第1話「初めての登校と出会い」
「ピピピッ、ピピピッ」
雄星「ふぁ〜あ...そっか、今日からこの街の高校に行くのか...」
俺の名前は長島雄星(ながしま ゆうせい)。どこにでもいるごく普通の高校生をやっている。
元々地元が山口だったが、親父の仕事の関係で家族一緒にこの街に引っ越した。もちろん俺が通ってた高校も辞めざるを得なくなり、この春から新しい高校に行くことになった。その高校とは、「羽丘学園高校(以降・羽丘)」という、今年から共学になった元女子高である。
雄星「よし、いってきます」
雄星母「気をつけていきさんよ」
朝飯を終え、身支度をして学校に向かった。だが、慣れない場所ということもあり、学校の場所がよくわからない。
雄星「こうなるんだったら前日に場所把握しておけばよかった。完全にやらかしたわ」
と思って交差点に差し掛かると、1人の女子高生と思しき人が信号待ちしていた。
雄星「あれって、俺が行く学校の生徒かな。でも違ったらどうしよう...」
間違えたらまずいという気持ちもあったが、グッと抑えて俺はその女子高生に尋ねてみることにした。
雄星「あのすみません」
??「わっ!びっくりした...!」
突然声をかけられてびっくりした表情だった。知らない人だから無理はない。
雄星「突然すみませんが、もしかして、羽丘の生徒ですか?」
??「うん、そうだよ!それで、あたしに何か用かな?」
雄星「あ、俺今年から羽丘に通うことになったんですが、引っ越してきたばかりで場所がわからないもんで。それで差し支えなければ案内していただけないかと...」
日菜「うん、いいよ!あ、あたし氷川日菜って言うの!よろしくね!」
雄星「俺、長島雄星って言います。こちらこそ宜しくお願いします」
日菜「雄星くん、宜しくね!あと敬語は堅苦しいから、タメでいいよ!」
雄星「わかったよ、氷川さん。」
日菜「あたしのことは日菜でいいよ!さ、学校行こう!」
雄星「そうだね」
この氷川日菜という人物が凄い人であるということを、この時の俺は知る由もなかった。
それはともかくとして、日菜に案内され学校に向かうことになった。初対面だけど、道中ではいろいろな話をすることができた。
日菜「そっか〜、雄星くんって山口から引っ越してきたんだね〜」
雄星「親父が商品開発の仕事やってて、今年この街の会社に異動になったから家族一緒に引っ越してきたわけ」
日菜「雄星くんのお父さんも大変なんだね〜」
雄星「ぶち大変よ。この街で知っちょるものが一つもないからねぇ...」
日菜「...ねえねえ、『ぶち』と『知っちょる』ってなに?」
雄星「ああ、どっちも山口の方言なんだけど、『ぶち』は『すごい、とても』という意味で、『知っちょる』は『知ってる』っていう意味。方言がついつい出ちゃうのなんとかしないとなぁ...」
日菜「あたしはいいと思うよ!るんっ♪てきた!」
雄星「るんっ♪てなんだ?」
日菜「るんっ♪は、るんっ♪だよ!」
雄星「俺にはさっぱり理解ができん...」
日菜「えーそうかな?あ、もうすぐ学校着くよ!」
雄星「おお、そうか。早く行かないとな」
日菜「うん!」
日菜の案内で学校に到着した。昇降口にはクラス割表が貼ってあるホワイトボードがあった。
雄星「えーっと俺は...Aクラスか」
日菜「あ、あたしもAクラスだ!雄星くんと一緒だね!」
雄星「そうだな。早く教室行こうか」
日菜「うん!行こう!」
俺と日菜が教室に行くと、既に30人程の生徒が教室にいた。
雄星「俺の席はここか。てか日菜、俺の隣じゃん」
日菜「本当だ!るんっ♪ってくるね!」
雄星「だからるんっ♪ってなんの意味なんだ...」
??「あ!日菜さんも同じクラスだったんですね!」
日菜「麻弥ちゃんだ!おはよー!」
麻弥「おはようございます!」
雄星「日菜、この人は?」
日菜「そういえば雄星くんにはまだ紹介してなかったね!大和麻弥ちゃん、『Pastel*Palettes(以降・パスパレ)』のドラムを担当してるよ!」
雄星「パスパレのドラム担当か。俺にはよくわからんな...」
日菜「パスパレはね、芸能事務所発のアイドルバンドなんだよ!」
雄星「アイドルバンドか。あ、俺は長島雄星。今年からこの学校に通うことになったんだ。」
麻弥「雄星さんですね!ジブンのことは、麻弥と呼んでください!よろしくお願いするっす!」
雄星「こちらこそよろしく...ってか日菜。」
日菜「どうしたの?」
雄星「さっき『芸能事務所発のアイドルバンド』って言ってなかったか?」
日菜「うん、言ったよ?それがどうかしたの?」
雄星「芸能事務所発のアイドルバンドって、もしかして麻弥は現役のアイドルってことか?」
日菜「そうだよ!」
麻弥「あと日菜さんもパスパレのメンバーです!日菜さんはパスパレのギター担当なんですよ!」
雄星「...ってことは、日菜もアイドルってことなのか...?」
日菜「うん!」
雄星「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
まさか、日菜と麻弥が現役のアイドルだったとは...俺は驚きを隠さずにいた。これからの高校生活をアイドルと一緒に過ごすことになるとは予想していなかったからだ。
だが、アイドルとの高校生活はなかなか経験できるものではない。だったら、心の底からしっかり楽しんでやろうじゃないか。そう心に決めた。
羽丘で繰り広げられる、俺とアイドルとの高校生活が始まる。