Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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かなーり露骨な匂わせをぶち込んでいくぅ
発破かけるにゃこんくらいがいいのかもしれない(適当)


116話 九日目:かっこのつかねえ約束

「セラヴィそろそろ布団虫から孵化してくれないか。来栖さんにケツ向けたまんま乗り切るつもりかお前は」

 

「今回は乗り切らせてくれっす」

 

話の間あえて触れなかったが、丸虫と化しているマンドリカルドを俺はぽふぽふと叩いた。

元気な顔もうちょい見せてやれやと言ってみるも動かず。

全く強情な男だ。

 

「王様~お願いしますよ~大事な国民のお願いじゃないっすか~」

 

「どういう姿勢でお願いしてきてるんすか克親は!俺は王様なんかじゃな・・・・・・あ、いや王様なのか」

 

あのとき令呪を使って俺が与えた王権。別に正式な国の領土が存在するわけでもない、人民は王を除き現在一人しかいない、権力はもはや国民と対等な状態である。

国家としての基準を何一つ満たしていないが、正式じゃなくても国は国。俺は王を信じて生きるのみの民だ。

 

「・・・・・・どもっす」

 

布団の中から顔だけむにゅ、と出してきたマンドリカルド。その姿はさながらかたつむりのようだ。

顔を数回横に振るって荒れた髪の毛を元に戻す(例の形状記憶パワー)と、少し怖がっているようにも見える素振りをしながら来栖さんの方に顔を向けた。

 

「とにかく生きててよかったです。セイバーさんも、セラヴィさんとの戦いを楽しみにしてらっしゃるので・・・・・・」

 

「最初っから俺は知ってたけどねーセラヴィくんが生きてるの」

 

なんとも間の抜けた声でそう言いながら実体化するセイバー。もはや脱いだ方が邪魔にならんだろうというところまで着崩したワイシャツからなにから、完全夏休み中の部長みたいなくつろぎようだ。そして右手には安定の煙草である・・・・・・海から渡されたんだかなんだか知らないが、なんかいつも嗅いでいる煙の臭いがした。

 

「セイバーさん知ってたんですか!?あのとき普通に落胆してたじゃないですか!!」

 

「アサシンのマスターがやろうとしてることにオジサンは途中で気づいちまったが、お前さんに言うのもなんだかなあって感じで伝えてなかった。もし面倒なのに捕まってセラヴィくんのことを聞き出そうとしてきたらどうする。俺はともかくとして、マスターは精神や記憶をいじくられる耐性なんてないだろ?」

 

セイバーの言い分にも一理ある。

もし身体的な拷問に耐え切れたとしても、魔術で直接脳にアクセスされちゃあどうしようもない。

同じ魔術師であればある程度の対策は可能でも技術で上回られれば情報を抜き取られる。一般人である来栖さんなんて、先天的な精神攻撃耐性とかいうトンデモ特性でも持っていない限り記憶の閲覧を防いだりすることは不可能だ。

だから、万一の時に情報を持って行かれることがないようにという対策の一種だったのだろう。

来栖さんがそれを知ることによるメリットと、もしも拉致られて敵方に知られるというデメリットを比べて後者が重いと感じただけだ。

 

「それは、そうですけど・・・・・・でも、私だけなんか仲間外れっぽいの嫌なんですけど」

 

「ごめんごめんって。これからはちゃんと話に入れるようにしてやっから」

 

まるで子供を慰める父のような手つきで来栖さんの頭を撫でたセイバー。

随分と似合っている、とか言ったらまた俺の顔面に何かしらが飛んできそうなのでやめておいた。

 

「そういや、セイバー・・・・・・お前は、なんでセラヴィとの決闘を望んでいたんだっけか?」

 

「そこはそん時までの秘密、でしょうよ。わかってないねえ」

 

