カヅキ君一高へダッシュという話
「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"急げぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
開口一番、冒頭一番から猛ダッシュ。大きく喚く俺へ周りが奇異な視線を向けてくるけど脇目も振らずに鍛えた脚力全開で走る走る。
最悪だっ! マジで最悪っ!! 今までも何かと面倒事に巻き込まれる度(九割グラハムが原因)に最悪って思ってたけど!! 今回ので完全に更新しちゃったよ!!!
「あーくそっ!! ガンバスターごっこなんざ深夜にやるんじゃなかった!! 深夜テンション死すべしっ!!」
『時間管理を自分でしっかりしないからだろうカヅキ!!』
「唆したのはテメーだろうがこのホモハムスターがっ!!」
なーに自分は関係ありませんみたいな感じになってんだよ!? お前が子守唄だとかほざきながらfly high歌い出したのが原因だろ!?
えっ? 乗った俺も悪いだろって? ロボットファンはね、ああいうわかりやすい感じの熱くなれる奴が好きなの。ゲッターロボとか、グレンラガンとか。
だから俺は悪くない。悪いのはグラハムと、カッコよすぎるトップをねらえが悪いんだそうに違いない(自己暗示)
あーカバン持ってるから走りにくいっ!! CAD入ってるトランクが邪魔くさい、雫とかほのかみたいに簡単に収納出来る汎用型ならいいんだけど、俺のは特化型。しかも魔法を変えるのにカートリッジも変えなきゃだから必然的に荷物が多くなる。
背中に教材や書類とかが入ったリュックサックに、片手に銀色のトランクケースなんていう奇々怪々な様相で騒ぎながら走ってんだからそりゃ注目も浴びるわな納得納得!!
「てか暑っいなおいっ!! 汗が止まんねぇ」
『コートを脱げばいいではないか。』
「んな事してる時間も惜しいんだよ今はっ!!」
いちいち止まってたら本当にタイムロスだ。今はオルガよろしく止まるんじゃねぇぞ精神で行かないと試験に参加できんくなっちまう。それじゃ今日までの努力が全部がパーになる。
「それだけはっ!! マジで勘弁だっ!!」
アスファルトの地面抉れんじゃねぇのってぐらい力を込めて地面を蹴る。今だけはグラハムの超スパルタ訓練にありがたさを感じる。今だけは(念押し)
受験日に寝坊とか笑い話にもならねぇ。俺受験にねぼうしてさ、受験受ける前に終わったんだよ(笑)てか? ブラックジョークにも程があるわ。あと笑ってんじゃねぇよ(憤怒)
『カヅキ赤信号だ』
「わーってるよ!!」
グラハムの制止を乱雑に返事して、スピードに乗る体を強引にストップさせる。
俺の家から一高までは結構な距離がある。まず駅まで行ってそこから電車、加えて一高最寄りの駅からまた歩かなきゃならない。
が、バスを待ってる時間すら今はないので全力で走って駅に向かうしかない。幸い足はそれなりに早いから色々とまわってから駅に着くバスよりかは少し早く着く。けどそれでも間に合うかどうか…………
加速魔法をフル活用して行けばあっさり着くんだけどなぁ…………こんな街中で魔法なんざ使ったらすーぐ人目に付くし、個人的な問題で魔法を使うのも一体どうなんだと思うし…………てかそれより、
「信号が長いっ!!」
『焦るなカヅキ。今焦っても特はない、少し落ち着いたらどうだ?』
「なーんでお前はこの状況でゆったりしてられんのよ!?」
ちょっとは焦れ! 焦るのが普通だわこんなんだったら!! 受験遅れかけなんだぞお前のせいで!! ゆったりしてる暇なんてコンマ数秒も一高に着くまでないわ!!
ああ早く早くっ!! 早く青に変わって…………んぇ??
その時、突然胸元のポケット入れていたスマホが振動する。振動の長さからして、電話がかかってきたんだろう。
「なんだよ今忙し…………い…………」
最初は苛立ち百パーセントで話すけど、途中からそのパーセンテージは一気に急降下する。なぜって?
