機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズofアストレイ 作:黒アライさん
もう読んでる人がいるかはわからないけど、新規で読み始める人のためにに更新し続けて行くのだ!それではどうぞなのだ!
ーー木星 コングロマリット テイワズ代表邸宅ーー
名瀬「この先にいるのは圏外圏で一番恐ろしい男だ。わかってると思うが…くれぐれも、失礼のねぇようにな?」
名瀬はそういいながら鉄華団の数人のメンバーを一通り見渡した。一応、見た限りでは服装などもギリギリ問題はなかったようだ
ユージン「…」キュッ…
ビスケット「…ふぅ」
しかし、それでもテイワズのトップに会うというプレッシャーは、少年達の心に重くのしかかり、ユージンはシャツが変になっていないか確かめ、ビスケットは頭にかぶっていた帽子を外した。
ユーリ「…緊張…する」
三日月「そう?」
かくいうユーリも、普段の彼女からは珍しく、ソワソワしながらオルガの隣に立つ。三日月は相変わらずどうこうするわけでもなく、ただぼーっと突っ立っていた。
オルガ「…そういやユーリ。お前、テイワズのトップには会ったことないのか?」
ユーリ「ただの傭兵に会う理由なんて、向こうにはない…私自身も、テイワズのトップに会う理由もなかったし、あの時は、そんなに興味なかったから…」
オルガ「そうだったのか。…なら、正真正銘、俺たちの中で誰も知らねえ傑物に会いにいくってわけか…」
オルガはそう言うと、冷や汗を描いた。今までは様々な情報をもとに、なんとかその場凌ぎで苦難を乗り越えてきたが、今回は相手が大きすぎるが故に、一つの行動選択を間違えるだけでオルガ達の、ひいては鉄華団の行末が簡単に消える事が充分にあり得るのだ。
名瀬「…久しぶりだな、お前ら」
名瀬が話しかけたのは、テイワズ代表邸宅の門番をしているのであろう黒ずくめのスーツを着こなしている2人の男であった
門番「お久しぶりです、タービン様。失礼ですが、本日のご用件は?」
名瀬「あぁ…親父に会いにきた」
名瀬が帽子を脱ぎながらそう答えると、黒ずくめの男は、静かに頷いた。すると、門番の後ろにある鉄柵の扉が開いた
ガラガラガラ…
名瀬「さぁ、行くか」
名瀬の後ろ姿を追いながら、鉄華団はそれぞれの思いを胸に、進んでいく…
ーーテイワズ 代表室ーー
ガチャ…
???「…んん?」
枝切りバサミを持った大柄の老人が、突如開いた自室の扉を見た。そこには、自分の息子と呼べる仲の部下と、見知らぬ少年少女達が後ろにいた。
???「おぉ、来たか。名瀬」
名瀬「お久しぶりです、親父」
名瀬が親父と呼んだその男は、間違いなく、このテイワズの代表であるマクマード・バリスタンであった
………
マクマード「…なるほどなぁ、お前らが…話は聞いてるぜ。…フッ、いい面構えしてんじゃねぇか。おーい、客人に菓子でも出してやれ。クリームたっぷりのな」
黒ずくめの男「へい」
マクマードは鉄華団の少年少女達をみると、ひとまずは機嫌良さそうに、黒ずくめの男に鉄華団に向けて菓子を出すよう頼んだ。
ビスケット(あれが…テイワズの代表、マクマード・バリスタン…)
ユージン(…なんか、イメージと違くね…?)
しかし、鉄華団の少年達は、自らが想像していた人物とは、とてもとは言わないが、だいぶ違かったので軽く混乱していた。だが、そんな心情を、マクマードは知るよしもなく、名瀬に話しかける
マクマード「んで名瀬よ、お前はどうしたいんだ?」
名瀬「こいつらは、デカいヤマを貼れる奴らだ。…俺は、こいつらと杯を交わしたいと思っている」
オルガ(!?え、杯って…!?)
ビスケット(そこまでしてくれるなんて…!)
名瀬は、マクマードに杯を交わしたいと言った、が、その言葉は鉄華団にとっても初耳のことだった。なんせ自分達のような小企業と協力してくれただけでもありがたいのに、兄弟の絆を誓ってくれることなど、普通は絶対にないことであるからだ
マクマード「ほぉ…お前が男相手にそこまでいうとはなぁ…珍しいこともあるもんだ」
マクマードは意外そうに名瀬を見つめるが、すぐに素の表情にもどる。
マクマード「まいいだろ。俺の元で義兄弟の杯を交わせばいい。タービンズと鉄華団は、晴れて兄弟分だ」
オルガ(…鉄華団と、タービンズが…兄弟分…!)
