夜空を見上げていたら   作:Celtmyth

14 / 17
 

 後編です。あと1話ですね。
 あとその後で一度、文章を整理すると思います。


12月の日記・ 他筆 ≠『見つめる先は・後』

※日記帳の見返しに書かれた手記

 

 

 

 人の願い(しあわせ)とは何か?

 

 

 

 この世の中で人が人らしい幸福を得られる、なんて事は多くもなければ少なくはない。何が幸せで何が不幸なのかは、誰に定められない。いや、“これ”だと定める事は決してしてはいけないのかもしれない。

 挑戦と逃避。希望と絶望。正と負と別れながら人にとって心安まるのはそのどちらか。故に、“これ”という幸せは定められらないだろう。

 

 

 

 であればそれを見逃すか?

 

 

 

 しかし世の中、そんな勝手が流れてしまう事がないのが複雑な所だ。

 誰だって受け入れられない物だってある。親のしつけ、友達の趣味、同僚の価値観。それらは衝突し不和を呼ぶ。それから仲を戻すか壊すか当人達次第だ。流れに身を任せて幸せにも不幸にも、流れに逆らって幸せにも不幸にも、どちらに転び正しかったなど言えるわけがない。

 

 

 

 ならばどうすればいい?

 

 

 

 そんな不安を抱えるのは誰にでもある。そして答えは“知らない”だ。後悔しない選択をすればいいと言うが、それで納得出来るかなど難しい。未練だって残る。だから、幸せとは何かとは定められないだろう。

 それでももし、数々の困難と理不尽の先に幸せが手に入ったのなら、

 

 

 

 人はそれを、『奇跡』を呼ぶのだろう。それが例え神の気まぐれ(デウス・エクス・マキナ)であろうと。

 

 

 

 

2005/12/25 by Venus(ヴェヌス)

 

 

 

====================

 

 

 

12月24日

 

 戦いは一方的であった。闇の書はとてつもなく強大でなのは達の手は遠く及ばない。魔法は効かず、逆に蒐集された自分達の魔法を返される始末。抵抗は出来ても決定的は一撃はなく、アクシデントも加わり戦力は減る。

ユーノとアルフは巻き込まれた2人の少女を守るため、フェイトは闇の書の内部空間に閉じ込められて残ったのは高町なのは。しかして不屈の心持つ彼女は諦めない。1人でも立ち向かう。そして諦めていない少女はまだ2人いる。穏やかな夢に身を委ねることなく現実と向き合う。

 諦めない。それがこの未来をつかみ取った。

 

 

 

 

 

 戦場が海上へと移動した際に、天吹たちも離れすぎないように追い掛けた。闇の書の崩壊が始まっていたので所々には火柱が立ち上り、その内の1つに危うく巻き込まれそうになったがなんとか回避した。この時、天吹は未だに闇の書のスキャン作業をしていたために阪奈に運ばれる形で移動した。

 そうした仲、状況は一時的にだが静寂した。闇の書の防衛プログラムが切り離されて八神はやてと守護騎士達が現れた頃、天吹たちの所にも合流する者がいた。

 

「やっと会えたよ。まったく、この冬はどうも危険な場所にいるねぇ君たちは」

 

 結界の捕縛から逃れていた忠が現れた。複数のデバイスはもちろん、今回はしっかりとバリアジャケット纏っての登場だ。この場面での合流になったのは結界を抜けるのに時間が掛かったことと居場所を探すのに管理局員と鉢合わせないように遠回りしたからである。

 

「すみませんでござる忠殿」

「いや気にしてないよ。私もこの場面に立ち会えるのは思う所があってね」

「……確か縁がある、でござったな。聞いてもよろしいでござるか?」

「11年前、ライバルであり親友のような男が殉職したのさ。傭兵と管理局員の関係なんてドラマみたいだろう?」

 

 笑いながら、そう告げた。そしてなぜ管理局のデータベースをハッキングした理由も察した。

 

「えっと、忠さん。もしかして――」

「復讐、なんて思ってないさ」

 

 思わずアリシアから零れた言葉に忠は否定した。

 

「あいつは管理局員として職務に殉じたはずだ。多くの犠牲を出してたまるかと。なら残された私たちは無念を飲み込んで犠牲や被害を出さない未来を掴む努力をしよう。まぁ傭兵家業もそこそこ洗った程度の私が言えた事でもないだろうがね」