電話かけてきたのが雫だからだよ。
…………出たくねぇ。猛烈に電話に出たくない。だって絶対怒ってんじゃん、怒ってないわけないじゃん。
昨日早く寝ろって忠告したのに、約束の時間に来ずに連絡もなし、ひいては受験会場にもいない。一体どこで油を売っていたんだと、確実に思ってる。賭けてもいい、絶対そうだ。
「どうしたもんか…………」
『出るしかないだろう。連絡もなにも出来てないのだから』
「いやそうなんだけどね? お前はもう少し遅刻してる原因として罪悪感を感じてくれない?』
『ふっ、私は君を眠りへと導いた「マジぶっ殺すぞお前」すまなかった。本当にすまなかった』
少しドスをきかせたら本気で謝るグラハム君。謝れるのは好評価だけど懲りないからマイナスの方が大きいです。そろそろ本気でペットショップに売り払うことを考えるべきなのかもしれない(真顔)
と、そんな下らないコントをしてる場合じゃなかった。今も俺の手元ではスマホがブルブルと鳴り続けてる。そろそろ出ないと。
「…………もしもし?」
おどおどとした感じで電話に出る。じとっとした汗が額と背中に流れてるのは、きっとずっと走ってたからという理由だけではないと━━━
『何してるの?』
「『ヒェォ…………!?!?!?!?」』
待って待って待って待って待って待ってヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!!!
「あ、あの、し、雫━━━」
『香月、聞こえなかった? 私は質問したの。何してるの?』
「はいっ!! ただいま全速力で一高に向かってますっ!!」
怖ぇぇぇぇぇぇぇ!!! マジで怖ぇぇぇぇぇぇぇ!!! 半端ないって!? 雫の気迫半端ないって!! あんなん普通出来ひんて普通っ!!! (涙目)
怒ってる!! 非常に怒ってらっしゃる!!! 俺の想定の約数十倍は怒ってらっしゃる!!!
グラハムにきかせた俺のドスがなんかスッゴい可愛く思えてくるし! グラハムなんてもう白目でガタガタ震えて現実からログアウトしちゃってるしぃ!!
『おかしいよね? 七時に駅で待ち合わせだったよね?』
「はい、その…………緊張で寝れませんでした…………」
『…………』ミシミシ
沈黙がっ!! 怖いっ!! (ボーちゃん風)
ここまで恐れる沈黙が今までの人生にあっただろうか!? いいやないね!! (反語)
てかミシミシって何の音!? なんか電話越しにスッゲェ不穏な音が聞こえてくるんだけども!?
『私昨日連絡したよね? 明日に備えて早く寝てって。言ったよね?』
「いやでもね雫さん? 俺も一応は人間なんですよ? なので、緊張したり、気持ちが昂っちゃうのは些か仕方がないと思うんですが…………」
『言 っ た よ ね ?』ミシミシッ!!
「はいおっしゃってましたねメール見ましたっ!!」
反論出来ねぇ!? 雫の言ってることが正論すぎて反論出来ねぇ!?
あと音っ!? もうなんなのその音!? ミシミシッ!! ってやつ!! 怖いよっ!? 電話越しにかかるプレッシャーが半端じゃないのよ!? 今の雫には、俺を恐怖に陥れる程の凄みがあるっ!! (震え声)
『間に合うの?』
「それが、ちょうどバスが行った所だったから駅まで走ってんだけどギリギリ間に合うかどうか…………」
『絶対間に合わせて』
「断言は出来ないって! 駅に着いても電車がちょうど来てくれるかもわかんないし━━━』
『間に合わなかったら…………』ミシミシミシミシッ!!!
バキンッ!!
『こうなるからね』
「いやどうなってんのぉ!?!?」
何がどうなったんだよ一体!? 電話越しじゃわっかんないよ!! 見えないしわからないことがより恐怖を産むんだけど!!
けど、一つだけはっきりしてるよね? みんな、わかるよね?
