Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
ぱーふぇくとまいふれんどへの道を往く・・・終着駅が来ると思うと悲しいなあ()
俺の着ていた服は丁寧に機構の腕が剥ぎ取り、一糸纏わぬ姿にされた。流石にパンツの中身は見たくないのか、それだけは取られずに済んだ。
すぐさま体にコードが絡みつき、そのうちの何本かは俺の肌を貫いて奥深くまで到達する。
「・・・・・・っく」
「さーて注水注水っと!」
ほんのり薄い黄色をした液体が俺の入れられた瓶へと注ぎ入れられる。
すぐさま中は満たされてゆき、空気が減っていく・・・・・・このままでは溺死するに違いない。
「おまっ、溺れる!こんなとこでっ、殺すのがぶぁ!!」
口の中に液体が入ってしまうがもう吐き出しても空気は得られない。
「べーつに死なないわよー。ほーら早く肺に水入れて」
「ごぼっ、がはっ!!」
呼気は漏れ出し、かわりに液体が肺の中まで到達する。
どうやら生きるのに必要な酸素はくれるらしいがなんとも言えない感覚だ。
痛みと息苦しさはすぐさま収まったが、その次に待っているのは薬液の注入。弛緩しきっていた筋肉は元の調子を取り戻したが、もう外には出られそうにない。
薬によって全身の魔術回路が無理やり励起させられ、その中に人工の魔力・・・・・・おそらく電気から変換したであろうそれをたっぷりと注ぎ込んでくる。
俺の魔力保有量はかなり多い方だと自負しているが、無尽蔵というわけでもない。
流石にこのままエネルギーを入れ続けてくるとなれば流石に耐えきれず体が爆発すること間違いなし。
魔術の行使は禁止されているが、体内で魔力の流れをいじることくらいはできる。
少し辛いだろうが、マンドリカルドとセイバーの方へいくらか力を横流しさせてもらおう。魔力過多の状態になるとおそらくサーヴァントの体は軽いオーバーヒートのようなものを起こすっぽいが、魔力の供給元である俺が死んだら彼らもかなり早い段階で消滅してしまうはず。
だから、我慢してもらうしかない・・・・・・セイバーの動向が俺には全く掴めないためかなり不安だが、今に限ってギルガメッシュとやり合ってるなんちゅう最悪のパターンはないだろう。もしそうだったらかなーりヤバい。
「あーらー?せっかくのご飯なのにどこへ捨ててるの?まさかサーヴァントにあげてる?」
「・・・・・・この量を入れられたら流石に俺の回路もパンクする」
「まーそうなっちゃうわよね。でもおかげであの子発情したみたいに悶えてる」
モニターを見つめてにやにやと笑う八月朔日。
せっかくだから中継しちゃおっと言って端末へなにかを入力する。
『・・・・・・あっ、づ・・・・・・ぅ、あぁ・・・・・・力が・・・・・・!』
顔を真っ赤に染めてベッドの上で転げ回るマンドリカルド。
恐らく自分の身になにが起こったかは推測がつくだろうが、この場合サーヴァントが対処する方法はほぼないと言って良いだろう。
「かわいいよね~あんな風にかわいい子が体中を汗でびっしょびしょにしながら喘ぐとか、ハンパなAVより興奮するでしょ」
「・・・・・・俺に言ってんのなら今すぐお前の首斬って脊髄ごと引きずり出すぞ」
海はいつも通りのテンションで煙草をくゆらせている。その手は地味に震えているがあれはニコ中の症状じゃあないだろう。
いつ八月朔日の額に煙草を押し付けてやろうかと悩んでいるって感じの顔だ。
「まーだアサシンくんのこと根に持ってるの?」
「・・・・・・そういう訳じゃあねえよ」
気分がわりぃ、とだけ言って海はどこかに行ってしまった。
流石に八月朔日のやることに嫌気がさしたか、一度どこかで休むつもりだろう。
「ほんと司馬田の令嬢は・・・・・・」
「昔っからあいつんとこは箱入り娘よか箱出し娘を作りがちだろ。今更言えたことでもねえよ」
代によって方向性がちょくちょく変わるが、だいたい司馬田家に生まれた女性というものは開放的だ。
スポーツ好きだったり旅行好きだったりと外に出て運動したりするのが好きなタイプもいれば、海のような自由人かつ破天荒みたいな方向で発達したタイプもいる。
性根が引きこもりの俺とはあんまり合わないはずなのだが、海とはなんだかんだで腐れ縁だ。
『っ・・・・・・はぁ・・・・・・やべぇ・・・・・・体、あぢぃ・・・・・・』
額の汗を拭い、マンドリカルドは呼吸を整えようとする。
だが俺の流している魔力は止まることを知らない・・・・・・お陰で、ずっと苦しいままにしてしまっているのだ。
「止めないの?」
「こっちの台詞だ。お前がこの過剰供給を止めろ・・・・・・そんなもんなくても俺はセラヴィをこの世に止めていられる」
「あっそう。ご厚意を無碍にされちゃったなあ~なんつって」
ようやく魔力の注入は収まったが・・・・・・回路が過剰な労働を強いられたお陰で体中なんだか痛みを感じる。
万一の時フル稼働できそうにないので恐ろしい・・・・・・海の言う俺を助ける時ってのが今じゃないことを願おう。
「何がしたかったんだ」
「聖剣の降臨。空想具現化だけじゃあ不安定だろうしいっそここで降ろしちゃおうってね。莫大な魔力とサーヴァントをぶち込めば人間の姿を保ちつつ剣の力を使える兵器になるんじゃないかなーって。デュランダルならあの頑丈さが一番の売りだし、ツァーリ・ボンバを落としても耐えられるかも~」
さすがに50メガトンは体が消し飛ぶと思うのだがもう奴は俺の言葉を聞いていない。
「平尾家の魔術刻印も継承してるとなるとぉー、使い勝手がよくなること間違いなし!刻印が渡される直前に死んで良かったよほんとの克親くんは!!」
みし、と俺の心が軋んだような気がした。
あいつは、本当の俺をなんだと思っているんだ。死んだことを全く悲しむ素振りもなく、ただ自分の計画が成功に近づいていることを喜んでいる。
背中に刻まれたそれを、手でそっと撫でてみた。
「・・・・・・失うわけには」
例え体が違えども、この刻印を受け継いだ平尾家の七代目たる俺はここで死ぬわけにいかない。
死ぬのなら、せめてこれだけでも誰かに渡したい・・・・・・
体が違うせいで記憶も曖昧模糊・・・・・・家族の記憶もまともにないがこれだけはずっと覚えている。
『愛する人を守れる人になりなさい。それが私との・・・・・・約束』
あの時、そう言われた。
誰に言われたのかはもうわからないが、いつまでも心の奥に残り続けるこの言葉。
八月朔日のいう兵器にされてしまえば、その約束が守れない。愛する人を・・・・・・マンドリカルドを、守りたい。
サーヴァントとマスターとしての役目が逆になるかもしれない。けれど、俺はそれでもいい。
ついさっき誓ったばかりなのだ。彼に・・・・・・自分の全てを捧げると。