東方幻剣録 〜運命に導かれし幻想の物語〜   作:-朧雲

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第6話 能力の開花

慧大達は幻想郷上空をしばらく飛び、里の少し先にある神社に着いた。 

 

ふわり、と降り立った慧大達は周囲を見回していた。

 

(……この神社………何処かで見覚えが……いや、それよりもこの神社は………)

 

と慧大が必死に記憶を辿っていると、久保が慧大を見やり、声を掛けた。

 

「……?慧大、どうした?」

 

「ああ……いや、この神社がな…………」

 

慧大が自分の感じた違和感について久保に話そうとした時、魔理沙まりさと共に1人の少女が本殿の方から歩いてきた。

 

腰の辺りまで伸びた長くストレートの黒髪。風に吹かれれば髪がどれだけサラサラで、普段の手入れをしっかりとしている事が見て取れる。

 

そして、白と赤を基調とした巫女服。白と赤以外の色は首に着けたネクタイの様なリボンと服の裾を通した糸だけだった。

 

靴下は真っ白で、靴は可愛らしい革靴だった。

 

頭には特徴的な服と同じような赤と白、端のほうに金色のような糸の大きなリボンを着けていた。

 

何よりも少女は非常に顔立ちが整っていた。

 

魔理沙や紫と出会った時にも思った事だが、幻想郷には美人な少女が多いのかーー

 

そう慧大が少女に見惚れていると、少女が口を開いた。

 

「始めまして、私は博麗 霊夢。ここ、幻想郷の神社、博麗神社の巫女よ。よろしくね」

 

声は透き通っていて、辺りによく響くような、それでいて儚いような声だった。

 

「ああ、俺は遠山慧大。紫さんに無理やり連れてこられた外の人間だ。……後ろの2人の紹介は要らないかな?」

 

慧大は魔理沙に言われた通り、敬語を抜いて話した。

 

「ええ、大丈夫よ。」

 

「うちの馬鹿が迷惑かけたみたいですまんな」

 

「全然よ。騒がしいのは日常茶飯事だもの」

 

「そうか、それならいいが……」

 

「ええ。……慧大くんの要件はある程度分かっているわ。本殿の方に来てもらえる?」

 

「ああ、りょーかいだ」

 

慧大は霊夢に促されるまま、神社の本殿へ向けて足を踏み出した。

 

 

 

 

 

博麗神社本殿、居住区内。

 

慧大達は、現代では見なくなった卓袱台を囲うように、久保、慧大、海斗、魔理沙、霊夢の順に座っていた。

 

「さて、と」

 

そう言いながら、霊夢は手に持っていた湯呑を卓袱台の上に置いた。

 

「大体の事情は把握しているからいきなり本題に入らせてもらうわね?まず、慧大くんにはこれから能力開花の薬を飲んでもらうわ。その時に何が起こるかわからないから、魔理沙達には外に居てもらうわ。……分かったかしら?」

 

「ああ、りょーかいだ」

 

「りょーかいです、霊夢さん」

 

「ウィィィィィィス(ry」

 

「分かったぜ」

 

霊夢の話に個々の反応で了解の意を伝えて、それぞれが指示されたとおりにした。

 

久保達が居なくなり、部屋には慧大と霊夢だけとなった。

 

「えーとね、確かこの辺に……」

 

霊夢は巫女服の袖(?)に手を入れ、探り始めた。

 

(いや、四次元ポケットかよ) 

 

と慧大はツッコミを入れつつ少し待った。

 

そして、数十秒後霊夢がようやく手を出した。

 

その手に持った小さな瓶には、透明な液体が入っていた。

 

「これが、能力開花の薬よ」

 

「へぇ……これが……能力はランダムなのか?」

 

「多少の素質も入ると思うけど、大体そうね。久保くんと海斗くんもすでに飲んでるわよ」

 

「ほほう………それじゃ、いただきまーす」

 

慧大はなんの躊躇ためらいもなく、薬を飲み干した。

 

「ん〜、普通に美味いな………どうだ?なにか変わったか?」

 

慧大が自分の体を見まわしながら尋ねると、

 

