Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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うあああああ中間考査がああああああああ死んでしまうめううううう


119話 九日目:ブラックそのものじゃねえか

「本来の所有者って・・・・・・」

 

じゃあ、今まで俺と一緒にいてくれたマンドリカルドは・・・・・・ただの居候?

待てそんなことがあっていいのか。俺に一切明確な存在を示さず、本来のマンドリカルドはずっと隠れていただなんて。

 

「デルニとか言うけどだな、テメェは結局のところオルタみたいなもんだろ。とある英霊の一側面でしかない」

 

「確かに、平行世界に存在するであろうまっとうなわたしから見れば・・・・・・わたしはオルタに相当するだろう」

 

乾いた笑い声。

なにもかもを諦めた人の出すような音の波が、俺の耳を刺激する。

 

「・・・・・・お前が本当の人格なら、あいつは・・・・・・なんなんだ?」

 

「とある時点での性格をコピーしサーヴァントとして再構築した、表向きのわたしとして活動してもらうためのものだ」

 

・・・・・・つまり、俺の知っているマンドリカルドはこいつに作られた存在。話の内容を鑑みるに、若い頃の彼を再現したということだろう。本人は死ぬときまでの記憶を持ち合わせているが、精神年齢自体は10代後半から20代前半らしいし。

こいつが隠れるための蓑になるという役割か。

 

「なんでそんな・・・・・・隠れる必要があるんだよ」

 

「正義の味方が最初っから正体を現すわけ無かろうよ」

 

正義の味方、という言葉を毛嫌いするように眉間へ皺を寄せながら言うデルニとやら。

いろいろとわけがわからない。マンドリカルドは・・・・・・結局どういう存在なのだろう。

 

「テメェの雇い主は・・・・・・人か?」

 

「ああ。人だ・・・・・・わたしは、お前と同じ理想を実現するための戦闘人形でしかない」

 

不破の理想と同じ。

ということは、人類の存続を願うものというわけだ。

 

「俺もそこに入れてくれはしないのか」

 

「そんな簡単に就職できるもんでもねえよ。つかこっち側へはこない方がいい・・・・・・際限ない地獄ばっかりだ」

 

困ったもんだとばかりに手のひらをくるくるしてやれやれポーズをするマンドリカルド。

二人の間でなにかしらの会話ができているらしいが、俺にはわからん領域だ。

 

 

「それにしても・・・・・・テメェが呼ばれたってことは、そういうことなんだろうな?」

 

「ああ。わたしが召喚されるようになった原因は・・・・・・今もまだこの世界に存在している。それが何なのかは把握できてないがな」

 

俺にもわかるように説明してほしいのだが、こんなところで口を挟もうにも挟めないのが俺の性。

二人の会話からいろいろ意味をとっていってるが理解は進まん。

 

「んでその原因ってのはこいつに関係してるのか?テメェが殺さずに守るってことは・・・・・・こいつが死ぬことによって何かがある?」

 

「そういうことだろうな。一番のイレギュラーになりうる存在だ。上から、今回は克親をなるたけ守るようにと言われているあたり・・・・・・克親の死がもしかしたら破滅の引き金になっているかもしれない」

 

・・・・・・確かに、俺の中には聖剣デュランダルが眠っている。

八月朔日の計画通りにことが進んでいれば、いずれ俺は無心で人を殺すような存在になっていたはずだ。

そしてそれは今も変わらない。マンドリカルドの深層意識に触れたせいかどうかはわからないが、デュランダルの力は今封印されているらしい・・・・・・が、それさえ解けばいつでも兵器として使えるようになってしまっている。

芯を得ずふわふわとしていたイメージが固定化され、独立した概念としてもうここにあるのだから。

でも俺が死んだら万事解決ってわけじゃない事については疑問だ。殺戮兵器がいなくなってしまえば終わりだと思うのに・・・・・・

 

「”今回は”?」

 

「場合によっては・・・・・・克親を殺す必要があるかもしれないということだ」

 

俺が人類の敵側に回ったら、人を守るという立場上マンドリカルドは対立せざるを得ないらしい。

道理はわかるがかなり不条理を感じてしまう。愛した人の別人格に殺されるというのはとても歯がゆい。どうせなら・・・・・・俺の友であるマンドリカルドに殺されたい。勝手過ぎる願いに俺は内心で自分を嘲笑う。

 

「・・・・・・俺の力を扱いあぐねたら、そりゃとんでもないことになるだろうな。壊れることがないとか言われた聖剣なんて対処のしようが無いだろ」

 

「そういうことだ。わたしはお前を殺してもいいが、表のわたしがそれを許さんだろう。てなわけで一応案は練ってあるが・・・・・・成功できるかは表のわたしにかかっている」

 

右手をわきわきさせて、軽やかに笑うもう一人の彼。

純粋という風にも見えるのだが、やはり俺にとっては虚無を感じてしまう。

 

「セラヴィが?」

 

「ああ。お前もわかっているだろう・・・・・・わたしという英霊は決定的な部分が闕如している」

 

ああ、わかっている。

マンドリカルドに足りないもの。彼の不完全性でもあり、また美しいとも思えてしまう点。

”真剣を持てない”という呪いのような誓いに蝕まれ、それに触れれば体が麻痺をしてしまうという・・・・・・妖精の王との誓約。

 

「おっと、これ以上は俺のいていい場所じゃないなぁ」

 

俺の欲しかった答えは得た、と不破が席を外した。

気を利かせてくれてありがたい。

 

「・・・・・・マンドリカルド」

 

「彼に救いを」

 

わかってるよ、と俺は自分の胸に手を当てる。

 

「・・・・・・サーヴァントって、未練がなくなったらもう召喚されないんだよな」

 

もしもマンドリカルドの願いが全て果たされたのなら、もう会えない。

人生で二度同じ英霊と出会うことなんて滅多なことじゃあないと思うが、そんなこと関係なしになんだか悲しい気分になる。

 

「残念なことにわたしたちはどれだけ満たされようと召喚されるさ。それはもう、四の五の言う暇もなく勝手に引きずられていくんだから、心配するな」

 

不敵な笑みを浮かべつつ、俺の頬をくすぐってくる。

 

「・・・・・・ブラック企業なのか?」

 

「まあそんなもんだ。年中24時間営業中、サビ残上等賃金0円のトンデモブラックだ」

 

あんなんと契約した俺が馬鹿だった。とアメリカンなやれやれポーズを披露して、マンドリカルドは手をベッドについた。

俺には英霊の世界にもそんな所があるんだなあという、小学生以下の感想しか出てこなかった。

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