイズあってないし。どいつもこいつも狂ってやがるっ!! (カイジ)

 

「それでは皆さん揃ったので、点呼をしていきたんだなも。おはむさん」

 

 サイの体の奴が返事した。いやサイなのにハムなの? 

 

「ハムーニョさん」

 

 鳥の体の奴が返事した。いや鳥なのにハムなの? (二回目)

 

「ブシドーさん」

 

 猫体マスク付きが返事したってそこはハムつけろよ。流れだろ? そういう流れだろ? なんでお前だけ完全にミスターブシドー感だしてんだよ。

 

「最後にカヅキさん」

 

「んえっ? あっ、はい」

 

 なんだかもうよくわからないときは、とりあえず返事しとけばいい感じになるって母さんが言ってた。だから返事します(現実逃避)

 

「皆さんいますね。では、どーもどーも。皆さんようこそおいでくださいました。この無人島移住パッケージを企画したたぬき開発の社長、はむきちだなも」

 

 たぬきなのにハムなの? (三回目)

 

 この世界の住人は皆はむってつけないとだめなの? なんの縛りプレイなの? ネーミングがもう奇々怪々なんよ。全員ハムスターと勘違いしてもおかしくない名前なんよ。そこんとこどうなんでしょーかニ○テン○ウさん。

 

「この島で困った事があったら何でも相談してくれて構わないだなも。まめはむとつぶはむと共に、皆さんの生活を全力でサポートして行くだなも」

 

 という言葉ではむきちの後ろに陣取っていたまめはむとつぶはむも笑いながら手をこちらに振ってくる。

 

 ちっちゃくて可愛らしいけど顔面はグラハム。もう救いようのないキメラだよあれは。ちっちゃければ許されると思ったか、少なくとも俺は許せないわ。

 

「ではこれから、夜にやるキャンプファイアーのための準備を行うだなも。とりあえず、全員で木の枝を集めてくるだなも」

 

 うーん、この辺は忠実なのな。キャンプファイアーで燃やされる木集め。どうせそのあとにここのサクランボとってジュースも作るんだし、木の枝取りながらそっちも確保して行けば効率が…………

 

「皆で木の枝を集めて、大きなフラッグカスタム人形を作るだなも。そのあと、木になってる果物を採取していくだなも。それじゃ協力して頑張って━━━」

 

「ちょちょちょ! 待って、お前今なんて言った?」

 

「? 木になってる果物を採取してくると言った…………」

 

「そっちじゃねぇよ!? その前だよ前!?」

 

「木の枝で、フラッグカスタムの人形をつくるだなも?」

 

「そこだそこ!!」

 

 急な路線変更!? フラッグ!? ここで!? なんにもない無人島で食料や火元よりもフラッグカスタムが最優先なの!? お前の価値観どうなってんだよ。

 

「フラッグカスタムの人形を作るのは当たり前だなも。カヅキさんは何を言い出すんだなも」

 

「これ俺がおかしいの? いやそんなわけないない。木の枝ってキャンプファイアーで燃やす用じゃない?」

 

「キャンプファイアーにフラッグは欠かせないだなも」

 

 どの辺に? キャンプファイアーのどこにフラッグが必要な場面がある!? 呪術的な人形だったのかフラッグって。真ん中において踊ったりするわけ? 

 

 グラハムの顔の動物が、木組みのフラッグカスタム人形を中心にキャンプファイアーして踊る。どんなホラー映画かっていうくらいにやベー絵面。フロムゲーに出てきそう。

 

「ああ、そうだなも。もしやカヅキさんは、フラッグを崇めるのが嫌なんだなも?」

 

「え? 崇める? いやフラッグってそもそも崇める対象じゃないっていうか、そんな頭おかしいことしたくないっていうか…………」

 

「「「「あ"?」」」」

 

 急にキレる!? 沸点がわかんねぇんだけど!? どう森キャラ(顔は除く)が出しちゃいけない種の声だったって今の!! 

 

 ちょ、やめろって。空気感変えんなって。和やかな雰囲気どこ行ったんだよ。ついでにお前らの目のハイライトもどこへ出掛けたんだ今すぐ連れ戻してください不穏だから。

 

「なるほど、背教者でしたか。ならば、力づくで(フラッグ)を崇める信徒になってもらうだなも。なに、怖いのは一瞬だなも。安心してていいだなも」

 

「その言葉に安心できる要素が皆無なんですが…………待って待って、なんで俺を囲むように皆陣形整えているのかな? はむきちさんはその手にある斧は何に使うの? カヅキさんちょっと怖いんだけれども…………?」

 

「大丈夫だなも。どんな武器でも、この世界では二回やられてつられない限り、生きることは可能だなも」

 

「それ違うゲーム!? 殺人鬼と老いかけっこする奴だから!? あっちは全年齢じゃないから!?」

 

 ほんわかゲームからのホラゲへの切り替わりが急展開すぎてついていけてないって!! あっやめろマスクネコ!! 羽交い締めにするなって!! HA☆NA☆SE! HA☆NA☆SE!! 

