機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズofアストレイ   作:黒アライさん

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こんにちわなのだ!黒アライさんなのだ!最近、ブラックアストレアが好きなのだ!というかGNソードが大好きなのだ!そういう武装も欲しいなあ…おっと、それではどうぞなのだ!


タービンズ

ーーハーフビーク級戦艦ーー

 

マクギリス「…君が、アイン・ダルトン三尉か」

 

アイン「ハッ!」

 

マクギリスは鉄華団との戦闘が終わってからしばらくしたのち、鉄華団の初陣の時から参戦していたアインに、彼らの情報を聞き出していた

 

マクギリス「君達がクリュセ郊外において、民間組織と交戦したことは知っている。君らの中隊は、圧倒的戦力を持って制圧するつもりだったが、その予定が狂った。それは敵のモビルスーツのせいか?」

 

アイン「…ハッ!そうであります!」

 

マクギリス「率直な意見が聞きたい。奴ら二機のモビルスーツの戦い方はどうだった?」

 

アインはその問いに、少し訂正を加える

 

アイン「マクギリス特務監査。その情報に、一つ付け加える事が…」

 

マクギリス「?なにかね?」

 

アインは歯軋りしながら答える

 

アイン「…あの二機のモビルスーツのうち、一機は、元は我らの味方でした」

 

マクギリス「…何?どういう事だ」

 

マクギリスはあの二機のうち一機が味方という言葉に少し驚いたが、理由を聞く。

 

アイン「…あの、特殊な粒子を放つ機体ですが、元はコーラル閣下が、個人的に雇っていた傭兵なのです」

 

マクギリス「傭兵…その傭兵の名は?」

 

アイン「確か、閣下は鈴付き、と呼んでおられました。それ以外は、なにも…」

 

マクギリス「鈴付き…か。聞いたことはある。確かほとんどのことが謎に包まれており、何者なのか、なぜ傭兵をやっているのか、そもそも男なのか女なのかもわからない謎に満ちた傭兵だと。しかし…乗っていたのは若い女の子だったが…本当にあの子が?」

 

マクギリスの質問に、アインは力強く頷く。

 

アイン「はい。謎に満ちた少女ですが、その身に纏う雰囲気は子供の出すものではありませんでした」

 

アインはそう言い、クランクと共にあの少女と話していたことをそのままマクギリスに伝えた。

 

 

マクギリス「…なるほど、その少女…ユーリ・アルレイズだったか。急にクランク二尉の決闘についていきたいと言い、君達の言い分など聞きもせず、そのままクランク二尉について行ったと」

 

アイン「はい…おそらく、その時点で裏切りを計画していたのでしょう…!クランク二尉が討たれたのもきっと、その薄汚い傭兵に騙し討ちにあったのでしょう。そうに違いありません!」

 

アインは裏切りにあったからクランクが討たれたのだと言った。裏切りにさえ合わなければクランクが死ぬことはなかったと言いたいのだろう。しかし現実は非常かな、クランクの決闘時にはユーリは手を出していなかったのだ…

 

マクギリス「そうか…まあ、その子は後々対策を練るとして、問題なのは、その圧倒的戦力があったにも関わらず、制圧できなかったと、それは向こうのモビルスーツが原因になったことは予想できる。その原因を詳しく知りたい。何故だ?」

 

いくら向こうにモビルスーツがあろうと、こちらは三機、そして貧弱ながらもモビルワーカーだっていたのだ。それが数少ないモビルスーツ、しかも子供の乗っているものにしてやられたのだ。マクギリスは怒るでもなく、ただ知りたいことを知りたいだけと思わせるような声色で問う

 

アイン「…最初は小さな民兵組織が、モビルスーツを持っていたことに驚きました。しかし、すぐにそれは別の驚きによって上書きされました」

 

マクギリス「…どんな?」

 

アイン「…機動力、反射速度、訓練にはない独特の動き。まるで熟練パイロットのような動きでした。それらを駆使した怒涛の攻めにより、我々は辛くも敗れたのです…」

 

マクギリス「…そうか」

 

マクギリスは予想していた答えとほとんど同じ答えがでてきたのか、その話をきくと、アインからの情報収集をやめた

 

マクギリス「ご苦労だったな。下がっていいぞ」

 