「つまり、以前の電話はその犠牲を出そうとしていた者がたのでござるな」

「まぁね。もっとも向こうが年上で立場もある相手だったからね。何をやってるんだ? 程度の苦情だよ。それが効いたかわからないが、少なくともそう言った手段は取らなかったみたいだね」

 

 忠が見つめる先には守護騎士に囲まれた少女、八神はやて。状況から彼女が闇の書の主だと察していた。その姿、彼女と守護騎士達が家族のように見える光景から今のところいい流れであると思う。

 

「さて、具体的な状況を聞いていいかな?」

「うん。天吹くんが言うには闇の書から防衛プログラムが切り離された所だって。あのでっかいドームがそれ」

「あれをどうにかしない限りは破滅の未知でござるな」

「逆に言えばなんとか出来れば綺麗にまとまりそうだねぇ」

 

 破滅とも呼べる危機が遠くから迫っているというのに恐怖に怯える様子がない。もっとも、それはいざという時の存在がいる故かもしれない。

 そう傍観している間に状況が動き始めた。なのは達も何か手を思いついたようで配置のように別れている。

 

「始まる」

 

 天吹が呟くと空気が振るえ始めた。

 

 

 ―――忠は友を奪った物の行く末を見守り。

 

 ―――アリシアは妹フェイトと彼女の友達の勝利を祈り。

 

 ―――阪奈は無事に事を終わることを期待し。

 

 ―――天吹はヴェヌスと、闇の書の闇をジッと見つめていた。

 

 

 

 

 

 海上で闇の書の闇がそのキメラと呼ぶべき複合生物の姿で出現した後、なのはたちは動いた。巨大で強大な敵。しかし彼女たちは怯える事なく立ち向かう。いや、その光景は一方的だった。闇の書の闇が纏っていた防御を一層、一層を強力な魔法で打ち破る。それらを取り払ってからの石化魔法や凍結魔法。そしてトドメのなのは・フェイト・はやての砲撃魔法が、その巨体を消滅させた。そして、闇の書の闇のリンカーコアは天高く、宇宙へと打ち上げられた。完全に消滅させる為に。

 

 

 

 

 

 天吹が空を見上げた事で3人もまた天を見上げる。

 

「そうか、アルカンシェルを宇宙空間で放つのか」

「アルカンシェル?」

「管理局が保有する艦船の、最上になる魔導砲だよ。着弾すると空間歪曲と反応消滅を起こして対象を中心に百数十キロを完全殲滅する代物さ」

「それは、ここじゃ撃てないね」

「でも今回は全てが揃っていたんだ。闇の書の闇の防御を貫く事。転送する為リンカーコアを摘出する方法。はは、奇跡だねぇ」

 

 そう、ここまで揃うことすら奇跡なのだ。エース級の魔導師が同じ場所に揃うことなど、前から準備していなければあり得ないのだ。次元を超えて世界を管理する管理局は保有戦力に制限があることを知る忠だからそんな言葉を口にするのだ。そんな事を離しているが誰も空から目を離さない。だから、天吹の様子に気付かなかった。

 そして、天高くから輝く光が灯った。

 

「―――終わったね」

 

 そう告げたのは忠だった。友を奪った力の消滅にしてはあっさりとした言葉だった。視線を下げ管理局員に見付かる前に逃走しようと告げようとして、両手を挙げる天吹に気付いた。

 

「天吹?」

 

 何をしているのと思い声をかけた。まるで夜空の星を掴もうとしているかのようで――。

 

「取った」

 

 すると天吹は唐突にパンッ、と両手を閉じてそのまま胸元の所まで下ろした。

 

「何を――」

()()()()()()()()()()()。次に全プログラムの把握開始。同時に隠蔽魔法をサークルタイプで展開」

【承認。実行します】

 

 無限再生機能。天吹は確かにそう言った。つまり、天吹が手に納めたのは闇。

 

「天吹ッ!?」

「天吹くん!?」

 

 阪菜とアリシアも何を捕まえたのか察してすぐに彼に近づこうとすると天吹の両手の中から隙間を縫って触手のような物が出現する。彼の手を傷つけ、更には両腕に触手の先端が突き刺さる。

 

「っ!」

「ひっ!?」

 

