生徒達の歓声が聞こえる。
臨海学園の日中の生徒監督を任された時はやる気は起きなかったがこの暑い日に日陰で休んでいられるのは僥倖だった。ただ、惜しむらくは
「なんでここにいるんだミシェル。」
「あら、バカンスよバカンス。」
「バカンスに2tトラックは使わないだろ。」
旅館には似合わないトラックが何故か止まっていた。ペイントも巧妙にごまかしてあったがあれはルオ商会が極秘の時に使うペイントだ。
「あら、バレた?とある筋から情報が入ったのよ。貴方のお披露目にちょうどいい機会だろうって。」
「お披露目?なんか起こるのか?」
「兎が動いた。」
「なんだって!?じゃあ…」
「ええ、十九八九ロクな事にならない。」
「何をするつもりなんだ…?」
「多分もうすぐよ。」
「はぁ?」
すると旅館の方で轟音がした。
「なんだ!あれ!?」
「来たわね。」
「まさか…」
「兎よ。」
本当に兎…篠ノ之束だった。
彼女の話をそのまま信じるなら妹である箒に専用機を届けに来たらしいがロクな事にはならなそうだ。
「あっ、そこの君。ちょっと来てくれないかな?」
「俺ですか。」
「うん、そうだよ〜。」
何故俺が呼ばれる。彼女は興味がある人物としか話さないらしいが。
「君とは一度会っておきたかったんだ〜。あのガンダムのパイロットである君とは。」
何故それを知っている。いや、この兎に聞いても意味はない。なら…
「何か用ですか?もしかして俺のガンダムも暴走させますか。フェネクスの時みたいに。」
「あー、君も見てたんだ。アレ。それとは関係ないよ。でも君もいた方が都合がいいと思っただけだよ。後は見てみたかったんだよね〜、ニュータイプってやつに。」
ニュータイプ?なんだそれは。
「はぁ。」
「うん。もう大丈夫だよ。なんとなく分かったし。じゃあがんばってね〜。」
頑張る?何かあるのか?
「専用機持ちは全員集合!教員は一般生徒の避難を頼む!」
何があった。あの織斑先生があそこまで険しい表情をするなんて。
「ハワイで試験中だった新型が暴走したのよ。今こっちに向かって飛んできてる。」
「なら、俺も旅館までの誘導をしないと。」
「ヨナ。あんたはこっち。」
「ミシェル!?俺は生徒の誘導が…」
「あたしがなんで2tトラックでこんな所に来たと思ってるの。あんたも出撃するのよ。」
「まさか…」
「ええ、A装備でね。」
「束さん。ヨナ先生が言ってたフェネクスってなんですか?」
「ん〜いっくんなら話しても大丈夫かな。
一年くらいまえに何個かの企業に渡したISの事だよ〜。その一つが暴走してね。」
「それがフェネクスだと…」
「そうだよ〜。ルオ商会のテストパイロットは適性があったみたいでね〜。あれは束さんも予想外だったよ〜。まさか一発目で見つかるなんて思ってなかったから。」
「探してたのがニュータイプってやつですか。」
「そうだね〜。」
「じゃあニュータイプってなんですか。」
「それはあそこにいる女に聞けばいいよ。これを渡せば教えてくれるはずだから。」
USBを放ってきた。
「ありがとうございます。束さん。」
「こんなことするのいっくんくらいだからね〜。じゃあがんばってね。」
「はい!」