家にずっとひきこもり状態だった俺のところに、麻弥たちがやってきた。そこで、俺が学校を休んでいた理由などを正直に話した。そこで、亀裂が入っていた俺と直己との間には強く光輝く友情が芽生えたのだ。
翌日、俺は学校に行く準備を済ませ、玄関にいた。
母「もう体調は大丈夫なの?」
雄星「うん、おかげさまで良くなったよ」
母「そう?あまり無理せんことよ」
雄星「わかってる。じゃあ、いってきます」
玄関を出て、学校へと足を進める。しばらく学校に行ってないため、クラスメイトからどんな反応をされるか不安ではある。でも、大丈夫。なぜか根拠のない自信がどこからか湧いてくる。
と、その時だった。
日菜「雄星くーん!!おはよー!!」
雄星「うわぁっ、日菜か。おはよ」
後ろから天才少女がやってきて俺に抱きついて来た。普段だったら離れろとかすぐに言うが、今日は良しとしよう。
日菜「もう大丈夫なの?」
雄星「ああ、おかげさまで良くなった」
日菜「良かった〜!さっ、早く行こう!!」
雄星「ちょっ、待て」
天才少女に手を引かれるままに、学校についた。
雄星「おはよ」
「おお!長島来た!大丈夫になったのか!」
「長島くんようやく来たね!みんな待ってたよ!」
そこには俺を蔑む声はなく、逆に励ましの声がたくさん聞こえてきた。
雄星「みんなすまなかった。俺はこの通り大丈夫だから、またよろしく頼む」
深々と頭をさげると、拍手に包まれた。
そこに担任もやってきた。
HR担任「ようやく長島も来たようだな。先生も心配したぞ」
雄星「しばらくお休みしてすみませんでした。今は大丈夫ですので、これからもご指導よろしくお願い致します」
HR担任「もちろんだ。生徒の身を預かるものとして、お前を全力でサポートしていく。」
担任にも一言挨拶して席についた。
HR担任「さて、みんな揃ったところで朝のホームルームを始める」
「起立、例、おはようございます」
HR担任「見ての通り長島が今日から復帰ということで、みんな優しくしてあげるようにな。あと体育の先生からで、今日の3限目の授業は体育館からグラウンドに変更になったからそれだけ伝えておく。以上」
いつもの光景だけど、学校生活ってこんなに幸せだったっけ。そう思っていた。引きこもっていたあの時期はただただ苦しみ、もがいていた。それを乗り越えて、今この「教室」という居場所にいる事がとても幸せだったのだろう。
雄星「1限目って日本史だっけ」
日菜「そうだよー!」
雄星「俺の得意科目か」
麻弥「雄星さーん!今度の期末試験、日本史だけジブンと勝負しませんか!?」
雄星「お、麻弥が珍しく勝負を挑んできたか。いいだろう。ただ、俺は日本史が得意だから、麻弥が勝てるかな」
麻弥「もちろんです!ジブン、雄星さんに勝てるように頑張ります!」
雄星「自信満々だな。その意気だ」
久しぶりの授業。普段だったらめちゃくちゃ長く感じるが、やはり家にいた時期が長かったため授業受けてる時も楽しいと感じている。みんなと一緒に勉強しているんだという幸せに包まれた。
そして、2限目の英語表現の授業も受け、3限目の体育に入る。
体育教師「みんないるな。急遽体育館からグラウンドに変更ということでみんな来てもらったんだけど、今日は長島君の復帰記念というわけで、長島君が好きなサッカーをやろうかなと思ってるんだよな」
雄星「先生、本当にサッカーやるんですか?」
体育教師「ああ、長島君はしばらく体も動かしてないだろう。おまけに授業の内容もわからないだろうから、今日は授業はやめて思いっきりサッカーを楽しんで欲しい」
雄星「あ、ありがとうございます...!」
直己「よかったな長島!」
雄星「ああ」
体育教師「それじゃあチーム決めと行こうか。隣の人とグーとパーやって分かれよう」
チーム分けの結果、俺と日菜が一緒で直己と麻弥は敵チームになった。
雄星「直己、お前だけには絶対負けないからな」
直己「ああ!俺も長島には負けられねえからな!麻弥ちゃん、やってやろうぜ!」
麻弥「はいっす!雄星さん、覚悟しておいてくださいね!」
雄星「俺も直己と麻弥ちゃんが敵である以上は全力でいくぞ。日菜、絶対勝つぞ」
日菜「うん!勝つのはあたしたちだからねー!!」
