機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズofアストレイ 作:黒アライさん
文明を大きく後退させる程の大戦争「厄祭戦」が終結してから300年の時がたったP.D.323年ーー
地球では治安維持組織 通称「ギャラルホルン」によって4つの巨大経済圏が繁栄していた。一方で、コロニーや火星では、巨大経済圏の搾取対象となっており、経済的不均等は大きくなっていくばかりであった。
ーー火星ーー
パンッ!パンッ!
ってぇ……
うぐ…ぐ…
ふう…ねぇ…オルガ……
次は何をすればいい?
「ハッ!!」
銀髪のとんがった頭が特徴的の背の高い少年が目を覚ますと、そこは機械的でオイルと人間の汗のような匂い、頭に響く騒音が鳴り響く所であった。
「オルガ」
オルガ「ん…?おぉ、ミカか」
「おぉ、じゃないよオルガ。またこんなところでサボって…見つかったらまたなにされるか…」
ミカと呼ばれた背の小さい小柄の少年の名は、「三日月・オーガス」そして、それに起こされた銀髪の少年は「オルガ・イツカ」である。
オルガ「わぁってるよ…」
オルガは背中を手でボリボリとかきながらそう答えると、
「おぉーい、いたかぁー?三日月ー」
三日月「うん」
オルガ「どしたー、おやっさん」
大声で三日月を呼ぶその男は、「ナディ・雪之丞・カッサパ」という。
オイルや汗で汚れきった半袖シャツを着ており、腹巻をつけているのが特徴の褐色肌の大男である。
おやっさん「どうしたじゃねぇよ、マルバが呼んでるぞー?」
オルガ「社長がぁ?」
おやっさん「つうか、ここはいんなって言ってんだろぉ」
オルガ「いやだってここ年中あったけえからさぁ」
おやっさん「ったく…」
三日月「……」
オルガがおやっさんに小言をいわれている間、三日月は部屋の一番奥にある、とある物を見つめていた。それはたくさんの太いコードとケーブルで繋がれた、膝立ちで収納されている人型の兵器であった。
オルガ「ミカぁ!いくぞぉ!」
三日月「…うん」
三日月はそう返事するとオルガの背についていった
ーーCGS「クリュセガードセキュリティ」本部ーー
「…クリュセ独立自治区、その代表の愛娘を地球まで運ぶ。…その護衛を、お前ら三番組に任せる」
どかっと贅沢そうな椅子に堂々と座り、葉巻に火をつけ、口に加えながらそう言ったこの男は、「マルバ・アーケイ」である。このCGSの現社長でもある。
「…あの、代表の娘ってあの、「クーデリア・藍那・バーンスタイン」ですか?」
そう言った彼の名は、「ビスケット・グリフォン」。帽子をかぶっており、横に太い体格が特徴的な少年である。
マルバ「知ってんのかビスケット」
ビスケット「えぇっと、たしか独立運動をやってるとか…」
マルバ「今回の地球行きも、火星の独立運動がらみらしい。ご立派なことだ…」
オルガ・ビスケット「……?」
オルガとビスケットは、一回目配りし、オルガが尋ねる
オルガ「でもそんなデカい仕事なんで俺らに…」
マルバ「お嬢様直々のご指名なんだよ」
マルバは心底めんどくさそうにそう言い捨てる
ビスケット「え?それって…」
ビスケットが尋ねようとしたとき、
「形はどうあれ、やることはいつもと変わんねぇ!お前らガキどもはしっかり俺らの言うこと聞いてりゃいいんだよ!!」
怒鳴りつけるように言葉を放ったこの男は、「ハエダ・グンネル」である。
オルガ「……」
オルガはただ、そう怒鳴りつけるハエダのことを、片目をつぶりながらじっと、バレないように睨み付けていた…
ーーCGS外敷地内ーー
ザクッ! バッ…
「たくっ…ありえねえよ〜地雷設置訓練とかよぉ〜」
一人の少年がそう言うと、続け様にもう一人の少年が言う
「ただのいじめだろ〜?明日は撤去訓練だぜ」
そう言った少年は、「ライド・マッス」。オレンジ色の髪が特徴の幼い少年である。
CGS少年「まじかぁ…」
ドォーン!!
「…あ」
「ん?」
シャベルをもち、訓練をし続ける少年達の耳に鳴り響く、遠くから聞こえる砲音。それは…
ババババババッ!ヒュンヒュン!
カンッ!キンッ!
ガラララッ!、
「っく、クッソォ…三日月のヤロォ!」
鳴り響く砲音の真っ只中でそう叫ぶ男の名は「ユージン・セブンスターク」である。
三日月「…お」
ギャギャギャ!バンバン!
ヒュン!