アイン「…監査官殿!不躾ながらもお願いがあります!」

 

アインは急にマクギリスの前で叫ぶ

 

マクギリス「…なんだ?」

 

アイン「自分が不甲斐ないばかりに、上官を2度も失いました…なのに、このままのうのうと火星勤務に戻っては、先に逝った上官殿達に顔向けできません!願わくば、追撃部隊の一員に加えて頂きたく!」

 

アインは力強くそう言った。彼の初陣は、敬愛する上官の死に終わり、宇宙での戦闘も、子供のようにあしらわれて終わり…相手にすらされていなかった。このまま大人しく帰ることはできないと、その言葉を聞いたマクギリスは、どうこうするでもなく言った

 

マクギリス「…気持ちはわかった。考慮しよう」

 

アイン「!あ、ありがとうございます!」

 

マクギリス「指示はおってだそう。今日はもう下がりたまえ」

 

アイン「ハッ!」

 

アインはそういうと、敬礼し、退室した

 

マクギリス「…鈴付き…ユーリ…ガンダム…わからないことだらけだな」

 

マクギリスは笑みを浮かべながら一人そう呟いた

 

 

 

ーーイサリビ 食堂ーー

 

カキカキ…サラサラ…

 

三日月「…」

 

タカキ「…」

 

ヘンリー「…」

 

ヘルガー「…」

 

三日月達はクーデリアとユーリからそれぞれ一つずつダブレットを渡され、字の練習をしていた。ちなみに、ヘンリー・ヘルガーは双子の兄弟であり、クーデリアが授業をやると聞いて駆けつけてきた

 

クーデリア「まず、自分の名前を書けるようにしましょう。丁寧に、しっかりとね」

 

クーデリアは優しく笑いながら全員に言った。

 

ヘンリー「クーデリア先生!見てよコレ!上手く書けたっしょ!?」

 

ヘンリーは張り切りながらクーデリアに自分の書いた字を見せる

 

クーデリア「…そうね、うん。とても上手だわ!」

 

ヘンリー「!っしゃあ!」

 

ヘンリーはガッツポーズをとり、大袈裟にはしゃいだ。しかし、そのすぐ近くからちょっとした唸り声が聞こえる。三日月であった。

 

三日月「…んぅ」

 

その唸り声が気になったのか、ヘルガーが三日月のダブレットを見ると、笑いを吹き出した。

 

ヘルガー「ブフォッ!wちょ、三日月さん!」

 

三日月「なに?なんかおかしい?」

 

三日月はライドに聞くが、その隙にユーリからダブレットを取られる

 

ユーリ「…三日月、これ、左右反対になってるところが二箇所ある」

 

三日月「え」

 

三日月はユーリからダブレットを返してもらい、自分の書いた字を見ると、確かに二箇所ほど逆に書いていた文字があった

 

三日月「…あ、そっか、俺も何かおかしいと思ってたんだ」

 

ユーリ「精進あるのみ…頑張って、三日月」

 

ハロ「オマエモナ!」

 

ユーリはハロを抱え、そういいながら三日月の対面に座る

 

ヘンリー「三日月さんって、仕事ん時はすっげぇのに、字はヘタクソだな!」

 

ヘルガー「字のうまさだったら、俺三日月さんに勝てるかも!?」

 

タカキ「ヘンリー!ヘルガー!やめないか!人にだって得手不得手はあるんだぞ!?CGSの時とは違うんだ!俺たちが、いつまでも何もできないままだったら、鉄華団の重りになるんだぞ!?」

 

タカキは調子にのるヘンリー兄弟を注意していた

 

ヘンリー・ヘルガー「「へ、へ〜い…」」

 

ヘンリー達は大人しく自分の席に戻った

 

クーデリア「…厳しいんですね」

 

三日月「タカキは小さい子達のまとめ役だからね。俺たちに追いつこうって頑張ってるんだよ」

 

三日月はそう言いながら字を描き続ける

 

 

オルガ「…フッ…」

 

 

オルガは部屋の入り口で、三日月達の様子をしばらく見たのち、笑みを浮かべながら去っていった

 

 

 

ユーリ「…オルガ?」

 

 

 

ーーイサリビ 廊下ーー

 

オルガ「…」

 

コッコッ…

 

オルガは抜け出してきたブリッジに戻ろうとしていた。

 

「おいおい!はやくしろよ!」

 

「ちょ、まてっての!」

 

ダダダダ!

