機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズofアストレイ 作:黒アライさん
ーー木星 コングロマリット テイワズ代表邸宅ーー
マクマード「アンタが、火星独立運動家のお嬢さんか…時の人と会えて光栄だ」
マクマードの執務室の中で、クーデリアを前にして、その左右に三日月、ユーリがおり、マクマードはクーデリアに対して時代の変わり目の最先端にいる人という意味を込めて時の人と呼んだ
クーデリア「そんな、時の人だなんて…」
少しばかり照れ臭そうにしながらクーデリアは謙遜していた
マクマード「フゥ…そんで、お嬢さんは火星政策の再生策として、地球側が取りまとめていた火星のハーフメタル資源の規制解除を要求」
マクマード「火星での独自流通を実現するため、地球まで出向く、そいつで間違いないな?」
葉巻を吸いながら、現場を整理するため、マクマードはこれから鉄華団が成そうとしていることを簡単に述べた
クーデリア「あ、はい」
マクマード「そうか。うちで仕入れた情報じゃ、現アーブラウ市長である蒔苗は、本気でそいつを通そうとしているらしい」
その言葉を聞いたクーデリアは、驚きつつも素直に喜んだ
クーデリア「!ほ、本当ですか!」
しかし、その次にマクマードが放った言葉によって一気に表情が変わった
マクマード「下手すりゃ戦争になるな、これは」
クーデリア「…え?」
クーデリアには何故戦争に繋がるのかがよくわからず、聞き返してしまった
クーデリア「…戦争、ですか」
マクマード「あぁ。アンタの目的が叶った時、得するのは火星の奴らだけじゃない…利益を得ようとさまざまな組織が暗躍する」
マクマード「それこそ、どんな悪どい手を使ってもな」
その言葉に、クーデリアは固唾を飲んだ。今の敵戦力はギャラルホルンだけだが、その上に様々な企業を相手取ることになるのかと、不安になった。
そして、またさらに不安な火の粉をマクマードは巻いた。
マクマード「その上、この戦争は長引く。利権を勝ち取ったとして、その後の各組織間に軋轢が残るからなぁ」
クーデリア「…どうして」
クーデリアは半分絶望していた。火星を少しでもより良くするために今動いているのに、その目的が果たされたとしても、また新たな争いに火星を巻き込むことになってしまうからだ
フゥ…………
マグマードは葉巻の煙を吐きながら、そんな絶望を味わっているクーデリアに向けて一言言った
マクマード「お嬢さん、ここは一つ、テイワズを指名しちゃくれないか?」
クーデリア「え?」
マクマード「お嬢さんが直々に指名したという体を得られれば、当然様々な問題に関してはこっちがなんとかやれる」
マクマード「まぁ避けようもねえことももちろんあるだろうが…」
クーデリア「…それは…」
今までのマクマードの提案をもう一度頭の中で整理し、慎重に考えたあと、クーデリアは言いづらそうに言った
クーデリア「…もう少し、考えさせてもらえますか?」
マクマード「考える必要があるのか?」
しかし、マクマードはその言葉を許さない。鉄華団はいまやテイワズの傘下。その鉄華団が成そうとしていることはもちろんテイワズにも関係してくる
ならばそれを活かし、火星での経済面に手を出すことがテイワズにとっての利益が大きいと、マクマードは分かっていたが故に、クーデリアを逃しはしなかった
クーデリア「…っ…」
クーデリアはマクマードと目を合わせられなかった。こんな重要な事を、はいそうですかと簡単に決められるわけがない…
しかし、今の私達にとってテイワズの協力は必要不可欠。そのテイワズの頼みを断ることなどできるわけがない。
しかし、だからといってこのままでは火星は何も変わらない