 

「さぁ、あなたも神の寵愛を受けるだなも」

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 はむきちが斧を振り上げるのに対し、大きく叫ぶ俺。けどはむきちは斧を止めずに、そのまま力のまま振り下ろして…………

 

 

 

 

 

『おはようカヅキ!! このグラハム・エーカーが! 君に朝の到来を伝達しよう!!!』

 

 叩き起こされた。

 

 寝惚け眼を擦って時刻を確認すると、机に置かれたデジタル時計が示すのは朝の5時。いつもの時間だ。

 

 チュンチュンと雀の鳴き声が聞こえるなか、俺はぼそりと呟く。

 

「なぁグラハム…………フラッグってさ、

 

 神なのかな?」

 

『…………頭でも打ったのかカヅキ?』

 

 なんかばかにした感じのグラハムの言い方が腹が立ったけれど、夢見が悪すぎるんで突っ込むのはなし。

 

 ━━━━

 

 ぱぱぱと手早くパジャマから運動着へ着替えながら、俺は肩にグラハムを乗せつつリビングへ足を運ぶ。

 

 朝からまったく最悪な夢を見た。なんだあれは? (疑問)グラハムの森だよあれは。(解答)

 

 きっとグラハムによるグラハムのフラッグと刹那のための島が出来上がるんだろうなー。島民の顔が皆グラハムって、想像すると今でも気持ち悪くなってくる。

 

『朝はいつも調子が良くはないが、いつにも増して今日は酷いな。何かあったのか?』

 

「夢の中でな、あつ森やってたんだよ」

 

 登場人物は全員お前でな。

 

『なるほど、確かに君が寝たあと私が独自に島に少年の絵を描いていたからな。まさか君の夢にまで影響が出るとは、さすがは最新式のゲーム機器。侮れんな』

 

「今なんか看過出来ない言葉が聞こえたんだけれども。お前もしや俺の島荒らした? ねぇ? 荒らしたの?」

 

『荒らしたのではない。華やかにしてみせたのだ。島に少年はよく映える』

 

「どう映えるんだよ」

 

 刹那に映え要素を感じるのは上級者すぎる。それを人の島で本人の承諾なしに行うのは害悪すぎる。

 

 なので後で刹那人形破壊してやる。悪いな刹那、恨みはないが手足を折られてくれ。

 

『まぁその程度なら構わない。私としては、あの時の事がトラウマにでもなってるのかと心配していたのでな。』

 

「そっちに関しては大丈夫そう。もう一月も前の話だからな。」

 

『一月、か。案外時の流れというのは早いものだ。』

 

 一月、そう、あの沖縄での一騒動からもう一ヶ月が経っていた。

 

 全身を撃ち抜かれ、あっこれ死んだわと思って気を失ったあと、目を覚ましたのは極楽浄土ではなくベッドの上。

 

 なんと、私奇跡的に生存してました。イエーイ、ぶい。

 

 なんか銃弾を身に受けたらしいんだけども、そのあと軍の人が駆けつけてくれて危機一髪。て感じだったらしい。

 

 いやはや、医療技術の進歩は凄まじいね。俺もう銃弾の雨あられ、全身血だらけになってたのに生き残れるんだもん。ハイテク万歳! テクノロジーの進歩に栄光あれーー!! (ガルマ風味)

 

 とまぁそんな具合に生き残り、母さんも父さんも銃弾による傷は浅くなんとかなった。目覚めてからスマホ確認したら通知が偉いことになってたのは本当にビックリした。

 

 大半が雫とほのか。なんだか沖縄の件はニュースになってたみたいで、大分心配してくれてたようです。何度も連絡しても通じないからって泣きじゃくりながら電話で話す雫とほのかはなんだか新鮮でした。役得役得。

 

 というか通知切っといてよかったぁ。俺のスマホの通知音って某動画配信者の名言の『あ"あ"ゴミカス!!!! ○ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!! 』だから。あんときに流れてたら確実にシリアスブレイクしちゃう。

 

 こんな具合に騒動は終結。その後沖縄に関する情報は統制やらなんやらが強いせいか聞くことも調べることも出来ないままでしゅーりょー。

 

