12月¥日
12月になった。少し前までならクリスマスの事を考えてたけど今は魔力強奪の事件の話が多い。はんちゃんは僕作画シアちゃん製作はんちゃんデザインの念話通信機、名称「空耳」を装備して放課後、件の女性を探してる。見付かればすぐ連絡するって言ったけど今日まで連絡がないから見付かってないんだろう。でもはんちゃんは簡単に見付かるわけじゃないって言ってた。犯人が魔力を集めているなら魔導師が少ないこの地球より他の世界で集めた方がいいから。ヴェヌスとシアちゃんも同じ意見だったよ。
でも収穫がなかったわけじゃない。人目の付かない場所、路地裏とかに争った後を見付けてた。壊された跡とか汚れとかじゃなくてそんな匂いがするって言うのが忍者のはんちゃんの認識だ。この地球に魔導師はいないから犯人はここにはいない、が最初の考えだったけどここでも魔力を集めてるかもしれない。色々と話し合うと地球にいる魔導師じゃなくて違う世界に来た魔導師がここで戦ったって結論だ。そうなるとこの地球は徐々に魔導師が行き来するようになっているか、僕たちが探している犯人を追ってきている人達か。また騒がしくなるかもしれないね。
12月>日
この地球でもよく現れる可能性が出てくるとはんちゃんは高町なのはちゃんを見張る事になった。以前から様子を定期的に見てたけどもしかしたらあの子が狙われるかもしれないからだって。前からシアちゃんがこっそり妹の事を調査して欲しいって言ってたけどなんかヤバい気配があるからしっかり見張るのはやめてたんだよね。でも手がかりが欲しい所だから今回はリスクを承知で行くらしい。それを聞いたシアちゃんは妹の情報を絶対見付けて来てって念押ししてたね。まぁそんな早く手がかりが見付かる訳がないよね。
12月>日
「そう思って日記を書いたんだけどなぁ」
『まさかその日に狙われるとは』
ビルの一角の屋上。そこにはローブで姿を隠した天吹たち3人の姿があった。そして目の前には広く覆われた結界が張られており、その向こうでは高町なのはとハンマーを振り回す赤いドレスを着た少女が戦っていた。実際には遠い場所だがそこは天吹のおかげでテレビのようにその光景を映し出している。
「拙者も驚きでござった。見張っておったら高町なのはの姿が消えたでござったから」
『おそらく結界魔法で特定の相手を取り込んだのでしょう』
「じゃあ私や天吹くんもあの結界魔法だったら囚われてた?」
『問題ありません。捕獲する類いの魔法も回避できるように施してますから』
天吹の口で胸を張ったように答える。しかしいつものように小人の分身体を出さないのはそれなりに警戒している証だった。決して自惚れている訳ではない。
「しかし、相手側は強いでござるな。まるで空を飛ぶ戦士でござる」
そして阪奈がなのはと対峙している少女に目を向けていた。天吹とアリシアは高町なのはがどれだけ強いのか知らない。知っていると言えば阪奈だけだが、それがなかったとしてもドレスの少女は強かった。砲撃を出したなのはも凄いが一方的に攻めている様はそう思わずにはいられなかった。そしてそのまま2人は建物の中へと消えていく。
『……何者かが結界内に転送してきました。これは』
唐突にヴェヌスが察知した。すぐに映像を建物の内部へ変えようとしたがそれよりも先にドレスの少女が飛び出し、その後を追うようになのは、ではない少女が飛び出した。
「っ! フェイト! フェイトだ!!」
思わず映像の中に飛び込まんとするアリシアを素早く阪奈が抑えた。
「アリシア殿、これは幻影でござるから飛び込めばすり抜けるでござる」
「ごめんごめん。でもフェイトが地球に来てるって知ったら体が動いちゃって」
『それは構いませんが、今の状況ではそうも言ってられませんよ。増援はもう一方にも来ています』
「え?」
「ござる?」
ヴェヌスが報告すると映像に映るのはフェイトとアルフの2人が少女を追い詰める光景だ。増援が来る様子は――。
「ホントに来た」
呟いたのは天吹だった。フェイトには剣を持った白い服の女性。アルフには褐色肌で犬耳尻尾の青い服を着た男性が襲い掛かった。人が増えた事で天吹はそれぞれが映し出されるように画面も増やす。移ったのはなのは、フェイト、アルフ。そしてどこかで見たような髪と瞳の色をした少年になのはたちに仕掛けてきた3人。さらには薄い緑色の衣装を着た女性。計8人。
「フェイトにアルフ、なのはちゃんしかわからない」
『この少年は見覚えがあります。スクライア一族のユーノです』
「確か変身魔法でフェレットの姿に化けていた魔導師でござるか」
「みたいだよ。なんか髪の色と目の色が一緒だし」
「ござるか。ならば残りの3人が相手側、何よりこの総髪の剣士が忠殿の魔力を奪った婦人でござるか」
『でしょうね』
3人が注目しているのは剣士の女性。阪奈が病院の先生から尋ねた特徴と一致している。
「ヴェヌス殿。天吹殿の魔法で犯人たちを追跡する事はできるでござるか?」
『出来ます、が接触を目的するなら魔力パターン記録して探索する事も出来ます』
「ふむ、その本心はなんでござるか?」
『犯人側が所持している本はロストロギアです。逆探知される可能性が』
「え、されちゃうの?」
『ええ。私は願いを実現させる物ですが、それはその瞬間に願った範囲です。継続的に対処するにはマスターが傍にいるかマスターが望み続けなくてはなりません』
それは無理だね、と天吹は内心で思った。
全能とも思えたレコード・オブ・アルハザードの欠点。いや願った時点では何でも叶うのならプラスマイナスではプラスに大振りである。ただ阪奈の提案はそのプラスに飲み込まれたマイナスだっただけだ。
「ではそれで。拙者が今まで通り足で探すでござる」
「わかった。ヴェヌス、あの4人を見付けるための情報を集めて」
【――承認。記録を開始します】
天吹が願うと4人を移す画面からグラフやらチャートやら文字列やらと色々な物が出現する。特に目立っているのは数値を上げ続けているパーセント表記。これが集めた情報の具合を示しているのだろう。
「フェイト……」
しかしアリシアはそんな物を見ていなかった。見ていたのは劣勢になっている自身の妹だ。本当なら飛び出して助けに生きたい。でも自分ではこの結界を突破できる力はなく、可能な天吹は作業中だ。例え天吹の手が空いていたとしても彼女にはもう1人の家族、母親のプレシアのこともあった。
彼女はこの半年、妹と会う事を願いながらも母親が過ごせる未来を願っている。だが今はそのどちらも手に取れない。自分の存在や未熟さ、時間と多くの懸念がある。わかってはいる。でもやっぱり胸の内は家族を想い続けていた。
「……
そんなアリシアに作業中だった天吹はそんな事を尋ねた。アリシアはそれを聞き、しかし首を振る。
「ううん、大丈夫。なんては嘘だけど、助けにでちゃ天吹くんたちに迷惑が掛かるし、それにフェイトだって混乱しちゃうよ。飛び出すなら落ち付いた場所で飛び出すよ」
「わかった」
その言葉に納得して天吹は作業に集中する。
そんな彼の横顔を見て、この半年で理解した天吹を、改めてこう評した。
「(本当に危なっかしい子だね、天吹くん)」
今さら顧みるとリリなののキャラクターってカラフルだよね。正直何色って言うのかなって考えた。栄えてるからいいけど。
あと、こうシリアスが絡むアリシアの感情表現は難しいと思う。