クーデリアはその責任の重みから逃げるように、隣にいたユーリに目を合わせた。
しかし、ユーリは救いの手を持たなかった
ユーリ「これは、クーデリアが決める事だよ」
ただ静かに、ユーリはそう言い放った。
そして三日月が付け加える
三日月「どんな選択をしたって、どっちみち人は死ぬんだ。今までのことで分かってるだろ」
クーデリア「…それは…」
その言葉が、さらにクーデリアを締め付ける。
ユーリ「これは、多分私や三日月が最初に人を殺したのと同じ、クーデリアの…これからの全部を決めるような決断になる。だから…」
ユーリ「だからこれは、クーデリア自身が自分で決めなければ駄目…」
ユーリは淡々と、されど一切目を離さずにクーデリアに告げた
そこで、マクマードは何を思ったのか、先程のグイグイくるような意気込みはなくなり、急かすような事は言わなくなった
マクマード「ま、確かにそいつは一大事だな。いいだろう、少しばかり待つとしよう。しかし…」
マクマード「俺はもう老いぼれだ…そうそう長く待つことはできねぇ。なるべく早く決断する事を祈っている」
何とかこの場を切り抜けられたと思ったのか、クーデリアは安堵したかのように息を吐き、礼を言った
クーデリア「…ありがとうございます…今日は、これで…」
そう言ってクーデリアは頭を下げると、三日月とユーリを連れてマクマードの元から去ろうとした
その時、1人が呼び止められた
マクマード「そこのちっこいお嬢ちゃん。ちょっと待ちな」
ピタッ…
ユーリ「…」
急に呼び止められたユーリはピタリと動きを止め、マクマードの方へ顔だけを向けた。
その時、一緒に出ようとしたクーデリアが一瞬振り返ったが、三日月によって退室させられた
このマクマードの執務室で、2人きりの状況になったわけだ
ユーリ「…はい、なんですか?」
マクマード「名前、ユーリ・アルレイズで、間違いないな?」
マクマードは淡々とまずは名前だけを聞いた
ユーリ「…はい、そうです」
いつもの彼女には想像しづらい、緊張した表情でマクマードにそう言った
そして、その名前を聞いたマクマードは、神妙深そうな表情で話し始めた
マクマード「…そうか…アルレイズ、か…」
ユーリ「…?」
ユーリはなにかおかしいことでもあったのかと、先程の発言について色々考えていた。
その時、マグマードは独り言のように呟いた
マグマード「…お前、アメリアの娘っ子だろう?」
ユーリ「!!」
ユーリは驚いた。この場でなんの脈絡もないはずの両親の事が話題に出てきたのもあるが、なによりもテイワズのトップであるマクマード・バリスタンが、自分の両親と関係があるようなことを言ったのだから
ユーリ「…両親を、知ってるんですか?」
恐る恐る尋ねた。優しく接してくれる母以外、ユーリは何も知らない。父親の事は名前しか知らない。
少しでも両親のことが知れるならと、ユーリは聞いた
マクマード「両親、と言うよりかは母親の方だけだ」
マクマードは葉巻をグリグリと灰皿に押し付けると、淡々と言い出した
マクマード「アメリア・アルレイズ。かつてはよく依頼を頼んでいた仲だった…あいつは鈴付きとして名を広めちゃいたが、もうほとんどは、テイワズの一員のような立ち位置だったさ」
マクマード「まぁ余所者だから嫌われることも多々あったらしいが、それでもま、ウチの依頼ばかりを優先して受けてくれていたさ」
マクマード「…俺にとっても、あいつは信頼できる、数少ない味方でもあった」
マクマードはそこまで言うと、両手を組んで感慨深そうにユーリに言った
マクマード「…名瀬から聞いた。死んじまったんだってな…」
ユーリ「…」
別に怒るでも怒鳴るでもなく、ユーリはマクマードの言葉を待った