 思わず足が止まる2人。アリシアは出血に驚いてだが阪奈は下手に触れては余計に天吹を傷つけてしまうと予感したから。忠も阪菜と同じ考えに至り、伸ばした手が停止した。

 

「……処理速度が足りない。ヴェヌス、本体で出てきて」

 

 しかし当の天吹は表情を変える事なく淡々としており、加えて傷付けられながらもヴェヌスに追加の願いを口にする。そうして体の中から出てくるのはヴェヌスの本体、レコード・オブ・アルハザードである結晶の花。

 

【31%……、53%……、88%……】

 

 その花から聞こえてくる声も主と同じく淡々と主の願いを叶えるべく処理作業を実行し続ける。

 

【94%……、100%。闇の書の闇、正式識別名称『ナハトヴァール』の構築プログラムの完全把握。モニターにて表示、リンクします】

 

 天吹の周囲にいくつもの画面が出現する。そのどれも文字列と図形であるこれら全ては闇の書の闇をプログラムとして表した物。

 

「無限再生機能と自動迎撃機能の削除」

【承認。削除(デリート)

 

 天吹の言葉に従い、ヴェヌスは2つの画面に映った情報を消去し、画面を閉じる。すると天吹の両腕を傷つけていた触手が力なくだらんと垂れ下がる。

 

「生体部品を最適化。余分な物は削除して」

【承認。生体構築情報を確認。大型魔法生物情報、削除(デリート)。残り54件。中型魔法生物情報、削除(デリート)。残り18件。攻撃的魔法生物情報、削除(デリート)。残り4件。危険性消失により、残った情報より生体情報を再構築】

 

 今度は1つの画面の文字列が段階的に減っていき、そして必要な情報だけを残して背景の色が変化する。同時に垂れ下がっていた触手も消滅する。

 ここまでの作業を終えて天吹は閉じた両手を開いた。そこから出現したのは真っ黒なリンカーコア。しかし状態はとても弱々しい。

 

「―――きみは憐れだった」

 

 天吹はそんなリンカーコアに言葉を投げた。しかしそれは他の3人あることを気付かせた。彼の、()()()()()が出てきていると。

 

「改造されて主や守護騎士たちを苦しめた。でもキミはただ本能に従っただけだった。善悪なんてなくて、防衛を任された存在として、赴くままに行動した。手の付けられない獣だった。だから憐れだ。喜びも悲しみも感じなかったから、憐れだ」

 

 でも、と天吹は繋げる。

 

「だからこそキミには感情を持つべきだ。()()()()()、キミは持つことが出来る筈だよ。だから、キミを救い上げるよナハトヴァール」

【生体情報の再構築完了。生体部品を形成します】

 

 ヴェヌスの言葉と同時にリンカーコア、闇の書の闇が強い反応をする。リンカーコアを覆うように外殻が魔力で構築されていく。それは黒いリンカーコアに反して白い外側。それが生物の形を作り上げていく。

 ここにもう一つの奇跡が起こる。

 

【……生体部品の形成終了】

 

 ヴェヌスが宣言すると闇の書の闇は、小さな生物へと生まれ変わった。

 キツネに似ているが二尾の上に有角、背中には小さな羽が付いている。地球にはまずいない生物だった。それはゆっくりと天吹の手の平に降りる。

 

「(……パチッ)」

 

 目を開け、天吹と視線を合わせる。そのまましばらく見つめ合い、そして何か通じたのかそのまま腕をつたって肩に移動する。

 

【お疲れ様ですマスター】

「うん。ヴェヌスも戻っていいよ」

【はい】

 

 そしてヴェヌス本体のレコード・オブ・アルハザードは天吹の体に戻っていく。ここまでやって、天吹は3人に告げる。

 

「……飼うからよろしく」

 

 沈黙。そして、

 

 

 

 

 

「「天吹(くん)のばか――――――――――――ッッッッ!!!!!」」

 

 

 

 

 

 盛大に阪奈とアリシアに怒鳴られてしまった。忠もさすがに擁護出来なく、口元が引きつっていたそうな。

 




『なはと』が仲間になった!
 戦闘力0
 鳴き声0
 可愛さ100
 可能性200

 ちなみに西暦はTV版の物に合わせています。


どちらを願いますか?

  • なのはたちとの物語を見たい
  • ここまででいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。