俺、このまま受験に遅れたら受験どうこうの前に幼なじみに殺されるわ。(すべてを悟った顔)
ツーツーという虚しい音が耳元へ入り込む。雫は告げることだけ言って電話を切ったんだろう。タイミングよく、俺たちを足止めしてた信号も赤から青へと入れ替わる。
「…………オッケーグラハム」
『…………ピコン』
「ここから第一高校まで最短距離のルート案内。出来るなら人気のないようなとこを。障害物とかは考慮せずに」
『了解した…………信号を渡ったあと、小さな脇道へ入れ。そこからは北西方向にひたすら真っ直ぐだ』
「わかった」
とっととっこ歩いて脇道へ。入ってみると、そこは大通りの裏路地といった感じで、一人っ子一人いなければ人が通ってるのかも怪しいようなとこだった。
右向いて、左向いて、辺りに人がいない事と大通りの人からは死角になる場所に自分がいることを確認。それが終わるや否や、
加速魔法全力発動して猛ダッシュ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ急げぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
走り出し、建物の壁をポンポンとマリオみたく蹴って上へ登り、家屋と家屋の屋根伝いに飛び移るように移動する。
魔法を私的な事で使うのは宜しくないって? んな事言ってられっか持つものは使わなきゃ損なんだよ(手のひらクルクル)
『このままひたすらに真っ直ぐだ。カヅキの加速ならほぼ確実に間に合うだろうが出来るだけ急げっ!? 私も電話越しのあのプレッシャーを直に当たりたくなどない!!』
「そりゃ俺も同じ意見だよ!! 一秒でも遅れなんてしたら顔面握りつぶされそうで今も戦々恐々としてるっ!!」
まだ耳にあのバキッて音残ってるから。遅れたらその音は俺の頭蓋骨が粉々になる時の音声に早変わりするだろう。やだ、俺の幼なじみったらバイオレンス♪ (現実逃避)
ていうかトーントーンと軽く建物間飛んでるけど、これ出来るって俺も相当身体能力お化けになってるよね。いくら魔法の支援があっても普通は出来んて。グラハムの訓練ってしゅごいんだなぁ…………(遠い目)
『カヅキ、目の前の裏路地へ降りろ。これ以上加速魔法で走っていると、一高の警戒システムに引っ掛かりかねん』
「おうさ」
グラハムの忠告に軽く返事して、手前の小さめの家屋の屋根からダイブ。さすがは国立の魔法学校、警戒システムとかもガッチガチなんだろうな、知らんけど。
とりあえず、このまま綺麗に着地して右方向へダッシュ。そしたら一高方面に進める大通りに出れるから、あとは道沿いに全力ダッシュするだけ。
いやー速いね、もんすごい速いね。さすがは加速魔法(停止、調整等をすべて自力で行う)全速力。電車とか使わなきゃ時間かかるところを速攻でとか。
これは強魔法ですね間違いない(目をそらし)
虚しいこと考えてないでさっさと飛ぼう。時間は有限なんだしこれ以上遅れると、雫が般若にレベルアップしそうだし。
んなわけで途中途中で加速を緩めつつ屋根から飛び降り。高さはそこまで高くないので、きっちりタイミング良く膝を曲げれば問題ないでしょ。
そ、問題ない。
「『え…………?』」
飛び降りる予定地へ視線を下ろしたその瞬間、グラハム共々困惑の声がポロリと漏れた。
誰かいるし。それもなんかいっぱい。
それもなんかザ・ヤンキーって感じの厳ついカッコなんだけど。
えっ? なんでいるの? なんて考える暇なんてなくて、
「おごっ!?」
俺の足は、綺麗にアスファルトへつく前にゴロツキの一人の顔面にクリーンヒットしちゃった。
ぶっ飛ぶゴロツキ、よろつきつつ着地する俺。そんな俺を驚嘆びっくりお目目ぱっちりで見てくる裏路地ゴロツキ軍団。
うん、カオスだ(断言)
どうする? どうしよ? どうしようか? 焦りすぎて脳内で三段活用出来ちゃったわ。テストじゃ古典も文法も出ないのにね、HAHAHA!!
じっと交わされる俺とゴロツキ君達の視線。あらやだ怖いよ睨まれてるよ。そりゃそうだよね? いきなり人降ってきたと思ったら唐突に仲間の顔面蹴り飛ばしたんだからね? 大丈夫かな蹴っちゃった人、あっ白目向いてる。
うーんこの空気、ヤバいですね(ペコリーヌ)
ここは…………あれだ…………俺なにもしてませんよー俺関係ありませんよーっていう天下無敵の第三者ムーブをかますしかないっ!!