オルガは内心、上手く行きすぎている状況に興奮していたが、すぐに表情を治す。
マクマード「んで、感銘は?」
名瀬「五分でいい。俺たちに、上も下もねぇ」
名瀬の言葉に、マクマードは乾いた笑みをうかべる
マクマード「名瀬よ、お前が良くてもな、周りが許さんだろ。こいつらにゃ荷が重い…せめて、四分六にしておけ」
オルガ「…」
マクマードの言葉はごもっともだ。それには同意するが、まるで自分達の力が甘く見られているようで、オルガは内心複雑だった…
ーーハンマーヘッド モビルスーツ格納庫ーー
バシュゥン…
ガコン!
ラフタ「もぉーー!あいつしつこずぎるっての!!」
ラフタはまたも汗だくの状況でモビルスーツのコクピットから出てきた。どうやら昭弘のシミュレーションにまた付き合わされていたらしい
ラフタ「ほんとタフなんだから…夜の名瀬が手ぬるく感じちゃう…」
ガコォン!
昭弘「ハァッ…ハァッ…」
昭弘も上半身裸になっている状態でコクピットから体半分出したまま伸びていた。が、昭弘はすぐにラフタの方へ向き、叫ぶ。
昭弘「…もう一戦、頼むっ!」
ラフタ「ゲッ…勘弁して…」
ラフタはジュース片手に昭弘の言葉を聞いたが、もう昭弘のその言葉だけでいつもの元気なラフタとは思えない程の疲れた声でそう呟いた
ーーハンマーヘッド 食堂ーー
アジー「悪いね、手伝って貰ってさ」
アトラ「いいんです、いろんな料理覚えたいし」
アトラはアジーと共に、鉄華団とタービンズの食事を作っていた。
すると、鉄華団の少年兵がアトラに尋ねる
少年兵「なあアトラ。なんでオルガさん達について行かなかったの?」
アトラ「え?」
急に聞かれたことに少し呆けていたが、隣のもう1人の少年兵が代わりに言った。
少年兵「女だからだろ?女は弱いから、連れてっても邪魔になるし「ガシッ!」痛っ!?ちょっ、痛い痛い!!」
アジー「もっかい言ってみなぁ?」
アジーが後ろから少年兵の頭を両手で掴みこめかみをグリグリと押す。
少年兵「すいません!もう言いませんからぁ!」
少年兵は半泣きになりながら謝り出す。それを見て苦笑いになっていたアトラだが、すぐに別の少年兵から聞かれる。
少年兵「でもさ、クーデリアは女なのに、ついていってたよ?」
アトラ「…ぁ」
アトラはその言葉に、小さく返事するしかなかった。クーデリアは鉄華団とタービンズにとって、かけがえのない重要人物なのだ。故に彼らについて行くことは道理にかなっている。いるのだが…
アジー「…どうでもいいだろそんなこと。ほら、あんた達も手伝いな」
少年兵「ちぇっ…はーい」
アトラ「…」
頭ではわかっていても、何も出来ない自分の無力感が、アトラは嫌という程感じていた。
それからしばらくして…
コトッ…
アトラ「ふぅ…」
アトラはその後、いつまでも暗い気分で仕事をしていても仕方ないと割り切り、料理が出来てからも食堂の掃除などをしていた。
すると…
「…何を、悩んでいるんだい?」
アトラ「ふぇ?…あ、えっと、確か…」
アミダ「アミダだよ、アミダ・アルカ」
アミダは食堂の入口の扉にうっかかりながらそう答えた
アトラ「えっと、すみません…」
アミダ「いいんだよ。会ってまだ日が浅いしね。コーヒーひとつ貰えるかい?」
アトラ「あ、はい!」
アトラはパタパタと調理場に行く。
アトラは厨房に置いてあるインスタントコーヒーをとると、先程の料理で余っていたお湯をカップに注ぎ、そのコーヒーを加えて混ぜていく。
そうしてできあがったものを、トコトコと歩きながらアミダに渡しに行った
コトッ…
アトラ「はい、どうぞ」
アトラはそうして出来上がったコーヒーをアミダの目の前に置いた。
アミダ「ありがとう、すまないね。忙しいだろうに」
少しばかり申し訳ないように笑うと、アトラはそんなことないと言わんばかりに話した
アトラ「いえいえ!このコーヒーも、元はタービンズの人達がくれたものだって聞いたし、そんな、全然…」
アミダ「…フッ…」
アミダは少し笑うと、カップをほんの少し揺らしたあと、コーヒーを飲んだ。
そして、本題に入り始めた。
アミダ「それで、一体何を悩んでいるんだい?」
アトラ「!!」ビクッ!