「このタイミングでかわすかよ!三日月のやつ!」
ユージンが三日月によって訓練用ペイント弾で撃たれだ後に、その隙を狙い、三日月の後ろから奇襲をかけたこの少年は「昭弘・アルトランド」である
バンッ!バンッ!
ライド達から離れた場所で行われるそれは、モビルワーカーという小柄な戦車のような兵器を用いた訓練であった。そしてそれを地雷設置訓練をしながら見つめている少年がいた
「…カッコいいなぁ、いつかは僕も…」
そう呟く少年の名は「タカキ・ウノ」。金髪と黒髪のツートンカラーが特徴の少年である。しかし、そう呟いていると……
「なぁ〜にを…」
タカキ「へ?」
バシィッ!」
タカキ「ふぐっ!?」
「チンタラやってんだぁ!」
そう叫ぶこの男は「ササイ・ヤンカス」である
ササイ「おいトドォ!ガキの躾はテメェの仕事だろうがぁ!」
「あ…ヘヘ……お、おいお前らぁ!キリキリ働けコラァ!」
そう叫ぶこの男は「トド・ミルコネン」である。
ササイ「ったく…ヘッ、宇宙ネズミが…はしゃぎやがって…」
ササイはそういい捨てると、どこかにいってしまった。
CGS少年「…おい、大丈夫か?タカキ」
タカキ「う、うん……へへへ…」
駆け寄ってきた少年に対してタカキは力なく苦笑いしながらそう答える
宇宙ネズミ……背中に阿頼耶識というナノマシンを埋め込み、反射神経などを強制的にあげる装置である。これだけ聞くと特に問題はなさそうだが、実はその阿頼耶識を埋め込む時の手術が問題なのでおる。その手術は成功率が極端に低く、10人中、6人しか成功しない程だ。成功したものはまだいい。だが失敗したものは…一生ベットから這い上がらなくなるだろう。そんなリスクしかない手術をうけるのは身寄りや金のない子供達ばかりである。そのナノマシンの性質上、子供のうちでしかこの手術をすることはできず、これをしなければ、まともな働き手などがないのも、手術を強制的にされる理由の一つである。これが、このCGSに住む子供達の日常であった。
ーーCGS食堂ーー
ユージン「俺たちがお嬢様の護衛?」
ユージンは訝しげにそう聞き返した。
「お嬢様って、イイ匂いするんだろぉなぁ〜!なぁ三日月!」
ユージンの問いに対してそんな変な事で返すこの少年の名は「ノルバ・シノ」。気さくで、皆のムードメーカーのような少年だ
このCGSの組織内には女性が誰一人としていない。一応、「アトラ・ミクスタ」という小さな女の子がいるがそれだけだ。その上、彼ら少年達は、皆年頃の男達であり、自然的に女性に飢えているのだ。
三日月「…ん、お嬢様っつっても、同じ人間なんだし、そんな変わんないだろ?」
三日月はシノの質問に、昼食なスープを頬張りながらそう言う
シノ「ハァァ〜〜ン?」
CGS少年「女に飢えてない三日月さんにそんな事聞いても無駄っすよ」
そんなたわいもない話ができるこの時間は、少年達にとって、心休まる数少ない時間だった。
三日月「…タカキ」
タカキ「あ、はい!水ですか?」
三日月「いや、その傷…」
三日月は、タカキの地雷設置訓練のときにつけられた傷について聞くと、
タカキ「…いつものことですから」
タカキは力なくそういった。
ユージン「でもあれだな、社長もよ、口だけの社員様より、結局は俺らの力を認めてるってことなんじゃねぇの?」
ユージンはニヤにやしながら一緒にいるオルガに続け様に言う。
ユージン「んで、これをきっかけによ、社員の奴ら出し抜いて、俺らが一軍になって…!」
オルガ「いくらマルバの親父がボケたって、使い捨ての駒ぐれぇにしか思ってねぇ俺らを認めるわけねぇだろ?」
オルガはスプーンを食器にカンカン鳴らしながらユージンの言葉を遮るようにそう言った。
ユージン「っ、おい、俺ら三番組隊長のお前がそんなだから、いつまでたってもこんな扱いなんじゃねぇのか!?」
ビスケット「っ、やめなよユージン」
ユージン「うっせえビスケット!テメェは黙ってろ!」
ユージンの言葉を聞いたビスケットは止めに入るもそう言い捨てられてしまう
ユージン「大体テメェの《グイッ!》!?イデッ!?いててて!!」
三日月「喧嘩か、ユージン。俺は嫌だ」
三日月はユージンの片方の耳をかなり強く引っ張り、そう言った
ユージン「と、取れる!取れるって!!」
ユージンが涙目になりながらそう叫ぶと、
オルガ「喧嘩じゃねえよこんぐらい…な?」
ユージン「!あ、あぁ!あったりめえだろ!」
オルガが助け舟をだすとユージンはすかさず反応し、三日月にそう言った
こんな男所帯だ。喧嘩の一つも起こるのが自然だ。しかし、喧嘩ばかりではCGS内で過ごすのは難しいため、こうやってビスケットや三日月が率先して収めにいってるのだ
オルガ「悪いな、昭弘。騒がしくってよ」
オルガは食事を食べ終わり、食器を下げにいく昭弘にそういうと、
昭弘「いつものことだろ」
と、返事を返した。
オルガ「フッ…」
ーーアーブラウ領 クリュセ独立自治政府 首相官邸ーー
「それではお母様、行ってまいります」
上品な真っ赤な服装で身を包み、そう告げる彼女の名は「クーデリア・藍那・バーンスタイン」であり、独立運動を始めた本人でもある。