 

ドスッ!

 

オルガ「…おっと」

 

鉄華団少年兵「あ、団長!」

 

オルガは目の前を走ってくる小さな子供達とぶつかった

 

オルガ「おいおい、気ィ付けて走れよ?」

 

鉄華団少年兵「すいません!団長!」

 

オルガ「あぁ、ほら、急いでんだろ?行きな」

 

鉄華団少年兵「あ、そうでした!すいません!団長!」

 

鉄華団少年兵はオルガに礼と謝罪を済ませると再び走っていった

 

タッタッタッ…

 

ビスケット「…オルガ」

 

オルガ「ビスケット?」

 

すると、今度はビスケットがやってきた

 

ビスケット「ちょっと話があるんだけど、いいかな」

 

 

 

 

 

ーーイサリビ ブリッジ付近ーー

 

ビスケット「やっぱり、いくらユーリのツテがあったとしても、ユージンの言った通り、不安定要素が多すぎる。テイワズはあまりにも強大だ。素直に交渉にのってくれるとは思えないよ」

 

オルガ「ならどうする?」

 

オルガはその否定の声を聞くとビスケットに聞いた

 

ビスケット「…僕にはわからないよ。でも、もっとじっくり考えてから「考えたさ」…」

 

オルガ「…考えた上で選んだ。もうこれ以上、俺たちが地球に行ける方法はない。なら、あとは運に任せて、突っ走るだけだ」

 

オルガは当たり前のようにそう言った。今の自分には、これぐらいしかできないのだというように…

 

ビスケット「…正直、今回の仕事は鉄華団には荷が重すぎる…ただでさえ、僕らは仕事の経験すらないのに…」

 

オルガ「だったらなんだ?お嬢様をギャラルホルンに潔く引き渡せってのか?」

 

オルガは怒っているわけでもなく、ただ本当に聞きたいだけと言うような声で言った

 

ビスケット「それができないのはわかってる。でも、何も俺たちがする必要はないんじゃないかって思うんだ。例えば、他の会社に委託するとか…」

 

オルガ「いいやダメだ。それじゃ筋が通らねえ。やると決めたからには進むだけだ」

 

その言葉を聞いたビスケットは、オルガを諫めるように言う

 

ビスケット「オルガは焦りすぎてるよ。僕にはわざと、危険な道に突っ込んでるような感じがするんだ…」

 

オルガ「…かもな」

 

ビスケット「え」

 

オルガ「…お前の言う事は、間違っちゃいねぇよ」

 

オルガは静かにそう言った。だがそれを聞いたビスケットは真剣に問う。

 

ビスケット「どうしてさ!?何故そんなに前に進む事にこだわる!?」

 

オルガ「見られてるからだ」

 

ビスケット「…は?」

 

オルガ「…振り返るとそこに、いつもあいつの目がある」

 

ビスケット「…あいつ?」

 

オルガは疑問だらけのビスケットに告げる

 

オルガ「凄えよミカは…強くて…クールで度胸もある。初めてであるモビルスーツを、経験の長いユーリと互角にやりあえる程に操れる。その上読み書きまで…」

 

ビスケット「…」

 

オルガ「そのミカの目が俺に聞いてくるんだ…オルガ、次はどうする?なにをすればいい?次はどんなワクワクすることをみせてくれるんだ?ってな…あの目は、裏切られねぇ。あの目に映る俺は、いつだって粋がってて、カッコいいオルガ・イツカじゃねえといけねぇんだ…」

 

ビスケット「…そっか」

 

ビスケットはそういうと、静かに別の場所に去っていった

 

オルガ「…フゥ…」

 

「ここにいたんだ」

 

オルガ「!!」

 

ユーリ「…」

 

声がかけられた方をみると、そこにはユーリがいた。

 

ユーリ「さっき、見てたよね?」

 

オルガ「…なんだ、バレちまってたか」

 

ユーリはそのオルガの声を聞きながらオルガの側に寄る。

 

オルガ「…どうしたんだ?いつもは万全の状態で行けるようにって、休んでるじゃねぇか。それが教師なんてしててよ」

 

ユーリ「別に…頼まれたからしてるだけ」

 

ユーリは窓に映る広大な宇宙を見ながらそういう。しかし、オルガはとんでもないことを言う

 

オルガ「…お前ってさ、ミカが好きなのか?」

 

ゴトンッ!