急に尋ねられたことか、はたまたその質問の意図に対して何かあるのか、恐らくはどっちでもあるだろう驚きが、アトラを襲った
アトラ「…悩んでいるように、見えますか?」
アトラは後ろにいるアミダには振り向かず、後ろ向きの体勢でそう返した。
アミダ「あぁ、見えるよ。私だって女さ…それに、この艦の中では結構年上の部類だしね。同じ女の悩みなんて、いくらでも予想つくさ…」
そこで一旦区切ると、意味深そうな笑みを浮かべながら単刀直入に聞いた
アミダ「…男、だろう?」
アトラ「うぇっ!?」
アミダの言葉は、アトラの考えている悩みに見事的中した。その驚きのせいかちょっと情けない声を上げてしまった
アトラ「…うぅ…私、そんなわかりやすいですか?」
ほんの少し涙目になりながら、アミダに尋ねると、優しく言葉を返してくれた
アミダ「あぁ、あたしの中では、アンタは結構わかりやすい」
アミダ(アンタみたいに
アミダは心の中でそう思っていたが、アトラはそんなことは知る由もなく、少ししょんぼりとしていた
しかし、そんな中で、アミダは独り言のように語り出した
アミダ「…男の度量ってのはね…愛の量で決まるんだよ」
アトラ「…?愛の量、ですか?」
その言葉がいまいち分からなかったのか、アトラは聞き返した
その疑問をひとつずつ解消させるように、アミダはゆっくりと語る
アミダ「あぁ、男の中にはね、持っている愛がやたら多い奴がいるんだよ」
アミダ「そして、その男の愛は例え多くの女に分配されるようなことになっても、普通の男の愛なんかよりずっとでかくて…心も体も、真の心から満足できるのさ…」
アトラ「…はぁ…?」
まだよく理解できていないのか、アトラは少し曖昧な返事しか出来なかった
それを見たアミダは、なるべくわかりやすいような例えを探して、そして言った
アミダ「アンタはさ、ザラザラしたモロコシのパンを独占するのと、飛びっきりの極上の肉をみんなで味わうの、どっちがいい?」
ちょうどいいような例えを出してみたアミダだが、アトラから帰ってくる言葉は、少し予想外のものだった。
アトラ「私は…パン、ですかね?」
アミダ「…え?」
その予想外の言葉に、アミダはほんの少し沈黙した後、聞き返してしまった。
その様子で、アトラは自分がなにか間違った回答をしたのか、弁明するかのように話した
アトラ「あ、いや、ごめんなさい!…えっと、肉って本物のお肉、ですよね?」
アミダ「あぁ、そうだけど…」
アミダの言葉を聞いた後、アトラは少し恥ずかしそうに理由を話した
アトラ「えっと、私お肉食べたことなくて…高いですし、何より可哀想で…」
アトラ「あぁえと、それに、火星にいた頃に雇ってくれていた女将さんが焼くパンは、とっても美味しいんですよ!」
両手を繋いで嬉しそうに話すアトラを見て、アミダは思わず笑ってしまった
アミダ「フフッ…アンタならきっと良い奥さんになれるよ」
急に言われた褒め言葉に、少し驚いたが、それでも褒めてくれたことに対して嬉しさが勝り、アトラは素直に喜んだ
アトラ「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
アトラは深々と頭を下げたあと、頬の緩みきった表情でにやけながら掃除に移った
アミダ(そう…アンタはきっとじゃない。間違いなく良い奥さんになれる)
アミダ(男選びさえ間違えなければね…)
アミダは内心そう思いながら、残ったコーヒーを一気に飲み干すのだった
ーーギャラルホルン ハーフビーク級戦艦 ブリッジーー
マクギリス「あと3つ、アリアドネを辿ればもう地球だ」
