サムライ・デッドマンズ・パーティー/或いは貴衛残花の<Infinite Dendrogram> 作:クーボー
□刀都 【武士】斬花
「終わったよ、浄」
「ん、おかえり斬花」
ギルドの前で団子を食みつつ適当な返事をする浄に微妙な顔をしながらも、僕もその隣に座る。
帰る途中で買ってきた駄菓子を口に放り込んで、噛み潰す。高くないからか、雑に甘かった。
「……訊かないの?」
「きみがここにいるってことは勝ったんでしょ。それでいいさ。……ぼくも大まかに知ってるけど、それ以上のことはまた、君が話したいと思うときまでとっとくよ」
「……そっか」
なら……それでいいか。
「彼女にも、君を会わせてあげたいから……その時に、話す」
「会えるものなの?」
「ああ。絶対に」
僕の手の中にある小さく光るもの……それこそが彼女が遺した可能性の残滓。
これからの僕の行動次第で、如何様にもできるだろう。
「……僕、ちょっと【武士】から外れることにする」
「……蘇らせるのに必要なんだね?」
「うん」
まずは【
それに、小夜とともに戦うならば、それくらいは必要だろうから。
「なら、ぼくは応援するとも。ぼくはきみの友達だからね」
「ありがとう」
頑張ろう。
がんばって、がんばって……そうしてこの手に、もう一度。
僕は傍のイツキの手を握って、決意を込めて前を向く。
その手に握った霊魂が、少し強く、輝いた気がした。
□■???
【怨竜姫 ウラオトヒメ】
最終到達レベル:18
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【殺生刀后 イツキ】
MVP特典:逸話級【怨竜姫完全遺霊 ウラオトヒメ】
「何?」
男は、想定外だと言わんばかりに声を出した。
管理AI4号——この世界にて神ともされる存在、その中でもモンスターを担当するジャバウォックと名付けられた人外は、眼鏡をかちゃりと上にあげる。
「早すぎる。余程運が良かったのか……しかし、【ウラオトヒメ】は逸話級ながらも伝説級を超える逸材。いずれは<SUBM>にも到達するものと見込んでいたもの……まだレベルが100にも到達していない<マスター>に打倒できるほど、容易い存在ではないはず」
そうぼやき、戦闘ログを確認して……納得した。
殺人と怨念に特化した、状況にメタしたジャイアントキリングに適した能力。
<マスター>自身の、未だ歳若くも世界で最上位に位置するほどの技量。
最後、彼女の怨敵とすら言える山賊のアンデッドが現れ、それを消し飛ばしたことによる一時的な破壊衝動の解消。
要因は数あれど、必須要素は一つ。
「なるほど。ティアンの意識が己の力を抑え込んでいたか……それならば、撃破できるのも頷ける」
【怨竜姫 ウラオトヒメ】とは、そのティアンが持つ才能と竜が持っていたスキルによって、際限なく成長していく強力な個体だ。
あらゆる魔法を行使し、無条件で配下にしたアンデッドから徴収したリソースで高いステータスを持ち、それによってさらに軍団の力を増幅し、敵対者の魂を捕食してMPとリソースを獲得し、そうして力を増していく。
素のドラゴンのスキルもあれど、基本はティアンの……かつて大名家だったティアンの才能とカリスマを利用する個体である。故に、その中枢とも言えるティアンの意識とドラゴンの意識が衝突し合い、己の力を制限していたならば、下級のボスモンスター以下の力しか発揮できない。
まして相手が……【刀神】が埋まっていなければ、ある程度ステータスが成長するだけでその座に就けるほどの技量を持ち、さらに相性が良く状況にメタした<エンブリオ>を持っているならば、負けることも道理である。
「なるほど、なるほど。理解した。このようなケースは珍しいが………参考にはなった」
もっともアンデッドとなっても狂わずにいられるような規格外の魂などほとんどありはしないが、と最後に付け足す。
あるいは先代【刀神】であれば別の話だが——それはまた別の話だ。
「何はともあれ、喜ばしい。このような<マスター>が<超級>に到れば、我らの望みも叶うというもの」
思う存分楽しむがいいと、男は笑う。
「君たちにとっては、この世界は
次回は多分大幅に時間飛びます。