Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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九日目がクッソ長い
長すぎる


あ、やっとマイフレンドの宝具マックスになって絆11になりました
マイフレンド恒常の癖になんであんな沼らせて来たんじゃ・・・・・・


123話 九日目:自責

「なんとか片付いたっす」

 

結構疲れたのだろう、こめかみあたりに透明な粒が伝っている。服の至る所に様々な大きさの木くずがひっついてるあたり急いでいたであろうことがわかった。

流石にこのまま寝られたら俺の顔面に尖った木くずが刺さりまくりかねないので丁寧に指、小さいものだとピンセットを用いて取り除いていく。

なお、途中でまどろっこしくなったので衣服用コロコロで全部粉も含めてくっつけてやった。やはり文明の利器はすばらしい、なぜこんなものを魔術師は毛嫌いするんだか。

 

「ん?なんか怪我でもしてたのか?」

 

ふと彼の指先を見ると、少しだけ血らしきものが付着していた。もうこのくらいの血ならまだ耐えられるくらいになってしまったらしく、淡々と問いを投げかけた。

サーヴァント故にすぐ傷は塞がって何もなかったように戻るのだが、気になるものは気になる。

 

「あぁ・・・・・・ちょっとミスっちまったんすよ、時々木って硬いところあるじゃないっすか、そこをなんとか削ろうと無理やり力込めたら勢いよくいっちゃって指をずばっと」

 

想像しただけでも痛い。

確かに俺も美術の授業かなんかで木造の像を作ったことがあったが、そん時にクラスメイトが数人やらかしていたことを思い出す。

美術室の床にできた血だまりを思い出して・・・・・・これ以上はやめておこう。

 

「霊体だからすぐ治ると言っても気をつけろよ~なんかの拍子に致命的なやつ食らわれても困るからな」

 

「別に旋盤とかやるわけじゃないっすから大丈夫っすよ」

 

そりゃ魔術師の家にそんなもん置いてるわけない。まあ時折科学技術の結晶を利用する人間はいるけれど、かなり少ない。

科学嫌いをこじらせた挙げ句パソコンもまともに触れないようなゆとりが量産されている現状、そんなことをしているのは俺のような『人道に反さないのなら、使えりゃなんだっていい』みたいなスタンスの(異端認定されかねない)奴らだけだ。

 

「裏山の木って整備してねえから曲者揃いだっただろ・・・・・・幹こそ真っ直ぐに見えるけど家から流れ出したなんかの溶液と作用してることもあったし」

 

「あぁ、それでやけにこいつから魔力を感じたんすね・・・・・・この木そのものがエネルギーをため込めるように変化してて、これならいざという時なんかに使えそう」

 

俺の知らないところでそんな状態になっていたとは驚きだ。

確かに高濃度の魔力を含む、もしくは発生させる液(自然産出宝石の融解したものなど・・・・・・水銀もそれにあたるが流した瞬間豚箱送り)を吸収して擬似的な宝石と化すのかもしれない。かなり適当な推論だが概ねそんな話で合っていると思う。

宝石魔術に関しては詳しい知り合いが海くらいしかいないので完全に信頼できるエビデンスを得ることは難しいが、また今度聞くだけ聞いてみようか。

 

「出来、見せられるか?」

 

「・・・・・・あー・・・・・・まだっす。まだ概形終わったところで・・・・・・明日また完成させるつもりっすよ」

 

「そうか、楽しみにしてる」

 

謎にもじもじして何かを隠しているように見えたが、まあ大したことでもなかろう。本気で隠し事をしていたらもっと険しい顔になっているであろうことを俺は知っているし、少し恥ずかしそうにしているだけだ、大方俺にサプライズでも仕組んでいるレベルだと想定できる。

もし本当にそうだとしたら、そいつを渡されたりした瞬間全力で驚いてやろう。そして全力で感謝してやろう。

それが、察してしまった者としての礼儀というものだ・・・・・・って何を言ってんだろうな俺は。

 

