Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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最近はガッデムホット!!!(くそあちい)
瀬戸内は住みやすい環境だけど辛いっぴ!!


118話 九日目:デリカシーとは

「あーさっぱりした」

 

そう言ってリビングのドアを開けて入ってきた不破。

それを見た全員が絶句して行動を停止した。セイバーはチャンネルを変えようと持っていたテレビのリモコンを取り落とし唐川の頭にぶつけ、来栖さんはスマホをクッションの上に放り投げてから後ろを向いて縮こまっている。

篠塚はゆでこぼしのために煮ていたぶり大根を吹きこぼし、海はやれやれと新しい煙草を咥えた。

 

「お前仮にも女性二人のいる部屋だぞ。片方は俺の全裸見ようが気にしない奴だが」

 

バスタオルならともかくフェイスタオル一枚を腰に巻いて出てくるだなんてやっぱり教会の連中はおかしい。

この部屋にほとんどの人が(詳しく言えば書斎で自由にさせているマンドリカルドを除いて全員)集まっているのだから、その中に女性がいることも把握していたはずだ。ついさっきまで普通に話していたし、万一知らなかったとしてもそれで察せるだろう。

 

「ああそうか、普通の奴は気にすんのか」

 

仕方ねえとため息混じりに不破は言って、あろうことか巻いているフェイスタオルに手をかけた。

これを取ってしまえばさすがに見せられないよ!の看板と自主規制くんが必要になってくるのだが・・・・・・

 

「すまんな、教会の連中は慣れてたもんだから正常な反応ってのを忘れてた」

 

ぶわりと黒い膜が広がり、不破の全身を包む。

その中からフェイスタオルを引き出して放り投げると、体表に張ったそれが変化していった。

上下真っ黒なTシャツと短パン姿に換装した不破は、これでいいだろとめんどくさそうにうなじのあたりを掻いた。それにしても便利だなその炭素いじり魔術ってのは・・・・・・

 

「・・・・・・来栖さんもう大丈夫ですよ」

 

「あ、はい、ありがとうございます・・・・・・?」

 

ゆっくり元の立ち方に戻った来栖さん。顔が真っ赤なあたりやっぱ恥ずかしいところがあるのだろう。

そりゃ出会ってそう時間の経ってないやつがいきなりそんな姿見せてきたら誰でもそうなる。不破の性別が女だったりしたら俺だってそうなってた・・・・・・かもしれない。

 

「お前替えの服はどうした」

 

「持ってきてない」

 

しれっとそんな発言をするあたり、こいつは過去にも同じようなことを繰り返しているのだろう。

俺より10cmくらいはでかいので、服のサイズ的に微妙かもしれないが取りあえず大きめの服を持ってきて投げつけてやる。

いつ炭素の服が消えるかわかったもんじゃないし。

 

「取りあえずそれ着とけ。んでさっきまでの服はどうする、洗濯か?」

 

「下手に扱ったらテメェの腕が吹き飛ぶが、それでもいいならしといてくれ」

 

そんなこと言われて誰がやるか、と文句をつけてやる。

服一枚洗うのに危険なんて犯したくないねと俺は晩飯作りに戻る。

盛大に吹きこぼれたぶり大根の汁をあちあちと言いながら拭いていた篠塚に、替えの布巾を投げ渡し俺は味噌汁用の玉葱を切る。

ちゃんと冷蔵庫で冷やしておいたので硫化アリルによる目の痛みはほとんどない。

 

「俺は薄切り派だが・・・・・・どうする、分厚いのが好みとかあるか」

 

「俺はどっちでも構わないですよ」

 

やっとこぼした汁を拭き終え、水を再度追加しゆで直す篠塚。

今のでゆでこぼしの必要はなくなったと、醤油とかを取り出してきて調味を始めていった。

篠塚にどちらでもいいと言われたので俺は玉葱を薄く切り、ある程度出汁の入れてある鍋へと突っ込んだ。

量的にギリギリ8人分ちょうどという感じで、おかわりは入れられそうにない。まあ一人暮らしを続けていた俺だから鍋の大きさもそれに適応させられていたししょうがない。

 

「んでライダーは?」

 

「セラヴィなら書斎で本読んでると思うが」

 

この場にいないマンドリカルドのことを気にしてか、不破が聞いてきた・・・・・・別に阻害しているわけなんてないし、彼がそんな風に感じたのならすぐに改めこっちに連れてくるだろう。

ちょっとはひとりの時間があってもいい・・・・・・友達だからってベタベタするわけにもいかんだろうし。

 

「・・・・・・そうか」

 

「どこ行くんだよ」

 

「書斎」

 

何か話でもあるんだろうか?