ブリッジの艦長用の座席に座りながら、マクギリスはガエリオに現状を伝えた
ガエリオ「全く面倒な仕事だった…それに…」
ガエリオ「あの宇宙ネズミ共め…!」
腹の中が煮えくり返っているガエリオを、いつもどうりに諌めながら、マクギリスは鉄華団について話した
マクギリス「クーデリアを連れた鉄華団も、地球を目指しているだろうが、アリアドネラインを使わなれば、補足は難しい」
ガエリオ「フン…下賎な生き物程逃げ足は早い、か…」
未だに宇宙ネズミと呼ぶ鉄華団の少年少女達に上手くあしらわれたのが認められないのか、ガエリオは親友のマクギリスにも素っ気ない対応をしていた
しかし、マクギリスは余裕の表情で伝える
マクギリス「安心しろ、むざむざと逃がすつもりもないさ。その為に、裏の情報に詳しい者に探らせている」
ガエリオ「抜かりなし、か。流石だな、マクギリス特務監査…いや、もうこの名では呼べんな…地球に帰れば昇進が待ってる」
マクギリス「アルミリアとの婚約パーティもあるしな」
そこまで嬉しさを出すわけでもなく、全面的に冷静にマクギリスはそう言った。
彼にとって、軍での昇進は些細なことなのかもしれない。親友の妹との結婚も、マクギリスにとっては、取るに足らないことなのかもしれない…
ーーハーフビーク級戦艦内部ーー
ガエリオ「アルミリアねぇ…」
ガエリオ「自分の妹の事を言うのもなんだが、あんな幼い子供を許嫁にされるなんて…マクギリスも大変だな…」
ガエリオはため息をつきつつも、マクギリスの心情を察した。
いくら親同士が決めた婚約でも、齢8歳ぐらいの少女を許嫁にさせる軍の上層に、ガエリオはなんとも言えないため息を着くことしか出来なかった
そして、ついには考えるのも億劫になったのか、ガエリオは自分の後ろで静かに着いてきていたアインに尋ねた
ガエリオ「アイン、お前相手は居ないのか?」
急に自分に尋ねられたことが驚いたのか、少し反応が送れたがちゃんと答えた
アイン「相手…ですか。いえ、自分はそういう出会いとはあったこともありません」
ありのままの事をアインは伝えたが、ガエリオにとっては面白くなかったらしく、苦情を言われた
ガエリオ「お前はほんとにつまらん男だなぁ。せっかく部下にしてやったというのに…暇つぶしの会話のネタぐらいいくつか仕込んでおけよ?」
アイン「ハッ、申し訳ありません…」
アインは深々と謝罪をしたが、ガエリオはあまり気にもとめず、さっさと先に言ってしまった
アイン「……」
ゴソゴソ…
アインは懐からひとつのバッジを取りだした。それはギャラルホルンの兵士であることを示す勲章のようなものだった
しかし、それはアインのものではなく、かつて自分が一番尊敬していた上司であるクランクのものであった
アインは、彼が戦死する前に自分に話した言葉を思い出していた。
クランク「すまないな、アイン。俺はギャラルホルンの兵士であると共に、1人の子供の親でもあるのだ」
クランク「…許してくれとは言わん。これは俺の勝手な事情でやっている事だ。本来の兵士ならそんなものは真っ先に捨てなくてはならない…それでも」
クランク「…罪無き子供を殺すことなど…私にはできんのだ…」
アイン(ここまで自分達のことを考えてくれた人のことを、情け容赦もなく殺すなんて…)
アインは手にあるギャラルホルンのバッジを、力の限り握りしめた
アイン「罪の無い子供は殺せなくとも…」
アイン「罪のある子供なら、手にかけてもいいですよね…クランク二尉…」
そして、1人しかいないその空間で、ボソリと呟いた
ーー木星 コングロマリット テイワズ代表邸宅ーー
バリッ!
