Fate/stay night KUR NU GI A 作:夜はねこ
高い知性と誇りを持つあまり、冥界の主人という役割に殉じてしまい、がんじがらめになってしまった。美しいものを妬み、醜いものを笑い、欲しいものは他人の手に渡らないよう殺してしまう。
植物の成長と腐敗を司り、蛇や竜を使役し、冥界の使いであるガルラ霊を自在に操る。そして槍のような檻を自在に操り、ある時は敵を串刺しにし、ある時は魂を閉じ込め、ある時は稲妻を起こす。
地上の光も彩りも温もりも、一切冥界には届かない。けれど、せめていかな汚辱や苦痛にも苛まれることのない清浄なる静謐を。メソポタミア世界の全生命が最後に辿り着く霊安室、その平穏と安寧を保証した。
しかし、地上と自由を知る事なく神代と共に“私”は消えた。
「夢か....」
エレはそう呟きながら目を覚ます。これはきっと女神エレシュキガルの過去だろう。デミ・サーヴァントになったとはいえ、他人の記憶を盗み見ているようで気分はよくない。
結局、あの後凛に聖杯戦争の説明を長々と聞かされた。言葉を挟む余裕はなく、自分がデミ・サーヴァントになってしまったことは言えなかった。
そんなことを考えながら階段を降りリビングへ向かう。時刻は午後7時。学校を無断欠席してしまった。
「凛の説明ってわかりやすいけど、流石に疲れたのだわ」
リビングにはだれもいなかった。おそらく凛とアーチャーは下見に出かけたのだろう。リビングの椅子に座る。まあいいか、これでゆっくり…。ゆっくり?
「……ちょっと待って。よく思い出しなさい、遠坂恵麗。今日って確か衛宮が…。」
ガタッと音を立てて立ち上がる。が、また座る。そうだ、私が行って何になるのだろうか。私がいなくても物語は滞りなく進むだろう。むしろ行けば邪魔になるかもしれない。
「ん?でも私はランサー…。つまりクー・フーリンがいない?」
それは困る。あ、いや勿論、衛宮士郎に死んでほしいとかではない。原作の衛宮士郎は、夜の校庭で争うランサーとアーチャーを目撃して、ランサーに心臓を一突きにされて即死寸前の致命傷を負い、凛に蘇生される。
しかし、衛宮士郎の生存を察知したランサーに再び襲われ、逃げ込んだ土蔵で偶発的にセイバーを召喚し、争いを収めるべく魔術師同士の殺し合いにその身を投じることになるのだ。
もし、衛宮士郎がセイバーを召喚しなかったら?もし彼が聖杯戦争に参加しなかったら?彼がいなければ救えた命も救えないかもしれない。
そんなありとあらゆる『もし』が頭の中で、浮かんでは消える。
「ああもう!考えるのも面倒なのだわ!とにかく行けばいいのよ!」
立ち上がり準備する。行ってから考える。これでいい。足手まといになろうが、取り越し苦労になろうが、まずはその場所に向かうことからは始めよう。
短くていいなら更新できることに気づいた(多分、おそらく、きっと)
(´-ω-`)
投稿は……頑張ったらクリスマスぐらいにはできる……と思われ…がくっ(死