Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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化学英語爆死したのでたちけてください


120話 九日目:最後の晩餐(になるかもしれない)

「八月朔日が言うに、俺の中のデュランダルにはロックがかかってるんだってな」

 

強固な鍵が設定され、俺を作ったといっても過言ではない八月朔日にすら解けない封印の黄金櫃となってしまっているらしい。

おそらく俺とマンドリカルドの行動により圧縮されたデータが解凍されるとは思うのだが、その方法は全くわからない。

例え八月朔日が生きていたとしてもそれを解明することはできないだろう。

 

「確かに、デュランダルの気配は前よりも薄くなっているな。存在自体は以前より強固で明確に感じ取れるのに」

 

試しに魔力を流して具現化を行おうとしたが、何も出てきてはくれない。

イメージは出来るのだが物体として表現できないことに少々の憤りを覚える・・・・・・これも起源の作用だろうか。

 

「・・・・・・これじゃあいざという時出せるかわかんねえな」

 

解放の手順があったとして、それを実行できないのであればどんな強大な力でも意味を成さない。

だからせめて、ギルガメッシュとやりあうまでには見つけたいのだ。

 

「それはもう一人のわたし次第だろうな。あいつが条件を満たさない限り、我が最大にして最高の宝具は解放できないだろう」

 

「・・・・・・それって」

 

故意に隠匿されていると俺が感じた、アレ・・・・・・

確かにそこへ何かが記されているはずなのに、なにも情報が掴めないままでいた、謎の空白。

おそらくなにかしらの宝具だとは思っていたが、ここにきてようやくということか。

 

「教えてくれ、その条件ってのを」

 

「わたしもそれは知らなんだ」

 

飄々と彼はそう言い放つ。俺は盛大な空振りということを知って、思わずずっこけそうになってしまった。

いかにも全貌を知っているという口振りだったのに、全く知らないとはどういうことだ。

ヒントなしの手探りを続けなければならないだなんて、一番必要になるであろうときに間に合う気がしない。

 

「まあいつも通りでいいだろう」

 

わかりやすく適当に言ったなこいつ。これでも人類の守護者だと言うのか。

まあ俺が下手に手出ししても駄目な気はするので、こいつの言うとおりに・・・・・・変わらない接し方でいたほうがいいのだろう。

 

「それにしても、彼がここまで幸福になったケースはそうそうないな」

 

ふふふ、と機嫌よく笑うマンドリカルド。

胸元にある緑の石・・・・・・俺のあげたペンダントのそれに触れ、感慨深そうに呟く。

 

「終わりなき地獄の中にも、救いはあるものだな」

 

「・・・・・・あの、さ・・・・・・あいつは、それ・・・・・・喜んでるのか?」

 

「喜んでるに決まってるだろう。死んでも手放さないと言ってたぞ」

 

ああ、それなら良かった。

俺が願いを込めた意味があったということだ。

 

「ありがとう。愛してくれて」

 

「・・・・・・友達なんだから、当たり前だろ」

 

なんか今更のことだと思うけど、少しだけ照れくさくなった。顔面が少しだけ熱くなってきたのが恥ずかしくて、手のひらでそこを隠す。

 

「ごはーん」

 

「・・・・・・あいよー」

 

ちょうどいい具合に水をさしてきた唐川に今だけは感謝しながら、俺はマンドリカルドと一緒に部屋を出る。

 

「・・・・・・な、なあ」

 

「なんすか克親」

 

いつの間にか元に戻ってしまったらしく、聞き慣れた口調で彼が返答してくる。

・・・・・・まあ、デルニとやらに聞くのはまた後にしておこう。

 

 

「みんないますよね」

 

「勝手に蒸発とかしねえだろ」

 

サーヴァントなら蒸発(したように見える行動)はできるだろうが、まあそんなことを指摘するのも無粋だろう。

俺はいつもの席に座って、他の奴らを待つ。

篠塚が全員分のご飯をよそい、手際よく食卓に並べていった。

無駄にだだっ広かったこの卓も綺麗に全席埋まり、なんとも賑やかな雰囲気だ。

 

「じゃあ、いただきます」

 

「いただきます」

 

合図を出した俺以外の全員の声が綺麗に揃った。

一斉に箸の持ち上げられる音がしたあと、各々好きなおかずあるいはご飯を食らっていく。

日本人も、それ以外も、みんなが同じような食事をとるというのはなかなか見ることのない光景だ。

サーヴァントだからなのか、箸とかいう道具があったかもわからない時代の人間であるマンドリカルドと、おそらく相当古い年代の人間であろうセイバーも平然と箸を取り回している。もれなく基本的な作法まで身につけて。

 

「こんな飯時になんだが、例のアーチャーはどうするんだよ」

 

話そう話そうと思って完璧に失念していたことに不破が言及する。

平和であるべきな食事時に血なまぐさい話はアレかもしれないが、全員が一カ所に集中する場面なんてこのときくらいしかない・・・・・・これ以上先延ばしにしていたら何も有用な策を見いだせないまま戦いに突入する可能性を孕んでいる。

 

「俺らが画策していた当初の作戦通りに行けるっちゃ行けるけど、不破とこいつをどうするべきかだよな」

 

どこで戦闘するかにもよるが、出来ればひとりは周りの被害を抑え目撃者の記憶をどうにかして奪わなければならない。

ギルガメッシュ相手ともなると固有結界以上のレベルでないと抑えこむことは難しいだろう。

 

「ほいじゃ俺は周りがえらいことならんよう対策しといたるわ。どうせサーヴァント相手したってワイ・即・斬よ。不破ちゃんやったらちったあどうにかできるかも、やけどな」

 

「ギルガメッシュ相手とか俺にも無理に決まってるだろうが。できてマスターどものお守りぐらいが限界だ」

 

俺だって体は人間だからな、と卵焼きを二切れ一気に掴んで醤油をぶっかけ口にねじ込む不破。

流石に物を口に入れてしゃべくるのは憚られると考えたが、わざわざ箸を置いて唐川の方を指差し両手の人差し指でペケの形を作った。

 

「二人に任せられるってんならこっちも幾分か楽だな。俺も3人以上を守るのには不安があるし」

 

いくら防戦慣れしてるからって普通の戦争とこれは違うし。とセイバーが続ける。

 

「俺もマスターのことをお任せできるんならアサシンらしく動きやすいですね。無限に近い宝具を持つアーチャーともあれば見抜かれる可能性もありますが、隠密に集中できれば少しは時間を稼げるかと」

 

「死ぬ前提で話を進めるんじゃねえよ。お前は生き残ってこいつらの泥沼に首突っ込むんだよ」

 

「武士道に反します・・・・・・まあマスターのご命令なら、いくらでも御意と答えるほかないんですけど」

 

「え~アサシンくんも来るの~オジサン流石にそれはきちぃよ」

 

「俺もに決まってるじゃないっすか、三つ巴の乱闘とか・・・・・・経験無くはないっすけどあんまいい思い出ないんで」

 

結果的に自分の死因となった戦いを思い出して勝手に青ざめているマンドリカルド。

普通聖杯戦争ってのはそういうバトルロワイヤルだろ。とか言いたかったが、俺は参加が今回で初めてなので言えたことではないと思い自重した。

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