 ま、俺としては結果平和が帰って来たで終われるから満足してる。けど心残りつったら…………

 

「あの黒髪ロング清楚美少女とフラグが作れなかったくらいかな? あれは本当に残念だった」

 

『まだそれを言っているのか…………いい加減踏ん切りをつけるべきだ』

 

「わかってる。わかってるんだけどさぁ~」

 

 あっこまで美人な子ってなかなかおらんよ? 物語から抜け出して来てって言っても信じられるレベルの。

 

 一期一会、出会いは大切にって言うしさ。俺はあれを運命にしたかった。うん、したかった(過去形)

 

『結局あのあと、病院などで探しても彼女もその兄も、加えて彼ら二人の家族と思える者達と遭遇することすら出来なかったではないか』

 

「そうなんだよな、なんか不自然なくらいに会わなかったよな。いや、逆にあそこまで連続して会うこと自体が稀だったのか。ならやっぱあの黒髪ロング清楚美少女と俺は運命の赤い糸が!?」

 

『妄言を言うのもそこまでにしておけカヅキ』

 

 黙れお前が言うな変態ホモ太郎(正論)

 

 けど確かに? また会えたとしても俺のとくせい、コミ障のせいでまともに会話できる気がしないし? まぁ予定調和と言いますか? 予定調和…………だったのか…………うっ…………(自爆)

 

「ええい切り替えだ切り替え! うじうじせずに行こう! うん!! あの子俺の好みのドストレートだったけど、もう一生会えないだろうけど! もううじうじしないっ!」

 

『そうだ! まず手始めに20キロランから始めるとしよう。邪念を払うにはちょうどいい』

 

「うわー邪念と一緒にいろんな物まで払われそう。魂とか」

 

 愚痴りつつ玄関の扉を開く。あー快晴、俺の心は真逆の空模様だけど。皮肉かな空よ? 畜生めが。

 

「ん?」

 

 そこで俺は気がつく。家の外側、ちょうど我が家の玄関扉の左側に怪しげなトランクケースが置いてある事に。

 

「…………グラハム、なにあれ? 俺への新しいメニューで使う奴?」

 

『いや…………あんな物、私も見覚えがないのだが…………』

 

 えっ? グラハムじゃない? 

 

 じゃ誰よ? 父さんは最近帰ってきてないし、母さんがあんなもん持ってきたとこなんて見たことない。

 

 てことはなに? あれやっぱ不審物なの!? 

 

「やべぇ。やべぇよグラハム。これはあれかな、とりあえず警察に連絡を…………」

 

『何故急にそこまで怯えるのだ。たかがトランクケースだろう』

 

「バッきゃろう! お前トランクケース舐めてんのか!? トランクケースといえばお前、爆弾が入ってるってのが常識だろうが!!」

 

 サスペンスの定番だぞ! 崖で事件解決並みに定石なんだぞ!? えっ? 違う? まじ? 

 

『怪しげではあるが、危害を加える手の物ではないだろう。とりあえず開けてみてはどうだ?』

 

「え、やだよ」

 

『え?』

 

「え?」

 

 なんで開けなきゃならないんですかね(迫真)

 

 怪しいんでしょ? 危なくないかもだけど怪しいんでしょ? なら関わらない方がいいって。絶対ロクなもの入ってないって。もうポリスメン呼んで対処しましょ? 

 

 その方が絶対いいって。だから俺は見ない振りをわむ!? 

 

「悪いが、少し体を借りるぞカヅキ」

 

 あっさりと奪われる体の主導権。持ち主としてもっと強く保持してたい権利が俺にはない気が最近してきた。じゃなくて! 

 

『お前何する気だよ!? 開けるの!? あれ開けるの!?』

 

「放置しておいてもいいことなどないだろう。安心しろ、私がやる。君はそこで見ていればいい」

 

『いやそれ俺の体っ!! なんかあって傷つくのは俺なのよ!?』

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

『問題しかねぇよ!!』

 

 イーノックで返されて安心なんかする奴おらんわ! そんな心意気じゃ今回もダメだったよ(笑)って言われるって!! 一番いいの(ポリスメン)にしとけって!! 

