東方幻剣録 〜運命に導かれし幻想の物語〜   作:-朧雲

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今回から幻想郷での物語が始まります!


第3話 白玉楼の剣士

"幻想郷"、そこは人と妖怪、忘れられたものが共存する世界――――――

 

 

 

 

 

魂魄妖夢の朝は早い。

 

朝5時に起き、30分の白玉楼の見回りの後、30分間の剣の鍛錬をする。そして、これまた30分かけて朝ご飯を作り、6時半に主である「西行寺 幽々子」を起こして朝食を取る。そして再び30分の見回りの後、鍛錬をして自由時間となる。

 

いつも通りに朝食を取り、その後の見回りの途中、彼女は怪奇現象に出くわしていた。

 

中庭にある池で大きなものが水に落ちる音がしたのでそこに向かってみると、池は何事もなく佇んでいたのだ!

 

幼さ故かこういったホラー系が苦手な妖夢は、恐る恐る池に近づいていった。

 

すると、池から人の手が出てきたのだ!

 

「ひっ、ひぃ!」

 

と、後ずさりしながらもしっかりと背中の、「楼観剣ろうかんけん」を抜き、戦闘態勢になる妖夢。

 

しかし、池の中から出てきたものは妖夢の予想に反し、黒髪の青年だった。

 

「ほ、ほぇぇ?」

 

何処か間の抜けた可愛らしい声を出しながら妖夢が戸惑っていると、目の前の青年―――――――慧大が呻き声と共に呪いの言葉を吐き出した。

 

「あ、あの……クソBBA……」

 

「…………」

 

何処かで聞き覚えのあるようでないような言葉を聞いて、妖夢は暫し無言になっていたが、すぐに我に返り、主である幽々子に相談すべきと考え、急いで主の居る屋敷の方へと駆け出した。

 

 

 

 

 

「ん、んゃ……」

 

と、可愛らしい声を出しながら起きたのは慧大である。

 

「くっそ、あんのBBA………って、ん?ここは……?」

 

と、悪態を吐きながら周囲を見回し困惑顔になる慧大。

 

それもそのはず、慧大はスキマを抜けた後、宙に放り出されると同時に重力に従って落下し、水の中に落ち、パニックになりながらもなんとか浮上した直後に気絶し、今に至るからだ。

 

体の節々が痛むが、そんな体に鞭を打って立ち上がろうと体を起こした時、障子が開き、人が入ってきた。

 

「あ、目覚めたんですね。良かったです。あのまま目が覚めなかったらどうしようかと思っていたところです」

 

そう言いながら少女――――――妖夢は手に持っていたお盆を慧大の布団の側に置いた。

 

鼻孔をくすぐる美味そうな香りが慧大を襲う!

 

その時、慧大の腹が大きな音で鳴った。

 

(そういや朝何も食わずにこっちに連れてこられたな……ぜってー許さねぇ)

 

そんな事を慧大が思っていると、妖夢が苦笑いをしながら言った。

 

「どうぞ食べてください。大体の話は紫様と幽々子様に聞いてます」

 

「ほんじゃま、遠慮なく頂きます」

 

現代では到底味わうことのできない味わいの粥(くっそ美味い)を食べていると、妖夢が話し始めた。

 

「食べながらで良いので聞いてください」

 

「ふぉーい」モグモグ

 

「……まずは申し遅れました、私はここ、白玉楼の庭師であり剣士の魂魄 妖夢と言います。そして、ここから先は紫様からの伝言です。「ちゃんと無事に着いたみたいね?まぁ、間違う事はないけど(笑)それで、貴方にはまず、人間の里に行って私がこっちに送った貴方の友人2人と合流した後、香霖堂に行って貴方用の武器を受け取って、博麗神社に行き能力開花の薬を貰ってきなさい。ゲームのチュートリアルと思えば簡単よ。………下手したら死ぬけどね(笑)」だそうです」

 

「なるほど。ありがとうございます、妖夢さん」

 

「あ、私のほうが年下ですし、堅苦しくされるのは少し苦手なので、敬語は抜いてもらっていいですよ」

 

「……わかった、改めてありがとう、妖夢」

 

妖夢の言う通り名前で呼び、敬語を抜くと妖夢は納得したように頷いたが、少し考える素振りを見せると、頬を薄く赤らめ、そっぽを向いた。

 

どうしたのか首を捻っていると、ふと思い出したように妖夢が切り出した。

 

「そういえば、幽々子様が慧大さんに空の飛び方を教えろ、と言っていたのを思い出しました」

 

「ふーん……って、俺が?空を?」

 

「はい、そうです」

 

「そんな事出来るのか……」

 

「幻想郷は外での"非常識"が"常識"ですからね。誰だって訓練すれば飛べるようになります。……里の人間は飛ぼうとは思わないようですが」

 

「そうなのか……じゃあよろしく頼むよ」

 

「言われずともそのつもりです。では、庭に出てください」

 

「りょーかいっと」

 

そう妖夢に促されるまま、慧大は庭の真ん中辺りに立った。

 

「ええと、では体に力を入れてください」

 

「ふっ……んで?次は?」

 

「体から力を抜いて、後はこう、グッとしてギュッとしてホワッってして、ポンッと上にジャンプして下さい。そしたら飛べるはずです」

 

「おおう……なんとかやってみるか」

 

妖夢は説明ベタなのでは無く、感覚派なのだろう、きっと。

 

と、慧大は思いながら言われるがままに(ほぼ解読不能だったので9割方独力)で空を飛ぶ練習をした。

 

 

 

 

 

それから1時間近く練習をしていて、慧大はかなり自由に飛べるレベルになっていた。

 

初めは少し浮遊する事に不快感、というか慣れない感じがあったのだが、それにも直ぐに慣れ、自在に空を翔けていた。

 

妖夢は、それはもう喜んでいて慧大が

 

(無邪気な一面もあるんだなぁ……可愛いなぁ……)

 

と、思ったのは言うまでもないと言う。

 

そして、暫く遊んだ後、慧大は妖夢から聞いた伝言通りに人里へ行くことに決めた。

 

妖夢に幻想郷での説明、幻想郷についての説明を色々と聞いてお金を貰い(渡され)慧大は妖夢に礼を言い、手を振りながら人里へ向けて飛んだ。

 

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