何故って? 自分でもまだかまだかとそわそわする。
12月“日
昨夜、高町なのはちゃん達と犯人達の戦いを見届けた後、見付からないように帰宅した。ただしはんちゃんの家だよ。忍者一家のせいか、はんちゃんのお父さん(中学生ぐらい若い)とお母さん(ボッ、キュッ、ボンのお姉さん)は夜中出歩いてても何も言わない。前にシアちゃんが尋ねると『何かしてるんだろう? 身を守れるなら何も言わない』って返した。はんちゃん曰く、アレは全部知ってるらしい。忍者の耳は壁の耳だった。
そしてはんちゃんは僕が集めた情報からシアちゃんと作った探知機で改めて捜索を始めた。この日は見付からなかったけど代わりに高町なのはちゃんの様子を見に行った。おじさんと同じように魔力を奪われた筈なのにもう歩き回ってた。あとフェイトちゃんが海鳴市に引っ越ししてきたそうだ。それを聞いたシアちゃんはしゃいでたよ。そしてフェイトちゃんの様子を見て来てってはんちゃんにせがんでた。無表情で「無理でござる」って返事しながらも肩を揺さぶられる光景はよくドラマで見る光景だった。ヴェヌスは笑ってたけど。
12月+日
今日はおじさんのお見舞いに行ったついでにこの前の戦闘の事を伝えた。頭を抱えたけどなんか僕らの行動は予想していたみたいで起こることはしなかったよ。代わりにわかった事を教えてくれって言われた。
お医者さんや看護師さんが気を使って病室からいなくなった後で映像とかを見せた。ポニーテールのお姉さんがおじさんを襲った事はこの時に確認できた。ただおじさん、集めた情報を見てたらちょっと固まったけど何か心当たりがあったのかも知れない。何を教えてくれなかったけど。その後で管理局がこっちに来ている事、と言うよりシアちゃんがフェイトちゃんが来ている事に興奮して話していた事におじさんは困惑していた。その上でありがとうってシアちゃんの頭を撫でた。
12月!日
あと数日でおじさんも退院が出来るって聞いてから1日。少し落とし穴やら隠し扉やら隠し武器庫がたくさんあるはんちゃんの家のお世話になるのも終わりそう、なんて思うとちょっと寂しい気もする。と、女の子の家が名残惜しいって男の子的にどうなんだろう?そんな事を学校で思った今日、あと宿題でクリスマスについて調べましょうってのが出た。来週までの期間だけど早めに題材を決めようと帰りに風芽丘図書館で本を借りようと思った。ただはんちゃんは探索に、シアちゃんは魔法の練習をしたいから1人で行くことになった。ああ、ヴェヌスと一心同体だから1人じゃないか。
そんな事を考えながら図書館に来て本を探していると、あのポニーテールの女の人がいたよ。その事をはんちゃん達に怒られた。解せぬ。
12月!日
「すみません」
天吹は恐れも躊躇いもなく、その女性に声を掛けた。
「? なん、で、しょう……」
それに反応して女性――シグナムは振り返り、そして目を見開いた。彼女が見下ろしているのは目元を隠した髪の長い男の子。それは先週ほど魔力を蒐集した男性が言っていた子供の1人と特徴が一致していた。
「もしかしておじさんを助けてくれた人ですか?」
そしてそれを天吹自身で証明していた。
まさかの邂逅にシグナムは内心、動揺していたが決して顔には出さなかった。人違い、と言えばいいのだがわざわざ自分に声を掛けたのだからある程度の確信があったのだろうし、何より自分は誤魔化す事は苦手だった。
「……それは11月の終わり頃か?」
「うん」
「なら私だな。ちょっと待っててくれ」
正直に答え、いったん待たせるとシグナムは友人と楽しく話す主に声を掛ける。
「お話中、すみません」
「ん、どないしたん?」
「実は知り合いの子供に会いまして。少し話したいのですがよろしいでしょうか?」
「そうなん。別にエエよ」