それぞれチームで作戦を練る時間が与えられた。俺と日菜のチームは相手が上背のある人が多いため、前線に放り込む形ではなく細かくパスを繋いでチャンスを作る「ポゼッションサッカー」作戦だ。その前線は俺と日菜の2トップで構成される。
一方の直己と麻弥のチームは自陣でブロックを作りながらプレスをかけ、相手のミスを突いてカウンターから得点を狙うという「堅守速攻型サッカー」作戦で、直己はFWに入り麻弥はアンカーの位置(DFの1つ前のポジション)に入る。
与えられた時間は休憩10分を挟んで前後半それぞれ15分。審判は先生が務めてくれる。キャプテンはそれぞれ俺、直己がやる。
体育教師「準備はいいな。よし、キックオフだ!」
ピーッ
俺たちのチームのキックオフで前半が始まった。
雄星「ここは一回パスを回して様子を伺おう」
細かくパスを回して様子を見ることにした。相手はゴール前まで引いてブロックを敷いている。
雄星「よし、攻撃開始だ!」
GKからパスを繋ぎ、相手陣地に入っていく。しかし、相手にブロックを敷かれているためゴール前までボールを運ぶことはできず、チャンスを作っても相手DFに悉くボールを弾き返されてしまう。
一方の直己麻弥チームも、俺たちのミスをうまく突きカウンターに移る。何度かシュートを撃たれるシーンもあったが、GKがうまく対処してくれるおかげで失点せずに済んでいる。
そうこうしているうちに、0-0のまま前半が終わろうとしていた頃だった。
雄星「日菜!」
日菜「ありがとう!!」
日菜に渡したパスがうまく繋がった。相手がプレスをかけていたこともあり、相手陣地にはGKのみだ。後は日菜がゴール前までドリブルしてゴールを狙ってくれるはず。だが、
麻弥「そうはさせませんよ!」
アンカーに入っている麻弥が一気に戻ってきて、日菜からボールを奪取した。そして、
麻弥「直己さん!」
直己「あいよ!」
前線にいた直己にボールが渡る。俺たちの陣地にもGK以外いない状況だ。
雄星「しまった...!!」
直己「チャンスはもらったぜ長島!!」
日菜「とにかく、ボールを奪い返そう!!」
雄星「だな...!!みんな戻れ!!」
直己「遅い!行けー!!」
直己の右足からシュートが放たれた。
雄星チームGK「うわぁぁぁあ!!」
GKが弾き、なんとか失点は免れた。だが、これで直己麻弥チームがコーナーキックを獲得した。
キッカーは麻弥が務めるようだ。
雄星「みんな、直己と背の高い人につけ!絶対失点してたまるか!」
麻弥はGKから遠ざかるボールを入れた。そして、
直己「おりゃぁぁぁぁ!!」
頭一つ抜けた直己のヘディングシュートはGK反応できず。ゴール左に流れ込み、直己麻弥チームが終了間際に先制に成功した。同時に前半終了のホイッスルが鳴らされた。
直己「よっしゃー!!!」
麻弥「直己さんいいシュートでした!!」
直己「麻弥ちゃんサンキュー!!ナイスボールだったぜ!!」
麻弥「まさか雄星さんのチームからゴールを奪うなんて、ジブン嬉しいです!!このまま勝ちましょう!!」
直己「ああ!みんな、このまま勝とう!!」
日菜「雄星くん...!」
雄星「あいつ、野球経験しかないのに今のはナイスヘディングだったな...でも、俺たちも負けてられないな」
日菜「そうだよ雄星くん!絶対勝つのはあたしたちだからね!」
雄星「だな。よしみんな!まずは後半、追いつくぞ!!」
「「「「「おーーーっ!!」」」」」
「なるほど、彼が長島雄星か。ぜひ来年うちのチームに来て欲しいもんだ。」
雄星「ん?今のは...」
日菜「雄星くん、どうしたの?」
雄星「いや、今誰かに見られていたような気が」
日菜「...誰もいないよー?」
雄星「俺の見間違いか。まあいいや、後半絶対巻き返して勝つぞ」
日菜「うん!!」
雄星「直己、ナイスヘディングだったが、後半逆転して俺たちが勝つからな」
直己「俺たちも負けないぜ!!だよな麻弥ちゃん!」
麻弥「はい!!後半はもっと点を取りますよー!」
後半で絶対逆転してやる。俺たちは勝つってのを直己たちに見てもらうんだ。
はい、前半終了です。いやー直己は本当はサッカーもやってたんじゃないかってぐらい上手かったですね。後半雄星たちが巻き返せるか注目です。