 

ハロ「グエッ…」

 

ユーリ「………は?」

 

ユーリはとんでもない言葉を聞き、思わず抱えていたハロを落とした

 

オルガ「いやだってよ、お前って、ほとんどミカと一緒の時が多いじゃねぇか。そういう気持ちでももってんのかなって気になってよ」

 

オルガはユーリに向かってそう付け加えるが、ユーリの耳には入らず、ずっと唸っていた

 

ユーリ(…三日月を?…私が?…)

 

ユーリ(…)

 

オルガ「…なんか、悪かったな。こんなこと、おいそれと他人に話せるような「ないな」…あ?」

 

ユーリ「うん、ない。確かに好きか嫌いかと言われれば好きな方だけど、家族としてに過ぎない。私は、三日月に対して、そんな感情を抱いていないし、抱いたこともないし、そもそも誰かと恋愛をする気もない」

 

オルガ「お、おう…そうか…」

 

オルガは早口でそういうユーリに気圧されながら返事した

 

オルガ「…しかし、だとしたらもったいねぇよ」

 

ユーリ「?なにが?」

 

オルガ「お前、結構可愛らしい見た目してんのによ」

 

オルガはユーリに向かってほぼ無意識にそう言ったが、ユーリは…

 

ユーリ「…オルガ、もしかして口説いてる?」

 

オルガ「へ?あ、いや、そんなつもりはなかったんだ。気に触ったなら謝る。すまなかった…」

 

オルガは咄嗟にユーリに謝罪した。ユーリはそれをみると、再び視線を宇宙に向けた

 

ユーリ「…私は、戦士。戦う者…。私は、戦うことでしか、自分の存在意義を見出せない。だから、恋愛なんてできない。そんな感情も、捨てた」

 

ユーリは宇宙を見ながらそう答える。彼女はまだ14という幼い少女でありながら、モビルスーツを操り、人を殺せる度胸を持っている。それは生半可なことじゃない。きっと、恋愛感情を捨てたというのも本当のことなのだろう。しかし、オルガには一つの疑問が浮かびあかった

 

オルガ「…なぁ、ユーリ」

 

ユーリ「?」

 

オルガ「そもそも、なんでお前戦うんだよ。戦う必要があるのか?」

 

ユーリ「…」

 

オルガの問いはもっともである。戦士であるから感情を押し殺す。ならばそんなことなどやめてしまえばいいだろうにとオルガはおもった。しかし、ユーリは黙秘する

 

オルガ「…言いたくないなら別にいいけどよ、でも覚えとけ」

 

ユーリ「…?」

 

オルガ「お前は、もう鉄華団の一員なんだ。だから、団長である俺が、命に変えても絶対に守る…いや、俺だけじゃねえ…この鉄華団にいる全員がだ。無理に戦場に出なくたっていいんだ」

 

オルガはユーリの深い深海のような深蒼の目を見ながらそう告げる。だが、ユーリはそれをきくと、オルガの目を真っ向から見返して言う。

 

ユーリ「断る」

 

オルガ「え?」

 

驚くオルガを傍目にユーリは言葉を続ける

 

ユーリ「オルガは、酷い人だ。命に変えても守ってやるだなんて…それは、私よりも先に死ぬと、私よりも先に、鉄華団は消えると、わたしの目の前で告げるのと同じ…」

 

ユーリは怒りを込めた目でオルガを見つめ、叫ぶ

 

ユーリ「そんなの、絶対に嫌!認めない!私は、もう2度と、あんな感情を味わいたくはないの!私にとって鉄華団は、ありのままの私でいられる唯一の場所であり、家族のいる家なんだ!それを失って生きるぐらいなら…」

 

ユーリ「私は、鉄華団の為に戦って死にたい!」

 

オルガ「!」

 

オルガは怒りに我を忘れながら叫ぶユーリを初めて目の当たりにし、何も言えなかった

 

ユーリ「…オルガ、貴方こそ覚えておいて。私は、守られるだけの存在じゃない。もう既に、私の両手は紅黒い血で穢れてるんだ…今更、普通の女として生きるなんてできない。なら、この命、鉄華団のために捧げる…私は、鉄華団に入った時から、鉄の華とともにそう刻んだのだから…」

 

ユーリは、背中に紅い鉄の華が大きく刻まれている黒いロングコートを羽織りながら、オルガの元を離れようとすると…

 

 

ビーッ!ビーッ!

