夜空を見上げていたら   作:Celtmyth

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5月の日記・その1≠『開花の時』

4月@日

 はんちゃんから時空管理局が現れたって教えてくれた。昨日、回収している2人を止めるように黒い服の男の子が現れたらしい。また魔法少女、じゃなかったね。

 この話を聞いてヴェヌスはより隠蔽を念入りにすべきだって言った。管理局が介入したならこれからは人海戦術で残りのジュエルシードはすぐに回収されるだろうからいっそう慎重に動くべきだと言った。だからすぐに体に隠蔽が施されてちょっと痛かった。この時のはんちゃんの目は凄く尖ってたよ。

 洞窟での作業もいつもより念入りだった。ここの隠蔽は最初の内に終わってたけど更に二重三重にした。何が何でも察知されるわけがないとヴェヌスと頑張ってた。その間、はんちゃんはおじさんから管理局の話を聞くって今日もいなかった。

 

5月*日

 管理局が現れてそろそろ10日が経ったね。今日まで変わらない日々だったけど日数の区切りが良いのとそろそろ洞窟の作業が終わりそうだから書き出しにはこう書いたよ。はんちゃんは僕に何かあっても対応できるように側にいる事が多くて、それ以外は管理局の繋がっていそうな高町なのはの様子を見に行ったり、なにやらおじさんと話すことがあった。おじさんも管理局が来たって伝えてから地下室で何かやってる日々だった。

 そんな終わりが見えていた頃、ヴェヌスからダミーが回収された事を教えてくれた。作業を止めてはんちゃんと話を聞いてみるとなんでも結果的には海にあった本物5個とダミー1個の6個は半々で回収されたそうで、ダミーは犬耳のお姉さんに回収された。はんちゃんいわく金髪の魔法少女側らしい。するとはんちゃんが海のジュエルシードを一気に回収されたならもう20個全てが回収し終わり、ダミー1個も合わせて全21個が回収された事になったって考えた。

 するとヴェヌスは言った。実は開花の準備は終わってるって。

 

5月$日

 ジュエルシード争奪戦がそろそろ終わりに近づいてきた今日この頃。僕の方もヴェヌス開花が目の前まで来ていた。洞窟の準備も今日で終わるからあとは開花するだけだ。でも管理局が介入してしまう懸念はまだある。するとおじさんが、「もし金髪の女の子の勢力がこの世界にいないなら、管理局はその本拠地へ向かう。だからその時に開花するならいい」と教えてくれた。曰く、次元犯罪者は活動する際に次元空間を行き来する艦か移動拠点を持つそうだから管理局はそこへ乗り込む為に地球から離れる可能性がある。その時に開花するといいらしい。この事をはんちゃんに伝えたらその方が良いって頷いてくれた。

 

 

 

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5月&日

 

 天吹、阪奈、忠。3人は開花するための洞窟に集まっていた。そう、今日は管理局の艦が離れたのだ。ジュエルシードの気配に敏感なヴェヌス。いつの間にか管理局の艦を捕捉していた忠がそう報告したのだ。洞窟の準備が終わってた天吹はすぐに動けるように学校は休み、阪奈もそれに合わせて休んでいた。学校側には天吹に家の用事が出来て、阪奈はその手伝いにと誤魔化した。

 

【それで開花を始めます】

「わかった」

 

 3人の内、少しだけ洞窟の奥にいた天吹は答える。そして後ろに控えた忠と阪奈へと振り返る。阪奈はいつもの格好だがそのいつもの下にはアニメでよく見る忍者道具をしまい込んでるのをよく知っている。逆に忠は武器のような物、デバイスをいくつも装備していた。本人曰くデバイスは高価な物で傭兵だった彼は中古品・廃棄品のデバイスを集めて修理や改造を自前で行い、結果として変形パターンを持たせず複数の機能特化したデバイスを使っていたそうだ。ちなみにその過程で傭兵でありながら上級のデバイスマスターの知識と技術を培っている。

 

「じゃあ始めるからおじさん、はんちゃん。お願い」

「ああ」

「ござる」

 

 2人は万が一に備えて開花までの防衛を任された。彼らの存在に管理局は気付いていないだろうが、ヴェヌスにとって開花はどうあっても邪魔はされたくない。警戒しすぎてもまだ足りないのだろう。

 

「―――天吹殿」

「なに?」

 

 だが返事2つで返した阪奈がここで声を掛けた。

 

「拙者は天吹殿が選び、受け入れたのなら何も言わぬでござる。ただ――キミがどんなに変わっても私はキミのそばにいる。キミに嫌われても、私は離れないからね」

 

 久々に彼女の素を聞いた天吹。しかし忠は初めてだったようで思わず阪奈へ顔を向けて驚いていた。

 

