4月☆日
学校が終わった後、はんちゃんにヴェヌスを紹介した。妖精さんの事だって伝えて、ヴェヌスとも話してさすがのはんちゃんも驚いていた。驚きすぎて近くの木を走って登ってた。それを見たヴェヌスは『魔導師』ですかって言ったけどちがうと思う。はんちゃんもちがうって言うからちがうんだろう。
それからはんちゃんはウチに来ておじさんとごはんを食べた。豚肉が安かったからごはんはしょうが焼きとトン汁。おいしかったよ。ごはんを食べ終わったらはんちゃんはドロンと帰った。またヴェヌスが絶対に魔導師じゃないですかって言ったけどちがうと思う。おじさんも魔導師じゃないだろうって言ったからちがうんだと思う。
それと今さら書くけど漢字がわかるようになった。なんでもヴェヌスが国語辞典を読んで覚えてそれを僕に反映? したらしい。
4月$日
ヴェヌスから魔力の扱い方を覚えるように言われたから今日からその練習を始めた。魔力はリンカーコアって言う器官を使って空気中から魔力を取り込んで使うらしい。ちなみに僕は不活性?だったのがヴェヌスを取り込んだ事でリンカーコアが活性化したらしいよ。
ヴェヌスが教えるとおりに魔力を吸収して、ため込む。最初は出来なかったけどリンカーコアを意識、なんか胸元で呼吸するイメージでやると上手く出来た。それを繰り返して溜められる魔力量を計ると目安から大幅に超えてるとのこと。基準はよくわからないけど多いんだって認識した。
続けて魔法の練習もやったよ。魔力の弾を飛ばしたり魔力で浮いたり、魔法使いみたいな事が出来た。ただなんとなくだけど僕に合わない気がした。なんかこう、アレだ。理想はラスボスだ。なんて冗談で言ったら真面目に受け止めたヴェヌスが練習内容をガラリと変えた。これからはその練習内容をする事になった。
4月:日
今日は日曜日。はんちゃんと一緒に散歩にでかけた。ウチからすこし遠くまで行ったよ。移動する間は僕からは魔法の話を、はんちゃんからは修行の話をしてた。はんちゃんは昔から続けているから続けていくには何を考えておけばいいか聞くと「出来る事は応用し、出来ない事は基礎を把握するのでござる」と言う事らしい。よくわからないと返すと「ならまずヴェヌス殿の練習をやるでござるよ」と言われたから素直にすることにした。途中でコンビニでアイスを買ってたまたまサッカーの試合をやってたからそれを見ながら食べてた。
夕方になってそろそろ帰ろうとすると木の根っこが生えてきて危なかったけど無事に帰り着いた。最後の最後でくたびれたよ。
4月:日・夕方
巨大な根っこに呑まれた街並みは無残の一言だったが、その中で二人は怪我らしい怪我もなくこの光景を見下ろしていた。
「はんちゃん大丈夫?」
「問題ないでござる。あのような鈍足に追いつかれるようでは拙者の面子に関わるでござるからな」
【本当に魔導師ではないのですか?】
「違うでござる。忍者でござる」
背中に虫の翅のような物を出して浮かぶ天吹と落ちてきたビルの壁に
「ねぇヴェヌス。これってキミの関係?」
【ジュエルシードの暴走ですね。未封印の状態でしたからこうして発動してしまうのです】
「それは、ヴェヌス殿は大丈夫なのでござるか?」
【私は奇跡的確率で上手く正しく機能していますので問題ありません。そもそも懸念材料は私が私として目覚めた時点で解決しております。マスターに危害はありません】
「ならいいのでござる」
天吹の口、ではなく彼の横で出現する青い宝石からヴェヌスの声が発せられていた。この宝石こそがヴェヌスの本体ことジュエルシードであったがここのあるのは視覚で認識されるように出した
「じゃあどうにかした方がいい?」
【いえ、放っておいてよろしいでしょう】
「え、放置でござるか? ヴェヌス殿の
【私たちは21個セットで真価を発揮する、と言う物ではありませんから。一個一個が独立した物です。1つでも目的を達成できればよろしいのです。回収はその後でも遅くはありません】
「開花、だっけ?」
【はい。それが種である私たちの目標です】
開花、それこそがジュエルシードが作られた本来の目的である。莫大な魔力と使用者の願いに反応する事から『願いが叶う宝石』と呼ばれるようになったロストロギア。しかし偶然とは言え天吹はその本来の目的に最適だったのは幸運だった。
「……そう言えば天吹殿、ヴェヌス殿。聞いていなかった事があるのでござる」
「何?」
【なんでしょう?】
「ヴェヌス殿が開花できたのなら、天吹殿はどうなるでござるか?」
阪奈は静かに天吹を、彼の奥に宿るヴェヌスを見ているかの眼差しで問うた。そしてそれに答えたのは、天吹だった。
「人の枠から外れるらしいよ。ヴェヌスという花が咲くなら僕はそれを支える大地。運命共同体として将来を背負うことになるよ」
阪奈は目に見えない速度で何かを放った。飛んだ先には幻影のヴェヌス。しかし当たり前のようにそれをすり抜けて遠く反対側のビルの壁に突き刺さる。二人のいる場所から離れてそれは小さく見えるがクナイに似た物のようだった。
「失礼。八つ当たりでござる」
【なるほど。罵倒と受け取ります】
「喧嘩はダメだよ」
火種を蒔いたのはお前だろ、なんて言われそうな天吹の発言だがそう言う者はいない。親友とも呼べる阪奈は彼の半生を知るが故に、ヴェヌスは自分を受け入れられる器はどんな人物であるか理解しているが故に。何より、天吹の瞳に拭えぬ陰があるが故に。
【……話を戻しましょう。回収しない一番の理由は他に回収する者がいるからです。もし接触すれば開花の障害になるでしょう】
「それならばいずれヴェヌス殿を回収にくるのでは?」
【その為のダミーは制作中ですし、ジャミングも行っています。ダミーができ次第、海に落ちた5つに紛れ込ませます】
「そんなことしてたの?」
【ご安をマスター。マスターには一切の負荷は掛かりません。ただダミーが完成した際には直に捨てて頂きたい】
「そこは魔法ではないのでござるな」
【魔法を使っては察知されますから。ご足労をお掛けますがこれが1番安全です。それに、アレを相手するのは得策ではありません】
「「アレ?」」
二人がヴェヌスの言葉に首を傾げると、
すぐ近くで極太のレーザーが通り過ぎた。
「……天吹殿、事態は終息しそうでござるから帰ろうでござる」
「え、そうなの?」
【動じないマスターさすがです】
2人は回収する者に接触する事はなく、事件の影の中で傍観者であり続ける。きっかけ1つで繋がる縁は、いつの日になるのやら
物理法則的にありえない友達がいた主人公。
登場人物紹介は一期分が終わってから投稿します。