 

オルガ「!?」

 

ユーリ「!?」

 

突如としてイサリビの全艦内にサイレンが鳴り響く

 

 

 

ーーイサリビ ブリッジーー

 

プシュー…

 

オルガ「フミタン!状況は!?」

 

オルガはユーリと共にブリッジに入り、状況を問う。

 

フミタン「謎の艦から停止信号が出ております」

 

オルガ「艦…?一体どこの…!?」

 

ユージン「わからねぇ!ギャラルホルンじゃねぇのか!?」

 

ビスケット「にしてはエイハブウェーブの波長が違う!一体どこから…!」

 

ビスケットがそう言った途端、ブリッジのメインモニターから、鉄華団の少年達にとっては因縁のある顔が出てきた

 

「ガキ共ォ!俺の艦を返せェ!」

 

ユージン「なっ!?」

 

ビスケット「あれは!」

 

オルガ「マルバ・アーゲイ!?」

 

ユーリ「…誰?」

 

それは、CGS時代の社長、マルバ・アーゲイであった

 

マルバ「この泥棒ネズミどもが!俺のウィルを!今すぐ返せェェ!」

 

プツッ…

 

ユーリ「…お前も、鉄華団を侮辱するの…?」

 

ユーリの頭からなにかの切れた音がすると、画面越しに半端無い殺気が溢れてくる。

 

マルバ「な、なんだこのメスガキは!?…いいや、それよりもオルガだ!テメェ!さっさとその艦から降りろォ!」

 

マルバは騒ぎまくるが、ユージンが叫ぶ。

 

ユージン「黙って聞いてりゃ好き勝手いいやがって!!一番最初に逃げ出した腰抜けがぁ!!今更テメェなんぞに用はな「誰だテメェ!オルガだ!オルガを出せぇっ!」…うっせんだよ!!」

 

ビスケット「アドモスさん、LCSの信号、解析できますか?」

 

ビスケットはユージンがマルバを止めている間に、向こうの艦の場所をあぶりだそうとしていた

 

フミタン「相対座標、モニターに出します」

 

フミタンがそう言うと、イサリビの座標とマルバの艦の座標がメインモニターに映し出される

 

フミタン「方位180度、距離6200、相対速度、ほぼ一致しています」

 

ビスケット「マズい…!完全に後ろを取られてる…!

 

チャド「けど、エイハブウェーブの反応は無かったぞ!?」

 

ビスケット「一体どうやって…」

 

ビスケットやユージンが焦り出す。その中でユーリが一人呟く

 

ユーリ「…そういうのが得意って事…面倒極まりない…」

 

ユーリ(…でも、何か引っかかる…なにか、私はこの状況を知ってる?…)

 

ユーリがそう言っていると、急にマルバがモニターから退かされた

 

マルバ「!?ちょ、旦那ぁ!なにを…」

 

???「ちょっとどいてな、おっさん。これじゃ話が進まねえ」

 

ユーリ「…!!」

 

そこには、ユーリにとって、懐かしい顔が出てきた

 

???「このままじゃねえなにも始まらな…あん?なんか…どっかで見たことある顔してんなあ、そこの可愛い子ちゃん」

 

オルガ「…?ユーリ、知り合いか?」

 

オルガがユーリの名をだすと、その謎の男が驚く

 

???「…ユーリ?って…まさか、ユーリ・アルレイズか!?」

 

ユーリ「…久しぶり、名瀬さん…」

 

ユージン「…おいおい、どういうことだよユーリ?」

 

ユージンがユーリに尋ねると、ユーリは手短に話す

 

ユーリ「名瀬・タービン。テイワズの直下組織、タービンズのリーダー」

 

ビスケット「タービンズ…ってテイワズの直下組織!?」

 

名瀬と呼ばれた男は、ユーリが自分の知っているユーリであることがわかると、嬉しがった

 

名瀬「おいおいおい!お前生きてたのか!心配したぞ!?…ってか、なんでお前がそこにいんだよ!雇われたのか?」

 