やることは至って単純。
相手に微笑み一礼。その後彼らに背を向けて、その場から離れる。
以上。なーんて簡単だ。カップ麺作るより楽な仕事だぜ、やっぱ笑顔は世界を平和に導く。はっきりわかんだね。
だから実践。ニコッと笑って相手の緊張を緩めるとこから始めよう。
「…………( ^ω^ )ニコッ」
少し固かった気がするけども、これはすることに意味があるのだ。ここで笑顔を見せて、『俺は関係ないですよ』と。そう意思表示することが重要なのだ。
ここまで来れば、あとはすたこらと逃げるだけ。さ、急いで一高へ
「おいゴラァ!」
行かせてくれませんよねぇ。
わかってたよわかってたけどさ。だってもうガッチガチに厳つい人らだもん。髪の毛ガッツリ染めてるし、ピアスしてるしなんかジャラジャラ鳴ってるし。
俺とは絶対に相容れないタイプの人間だからね。超逃げたい。
「えと…………なんでしょうか?」
「なんでしょうかじゃねぇんだよ、おい。お前何したかわかってんのか? いきなり乱入してきてよ」
『なんだこいつは。やけに高圧的だな。』
グラハムさーん? 少し黙っててくれません? この状況下でグラハムさんに割く余裕があんま無いので。
「すみません…………今すごく急いでるので、なんか邪魔しちゃったんなら、ホントに、ホントにすみませんはい…………」
もういいや、平和的に終わらせたいから謝ってさっさと大通りに行こう。こういう手のやつは下手に出れば許してくれるって、きっと(希望的観測)
「ったく。こいつどうするよ?」
「見られたんだろ? なら黙らしとくしかないだろ」
ん?? 見られた? 何を? 俺なんにも見てないんだけど、ただ屋根から飛び降りてゴロツキAを蹴り飛ばしただけなんだけども。
えっ? 俺なんかやっちゃいました? (素朴な疑問)
そして何かを示し合わせたのか、俺を囲うように並び始めるゴロツキ軍団。なに? 何が始まるの!?
「あー悪いけど、お前をただで返すわけには行かないんだわ。現場を見られちゃったわけだし? わかるよね? 俺の言ってること」
わからないですね(真顔)
逆に何故こんなゴロツキに囲まれる理由を俺が理解出来ると思ったのか。コレガワカラナイ
というか待って? この流れってさ。もしかしてさ…………
『リンチでもするつもりなのか?』
「やっぱそうなの!?!?」
絶対そうだよねこれ!? あのヤンキー漫画とかにありがちな『おいこらちょっくら絞めてやんよ』的な奴だよね!? 東京ってこんな治安悪かったっけ!?
『…………大丈夫なのか?』
「いや大丈夫じゃないよ!? どう見たって多勢に無勢だろこれは!! ボコられておしまいだって!!」
『いやそちらではなく、時間の方なんだが。受験』
あっ(察し)
さっと腕に着けてる時計で時間確認。加速魔法のお陰で少しは出来てた余裕が、なんということでしょう。
ほとんどないではありませんか。
「ヤッベェマジで時間がねぇじゃん!?!?」
これじゃ俺が死ぬぅ!! 雫にぶっ殺されて受験受けれずに色んな意味で死ぬぅ!! それは本気で、本っ気で嫌だ!! (断固たる意思)
「てめえさっきからギャーギャーと喧し━━」
「それどころじゃねぇんだよこの暇人ヤンキーっ!!」
「あごべっ!?」
背負ったトランクケースをぶん回して突っかかってくるヤンキーの顔面へ全力で叩きつける。もう形振り構ってられん。ヤンキーにボコられるよりも、その後に来る物の方が俺へのダメージがデカいんだよ!!
「何しやが━━」
「消えろイレギュラー!!」
「げはっ!?」
トランクケースで殴る。ゴロツキBは倒れたっ!!
「お前調子に乗るのもいい加減に━━」
「うっせぇバーカー!!」
「うぎゃっ!!」
トランクケースで殴る。ゴロツキCは倒れたっ!!
トランクケースで殴る、殴る、殴る。
ゴロツキをぶっ倒す勢いで、というか急がないとマジで死ぬっていう焦燥感でトランクケースをブンブンしてたら、気づけばゴロツキ達は全滅。
文だけ見たらイキリト見たくなってるけど、武器は拳じゃなくて銀色のトランクケースでバックグラウンドでは受験に遅れかけて、幼なじみに殺害予告されてるってのがあるのでカッコよさがまるでない。
「お前らが悪いんだからな!! 変に絡んできたのが悪いんだからなっ!! 俺は悪くないぞこれは正当防衛だからなっ!!」
俺は誰に言い訳してるんだろう? まぁいいや、邪魔野郎はもういない!! あとは俺が一高にたどり着いたらいいだけっ!! てか一人語りなんてしてないで早く行かねぇと!?
