宣言道理、最後には会いましょうか。
11月の日記・その1≠『闇夜の取引』
11月¥日
ジュエルシードの件から早くも半年も過ぎたよ。シアちゃんも第三小に転校て来たけど11歳だったから学年は違う。でも昼休みでご飯を食べるから離れてる気はそんなにしなかった。なかなか人気者になったけど初対面の人からは1、2年生に間違えられるよ。
その後の夏休みなんてははんちゃんとシアちゃんと一緒になって遊んだよ。キャンプで山に行ったらクマに追い掛けられたり、海水浴で海に行ったらサメに追い掛けられたり、飛行訓練で空を飛んでみたらカラスに追い掛けられたりしたのは楽しかったよ。全部ヴェヌスの幻影だったけど。
そんなこんなの夏休みが明けての2学期は運動会やら何やらと学校行事でてんやわんや。運動会なんてはんちゃんの独走だった。赤白決めの時点勝敗が決まったと言わんばかりの喜びと悲しみの声が教室に響いた。
抜粋するならこの辺かな? 他の話題があったとしても明日以降の日記で改めて書こう。
11月#日
魔法、と言うよりレコード・オブ・アルハザードの使い方は慣れたよ。シアちゃんとプレシアさん程の願いは願ってないけど魔力量は増えたし、イメージだけで魔法も発動できる。曰く、『想像』することで形を成す。絵のイメージをすると写真のように鮮明にする流れらしい。最初は時間をかけて発動していたのが瞬間的に出来るようになった。ただこれって白紙から始めてるようなものでおじさんとシアちゃんは驚いていた。
魔法と言えばシアちゃんも魔法が上手くなったね。復活した影響は年齢だけじゃなくてリンカーコアの発現したからね。ヴェヌスとおじさんの指導でメキメキ上げていって今じゃAランクの実力くらいだって。デバイスもおじさんの地下室で『フォーチュンドロップ』って言うのを作ったよ。足りない材料は僕とヴェヌスで出して上げたけどおじさんは遠い目をしてたなぁ。
11月&日
そろそろ12月が近くなって今以上に寒くなってきた。本当なら寒くなくなれるけどなんかつまんないからしない。と言うかはんちゃんに『忍者式防寒対策』で大丈夫だったから。12月と言えばクリスマスがある。今年はシアちゃんがいるから騒がしいだろうね。もうおじさんにケーキは二段だよっ! ってお願いしてたから。そうなるとクリスマスプレゼントは今から考えた方がいいかも。ヴェヌスがいるからなんでも出せるけどせっかくなら自分のお小遣いで何か用意したいね。毎年巻物を用意するはんちゃんみたいに何か為になる物がいいかな?
そういえばおじさん、今日は遅くなるって行ってたけど遅すぎるな。思ってたより時間が掛かってるのかな? 鍵は持ってるだろうし、今日はもう寝よう。
11月&日
仕事の都合で夜遅くに帰宅していた忠は街灯の下でパイポを咥えていた。手荷物なんてないまさに手ぶらの状態。つまり、全くの無防備だった。
「……それで、用件はなんだい?」
咥えていたパイポを外して闇の向こうにいる誰かに尋ねた。すると足音が聞こえ、街灯でその足下が見えたがそこまでだった。
「魔導師とお見受けするが、如何に?」
声色は女性の物だったがその奥に感じるのは数多の戦いを乗り越えてきた匂いを感じ取った。
「魔導師であると聞かれればそうだと答えられるが、名乗るなら傭兵がしっくりくるよ。元が付くけどね」
「そうか。ならば魔力を賭けて戦って貰う」
チャキリと、金属の音が鳴った。その音が剣の類いと気付いて近接系の魔導師と判断する。であればベルカ式と考え、しかしそれにしては鋭さがあると違和感があった。
しかしまだ忠も対応出来る場面だ。常備しているデバイスは3機。十二全の戦闘は出来ないが時間稼ぎからの逃亡には十全の装備だ。その上で返答する。
「断る。が、魔力はあげてもいい」
「何?」
相手がわずかに力を弱め、警戒を強める。辻斬り、とは聞こえが悪いがそう言った立場である事も否定できない彼女は忠の降伏には裏があると考えた。
「条件はなんだ?」
「2つだ。1つは魔力を奪われて意識を失うだろう私に変わって救急車を呼んでくれ。私は組織という物に属してなくてね。今倒れれば朝まで誰も見付けて貰えないだろうからね」
「わかった。承ろう」
「もう1つ。私は2人の子供を預かっている身でね。一応は魔法とは縁がある。その2人には手を出さないで欲しい。見分け方は、そうだね。前髪の長い男の子と金髪の8歳ぐらいの女の子だ」
「……それも承知した」
淡々と条件を伝えるとあっさりと言える程に受け入れられた。そして交戦の意志は消え去り、代わりに何かが出現した。
「約束は守ろう。仲間達にも周知させる。その2人の子供には決して手を出さないと」
「感謝するよ」
「いや、むしろ貴方の献身に頭が下がる。では、魔力を頂かせて貰う」
「ああ」
そして忠が意識不明で病院に運ばれた連絡が天吹たちに届いたは、この1時間後であった。
全回もそうだったけど、物語の始まりに主人公がいない。