夜空を見上げていたら   作:Celtmyth

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 ここに来て明確に日付を表記しました。
 正しいけど、すっごく違和感を抱きます。


12月の日記・23日≠『見つめる先は・前』

12月23日

 

 ここ最近は何事もなく、なのはちゃんや守護騎士さん達も地球で戦う事がない。そもそもリンカーコアを持ってる魔導師はそういないし、魔法生物が全くいないから仕方が無いかもしれないけど。そうなるとはんちゃんとシアちゃんの模擬戦が一番新らしい記憶かな。結局、引き分けで終わったんだよね。そんな2人を背負って帰りました。

 それはそれとして明日はクリスマス・イブでその次の日はクリスマスだ。こんな状況でもシアちゃんはクリスマスパーティーの準備に余念が無い。と言っても僕もおじさんも派手なのは好きじゃないからクリスマスツリーの飾りと二段ケーキやらチキンなんかの確保を頑張ってる。ちゃんと僕とおじさんも手伝ったよ。そして僕もプレゼント交換用のプレゼントを用意しておく。いつもならはんちゃんに上げるけどシアちゃんもいて3人になるからちゃんと考えた。クッキーやチョコレートは美味しいけど今年は色々あった年だから置物がいいと思って、ちょっと高いけどガラスで出来た花の置物を買った。女の子でも受けそうだし万が一に僕に当たっても大丈夫そうだったし。

 あれ? これってフラグかな?

 

 

 

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12月24日

 

 終業式が終わった3人はいったん家に帰って鞄を置いて防寒着を改めてクリスマス・イブの街を歩いていた。ただそれだけだった。

 

「ん?」

 

 異変に気付いたのは天吹。阪奈とアリシアがサンタの服について議論している所を離れて眺めていた所だった。

 

「(マスターッ!!)」

 

 その異変をヴェヌスが後押しした事で天吹は飛ぶよう駆けて2人の手を握った。

 

「へ?」

「ぬ?」

 

 突然の事に2人から声が漏れたが気にせず天吹は隠して、と願う。それを叶えるべくヴェヌスは術式を組み上げて発動させる。

 その直後、3人を残して誰もいなくなった。

 

「えっ! 結界!?」

『はい。アリシアを取り込もうとしたので捕捉されないように隠蔽魔法を発動しています。ただマスターの手を放したら見付かりますので決してしないように』

「私? なんで!?」

「落ち着くでござる。状況はよくないようでござるからな」

「え?」

 

 手を繋いだままの3人が見上げた先には闇のような魔力が漂っていた。それは子供ながらも悪寒を感じるほどに。

 

「まずは離れるでござる。各自、装いを。――変身」

「わかった。――ミラクルチェンジ!」

「えっと」

【緊急事態と判断。バリアジャケットを発動します】

 

 3人はそれぞれ起動(トリガー)となる言葉が発せられるとバリアジャケットの装いへと変わる。

阪奈、アリシアは魔法の練習でよく身に纏っていたが天吹は今回が初めてであった。

 深い藍色――まるでジュエルシードと色合いを合わせたローブ。宗教的な刺繍が控えめにあり、そう動くことは考慮されていない。ただそれよりも目立つのは両目を覆ったアイマスク。こっちは黒で染まっているが真ん中にはジュエルシードを模した刺繍とそれを映えさせるデザインである。両目を覆っているが、視覚を遮っている訳ではない。そしてアイマスクは激しい移動で露わにあることを懸念した阪奈の意見を取り入れた結果だった。

 

「おおう」

「感心するのは後でござる。拙者が先導する故、2人は離さず付いてくるでござる」

「うん、わかった」

 

 急かすように阪奈が先に飛行する。手を繋がれたままだった3人は引っ張られるようにして移動を始めた。あの闇のような魔力から離れるように、しかし上へ上へと上昇していき遮る壁が少なくなっていく。そう誘導しているのはリーダー役のように振る舞ってきた阪奈だから他の2人も素直に引っ張られているのだが。

 そうして3人は他より高く聳えるビルの屋上で着陸した。

 

「ここなら大丈夫でござろう。天吹殿、遠視を映しだして欲しいでござる。場所は、恐らくあそこでござる」

「うん、わかった。ヴェヌス、2人に隠蔽魔法を掛けておいて」

【承知しました】

 

 天吹の両手からリング状の物が出現し、そのまま手が繋がれたままの2人へ移動していく。彼女たちの体を通ると光に覆われるように輝き、そのまま全身を包み込む。それを見届けた後で天吹は手を放し、そのまま両手を挙げる。

 

「見せて」

 

 短く告げると3人の前に画面が出現する。大きな画面には空を飛ぶ少女達の姿があり、そこにはなのはたちと銀髪の女性がいた。

 

「高町なのはちゃんだ」

「フェイト! アルフも!」

「ユーノ・スクライアもいるでござるな。しかし銀髪の婦人はともかく、相対していた守護騎士達がいないでござる」

 

 映し出された彼女たちを見てその名前が口にされるが、阪奈が言うとおり銀髪の女性は3人が知らない相手であり、そして対峙していたはずの守護騎士たちの姿がない。

 いまいち状況がわからずにいる3人。するとここで天吹の中からヴェヌスが出現する。

 

「ヴェヌス?」

「あの女性、おそらくは闇の書の管理プログラムかと思われます。映像を映し出す際にスキャンした所、古代ベルカ式の魔力パターンを認識しました。そして膨大なまでの魔力がある反面、それが暴走しそうに制御が乱れています」