重要なことなら飯の時に言えばいいと言ったが緩く断られ、不破をそのまま見送る形となってしまった。

敵対状況にある訳じゃないので大丈夫だとは思うが、万一の場合が不安だ。

不破の戦闘力はマンドリカルドに迫るレベルで高いし、初見殺しというファクターが消えた今でもこちらが勝てるかはわからない。

秘密裏になんらかの取引を行っていて、しれっと殺しに来たら・・・・・・なきにしもあらずなのが恐ろしい。

 

「・・・・・・二人っきりで何の話をするってんだ」

 

「男同士、密室、二人きり・・・・・・何も起きないはずがなく」

 

「あからさまなフラグ建設やめろ」

 

セイバーが大丈夫だろ、といかにも適当な物言いで唐川を転がしている。いいマッサージになるのか唐川は文句を言わないが、それでいいのかと聞きたくなった。

 

「不破はそういう方面の奴じゃないから安心しろ。戦争に恋したみたいな人間やぞ、前からちょいちょい話にゃ聞いてたが女の影も男の影もありゃせえへんがな」

 

生粋の戦争屋・・・・・・というよりか単騎で大暴れするタイプの戦闘狂なのだろうが、20になったばかりであるという彼がそんな擦れた状態になるもんだろうか。

まあ代行者にまともな奴はいないとかよく言うしそれでもおかしくはないっちゃないのかもしれないのだけど。

金髪の巻き毛を人差し指でいじくり回しながらけったいな笑顔を浮かべる唐川だが、いまいち信用しきれないあたり人望が透けて見える。

 

「なんかあったらお前のせいな」

 

「なんでやねんな、俺が嘘ついたことあるか?」

 

「星と同じくらいの数あるだろ」

 

ことあるごとに冗談も含めた嘘ばっかし言ってる唐川だ。

俺実はオンドゥル星から来た云々で~みたいなあからさまに嘘だとわかる奴から、かなり深く考えないと気づけないような巧妙な騙しとレパートリーは様々。そんなのに10年もつきあわされてちゃあ、唐川の嘘を見抜く力はつくというもの。

 

「え~そんなついてへんて~せいぜい土星の衛星の数くらいやろ」

 

85とかで足りるわけあるかと俺は吐き捨て、豆腐を掌の上で一口大に切り鍋へと放り込んだ。

時折失敗して粉々になることがあるのだが、今日は成功したので嬉しい。

 

「ちょっ、アンタなにしてッ────!!」

 

そんなマンドリカルドの声が聞こえた瞬間俺は無意識に飛び出していた。

唐川の言葉はだから信用できないのだ。不破の野郎め俺の大切な友に手を出しやがって一回シメるかお灸を据えなければいけない。

 

「何してんだ!」

 

「・・・・・・反応が早いなマスターさんは」

 

マンドリカルドの体を綺麗にベッドへ押し倒し、服まで上へとたくしあげている。

こんなのどう考えたってアレでしかないじゃないか。戦闘力が落ちるのは仕方なしだが、一回こいつはここで殺さなければならない。許されるわけがない。

 

「別に性的暴行加える訳じゃないから安心しろっての」

 

「それ以外でも安心できねえんだけどな?!」

 

玉葱くさい手で不破の腕を掴むも、筋力の差があるのか全然引きずりおろせない。

こうなったら強化を使ってでも殺るしかないか・・・・・・

 

「・・・・・・わかったわかった。”わたし”が出ればいいんだろ?」

 

流れるようにめくられた服を元に戻して起き上がるマンドリカルド。

・・・・・・最初に不破と出会ったときにも見たような、虚無感を感じるオーラを纏っている・・・・・・

 

「お前は・・・・・・?」

 

「わたしはデルニ・・・・・・この霊基(からだ)の、本来の所有者だ」

 

俺の思考が一瞬止まったのは、言うまでもない。

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