「ヨナ、次の試験はこれをお願い。」
「なんだよこれ。明らかに大会用じゃないだろ。」
「あんたには知らなくてもいい事よ。」
「どこに売るつもりだ。アナハイムか、ドイツか、それともどこぞのテロリストか。」
「知らなくてもいいって言ってるでしょ!」
ミシェルが本気で怒ったのは久しぶりだった。いつもイライラしてはいるがここまで起こるのは殆ど無い。おそらく相当やばい物なのだろう。
「悪かったよ。だけどこれ、Gもすごいだろ。プロペラントブースター4機って。これ、人間が使うもんじゃないだろ。」
「それは資料にある特殊スーツを使うわ。
これならGにも耐えられるはずよ。」
資料にあったスーツは分厚く重そうな見た目をしていた。酷く不格好でとても興業向けとは言えない。さらにヤバそうな匂いがした。
「あんたなら使えるでしょ。NT-Dを扱えたあんたなら。」
「ゲホッ、ゲホッ。」
「やはりこのレベルのGだと人体に負担がかかりますね。」
「サイコスーツの改良が必要ね。このままでは使い物にならないわ。」
「そうですね。ラボに連絡をしておきましょう。」
「お願いね。」
「ミシェル…あんなのに人を乗せるつもりなのか…?」
「当然よ。私達に必要な物なの。絶対に完成させなくてはいないわ。完成するまで付き合ってもらうわよ。」
「このままだと、完成するまえに俺が死ぬぞ。」
「あの程度で死ぬ程やわじゃないでしょ。」
「それでも死ぬ程つらいんだよ。」
「なら一つだけ教えてあげる。あの装備はリタを探すためのものよ。」
「リタを探す…だって?」
「正確にはフェネクスを捕まえるための物よ。」
「それで、そんなに必死だったのか。」
「ええ、これからも付き合ってもらうわよ。」
「ああ。」
「分かってる…分かってるさ。ミシェル…」
「ヨナ先生。起きてください。ヨナ先生。
起きてください。ヨナ先生!」
「あっ。すみません。山田先生。少し眠ってしまっていて。」
「もう、もうすぐ臨海学校なんですから早く仕事を済ませてくださいね。」
「すみません、分かってます。」
あの時は酷かった。毎日のように試験をさせられて、毎日の様に吐いていた。
だがリタのためと思えば不思議と苦とは思わなかった。そして、3か月前にA装備が完成したと連絡があった。そのすぐ後にに日本に行けと言われた事も思い出した。今にして思えば完成したから日本に向かわされたのだろうか。
「でも、未だリタへの手掛かりはないに等しい。だけどここにいれば何か分かるかもしれない。」
だから頑張ろう。とりあえず今は臨海学校の書類を片付けなくては。
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