Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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未習得単位をとれるかこわい今日この頃
本日もわいはいろんなものに追われています
たすけてくだちい


115話 九日目:口は災いのもとって言うじゃん

「うぃーセラヴィ持ってきたぞ」

 

籠に詰め込んだパーカーをベッドサイドの机にどかっと置いて、取り出し並べまくる。

基本的に黒ぽいやつばっかなので選択肢はほとんどないにも等しいのだが、まあそこらへんは仕方ない。俺のファッションセンスなんてものはそれこそ友達いない系のものなんだし。

 

「・・・・・・こん中からだったらどれでもいいんすね?」

 

「ああ、好きなの選んでくれていいぞ」

 

それなりに読み進められたイリアスにしおりを挟んで、ゆっくりと起き上がりむぬぬと唸るマンドリカルド。

悩むような問題なのか、とか思ったが彼の中では重要なことがあるのだろうし邪魔はしまい。

 

「んー悩むっすねえ」

 

「お、おう」

 

鏡がないな、と思ったので俺の寝室から大きめの手鏡を引っ張り出してくる。確か祖母が使っていたやつで、雑な扱いをするとロクなことにならんという呪い付き・・・・・・だからちょくちょく拭いたり錆の処理をしてやっているのだが、これでいいのかはわからない。たまにはコンパウンドで磨いてやってもいいが、なかなかタイミングが掴めないもんでやれずじまい。

会社の近くにそういった研磨に狂った人間御用達とか言われている店があるので一度はやってみてもいいだろう。

 

「・・・・・・ん?」

 

ふと俺のベッドを見ると、不自然に毛布の真ん中だけへこんでいる。まるで誰かしらが顔を突っ込んだみたいな跡だ。

・・・・・・海みたいなやつはそんな変態ムーブをするわけがないし、来栖さんがそんなことするとも思えない。

まあ人間の頭くらいある荷物を俺が置いていて、それを取った後もへこみを直してなかったとかそんな話だろう。

一回平たく引き直したあとで、俺はマンドリカルドのもとに鏡を持って行くため寝室を出た。

 

「あ、平尾さん」

 

「お、来栖さん。なんかありました?海の奴が変ないびりとかしてきたり・・・・・・まあそんなんはないか」

 

あいつは敵と気心の知れた奴以外にはそこまできつく当たりはしない。

相手が気づかず自分の嫌なことをされてしまった時にガチの舌打ちとかはするが、まあそうでもなければ荒々しいのは口調だけになるだろう。

 

「いえ、そんなことはないです。司馬田さんすっごく優しくて・・・・・・いろいろ平尾さんのこと教えてくれたんです」

 

「・・・・・・とんでもない情報、しれっとしゃべってそうだなあいつ」

 

ファーストキスとか、そういう類のやつ。中学以前の記憶が曖昧なので何ともいえないが、まあ恥ずかしいもんは恥ずかしい。

高校時代は二人してまあ好き勝手やってたところもあるし、ちょっと冒険しようぜみたいな流れになってあと一歩で警察のお世話になりかねないような行いまでした覚えがある。

中でも一番ヤバいと思ったのはターボ焼き芋とか、買い手つかずの土地にあった廃墟の工房化。後者に限っては完璧な軽犯罪法違反であり、そのことに気付いた俺がしれっとそこの土地を買い取ったのでまあ一応セーフ・・・・・・ではあるが、あと数日やるのを遅らせていれば危なかったと思う。

 

「高校時代どんな趣味でどんな漫画読んでたかとか、いつも遊びに行ってた場所はどこそこだとか、そんな話です。いかがわしい話なんて一切されてませんでしたよ」

 

「それならいいんですけど・・・・・・もしあいつに爆弾発言されても聞かなかったことにしといてくださいね」

 

いつ大規模破壊兵器ばりの話をされるかわかったもんじゃない。

今後家族とかそのような関係になるのならいつか話さなければいけないのだろうが、今のタイミングでバラされるわけにもいかなんだ。

晩飯の時に海にはそれとなく注意・・・・・・いや、そういうこと言うと逆に言い出しそうだから困るな。

 

「・・・・・・私、やっぱり謝った方がいいんですかね。勘違いしてたんです、あの人のこと。セラヴィさんのことを切ってしまったのは許せなくても、やっぱり・・・・・・」

 

「セラヴィなら大丈夫。生きてます」

 

「・・・・・・生きてる・・・・・・って」

 

このままマンドリカルドのことを知らせずに戦いへ赴かせるのも駄目だろうと思い、俺は来栖さんを連れて書斎へと足を踏み入れた。

セイバーはしれっと霊体化してついてきているらしく、一応いかがわしい暴行をしないよう諫める抑止力になっている。

まあ俺たちみたいな陰気人間組にそんなことができるわけもないので杞憂ではあるのだが。

・・・・・・いや、生前のマンドリカルドだったらしそうな気もまあするけど。

 

「セラヴィー鏡持ってきたぞー」

 

「わざわざありがてえっす、克親」

 

扉を開けると、そこには白でまあまあでかくトランプが描かれているパーカーを来たマンドリカルドが座っていた。

俺と違って三白眼めでキレのある視線を放てる彼とはなかなか相性がよく、ちょっとアウトローめな雰囲気で決まっている、

 

「え、セラヴィさん!?な、なんでここに!!??」

 

驚愕を隠せない来栖さんにどう事情を説明するべきか、と問題に直面した彼はなんとも言えない表情を出しつつ言葉を探っている。

よく考えれば『今から二人に説明するぞ』、と決めてから説明の順序を考えて言うべきだったのだろうが・・・・・・申し訳ないことをしてしまったようだ。

 

「あー来栖さん、なんだかんだあって・・・・・・なんとか、生きてるっすよ。まあほぼ死にかけって時もあったんすけど」

 

場をどういう雰囲気にすればいいのかわからなかったのだろう、へへへと軽くマンドリカルドは笑って、いきなり毛布にくるまって団子になった。

おそらく『今の説明はなんだよもっといい言葉遣いとかあっただろ』みたいな感じで恥ずかしくなったんだろう。引っ剥がすのもかわいそうなので少しだけ安静にさせておいたほうがいい。

俺は持ってきていた手鏡を踏んで壊れるとかがないよう机の引き出しへ一度入れ、少し空いたベッド上のスペースに腰を下ろした。

 

「まあ・・・・・・まずは一回座って話をさせてください。結構ややこしいとも思える展開があって」

 

「わ、わかりました・・・・・・無事で何よりですが、どうして」

 

俺はかくかくしかじかの事情で・・・・・・とことの顛末を少し端折りつつも来栖さんに伝えた。

どうして教会の連中と俺らが協力体制になっているのか、というあたりはまあめんどくさい話やら俺の過去にも関わってくるので今回は省略。また機会でもあれば言っておきたいところだ。

 

「なるほど・・・・・・司馬田さんと、アサシンさんと、教会の人とが協力してセラヴィさんを救ってくれたんですね。ますます謝らなきゃいけない状況じゃないですか、私今からでも」

 

「大丈夫っすよ謝らなくって。あいつも自分のしたことを悪いと思ってるみたいだし、許しを乞うつもりもないとかのたまってましたし」

 

あいつはめんどくさいから全面的に許容されると逆に卑屈になる。

俺みたいなやつにまー大層なこったと嬉しがる素振りなんて全く見せんのだから、接し方を少しだけ軟化させる程度がちょうどいいのだ。

俺はもう禊の一発(腹パン)を食らわしたのでこれ以上やいのやいの言うつもりは全くないけど。

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