『カヅキ少し待て!!』
「はぁ!?!? なに!! もう待ってられないって急がないと!!」
『あれを見てみろ!』
お祭り男みたいなノリでグラハムが小さな指で俺の少し先を指差す。
そこには、腕を後ろで拘束されてる帽子を目深に被った人が転がってた。俺よりも年下だろうか? 髪は耳元位までの茶髪のボブヘアー。
「えっなにこれ? ヤンキーじゃないよな? ゴロツキって感じでもないし…………」
『奴等の仲間であれば、このように縛る必要もないだろうな』
「それもそうだよなぁ…………ん?」
縛る? 待てよ…………?
①こんな人気のない裏路地にヤンキーいっぱい
②なんか見られて困るもんがあった。
③目撃者である俺を力づくで黙らせようとした。
④ヤンキーが集まってた近くで横たわる、なんか縛られてる子。
ポクポクポクポクポク、チーンッ。
「これ絶対誘拐現場だろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
絶対そうだよ!! 間違いなくそうだよ!! ヤンキーどもがこの子誘拐しようとしてたんだろこれぇ!! 状況証拠がもう完全に物語っちゃってる!!!
そりゃ見られたら強引にでも口封じしようとするわな!! こんなん見られたら通報待ったなしだもんな!! 俺だってそうするし誰だってそうするわ!!
「どうしよ!? とりあえず警察呼ぶ? いやでも事情聴取とかなったら受験なんて言ってられなくなるし、かといってこれは…………」
『カヅキ! 時間がっ!!』
「わーってる急かすなっ!!」
チラッと腕時計と縛られる子(帽子深く被ってるから性別がわからん)とを視線が行き来、数瞬脳内で思考して俺が出した結論。それは…………
「おぉい!! 起きろぉ!!!」
全力で揺さぶって叩き起こす事。
警察とかその他諸々は、悪いけど、本当に悪いけど被害者のこいつにやってもらおう。そうすれば俺は何の気兼ねもなく受験に向かうことが出来るし、事件も丸く収められる!! まさに一石二鳥!!
「だから起きろてんだよゴラァっ!!」
ガンガン肩を持って揺さぶりをかける。怪我をしてる可能性とかは考えません、だってこっちもこっちで切羽詰まってるからね。
なのでなんだか囲ってたヤンキーと遜色ない感じになってる気がしなくもないけど気にしない。しないったらしない。
「ん…………んん…………あれ、ボクは…………」
「目覚めたな!!」
「えっ? へぇ!?」
困惑してる? 知りませんこっちもガチで余裕無いので矢継ぎ早に行くぞオラァ!!
「怪我ないか!」
「えっ? えっ、えっと…………」
「怪我ないか!!」
「えっ!? う、うん。大丈夫…………」
「立てるか!」
「た、立てる!!」
「ならすぐにこっから離れて警察に電話しといて! 襲われましたって言えば警察も対応してくれるから!! わかった!?」
「ふぇ? は、え…………」
「わかったかっ!!」
「は、はい!!」
元気よい返事が出来るなら大丈夫だろう! 言いたいことは言い終えたんで、俺はさっと
「あ、あのっ!!」
させてもらえないんですがぁ!! (キレ気味)
何!? なんなの俺の袖をつかんでよぉ!? こっちゃ時間も余裕も色々も無いのよ!! 分かれよ! (理不尽)
「な、名前を…………聞いても…………いいですか?」
「市崎です!! 市崎香月!! すぐにこっから離れろよお前!! まだこいつらの仲間いるかもだからな! すぐにだぞ!!」
「は、はい!」
返事を聞いた瞬間に踵を返して再度猛ダッシュ。
あーもう最悪だよ!! 朝から遅刻はするわ
とりあえず言えるのは一言っ!!
「間に合え、間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」
いやホントに間に合って!? (懇願)
誘拐されかけた子に後処理を任せて放置するクソヤロウが主人公の小説があるらしい(小並感)