ユーリ「違う」

 

ユーリは名瀬の言葉を否定した。

 

ユーリ「私は雇われたんじゃ無い。私は…鉄華団に入った」

 

名瀬「鉄華団?なんだそりゃ…どこの組織「旦那!そんなメスガキなんて放って、問題は俺の艦ですよ!」

 

マルバ「おいこらオルガ!いいから俺の艦を「おっさん」…ヒッ…」

 

名瀬「俺はいま、《家族》と話してんだ。邪魔しないでくれよ」

 

オルガ「…!!家族…!?」

 

オルガはユーリを見るが、ユーリはじっと画面越しの名瀬を見つめる

 

名瀬はマルバをどかすと、自己紹介を始めた

 

名瀬「やあやあ皆の諸君。まだ自己紹介をしてなかったな。俺は名瀬・タービンってんだ。テイワズの直下組織、タービンズを取り仕切ってる。そっちは?」

 

オルガ「…鉄華団のオルガ・イツカだ」

 

オルガは冷静にそういうが、隣にいるビスケットは焦っていた

 

ビスケット「…名瀬っていうと、テイワズの頭領、マクマード・バリスタンと親子の杯を交わしている人だ…!マズいよ、最悪の展開だ…!テイワズまで敵に回したら終わってしまう…!」

 

ビスケットは冷や汗をかきながら名瀬をみていた

 

名瀬「おいおい、男同士でヒソヒソと…仲良いなぁお前ら」

 

オルガ「…悪りぃ、んで、そんなお方が、なんでマルバなんて乗せてんだ?」

 

名瀬「そのことなんだがよ、なんでも、マルバの会社がギャラルホルンに襲撃されたっていうじゃねぇか?俺はその時に逃げてる途中のマルバに出会ってよ、仕事の付き合いもあったし、手助けしてやってたんだよ。でなぁ?その報酬が、マルバの持つ資産をうちが預かるって約束だったんだが…調べてみたらCGSは廃業。全ての遺産は鉄華団とかいう組織に移譲されてるじゃねえか…おまけに、ユーリと一緒にいるなんてな」

 

名瀬はユーリをチラリと見るとそう言った

 

オルガ「…つまりなんだ、アンタは俺らから受け取るべきものを受け取りにきたと?」

 

名瀬「そう構えなさんな。ギャラルホルンとの戦闘はこの目で見させてもらった…見覚えのあるガンダム・フレームが一機いたと思えば、ユーリがいたんなら納得だ、しかし、それだけの実力じゃねえ。もう一機のガンダム・フレームも中々の力を持ってる。資産の移譲を認めてくれれば、悪いようにはしねぇよ。なんせウチの可愛い家族が世話になってんだ。下手なことすりゃ嫌われちまう」

 

オルガ「…」

 

名瀬は笑みを浮かべながらそう言う。その言葉にオルガは黙って聞いていた

 

名瀬「ウチの傘下に入れば、もっと真っ当な仕事を紹介してやる命を貼る。必要が無い真っ当な仕事をな」

 

その言葉にユージンが疑問を浮かべる

 

ユージン「はぁ?なんだそりゃ…」

 

名瀬「ま、お前らも結構な大所帯だからな、全員一緒って訳にゃいかなぁが…」

 

オルガ「アンタ正気か?」

 

オルガはまるで向こうにはほとんど得がないような言葉に疑いの目を向ける

 

名瀬「嘘かどうかは、そこにいるウチの家族に聞けばわかる」

 

ユーリ「…」

 

ユーリはじっとしていたが、名瀬に話されると、体をピクッと震わせた

 

ビスケット「…大丈夫?ユーリ…」

 

ビスケットは様子のおかしいユーリの肩を持つ。が、ユーリは大丈夫と言うと、名瀬の言葉を肯定する

 

ユーリ「…名瀬さんは、仕事以外には嘘をつかない。私も、一時期引き取ってくれたことがある」

 

しかしその言葉を聞いた名瀬は言葉を付け加える

 

名瀬「一時期じゃねえ。これからもだ。ユーリ、お前が何故うちを何も言わずに抜けたのかは知らないが、優しいお前のことだ…それなりの理由があるんだろう?どうだ、こっちに来ないか?雇われてるってんなら、その仕事は俺たちが受け持つからよ、な?」