マグマード「…もうあいつが死んでから4年も経っているんだ。それに、傭兵なんてやってる身だ。綺麗な最期なんて迎えられるはずがないのは、あいつにも、俺にも、そして…お前も、分かっていたはずだ」
マクマード「だから、今更お前に何か言うつもりは無い…しかし」
マクマードはそこで区切ると、葉巻の火種をグリグリと潰しながら姿勢を正して、言った
マクマード「お前に、『会わせたい奴』がいる」
そう言うと、机の上にある固定電話から、とある人物に繋げた
ツー…ツー…
???「………んぅ……」
モゾモゾ……
とある暗い部屋の中、ベッドの上で毛布の中にうずくまる1人の者がいた
ガチャ…
???「……はい、もしもし……」
マクマード『…よう、俺だ。急で悪ぃが、お前に合わせたい奴がいる』
???「見返りは…?」
寝ぼけたような声でマクマードに向けて話していたが、マクマードの次の言葉で、完全に目が覚める
マクマード『見返りか…【お前の身内】に関係する情報が得られる…これでどうだ?』
???「……身内?……わかった、今すぐ行く。場所は?」
マクマード「俺の家の執務室だ」
プツッ……ツー…ツー…
そう言って謎の者は一方的に電話を切られた。
???「…俺の家の執務室って……アタシの部屋の2つ隣じゃん…」
マクマード「とまぁ、今呼んだところだ。なに、時間はかからねぇよ。この部屋の2つ隣の部屋にいつも寝泊まりしてんだ」
ユーリ「…そう、ですか…」
ユーリはマクマードからすぐ側にあった客専用のソファに座りながらココアを飲んでいた。
そして5分ぐらいが経過した後……
コンコン
マクマード「ん?あぁきたか……開いている、入れ」
???「失礼しますよ」
ガチャ……
マクマードの執務室の部屋をノックし、そして入ってきた人物は…
ユーリ「……へ?……」
ユーリ「……お母、さん?……」
???「……は?……んん?え、何この子。マクマードさんの隠し子?」
それは、髪型こそ違うが、ユーリと同じショートボブの髪型に、銀色の髪をたなびかせ、まるでユーリをそのまま大人にしたかのような女性がいた。
唯一違っていたのは、ユーリのように蒼眼ではなく、緋色の目をしていたことだった
チリンチリン……
ユーリ「……違う……他人なの?……でも、こんなに、似ている人は……それに、その鈴も……」
ユーリは軽く困惑状態になり、いつもの無表情が跡形もなく消え、代わりにカタカタと震えている
???「え、えぇ?な、何でこんな出会ったばかりの子に怖がられなきゃならないのよ……っていうか、キミどっかで見たような顔してんね……」
マクマード「まぁとりあえず、座れよ。このままじゃ話が進まん」
マクマードはそう言ってユーリの対面にあるソファを指した。
マクマード「ほら、お前も落ち着け」
ユーリ「……はい……」
ユーリの肩を軽く叩き、ソファに座らせた。
マクマード「そんじゃ早速、紹介しよう。こいつは、『レイリア・グランヴァルス』……お前の母親である、アメリア・アルレイズの、【双子の姉】だ」
ユーリ「……ふぇ?……えぇ!!?」
ユーリは一瞬マクマードの言った言葉の意味が呑み込めず、二度驚いていしまった。
赤いコートをはおり、ショートパンツを来ているこの女性が、自分の母親の、姉であるということに、ユーリは混乱してしまう
レイリア「……アメリアが、母親……ってことは、キミ、アメリアの娘?」
マクマード「まぁ、概ねそうだな。アメリアと同じように、鈴付きの名を冠した傭兵をやっていたが、今は鉄華団という企業に所属している」
レイリア「ふーん……そう、キミが……」
レイリアはそう言ってソファから立ち上がると、ユーリの目の前に来て、頭に着いている鈴付きのリボンを見た
