「ん……んぁ……」
と、腑抜けたような声を出しながら
「……夢、か…」
目覚ましを止めた慧大は夜見た夢を思い出していた。
昨日の昼間に見た神社での宴会。
そこには大勢の人と人では無い者達が種族など関係なく酒を酌くみ交わし、数々の料理に舌鼓を打っていた。
そこに混ざろうと1歩踏み出した時、後ろから声をかけられた。
「どうしたの?お兄ちゃん? 」
そこで夢は終わった。
「たくっ……昨日と言い夢と言い……なんなんだ?」
……一瞬リビングに何かいた気がするが気のせいだろう、気のせいだ、うん。
歯を磨き、顔を洗い、さっぱりしたところで洗面所を出ようとして慧大は足を止めた。
「………一人か?にしても……これは……」
一人暮らしの部屋なので、人の気配は慧大一人の筈が、今はもう一人の気配があった。
元より人の気配とかを読むのは得意だった慧大は大学生になってそれがますます得意になっていった。
慧大はすぐそこに立て掛けてあった木刀を手に取りリビングルームへ向かった。
するとソファに誰かが座っていた。
見た事もないほど美しい金色の髪。
その美しさに慧大は一瞬動きを止めたが、すぐに我に返って木刀で斬り掛かった。
勿論、死んでしまう可能性があるので手加減はしていたが。
しかし、木刀は女に届く事無く手に握られていた
「なっ……」
腐っても木刀。それを目の前の女はその
慧大が驚きを隠せずにいると、ソファに座っていた女が立ち上がり慧大の方を向いた。
「………っ」
人形とも見紛うほどの
慧大はその美貌に見とれ
「ふむ……中々の腕前、ね」
柔らかな、かつ透き通った声で目の前の女性が言った。
女性が喋った事で呆けていた慧大は、はっとしたように我に返り、目の前の女性に言った。
「……一体何のようですか」
「あらあら、急に斬り掛かっておいて一言目がそれかしら?」
「そりゃあ、府内一と言ってもいいぐらいのセキュリティを誇るマンションの一室に安々と侵入できる人には容赦しませんよ」
「ふふふ、そうね」
会話の間に攻撃の意思がないことを見て取った慧大は警戒を解いたという意思表示も兼ねて木刀を側に置いた。
それを見た女性は微笑みながら
「それじゃあお茶でも頂こうかしらね、ゆっくり話をしたいしね」
と、
そして、要望通りに慧大がお
「さて、まずは自己紹介かしらね。私は
「俺は
「うふふ、いいのよ別に」
何故か楽しそうに笑いながら紫は言った。
「それで、一体何の用なんですか?」
と、慧大が本題を切り出すと少し真面目な顔になって紫は答えた。
「ええ、先ず貴方は"幻想郷"というところを知っているかしら?」
「……妖怪と人間、そして忘れられた全てものが共存し住まう土地」
「あら、よく知っているじゃない」
「知り合いから嫌って言うほど聞かされていますから」
「……!……うふふ、そうなの」
少し驚いた様子で紫は言った。
そんな紫の様子に慧大が
「貴方を今から幻想郷に招待するわ」
「そうですか…………って、はぁ!?」
「あらあら、何をそんなに驚いているのかしら?」
「そりゃ驚きますよ!突然知らない世界に飛ばされかけてるんですから!」
「そう……てことで1名様ごあんなーい♪」
紫は楽しそうにそう言った。
「話聞いてます!?って、なっ!?」
そう慧大が紫に食って掛かろうとした時、足元が開き、数多あまたの目が見つめる空間、"スキマ"に落とされた。
「なっ!ちょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「行ってらっしゃい……そして、"お帰りなさい"」
そう言うと紫はスキマを閉じた。そして、身を翻ひるがえし、
「さぁてと、"あと二人"を連れてくるのと彼の大学と親に連絡をしないとね♪」
そう言い、自身もスキマを開き、その中に入っていった。