サムライ・デッドマンズ・パーティー/或いは貴衛残花の<Infinite Dendrogram>   作:クーボー

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展開が遅いなと感じたので、ちょっと繰り上げます。


第三話 助けを喚ぶ声

 □刀都 【死霊術師(ネクロマンサー)】斬花

 

【清浄のクリスタル(汚染度:中)】を造った、次の日のこと。

 

「私、第二形態に進化しました」

 

「ついでにぼくも進化したよー」

 

「……なるほど」

 

 唐突すぎやしないか、と思ったが、掲示板見る限り他の<マスター>もこれと同等かもっと早い段階で進化しているようで。

 ならこれが普通なんだろうと納得して、ステータスを見た。

 

 

 イツキ

 TYPE:メイデンwithテリトリー・アームズ

 

 武器攻撃力:100

 武器防御力:50

 

 ステータス補正:

 HP補正:G

 MP補正:G

 SP補正:G

 STR補正:G

 END補正:G

 DEX補正:G

 AGI補正:G

 LUC補正:G

 

 

 うん、清々しいくらいのオールGである。明らかな最低補正だ。

 ちなみに浄は大体EとかDとからしい。その代わりスキルは浄でないと使えないようなものがあるので、その分の補正だろう。

 

「スキルも全部Lv2になったし、貯蔵できる怨念の量とかも増えたな」

 

「それに、《殺生統合》も保護できる魂が四つに増えましたので、不慮の事態にも対応できますっ」

 

「まあまだ使う機会はないけどね」

 

 そもそも条件が厳しすぎる。ティアン限定でなおかつ合計ステータスが高い相手を殺した場合しか保護できないとかなんなのか。

 それに魂を保護してどうするんだ、アンデッドにでも使うのか? どこのマッドサイエンティストだ。

 

「ぼくもスキルが良い感じに成長したよ……《武神の一矢》以外は」

 

「正直、それってわりとアレなスキルじゃない?」

 

「……ぼくも正直思ってる。いやだって風も重力も勘定に入れない弾道予測線とか何の意味があるのさ?」

 

「わからないなぁ」

 

【オオカムヅミ】の第一スキル、《武神の一矢》。浄も言っている通り正直使い道が浮かばない。

 矢が直線上に飛ぶなんてありえないのに、その予測線を出されてどうしろと。リアルでも達人級な浄だからこそそれに左右されずに撃てるわけで……ぶっちゃけ欠陥みたいな、むしろ邪魔みたいなそんなスキルだ。

 

「でもそれ以外の《仙桃の加護》、《破魔の弓矢》は有能だからなおさらわけわかんなくて……」

 

「確か自動でHP・MP・SPのリジェネだっけ」

 

「うん。まだ第二形態だから雀の涙だけど、育っていけばすっごい便利だと思うよコレ」

 

 自動回復は便利だからね……大抵のゲームだとバランスを壊さないために弱いけど、一人一人に固有スキルなんてものを与えるこの世界がそんなのを気にしているとは思えないし。

 

「お、《怨念統合》も貯蔵できる量が増えましたよ!」

 

「張り合わなくていいんだよ、イツキ」

 

 そりゃイツキは……普段の狩りだと使いにくいけど、色々と僕のパーソナルからそうなったんだろうなっていう納得がある。

 人を殺すことに愉悦する性から生まれたんだから、そのくらいの使いにくさは受け止めて、その上で使うくらいの覚悟が必要だろう。

 

「貴方様ぁ……!」

 

 イツキが感激したように抱きついてくるのを受け止めて、頭を撫でる。

 

 ……とはいえ、そろそろアンデッド祭りもメリットとデメリットがわりに合わなくなってきたところだ。

<マスター>がさらに増えたことで、<刀野林>に入ってくる数が増えて無闇にイツキを使えなくなった。なにせ僕は【死霊術師】、その上に妖刀を使っているとか思われたらティアンとまともに会話できなくなってしまう。

 

 見た目だけは綺麗なのがイツキだ。能力の血に飢えた妖刀っぷりはできるだけ知られない方がいい。

 

「というか、浄は浄で金食い虫だし、僕は僕でアンデッド用に色々買い込んでるからお金が足りないんだよね……」

 

 そのためのアンデッド祭りだったんだけど、バレたら元も子もない。

 

 と、なれば、効率的に金を稼ぐ他ない。

 

「<修羅の奈落>……神造ダンジョン、ね」

 

 言うなれば運営が拵えたダンジョン。この刀都にある無限湧きのモンスターの宝庫。

 そこに入れば金欠とは無縁と言える。今の僕らにとっては理想の場所だ。

 

 だけど、そんな場所に無償で入れるほどこの世界は甘くない。

 

「【修羅の奈落攻略許可証】……入手条件は」

 

「奈落を守る門番に挑み、その力を示すこと」

 

 ——あは、最高だ。

 

 少なくとも、今の僕の力を試すにはもってこいだ。

 

 なに、<マスター>なのだから、死んでもどうとでもなる。まあ好き好んで死にたくはないけども、それでもティアンほど条件は厳しくないだろう。

 

「じゃあ、取りに行こ——」

 

 

『——助けてや』

 

 

 何処から来たのかはわからない。

 ただ漠然と、そんな声が聞こえた。

 

 

 後ろを振り返る。郊外を見ても、なにも聞こえない。

 空蝉にしては、奇妙なほどにしっかりとした、少女の声だった。

 

 助けを求めていた。

 

 多分、誰でもいいのだろう。底無し沼に落ちて、藁でも掴めればいいと——そんな風にも聞こえる、諦観と絶望の入り混じった声だった。

 

 それでも僕は、聞こえてしまった。助けを求める声を。

 

 ——なら、無視するわけにはいかないな。

 

「……浄、先に行ってて」

 

「……理由は聞かないけど。なにか、あるんだね?」

 

 やはり、というか、僕とイツキ以外には聞こえなかったらしい。

 それが偶然なのか、あるいはスキルの効果なのかはわからないけど。

 

「うん」

 

「じゃあ、行ってこい」

 

 力強い言葉だった。

 

「きみは確かに変人だけど、それでも、人としての良識を、捨てるつもりはないんだろう? なら何かあるはずだ。なにが起こってるのかは知らないけど」

 

「ありがとう」

 

 ならば、その期待には答えねば。

 なにが起こってるのかなんて、僕にだってわからない。

 

 でも、これを放っておいたら——僕は、僕がこの世界を楽しめなくなる。

 

 そんな予感がするのだ。

 

 

「……急ぐぞイツキ!」

 

『はいっ!』

 

 刀に変化したイツキを携え、僕は全速力で平原を駆けた。

 

 

 /

 

 

 やだ。

 

 一緒になんてなりたない。

 

 

 ※プレイヤー非通知アナウンス

【(<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>認定条件をクリアしたモンスターが発生)】

 

 

 うちがなんか、悪いことした? 

 

 

【(履歴に類似個体なしと確認。<UBM>担当管理AIに通知)】

【(<UBM>担当管理AIより承諾通知)】

 

 

 やだ、やだ、うちはばけものちゃう。

 

 

【(対象を<UBM>に認定)】

【(対象に能力増強・死後特典化機能を付与)】

 

 

 やめて、やめてや。

 

 

【(対象を逸話級──)】

 

 

 ——助けて。

 

 うちを、殺して——!




今ここら辺でロボットの時はクロマドーラ会敵とかそこら辺なんですよね……あとここら辺は単純に書いてて面白くないので、合間に挟まってた色々はスキップします。
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