ユーリ「……あ、あの…」
レイリア「……確かに、これはアメリアのリボンだ。本物とみて、間違いないようだね」
そう言うと、レイリアはユーリの隣に座った
マクマード「……まぁ、実の母親では無いにしろ、それに最も近い存在と出逢えたんだ。レイリア、お前の部屋に連れて行ってやれ。2人で話でもすればいい。俺はまだ仕事があるんでな」
マクマードはそう言って、椅子から立ち上がり、執務室から出ていった
レイリア「……」
ユーリ「……」
レイリア「……まぁ、とりあえず、おいで。案内するよ。すぐ近くだけど」
ユーリ「あ、はい…」
レイリアはユーリの手を取り、同じく執務室を後にした。
ギュッ……
ユーリ(……お母さんと、同じ手……でも、違う……)
ガチャ……
レイリア「さ、入って入って」
ユーリ「…失礼します」
ユーリはそう言ってレイリアの部屋に入った。
部屋の中は案外シンプルで、テレビと本棚。あとはテーブルとベッド、簡単なキッチンとバスルームがあるだけの質素な部屋だった。
レイリア「悪いね、何も無くて。……そうだ、お菓子でも食べる?……って言っても、携帯食料ぐらいしかないけどね」
そう言ってレイリアは、キッチンの棚の中にある携帯食料を取りだし、ユーリに渡した
レイリア「ん」
ユーリ「…どうも」
どう接していいか分からず、ユーリはぶっきらぼうに返事をしてしまった。しかし、レイリアは特に気分を損ねることもなかった
レイリア「どういたしまして。…さて、何を話そうか。聞きたいことがあるなら、先に聞いてあげるよ」
ユーリをベッドに座らせながら、自分も隣に座り、優しくそう言った
ユーリ「…じゃあ…」
ユーリ「レイリア、さんは、何者なんですか」
レイリア「何者、か。曖昧なようでどう答えたらいいのかなぁ…」
レイリアは悩む素振りをしながら、少し間を置いて、話し始めた、
レイリア「私は、というより、私達グランヴァルス家は、代々傭兵家業でね。私の妹…もとい、君の母親であるアメリアも、元はグランヴァルス家だから、傭兵として暮らしてたんだよ」
レイリア「君の名乗っている『鈴付き』って名前も、結構昔から私達が名乗ってるものだよ。名前の由来は知らないけど……まぁ、案外私達が着けてるこの鈴が関係してんのかもね」
レイリア「今度は、私個人の話。今の私の立場は、テイワズ専用の『鈴付き』って感じ?ほら、鈴付きの情報って限りなく少ないでしょ?あれってマクマードさんやテイワズの皆がもみ消してくれてるんだよ」
ゆっくり、伝わりやすいようにレイリアは話した。そして、今度はレイリアが質問してくる
レイリア「そんじゃ、今の私のことは簡単に説明したし、今度は君のことを聞かせて欲しいな」
ユーリ「…私のこと、ですか」
レイリア「うんうん。あぁそれと、その敬語やめていいよ?君敬語苦手なんじゃない?勘だけど」
ユーリ「…わかった。私は……」
ユーリは全て話した。自分達アルレイズ家は火星の移住区の隅っこで暮らしていたこと。父親のことは名前しか知らない事。母親が死んでからは傭兵としてテイワズにいたり、1人ですごしたりしていたこと。
そして…
今の鉄華団に出会ったことも。
レイリアは口を挟まず、ただ静かに聞いていた。ユーリが話し終わると、レイリアは満足したように頷いた
レイリア「そっか。わかった。でも、一つだけ聞きたいことがあるの」
ユーリ「…?」
ユーリは何を聞かれるのか考えたが、聞かれたことは単純なものだった
レイリア「…アメリア、元気にしてた?」
ユーリ「……それは…」
ユーリはどう答えたらいいのか、分からなかった。最後にアメリアと話したのは、もう随分前の話であるし、アメリアは常にユーリの前では笑顔だったので、彼女の本心など、ユーリにとっては分からなかった