クーデリア母「あら、藍那。もういくの?くれぐれも、地球の方々に失礼の内容にね?」
母は優しく、そう告げると、クーデリアはなんとも言えないような表情で聞く
クーデリア「…お父様は私の運動に反対なさっていると思っていたのに…今回地球との協定役という大役を、いきなり任せて下さるなんて…」
クーデリア母「なんでも悪くとるのは、貴方の悪い癖。お父様は貴方の事を、いつも心配してくださっているのよ?」
クーデリア「……」
クーデリアはただ俯き、母の言葉を聞いていた。
ーー官邸 廊下ーー
クーデリア「お母様は、目を背けているのよ。この屋敷の外で何が起こっているのか知ろうともしない…私はそんなの嫌。本当の事を見たいし、本当の事に触れたいの」
クーデリアは母の言葉を聞き終わった後、廊下を歩きながら侍女にそうなことを呟いていた
「それで今回の護衛役に彼らを?」
そう聞く侍女の名は「フミタン・アドモス」という。
クーデリア「そう!彼ら非正規の少年兵達は、長く続く地球圏の支配が生んだ、今の火星が抱える問題そのものなのよ。そんな彼らと触れ合う事で、私は少しでも、その痛みを分かち会えたらっておもうの!」
決意に満ちた、なんの穢れもない目をしながら話す彼女を、フミタンはただ、なんの感情も示す事なく聞いていた。
ーーGH 火星本部 静止軌道基地 アーレスーー
「若さとは、純真さとはなんと美しいことだろう。地球との関わりの深いバーンスタイン家の娘が独立運動の旗頭として扱われるとは…皮肉なものだな。「ノーマン・バーンスタイン」さん?」
そう淡々と告げるこの男は「コーラル・コンラッド」。このアーレス司令官である。
「は、はぁ…愚かな娘で…」
そう言うこの男は「ノーマン・バーンスタイン」。クーデリア・藍那・バーンスタインの父である。
コーラル「いや、愚かさもあそこまで行けば立派なものだ。だからこそクリュセの…いや、火星中のならず者達も、彼女を支持するのだろう。ならば、完全なるカリスマとして、永遠に民衆の記憶に残るよう…我々も手助けをしようじゃないか」
コーラルは営業スマイルを掲げながらノーマンにそう言った
ノーマン「は、はい、お手柔らかに…コーラル閣下…」
コーラル「…」
ーーモビルスーツ格納庫ーー
コーラル(自分の娘を売っておきながら、お手柔らかにときたか…ふぬけとはあのような者をいうのだ。娘の爪の垢でも飲むがいい…)
コーラル(しかしこれで、厄介な地球からの監査も好機に変わる。ノブリスからの援助をうけるためにも、あの娘には頑張ってもらわないとな…)
コーラルは内心ほくそ笑みながらモビルスーツの整備を行っている部下のもとにいき、命令を伝える。
コーラル「モーリス!作戦が決まった!今回はお前に指揮を取ってもらう!」
オーリス「!…了解!」
オーリスはやっと出番が回ってきたとばかりに気前よく返事をする。
コーラル「クランク!お前はサポートだ!」
クランク「…了解」
クランクと呼ばれたその男はまるで熊のようないかつい顔立ちをした、ガタイのいい大男である。
コーラル「アイン!」
アイン「!は、はい!」
コーラル「貴様は今回が初陣だ!しっかり励め!」
アイン「りょ、了解です!」
同じくアインと呼ばれたその男はクランクとは違い、優しい面影を残しつつ、緊張でその顔を引き締める、まるで絵に描いたような新人であった。
ーーGH ビスコー級クルーザー ヴィルム内ーー
「しっかし火星かぁ。植民地としては旨味を吸い尽くした出がらしみたいな星だ。ギャラルホルン特務監査官様が直々に出向く必要があるのか?」
そうぼやく青髪の男の名は「ガエリオ・ボードウィン」である
「辺境任務は退屈か?ガエリオ」
ガエリオの質問に対し答えるこの男はそのガエリオの親友、「マクギリス・ファリド」である
ガエリオ「まさか、監査官としての仕事はきっちりやるさ、マクギリス特務監査殿」
マクギリス「フッ…今の地球圏の経済は、その出がらしを組み敷いた上になりたっている。今後とも、彼らに地球圏への変わらぬ献身を貫いてもらうためにも、火星支部には、秩序の番人たるギャラルホルンの一員として襟を正してもらわねばな……」
マクギリスは自分の前髪を弄りながらそう告げる。
ガエリオ「支部の連中には、同情する」
ガエリオはいかにもざまぁみろといわんばかりの表情でそう言った
マクギリス「火星は今、全国で独立の気温が高まっているらしい」
マクギリスはそこで区切り、ガエリオのほうに振り向くと笑いながらこう言った
マクギリス「案外、人の心配をする余裕はないかもしれないぞ」
ーーCGS敷地内ーー
「えっとー、今日は南からDブロックまでな」
「了解、さっさと行こうぜ」
真夜中のCGSの外では少年兵がいつも通りに見回りを行っていた。
見回りの少年兵達も眠そうにしているが、仮にも見回り。手に持つものは物騒な物ばかりであった。CGSの内部は見回り当番でないものは当然、深い眠りについていた。しかしその中では…
ギッ!ギッ!