()()()()()()()()()()

 

 ヴェヌスであれば間違いはないだろうと天吹は信じる。そうなれば、今はこの場は破滅のカウントダウンが近づいていると言う事である。その事実を認識し、真っ先に次の手を導き出したのは阪奈だった。

 

「ヴェヌス殿、ここから闇の書を細かく精査できるでござるか?」

「可能です。その理由は?」

「拙者達の立ち位置は傍観。天吹殿がいる事で高町なのはたちを含む管理局との接触は遠ざけていたからでござる。しかしこの状況であれば接触しても致し方ないでござる」

「えっ、じゃあフェイトを助けにいっていい!?」

「却下でござる」

「なんで!?」

 

 妹とようやく会えると思ったアリシアを阪奈は一刀両断する。

 

「アリシアを会わせるのはさすがに刺激が強すぎるでござろう。それに接触するはあくまで『これ以上の悪化を阻止する』場合でござる。今はまだ早いでござる」

「ん~、でもっ!」

「―――アリシア」

 

 理由はわかるが、それでも気持ちが抑えられないアリシア。しかし阪奈に改めて名前で呼ばれるとその熱は徐々に下がる。

 

「私だって貴女に身勝手なことで寂しい思いをさせているのはよくわかってる。そしてそうさせてるのが天吹の為だって理解してくれてるから感謝だってしてる。でもお願い、まだ待って欲しいの」

 

 アリシアを呼んで抑えたときから阪奈は標準の言葉を使っていた。それはつまり本気である事。だからアリシアも熱を押さえ込めたのだ。

 

「それに私、あの子達のことは信頼してるの」

「フェイトや、なのはちゃんのことを?」

「ええ。あれだけ芯の通った子たちならなんとか出来るかも知れない。そんな信頼がね」

 

 実際、少ないながらなのはとフェイトを見てきたのは阪奈だろう。そして忍者として少ない情報から人となりを観る力もある。その阪奈がそう断言した。

 それを聞いてもアリシアはまだ飛び出した気持ちが抑えきれない。だから阪奈の言葉

反芻する。彼女は天吹の事以外にも彼女たちのことを信頼しているからすぐには助けないと言った。なら自分は? 何を理由に足を留まらせるか? だったら、一緒でもいいじゃないかな、と。

 

「心配だけど、私も信じるよ。フェイトなら乗り越えるって」

「ありがとう。ごめんね、無理矢理納得させたようで」

「じゃあクリスマスケーキの一切れ譲ってね」

「高く付いたわね……」

 

 実は阪奈は和菓子より洋菓子が好みでであった。

 

「終わった?」

「ああうん。―――話はまとまったでござるよ。かの闇の書の者の精査、始めてくれでござる」

「うん。じゃあ守ってね。シアちゃんもお願い」

「もちろんでござる」

「頑張ってね天吹くん」

 

 2人がデバイスを手に持つのを確認すると天吹の視線は闇の書の管理プログラムを捉える。

以前、効果を継続させるには天吹自身が願い続ける事が必要だと言われていた。必要だと思われる物を願えばすぐに得られるが、その場合は天吹が願った分しか得られない。今回はその、天吹自身が気付きようのない物を得るために願い続ける。しかしその場合、無防備になるため阪奈とアリシアが護衛として備える。特に戦いの余波が来た際、天吹を引っ張って脱出させる要員が。

 

「貴女の奥底、見せてもらいます」

【――承認、実行します】

 

 自分の安全、いやヴェヌスが天吹の安全が確保されたと判断して行動に移す。

 遠くで戦うなのはたちの影で、天吹たちが深い場所を見始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――まるで海を潜っていくみたいだ。

 

 天吹の意識は彼がそう思うように、沈むようにあらゆる情報が周囲を通り過ぎていく。闇の書が過ごした記憶。そして闇の書の魔法と蒐集した魔法とそれらを扱う魔導師の情報。この時点でその量は膨大。通常であれば処理が追いつかずパンクするそれらを天吹はレコード・オブ・アルハザードの機能で処理していく。

 

 ――八神、はやてちゃん。

 

 それは闇の書の主であるはやての事も読み取ることとなった。しかも今彼女は闇の書に取り込まれている事から彼女の記憶も断片的に読み取った。ロストロギアに選ばれたこと。守護騎士と楽しく過ごした事。幼い頃に両親を失ったこと。

 

 ――似てる。

 

 境遇が自分に近いと天吹は思った。でも、自分と彼女は明らかに違う。似て非なる、そんな物。彼女は幸せを手に入れようとした。自分は、()()()()()()。その違い。

 そんな感傷をして天吹は更に闇の書の奥を覗いていく。深くなるにつれて空白の部分や殺伐とした記憶を読み取っていく。おそらくは過去の記録。断片となった記録や改悪の跡であるが、その経緯を知らない天吹はただ読み取るだけだった。

 そうして辿り着いたのは、闇の書の闇。これが原因かもしれないと注視する。あまりにも乱れたプログラムだったがそれでも読み取っていく。

あまりにも無残で、悪質で、救いようがない。多くがそう表するほどの闇の書の闇を、天吹きは、

 

 

 ――あぁ。

 

 ()()()()。故に彼は、この闇に関心を向けた。

 




 明日、後編を投稿します。
 明後日で、出会いとなります。

 その時のアンケート、してくれたら嬉しいです。
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