ユーリ「…多分、元気、だったと思う…」
絶対にそうだと言い切る自信がなく、断片的な答えになってしまったが、レイリアは特に不思議がることもなかった
レイリア「そう。…まぁ別にいいんだ。ちょっとした興味本意なだけだし」
ユーリ「…え?」
ユーリはレイリアの言葉に、逆に不思議になった。自分の家族のことなのに、自分の妹が死んだのに、何故そんなに素っ気ない態度なのかと。
その思いを、レイリアは察したのか、ひとりでに話した
レイリア「…さっきも言ったでしょ?私達は根っからの傭兵家業。真っ当に死ねることなんて絶対にない。だから、私達姉妹は、親が死んでも涙ひとつ流さないし、その姉妹が死んでも、私達は悲しまない」
レイリア「全部、分かってたことだから」
レイリアは淡々とそう言い放った。眉ひとつ動かさず、なんの感情の変化もなかった
ユーリ「…それは、違う」
レイリア「ん?……違うって、何が?」
けれどもユーリはそれを否定した。それが意外だったのか、レイリアは思わず聞き返してしまった
ユーリ「悲しまないわけが無い。私だって、元傭兵だから、貴方の言っていること、分からないわけじゃない。分からないわけじゃないけど…でも、だからって、自分の大切な家族をなくして、平然と居られるほど、人間は便利にできてない」
ユーリ「私も、幼い頃から色んなことをお母さんから教えられた。それは、私が傭兵という、安全とは程遠い世界に生きているから。だから私はすぐにわかった。貴方の言う通り、真っ当に生きることも、死ぬ事も出来ない事を…それでも!」
ユーリ「それでも私は、お母さんが死んだ時は、とても、とてもとても、悲しかった。悲しくて、苦しかった。いっぱい泣いた。叫んだ。例え分かっていたことでも、理解なんてできなかった。……貴方も、そうだったはず。私より長い間生きている貴方なら、お母さんと長く一緒にいた貴方なら、私より悲しかったはず。苦しかったはずだ」
ユーリは、辛そうに話した。それでも貴方のその言葉は違うと、貴方を嘘を言っていると否定する為に、ユーリは何も考えずに、ただ思ったことをそのまま言った
それを静かに聞いていたレイリアは、何一つ表情を変えずに言った
レイリア「そっか、君は苦しかったんだ。悲しかったんだ。幸せ者だね、あの子も…。まぁ、君の言うこともよく分かるよ」
レイリア「でもさ、それって君の価値観でしょ?」
ユーリ「…ぇ」
ユーリはレイリアの言った言葉がよく理解できず、曖昧な返事になったが、レイリアはユーリから一切目をそらさずに話す
レイリア「君がアメリアをどう思おうが勝手だよ。でもそれは私も同じ。私は本当に悲しくなんてなかったよ。苦しくなんてなかったよ。ただ私がアメリアに感じたのは…」
レイリア「家族なんて邪魔なものを持つから、そうやって早死にするんだよってことかな?」
ユーリ「ッ!!」
ガタッ!!
レイリア「うわっ!…と」
ユーリはその言葉を聞いた瞬間、頭の中で何かが切れた。
懐からナイフを1本だしてレイリアを押し倒し、馬乗りになった状態で、レイリアの首にナイフを押し当てた。
ユーリ「…訂正しろ…さっきの言葉、今すぐにっ!!」
ユーリは、初めて…いや、久しぶりに感じた、『憎悪』と『殺意』いう感情に身を任せてそう言った。殺意はともかく、これほどまでに相手を憎んだのは、三日月達鉄華団を侮辱された時、そして…母親を失った時。
そんな殺意に満ちた表情で叫ぶユーリだが、レイリアはそんなことなど関係ないようにヘラヘラと笑っている
レイリア「あっはは!へ〜やるぅ〜。流石、腐っても傭兵ですって?………でもさ」
レイリア「調子に乗んないで」
ドスッ!
