「あなたはそこで運命に出会うわ」
そう私に向けて言ったのは紅魔族随一の占い師そけっと。
紆余曲折あってそけっとが営む占いのお店に私たちはいた。
所々に淡い紫色の布がかけられた店内はなんだか不思議な気配を漂わせていた。
そこには三人の人間がいた。
赤いリボンで結われたおさげが特徴のヘタレでコミュ障でボッチで無駄に体が成長しているゆんゆん。
長い髪に紅魔族随一の美貌と宝石のついたわっかの形をしたイヤリングを身にまとうそけっと。
そして私、紅魔族随一の大天才魔法使いにして何れ爆裂魔法を操るもの、めぐみん。
この三人に共通しているのは黒い髪と赤い目、私たち三人というより私たち紅魔族に共通しているものだ。
紅魔族は皆黒い髪と赤い目、そして高い魔力と抜群のネーミングセンスを持っている。
それはさておき、なぜ私とゆんゆんそけっとの占い店にいるのかというとここにはいないぶっころりーという男のためだった。
簡単に言えばぶっころりーの恋愛相談を私とゆんゆんは受けたのである。そしてその相談内容がそけっとに関することだったのだ。
まあ失恋したんですけどね。
そけっとに未来の恋人を占ってもらった結果、一人も出ないというある意味振られるより悲しい結果になってしまった。
そんな占いを聞いて半泣きで出ていった男のことなどはどうでもいいとしましょう。
ぶっころりーが出ていったあとそけっとは私たちも占ってくれると言い出した。
そけっとの占いはよく当たる。評判を聞いて遠くから訪れる人がいるほどだ。それを友達ができるかどうかなんてくだらないことを聞くゆんゆんはもう本当に駄目ですね。そんなだから友達ができないんですよ。
私はというと、将来果たされるであろう野望についてです。かなうことはわかってるんですけどね!一応確認だけでもしてもらいましょうか!決して果たされるかどうか不安だなんて思っていませんよ!
水晶玉を手に持って少しの間唸るとそけっとはこういった。
「散歩をしなさい」
そして冒頭のセリフである。
運命、紅魔族のセンスがこれに従えと言っています。
今日は少し遠回りしていきましょう。
占い結果に一喜一憂しているゆんゆんをおいて私は家とは別の方向へ歩き出した。
辺りはもう赤い夕陽に照らされていた。
吹いてきた風にとんがり帽子を押さえて抵抗した。まとっていたロングコートが風の流れに沿ってなびき肩までの髪の毛は激しくはためき流れていく風についていこうとした。
最初は運命という言葉に惹かれて遠回りをしたが別に今日散歩に行けとは言っては言ってなかったな。
「こめっこが心配ですし、今日はもう帰りますか」
そう呟いて家に帰ろうとしたとき、どさり、と何かが落ちたような音がした。
あたりを見まわした。するとぼろぼろの布切れの山を見つけた。
いや、違う。布切れじゃない。人だ。
青と白の上着に薄い青のズボン。黒い髪をしている。そして生きているのかわからないくらいにボロボロだった。
「ちょ、大丈夫ですか!?」
急いで駆け寄りうつぶせに倒れていた体を繰り返し口元に耳を当てた。
……息はある。
確実に私より大きい体を背負うと家に向かって急いだ。
「死なないでくださいよ!さすがに寝覚めが悪いですからね!」
吹き出てくる大量の汗は私の頭から運命という言葉を追い出した。