「ありがとうございます」
許可を貰うとすぐに天吹の元へ戻る。天吹も素直に待っていたがその裏ではヴェヌスが隠蔽を念入りにしていた。
「少し離れた場所で話そう」
「はい」
天吹は先に移動するシグナムに付いていく。
その間、シグナムは天吹が魔導師か否か確認していた。が、ヴェヌスのおかげで魔力を感知されず念話すら受信しない。これによりシグナムは天吹をリンカーコアを持たない子供と判断する。そして少し離れたスペースに来るとシグナムは天吹と再び向き合い、先に門灯を始めた。
「あの人は今、どうしてる?」
「まだ入院してるけどもうすぐ退院できるって。おじさん、感謝したいなって言ってたよ」
「そうか」
天吹が言っているのは本当だった。シグナムからすれば約束を守ってくれている事に対する礼だと理解するが、それを受け取る資格が自分にはないと皮肉を抱く。
「おじさん、と呼んでいるが親戚なのか?」
「ううん。両親のお友達。今はおじさんが保護者になってくれてるの。あとシアちゃんって子も一緒の3人だよ」
「保護者?」
両親の友達が保護者。その事からある事実を察する。あの時、忠が言っていた『預かっている』とはそういう事だと。
「すまない。哀しい事を思い出せてしまったようだ」
「気にしないでいいよ。寂しいことはないから」
「そうか。そう言えばシアと言う子もいると言ったな。せっかくだから見せて貰うことは出来るか?」
「うん、ケータイに写真があるから」
天吹はなんて事のない感じにケータイを取り出し、写真の画面を映し出す。
「この子だよ」
「そう――」
それを見てシグナムは二度目の驚きを体験した。なぜならそこに移っていたのは忠と天吹、そしてシアと言うフェイト・テスタロッサに似た少女だったから。
「……その、この子もキミと似た境遇なのか?」
「うん。でも元気で明るい子だよ。生き別れた妹がいるみたいで、いつかその子と会いたいっていつも言ってる」
「そうか、生き別れの……」
「あとこれでもシアちゃん、11歳の五年生だよ」
「何?」
妹と聞いて他人のそら似と思ったが年齢を聞くとその考えはひっくり返る。つまりはこのシアという少女とフェイトは実の姉妹だと。
対し、天吹はなんて事なくしていたがヴェヌスはフェイトにアリシアの事が伝わる可能性を抱いていた。
『(マスター、アリシアの事を伝えていいんですか?)』
『(でも生き別れって伝えたから大丈夫じゃない? それにシアちゃんが遭遇して襲われるかも知れないし)』
『(アリシアなら逃走するだけの実力はありますから心配はないと思いますが)」』『(あ、そうなの)』
余計なお世話だったかな? と天吹はちょっと反省した。
「もういい?」
「ああ、ありがとう」
「気にしないで。ねぇ、おじさんが退院したら会ってくれない? おじさんもお礼が言いたいと思うから」
「そうか。だがすまない。少々忙しくてな。しばらく都合が付かないんだ」
「そうなの?」
シグナムの言う忙しいは魔力蒐集の事だ。それはヴェヌスも予想して天吹に呟いている。それを聞いても天吹にとっては会えないのかと思う程度だった。
「じゃあ機会があったら」
「そうしてくれ。話はもういいか?」
「うん」
「そうか。おじさんを大事にするんだぞ」
「うん。じゃあね」
「ああ」
シグナムは天吹を横切るように主の所へ歩き始め、天吹は手を振りながら彼女を見送った。そしてその後。
「あ、連絡先聞いてない」
うっかりしたなと、天吹は反省した。しかし彼はこの後、2人の少女から大いに説教される事を知らない。
阪奈の両親は、見た目的にはおねショタ夫婦。実は阪奈は父親に似ず、母親のように成長したいと願っている。
そして天吹はとうとう原作の主要キャラとの遭遇。ホント、ソワソワする流れになってこれからが楽しみ。