 

名瀬はまるでユーリの父親のように優しく言った。しかし…

 

ユーリ「ごめんなさい、名瀬さん。私はもう、鉄華団の一員だから…」

 

ユーリは震えながらもそう答えた。それを見たオルガが言葉を挟む

 

オルガ「悪りぃが、アンタの要件は飲めねぇ。俺たちは既に受け持ってる仕事がある。途中で投げ出すわけにゃいかねえ」

 

名瀬「…ほぉ?」

 

名瀬はオルガを見つめるが、このままではいけないと思ったビスケットが話す。

 

ビスケット「あの!少しよろしいでしょうか?」

 

名瀬「ん?なんだ?丸いの」

 

ビスケット「ビスケット・グリフォンといいます。いまこの場で、鉄華団として、タービンズと取引をすることはできませんか?」

 

ユージン「はぁ!?おま、なにを!?」

 

ユージンはビスケットに意義をとなえるが、ビスケットは構わずに言う

 

ビスケット「僕達鉄華団は、火星独立の重要人物、クーデリアさんを地球まで送り届けたいんです!しかし、この仕事を続けるには、ギャラルホルンの目を避け、地球までの裏ルートを進む為の案内人が必要になります。タービンズは、テイワズの輸送部門を管理してるんですよね?その航路をつかわせてもらえませんか!?」

 

ビスケットは頭を下げ、言葉を続ける

 

ビスケット「もちろん、相応の通行料はお支払いします!」

 

ビスケットは機嫌を損ねないように話すが、名瀬の一言により、状況がかわる

 

名瀬「駄目だな、話にならん」

 

ビスケット「…!な、何故です?貴方達にとってもそんなに悪い話じゃ…」

 

名瀬「火事場泥棒で組織乗っ取っただけのガキが一丁前な口を聞くな!いいか?おれはなぁ、さっきから道理の話をしてんだよ」

 

しかし、ユージンがその言葉に黙っていなかった

 

ユージン「俺らを見殺しにしたそいつとは取引しといて、それを言うのかよ!」

 

ユージンは啖呵を切るが、名瀬は冷静に聞き返す

 

名瀬「なら聞くがよ、お前らどうするつもりなんだ?ガキじゃねえってんなら、俺らを敵に回すことの意味ぐらいわかんだろ?」

 

テイワズの直下組織であるタービンズを敵に回すということはそれすなわちテイワズも敵に回すことと同じである。ギャラルホルンとテイワズに狙われようものなら、鉄華団はあっという間に潰されるであろう。

 

数秒間沈黙した後、その言葉にオルガが答える

 

オルガ「さっきも言った通りだ。アンタの要求は飲めねぇ。アンタの道理がなんだろうが、俺たちにも通さなきゃいけねえ筋ってもんがある」

 

名瀬「…そりゃあ、俺たちと戦りあうって意味でいいんだよなあ?」

 

オルガ「ああ、俺たちがただのガキじゃねえってところ、教えてやるよ!」

 

オルガは啖呵を切ったが、名瀬は冷酷に告げる

 

名瀬「お前ら、生意気な代償は高くつくぞ…」

 

プツッ…

 

そう言って回線が途切れた。

 

 

 

 

 

ーー強襲装甲艦 ハンマーヘッド ブリッジーー

 

名瀬「悪いな、アミダ。結局こうなっちまった」

 

アミダ「いいんだよ、やんちゃする子供を叱ってやるのは大人の役目さ」

 

アミダと呼ばれたその女性は、名瀬にそう言う

 

アミダ「…しかし、それにしても、あの大人しいユーリちゃんがあそこまで言うなんてね…」

 

名瀬「ホントだよ…鉄華団の一員だから、か…チクショウ、妬けちまうぜ…なぁアミダ、悪いが…」

 

アミダ「わかってるよ、ユーリはなるべく傷つけずに捕縛、ね?」

 

名瀬「…ほんっと、いい女だよ、お前は」

 

名瀬はそう言い、目の前にいるイサリビに不敵な笑みを浮かべた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…はい!如何でしたか?なのだ!今回ちょっと長くなったのだ…しかし、次回も頑張って書いていくのだ!それでは次回も読んでくださいなのだー!

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