セイバーは壁にもたれかかり、また軽くおちょくるようにそう告げた。

お楽しみは最後に取っておきたいということだろうが、もしギルガメッシュとの戦いでどちらかが消えてしまったらどうするつもりなのだろうか。

今のうちにでも、聞いておきたいというのが俺の思いなのだが・・・・・・

 

「そこの丸まってるお前さん、ちったあ話に参加しようぜ」

 

未だに布団つむりなマンドリカルドへそう声をかけるセイバー。

さすがにこうされては縮こまったままでいられるはずもなく、嫌々と言った感じで彼はコクーンモードから孵化した。

パーカーが似合ってるかどうか確認させてあげたかっただけなのに結構長くなりそうな話・・・・・・なんか申し訳ない気すらする。

 

「セイバー・・・・・・ッ!?」

 

マンドリカルドの喉元に、輝く剣の切っ先が突きつけられる。

ちょうど喉仏の一番出っ張った部分につんつんと当たる・・・・・・マンドリカルドが少しでも前に倒れかかったら刺さること間違いなしだ。

 

「ちょ、ちょっとセイバーさん何してるんですか!」

 

「そうだ、こんなタイミングで内ゲバたあやってらんねえぞ!!」

 

セラヴィも文句言っていいぞなんて言って焚きつけようとしたが、彼の表情はそれどころじゃあないらしい。

突きつけられた剣を見て、もとより小ぶりな黒目を更に小さくしてうち震えている。

 

「・・・・・・なんで、デュランダルがこんなところに」

 

・・・・・・確かにそうだ。

セイバーの持っていた剣は、これまで見せていたものと特徴だけは似つつも違うものだった。俺の中で構築されていたデュランダルとほぼ同じ形状・・・・・・今までのものは、真名を隠すためのカモフラージュ。

 

「お前さん、俺のやりたいこと・・・・・・わかるだろ?」

 

「・・・・・・ああ、アンタと俺が誰であろうと構わねえが・・・・・・本物のデュランダル所有者に相応しい人間は決めたいってことだろ」

 

「ま、噛み砕いて言えばそんなこった」

 

くるくると手の上で器用に剣を回してどこぞにしまい込んだセイバー。

一応マンドリカルドの首元を見たが傷はついていない。今のところ敵意はないと見て間違いないか。

 

「聖杯を取れる上にそんなもんまで取れるってのはこの上なくおいしいだろ?乗らない手はないよな」

 

「あるわけねえよ、例えアンタが────人類の中でも最高の英雄、ヘクトール様だったとしても・・・・・・俺は、戦う」

 

いつぞやオタク丸出しみたいな言い方で長ったらしくヘクトール様の好きなところをとりあえず並べ立ててまくし立てていたのを思い出すが言うまい。こんなところでマンドリカルドの切った大見得を台無しにしてたまるもんか。

 

「いい返事だ・・・・・・てなわけでわかってるよな?」

 

「・・・・・・消えるつもりは毛頭ねえよ」

 

『うわああああどうしようこんなメンチ切ったの生きてた時依頼じゃねえか死ぬマジで死ぬあからさまに俺より年上のサーヴァント相手にこんなのダメだろ失礼すぎだろもしセイバーがヘクトール様だったら消えるつもりはないとか言っておきながら俺マジで死ぬよ腹にそこらへんの鉄パイプぶっ刺して死んじゃいますよジャパニーズハラキリですよああ篠塚にやり方教えてもらおうかなああどうしようどうしよう』

などという彼の心の声が聞こえた(実際は聞こえてないが表情と深い場所での意識共有を行ったためかなんとなく感情の機敏がわからないでもない)。

それとなーく俺は念話で『憧れの人と一戦交えられるんなら幸せだろ、弱腰でいったら向こうにも失礼だ』とかなんとか言ってマンドリカルドのテンションを持ち直させようとしているが、効果はそこまで見受けられず。

また時間に頼った方がいいのだろうか、答えは誰にもわからない。

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