「う〜ん、特には変わってないように見えるけど……能力は外見に出るときもあれば、内面に出るときもあるから……」

 

「そうか………」

 

と、慧大が自分の能力について考えていると、不意に霊夢が立ち上がり、障子の近くまで行き、勢い良く開け放った。

 

「ちょっと魔理沙!八卦炉を使うのはいいけど、あんまり使すぎないでよね!その八卦炉は、魔力が枯渇したら周囲のその他の力を吸収するんでしょ?」

 

(なんだ、また久保達がなんかやらかしたのか……)

 

慧大は内心少し呆れつつ、霊夢の後ろに立った。

 

この時、霊夢の髪からシャンプーのいい匂いがした事を慧大が心の奥底にひっそりと仕舞ったのは、誰にも言えない話である。

 

そして、霊夢が叫んだは良いものの、魔理沙は八卦炉を使っていなかった。

 

「えっ…?」

 

「どうしたんだぜ?霊夢?」

 

「霊夢、どうゆう事だ?」

 

慧大はよく分からず、霊夢に聞いた。

 

「う、うん……急にこんな事言われても分からないだろうけど、さっきこの辺りの"力"が急激に減少したの。"力"って言うのは、いわば魔力とか霊力とか、神力とか妖力の類のことね。だから魔理沙がふざけて八卦炉を使い過ぎたのかと思ったのだけど……どうやら違うみたいで……」

 

「なるほどな……」

 

一通り話し終えると霊夢は顎に手を当て、考え込んだ。 

 

そして、何か思いついたように顔を上げると、慧大の方を見て言った。

 

「もしかして……慧大くん?」

 

「ちょっと待て、なんでそうなる」 

 

「えーとね、生まれながらじゃなくて途中で能力を手に入れた人にはよく起きる現象なの。もしくは、能力を既に一つ持っている人が能力開花の薬で2つ目の能力を手に入れたときとかね。……ちょっと待ってね、慧大くんの能力を探ってみる」

 

そう言うと霊夢は慧大に向かって、手のひらが見えるように両手を差し出した。 

 

(こんな事もできるのか……凄いな……)

 

慧大は心の中で感嘆の声を漏らしていた。

 

そうする事数十秒。

 

慧大は障子の外から自分と霊夢の様子を伺う影を感知した。

 

気付かれないように腰につけていた投剣・大針用ポーチから、大針を取り出すと、3つの影の中で一番大きな影の顔の横を掠めるようにして投げた。

 

「おわおわおわ!あぶねぇなぁ!」

 

「覗きなんてするからだよ……久保」

 

「でもよー、気になるじゃんかよー」

 

「うるへ」

 

そんな感じで騒いでいると、霊夢が目を開けた。

 

「わり、霊夢。邪魔したか?」

 

「ううん、ちょうど分かったところだったから大丈夫」

 

そう言うと、霊夢は慧大を真っ直ぐ見据えて言った。

 

「慧大くんの能力は、「周囲の"力"を吸収して身体能力を強化する程度の能力」ね。これはさっき私が話した"力"を体に取り込んで、自らの身体能力を強化する能力よ。どうやら吸収する"力"も自分の判断で選べるみたい」

 

「そんな事まで分かるのか…霊夢は凄いな」

 

「そ、そんなこと無いよ……」

 

霊夢はそう言うと、顔を赤らめながらそっぽを向いた。

 

(どうしたんだ……?)

 

慧大はよく分からないまま立っていたが、霊夢がそのままの状態で慧大にある提案をした。

 

「そ、そうだ!慧大くんの能力もわかったことだし、能力の実戦練習ってことで、魔理沙と弾幕ごっこをしてみたらどう?」

 

「弾幕ごっこぉ?」

 

「私に挑むっていうのか?なら受けて立ってやるぜ!」

 

「よし、じゃあ決定ね!」

 

「いやいやいや、理解出来ないんですけど!」

 

「俺達はついていけてねぇよ……なあ海斗?」

 

「ええ…そうですね……久保さん……」

 

それぞれがそれぞれの反応をしつつ、慧大の初戦闘が始まるのであった。

 

 

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