「うん、わかった」

「ええ。―――と言うわけでヴェヌス殿、失敗なぞ許さぬでござる」

【ええ、そちらこそ邪魔者の警戒をしっかりして下さい。忠もよろしくお願いしいます】

「ああ。しかしキミたち、本当に仲が悪いね」

「そなの?」

「キミでキミもいつもの反応で逆に安心するな……」

 

 挑発的な阪奈とヴェヌス、抜けた部分がかなり大きい天吹。唯一の大人の忠は緊張感が抜ける光景に肩の力が抜けていた。

 

「それじゃあそろそろ出るよ。いくよ阪奈ちゃん」

「承知したでござる」

 

 そんな忠は阪奈を連れて外へ向かい、そして姿が消えた。隠蔽には目視が遮断される魔法をあったのでその効果だった。実際に2人はちゃんと洞窟の外にいる。

 残った天吹は更に洞窟の奥へ入ってく。そしてある地点で立ち止まるとその場所を中心に魔法陣が出現した。しかも床だけではなく壁や天井。しかも天吹が知るよしもないが記号と文字で形成される魔法陣が一般的だがこれには絵が大いに使われている。プログラムとも呼ばれる魔法の構築は理系的な数学や物理学だが、これは文系的な美術学や哲学が使われている。間違いなく未知の魔法陣だ。

 

【それではマスター、始めます。私が浮かべる詠唱を言葉にして下さい】

「うん」

 

 ホログラムのジュエルシードことヴェヌスが消えると天吹も目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「願いの種よ。この身に植えられし種よ。汝が求めた大地で培われた刻は、今をもって報われる」

 

 

 

 静かに、静かに、言の葉が紡がれる。

 

 

 

「この巡りに感謝を。この成就に歓喜を。汝の開花が果たされた刻、その力は我に捧げよ」

 

 

 

 ゆっくりと、ゆっくりと魔力が高まる。

 

 

 

「汝の願いは我に。汝の力は我に。汝の意義は我にあり。同意は既に果たされた。さぁ、今こそ花を咲かせよ」

 

 

 

 

 

 

 

 紡いだ言葉と高まった魔力がここで切り替わった。詠唱は終え、魔力は開花に使われる。洞窟の中は暴風で吹き荒れているがその中央にいる天吹の体はそれを一切感じさせず、洞窟も揺れの一瞬すらない。

 そして天吹の体からジュエルシード・ヴェヌスが出現する。それは魔力を吸収し、表面にヒビが入る。しかしその奥から突起物が出現いていた。

 

 

 

 

【詠唱確認。

条件――クリア。

魔力量――クリア。

手順――クリア。

 これよりジュエルシードNo.Ⅲ、個別登録名『ヴェヌス』。開花――神智意識形態(アカシックレコード・モード)、レコード・オブ・()()()()()()へ移行します】

 

 

 

 

 その名、()()が聞いたら何を思っただろう。あらゆる望みが叶う理想郷の名前を。しかしこの場にいない彼女や、ここでその権利を手に入れようとする天吹は知るよしもない。

 そしてヴェヌスの形態移行は一気に行われた。ジュエルシードが種の殻から新芽を出すようにヒビの奥から棘が何本も生え、そのまま肥大していく。既に菱形の形状ではなくまるでランダムの演算処理で設定したCG映像のように形状を変え、肥大していく。

 そして1時間。既にジュエルシードの大きさから洞窟の天井まで届きそうになった頃、圧縮されていくように縮んでいく。形状の変化は終わっていないがすでにパターンが一定化している。そのまま小さく、天吹よりも小さくなるとそれを受け止めるかのように彼は無意識に両手を掲げる。

 

【―――移行、終了】

 

 その素っ気ない声に終了した。その声を聞いて天吹は掲げた両手を下ろし、ゆっくりと目を開く。

 

「……これが花か」

 

 そこにあったのは両手に覆えない程の、半透明の宝石で出来た花だった。花弁の数は多く中心は細かなカットがある球体だ。と思っていると透過度と色が所々で変化している。

 観察しながらじっと見つめていると中央の球体から光が放たれ、小人が出現した。

 

「……ヴェヌス?」

「はい。無事に開花が出来ました。感謝いたしますマスター」

 

 現れた小人はヴェヌスであった。その姿はファンタジーの女王然としており、恐らくは天吹が名前の由来に反映した姿なのだろう。すると手に持った花――レコード・オブ・アルハザードは天吹の体へと入っていった。しかし出現した小人のヴェヌスはそのままだ。

 

「またホログラム?」

「いえ、この体は分身です。これからは常にマスターの側にいます」

「そっか」

 

 そんな何気もない会話でヴェヌスと天吹の目的は果たされた。

 




 ヴェヌスの外見イメージがFGOのエウロペだった件。あぁ、毒されてるなぁ。
 持ってないけどね!
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