ユーリ「い”っ!?」
レイリアはコートの袖から、仕込み武器のようにナイフ取りだし、ユーリの太ももに突き刺した。そして、
レイリア「よっと」
ドゴッ!
ユーリ「かはっ!?」
怯んだ隙にユーリのナイフを持つ手を取り、そして腹に膝蹴りを入れたあと、ベッドから投げ飛ばした
ユーリ「……ハァッ…ハァッ…痛っ…」
レイリア「子供にしちゃよくやるけど、まだ経験が足りないなぁ…まぁ、私に挑むにはまだ早かったってことだよ」
レイリアはうずくまるユーリの前にしゃがみ、頭を撫でながらそう言い放った
ユーリ「っ…このっ!!」
バッ!
レイリア「はいはい、あんま動かないのっと」
ユーリは負けじとその場でナイフを振ったが、さすがにうずくまっている状態ではどうにも出来ず、片手で軽々と止められてしまう。
レイリア「あんま動くと、血の流れがはやくなって、その太ももから失血死しちゃうよ?」
ユーリ「……っ…」
ユーリはとても悔しそうに、レイリアは睨むが、あいもかわらずレイリアはヘラヘラとしている
レイリア「あはは、まだやる気ー?……でもダメ、これ以上は殺し合いになっちゃう」
レイリア「私は人を殺すことに何も感じないけど、依頼されてもいない者を自ら殺すことはしないよ。まぁ逆を言えば」
レイリア「依頼されれば君でも殺すってことだけど」
そう言ってレイリアはふところから携帯電話を取りだし、誰かに電話したかと思うと、すぐ側にある本棚の隣に置いてあった箱から、包帯を取りだし、ユーリの太ももに服の上から巻き付け、止血した。
ユーリ「…なんで」
レイリア「だーかーらー、私は君を殺したいわけじゃないの!逆に殺したらマクマードさんに怒られちゃう。それに、君たち鉄華団とテイワズは、もう仲間でしょ?なら、仲良くしていこーよ。ね?」
先程まで刃物を使った取っ組み合いしたとは思えない程無邪気に笑う彼女に、ユーリは初めて、『恐怖』というものを感じた
それを察したのかそうじゃないのかは知らないが、レイリアは立ち上がり、部屋を出ようと扉に手をかけた
レイリア「もうすぐで誰か来るから、手当してもらいな。あぁそれと…」
レイリア「次は無いよ?」
ユーリ「…っ…!!」
レイリアがそう言った瞬間、一瞬だけ身を凍らせるほどの殺意がユーリを襲った。
ユーリはおびただしいほどの冷や汗を流し、ただ身体を震わせながら見返すことしか出来なかった
レイリア「フフフッ…早く大人になりなよ?じゃないと、君は奪われるだけだ」
レイリアは振り向きつつ、光の無い紅黒い目をむけながら美しく微笑んでそう言い、部屋を出ていった……。
レイリア・グランヴァルス
身長 174cm
服装 袖なしのセーターを着ており、その上にコートをはおり、結構際どいショートパンツを着て、ニーソックスとちょっと長いブーツを履いている
性格 基本的に友好的な性格だが、意外と腹黒い
詳細
傭兵家業であるグランヴァルス家に双子の姉妹が産まれてから、彼女達はひたすら訓練しかしなかった。互いに互いを鍛え合い、切磋琢磨していたが、ある日、妹のアメリアが恋人と駆け落ちしてしまい、彼女は1人でグランヴァルス家にいた。やがて両親も死に、彼女が世界に出る頃には、彼女は傭兵として、暗殺者としては完璧であったが、ある意味『壊れていた』。様々な企業に雇ってもらい、色んなところを転々としていたが、テイワズにその腕を買われ、破格の給料と衣食住の提供により、レイリアはテイワズでしばらくの間専用の傭兵となることを決めた。以降、テイワズの様々な障害を、文字通り消している。