ムグムグ…
ユージン「う、うめぇ!!なんっじゃこりゃあ!?」
ユージンやオルガ、ビスケットに名瀬という4人組は、テイワズ代表宅の庭で、クリームのたっぷりとのった菓子パンを頬張りながら話していた
ビスケット「なんなんだろうね…クーデリアさんにだけに話って…」
ビスケットは不安そうにオルガに尋ねたが、名瀬が変わりに答えた
名瀬「親父は、とてつもなく恐ろしい人ではあるが、道理の通らないことはしないお方だ。それに、一応護衛役もつけたんだろ?」
オルガ「あ、はい」
オルガはオルガなりにクーデリアを守る為、テイワズに来る前から決めていた事前の護衛役を送らせていた
少しして名瀬が思い出したかのように伝えた
名瀬「あぁ、そうそう。お前らから引き取った諸々の鹵獲品に値が着いたぜ」
オルガ・ビスケット「!!」
オルガ達が数日前に名瀬に託していたギャラルホルン製の鹵獲品の売却を頼んでいたが、ちょっと前にそれの目処がたったらしい。
名瀬はタブレットを取りだし、売却した後の金額をオルガ達に見せた
名瀬「この金額でよけりゃあ請求を寄越してくれ」
オルガ「なっ!こんなに!?」
ビスケット「凄い!こんなに値が着くなんて!」
ユージン(…すげー、のか?数字がよく分からねー…)
各々がそれぞれの反応を見せていると、名瀬が得意そうに話してくれた
名瀬「鹵獲品の中でもグレイズのリアクターは高く売れたぜ。なんせ今エイハブリアクターを新規に作るのはギャラルホルンにしかできねーからなぁ」
厄災戦を過ぎてからは、文明が極端に衰弱したことと、ギャラルホルンが他の勢力に力を手に入れさせないために、モビルスーツの核となるエイハブリアクターの製造はギャラルホルンにしか出来なくなっていた
ビスケット「やったね!オルガ!これで少しは楽になるよ!」
ビスケットやユージンは素直に喜んでいたが、オルガは自分達だけではここまで上手くいかなかったことをよく分かっているため、目の前にいる名瀬に、心の限り礼を言った
オルガ「…その、ほんとに、何から何まで、恩に着ます…!…あ、兄貴…」
慣れない兄貴呼びに、オルガは少し言い淀んでしまったが、名瀬は笑いながら告げた
名瀬「その呼び方はまだ早いぜ?オルガ」
名瀬は手元においてあったコーヒーを1口飲んでからオルガ達言った
名瀬「いいか?歳星ってのは金さえあればどこでも楽しめる場所だ。それに、ずっと戦場と依頼で、ガキ共もストレスが溜まってるだろう?…少しぐらいは、息抜きさせてやれ」
20歳にもならない少年達が、大人顔負けの商売や戦場を駆け巡っているが、もちろんその分の心身のすり減り方も尋常ではない。たまには休ませることを提案した名瀬だが、オルガはとあることが気になり、尋ねた
オルガ「…そういうのって、カミさんたちにしてるんすか?」
名瀬「ん?」
オルガ「いや、ほら、家族サービスってやつをやってるのかなって…」
名瀬が家族にする事は、オルガにとってもこれからの団員に接する時に勉強になるため、オルガは家族との接し方について名瀬から見て学んでいた。
オルガは、鉄華団の団員が家族と思うようになって日は浅いが、それでも思いの強さは誰にも負けていなかった。
名瀬「あぁ、お前らは男ばかりだからいいだろうが、女ってのは適度にガス抜きしてやらねぇとすーぐ爆発しちまうからなぁ」
名瀬「ま、家長としては当然の事さ」
オルガ「…家長の…務め…」
必死に考えた。そして改めた。今までの自分は焦りすぎていたと…
俺達は一つ。誰も欠けちゃいけねぇ…だが、俺達のやった事は沢山の敵を作ってしまった…
そんな中で、誰も死なずに行ける…なんて甘い考えを持つのは団長として間違ってる…
それでも……
オルガ(願ってもいいよな…誰も死なずに、火星に帰って…適当に商売して、そんで…)
オルガ(宇宙ネズミの俺達皆が、バカみてぇに笑って生きていけるような、そんな世界になる事を…)
オルガ「…っし、兄貴の売ってくれたコイツの土産で、今夜はパーッといくか!」
オルガは立ち上がり、ユージンとビスケットの前でそう叫んだ
ユージン「うぉ!マジでか!!」
ビスケット「えぇ!?ちょっ、ちょっと待ってよオルガ!」
ユージンは素直に喜んだが、鉄華団の事務系統の役割を持つビスケットにとっては少しばかり不安になる事だった
ビスケット「これからのことを考えたら、現実に資金運営を「他の連中にも早く伝えてやんねぇとな!」…まぁたまにはいいか…」
ビスケットはため息一つついてはいたが、その顔は嫌がってはおらず、むしろ少し微笑んでいた
鉄華団はまだまだ立ち止まらない。たとえその先に絶望や、大切な者との別れがあったとしても、彼らは、鉄華団は、前に進み続けるのだ。
その先に、自分達の目指した世界があると信じて……
…はい!いかがでしたか?なのだ!今回はなんだかユーリや三日月の出番が少ない…で、でもでも!次回はちゃんと多くなってるし、もう描き始めているから今回みたいに更新が遅くなる事はないのだ!
それでは次回も読んでくれるとこを祈って!
ユーリ・三日月・オルガ「ご愛読、ありがとうございます!」
三日月「これでいいの?」
ユーリ「いいんじゃないかな」
オルガ「ま、次回も読んでくれる事を祈ってようぜ!」