 

「開けるぞ」

 

『だから少しは話を━━━━ん?』

 

 まったく話を聞き入れないバーサーカーグラハムは、躊躇なくパコンとトランクを開いた。そこにあったのは、

 爆弾でもなにか怪しげな物でもない。

 

 大きな二振りの刀だった。

 

 一本の長刀と、それより少し短めの長さの刀。加えてスティックのような物が二本。

 

 なにこれ? (ゴロリ再登場)

 

 体の主導権を奪い返しつつ、トランクからとりあえず二振りの刀を手に取る。刀身がむっちゃ綺麗。少し重みはあるけど振りやすいし、普通にその辺の物も切れそう。

 

『いや、これは刃がないぞ。』

 

「えっ? 刃がないって…………そんなの刀として欠陥品━━━」

 

 カチッ

 

「『ん?』」

 

 今なんか手元でカチッてなったぞ? 一体なんの音…………と、次の瞬間。

 

 両手に持ってた刀が光出した。

 

 いやなんの光っ!? (ラカン・ダカラン)

 

 刀は光を刀身へと纏うように沿うと、そこで停滞した。

 

 えっ? なに? 突然すぎてラカン・ダカランになっちゃったけど。これってもしかして…………

 

「CAD、なのか?」

 

『そのようだな。』

 

 この刀身を覆う光、これはサイオンだ。よく見ると柄の所にスイッチがあるし、ここを押してサイオンを流し込んで使うタイプなんだろうか。

 

『これで刃がついた、ということなんだろう。なるほど、サイオンなしで実践的な模造刀として扱え、サイオンを流すことで本物の刀として扱えるというわけか。変わった代物だな』

 

「ですなー。とりま試し切りしとく?」

 

『いや、やめておいた方がいい。見たところサイオンを流した状態であればかなりの切れ味だ。むやみやたらに振らない方がいい。これを使うには、ここは少し狭すぎる』

 

 それもそうか。んじゃボタンをもっかい押してと。

 

 するとまた刀が光り、刀にまとわりついていた輝きは消えてなくなった。

 

「それじゃこのスティックはなんだ?」

 

 トランクケースに入っていた二つのスティックを今度は取り出す。これも柄にボタンあるし。てことはCAD? 

 まぁボタンを押したらわかるか…………

 

 そんな甘い考えでボタンを押すと、スティックが赤く光り、

 

 オレンジの剣がスティックの穴から伸びた。

 

「うおうおうっ!?」

 

 もう今日何度めかわからない驚きを感じながらも、両手に持つスティック両方から出たオレンジの刀身に目をやると、どうやらこっちもサイオンによる剣みたいだ。サイオンっぽい粒子がふわふわしてるし。

 

 いや、ていうかこれ…………

 

「ビームサーベルそっくりじゃない!?」

 

『それは私も思っていたところだ!!』

 

 だよねやっぱり!! 振る度にビュインビュイン言ってるし、スティックから出たし!! これもう完全にビームサーベルじゃん!! 

 

 やっべぇテンション上がるぅ!! 転生して来て初めてここまでテンション上がるかもしんない!! 

 

『しかし…………なぜこんな物がここに…………』

 

「まぁーまぁー!! 細かい事はいいじゃないの!!」

 

 まさかこんなお宝が家の庭に転がってるとは!? 神様もいい仕事するねぇ!! 

 

 え? ポリスメンに届けなくていいのかって? いいでしょ、名前かいてないし落とし物だし(スーパー手のひら返し)

 

「それより早くこれ試そうぜ! 俺もうわくわくがとまんねぇよ!! あれ?」

 

 トランクケースに刀二振りとビームサーベル(仮)を素早く直していると、ポロっとトランクの間からなにかメモ用紙のような物がこぼれた。

 

 すっと紙が地面に落ちる前にキャッチし目を通すと、そこには手書きのメッセージが書かれていた。

 

 市崎香月へ、

 

 私のかけがえのない人を守ってくださった、感謝を込めて。これを送る。

 

 トーラス・シルバー

 

「…………てことはつまり、この刀型CADは俺への送り物ってこと?」

 

『ということだな』

 

 ならば、使うのも躊躇う必要はないということ。

 

 だってこれは俺のだから。トーラスさんとかいう誰だかまったく知らない人からの贈り物らしいから。

 

 ならばぁ…………答えは一つだ! (内海)

 

「行くぞグラハム!! 贈り物刀CADの性能実験と洒落こもうぜ!!」

 

『心踊るなカヅキ!!』

 

 トランク片手に全力猛ダッシュしてく俺とグラハム。

 

 こんな俺達に朝の夢見の悪さによる憂鬱だとか、トーラスが一体誰なのかなんてもう頭のどこにもなかった。

 

 だって俺もグラハムも、目先の事重視のバカだからね。

 

 仕方がないね。

 

 

 

 





トーラス・シルバー、一体誰なんだ(棒読み)

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