昭弘「フゥッ!フゥッ!」
三日月「ハァッ!ック!」
三日月と昭弘は真夜中でも筋トレを欠かさずに行っていた。CGSの地下にある蒸気機関室で、低い天井に張り巡らせている鉄パイプにぶら下がり、必死にトレーニングを続ける。
昭弘「ッフゥッ!ッグゥ!い、いいか、三日月!俺の方が、体、重いん、だからな!」
三日月「ッングッ!ッハァ…はいはい…」
昭弘「なぁ!?」
昭弘は自分よりも長く筋トレを続ける三日月に、必死に抗議するが、軽く受けながらされてしまう。そして、この真夜中に起きているのは当然彼らだけではない
ーーモビルワーカー格納庫ーー
おやっさん「よぉし、これで持ってく装備の確認はおしまいだ」
オルガ「おつかれさん」
雪之丞やオルガも、のちに来る護衛任務に向けて、物資や装備を確認していた。
おやっさん「もう明日かぁ、例のお嬢さんがくるのは」
オルガ「あぁ、んで明後日には出発、地球までの往復に、あれやこれやで5ヶ月くらいか」
オルガは護衛任務に詳細を思い出しながらそう答える。護衛が必要なくらいだ。決して楽な任務じゃあないだろうなと予想し、覚悟を決めていた。
おやっさん「ここも静かになるなぁ」
おやっさんは静かにそう呟く
おやっさん「ま、ご指名の仕事なんだろ?よかったじゃねぇか」
オルガ「何がいいもんか、いつも通り便利に使われるだけさ」
オルガは乾いた笑いを浮かべながら続ける
オルガ「マルバは俺たちのことなんざ、ヒゲのお陰ですばしっこくなったネズミぐらいにしか思っちゃいねぇからな」
おやっさん「…旧時代のマシンインターフェイス「阿頼耶識」のことか、ひでぇ話だな」
おやっさんは葉巻をくわえながらそう言う。阿頼耶識は専用の装置がついたモビルワーカーなどに乗る事によって真価を発揮する。背中の阿頼耶識にその装置をつけることによって、直に脳にモビルワーカーの情報が入り込み、例え素人でも熟練した操縦者並の動きをすることができる
もっとも、それができるとはいえ、失敗すれば一生動けなくなるようなリスクを考えると誰もしたがらないのが現実である。
オルガ「それでも、これを埋め込むことがここで働く条件だからな」
おやっさん「それでも、仕事があるだけまだマシか…ヘッ、お前ん時は笑えたよなあ?麻酔もねえ手術なのに、泣き声一つあげねぇで、可愛げがねぇってぶん殴られてたっけか?」
オルガ「泣けばだらしねぇって殴られてただろ?」
おやっさん「違ぇねぇ」
格納庫に二人の男の乾いた笑い声が響いていく
オルガ「…ここじゃ俺たち三番組は、ガス抜きする為のおもちゃか、弾除けぐらいの価値しかない…でも、俺にも意地があるからな…カッコ悪いとこ見せらんねぇよ」
おやっさん「スゥ…フゥ…三日月には、か?」
オルガ「っ」
オルガは少し目を見開いたが、すぐ元に戻った
おやっさん「フッ…苦労するなぁ、隊長」
オルフェンズって一話一話が長くて戦闘まで長いのだ!ていうかまだ主人公が出せてないのだ!これはちょっと問題なのだ…できたら次の話で出したいのだ!それではまたなのだ!感想もできれば欲しいのだ〜!