「さ、あの金ピカと戦うのは明日になるかもしれねえからさっさと寝るぞ」

 

「うぃーっす」

 

もはや就寝時霊体化するという選択肢はない。

二人してでかいベッドに寝転がり、毛布の中へうまい具合に潜り込む。

希う。

明日も、ちゃんと目が覚めますように。

 

 

「・・・・・・ここ、は」

 

一振りの剣が、何もない場所に突き刺さっている。無論それは、俺の中に存在するデュランダル。

無意識のうちに、足が動く。

抜けるだろうか、抜けたとしたら・・・・・・

その柄に手をかけ、力を込める。

 

「ふんっぬぅ・・・・・・う、く・・・・・・うぅ!!」

 

1Åすらも動かない。

やはり、彼が言っていたように・・・・・・俺一人で解放することは不可能なのだろう。目の前にそれがあるのに、手に入れられないもどかしさたるや・・・・・・

 

「・・・・・・あれは」

 

はるか彼方、ギリギリ俺の視力で顔を判別できるくらいの場所に、誰かがいた。じっと俺を睨むように見つめつつ、その場に立っている。

それは中学生くらいの男の子で、俺にとてもよく似ていた。

もうだいたい察しが付いてしまったが、ここで逃げるわけにもいかない。もしかしたら重要な何かを持っているかもしれないのだから。

 

「なあ」

 

俺は歩み寄り、彼へと声をかける。

 

「────」

 

ふっ、と・・・・・・蜃気楼のように消えた。

しばらく俺は呆然として地面を見つめていたが、また視線を感じたので顔を上げる。

 

「・・・・・・そういうやつか」

 

そこには彼がいて、また俺を睨んでいる。

追いかけても、追いかけても・・・・・・もうすぐ触れられるというところで消えてしまう。

パラドックスとして有名なアキレウスと亀じゃあないけど、永遠に追い越すどころか追いつけないみたいな・・・・・・

 

「待て!!」

 

「────」

 

逃げる、逃げる。追いかける、追いかける。

千日手じみたこいつに嫌気が差し、俺はその場に座り込んだ。夢の中なのに疲れるとか最悪すぎる。

 

「・・・・・・なんなんだよお前」

 

「────」

 

何かを言っているのはわかるが、肝心の内容が聞こえない。もしくは聞こえてもその意味を理解できない。

知ってしまった瞬間俺がどうにかなるのでは、という恐怖もあるが、このまま放っておいてもわだかまりにしかならないのだ。

何としてでも聞き出したい、というのが俺の考えなのだが・・・・・・

 

「わかるように言ってくれ、頼むから」

 

「──して」

 

「・・・・・・え?」

 

「返してよ」

 

ぐっと歯を食いしばって、その少年は喉から声を絞り出した。

俺だって、望んで奪った訳じゃない。奪いたくて奪った訳じゃない。

 

「んなこと言ったって・・・・・・俺は」

 

「俺の経験するはずだった10年を返してくれよ、俺を殺した医者の息子が成り代わるなんて、そんなことあるのかよ」

 

人生で一番楽しいであろう10年を失った、彼の悲しみは十二分に理解できる。

これは俺の自責の念の現れなのかもしれない。そうだとすれば、自分なんかが人の居場所を奪ったことへの罪悪感が、心の中でくすぶっていて・・・・・・今形になったのだろう。

 

「返したいけど、返せない。俺は時間を遡れるような魔術師じゃない」

 

「・・・・・・わかってる、俺の家は強化の術に命賭けてきたようなところだ・・・・・・そんなんはわかってんだ!」

 

理屈は理解できても、納得はしてくれない。

当たり前なのかもしれない。俺だって・・・・・・同じ立場だったら自分を襲った理不尽に怒るだろう。

 

「俺にはもう、お前の分まで頑張って生きるしかねえんだよ。それ以外、何もできねえんだ」

 

聖杯に願っても、彼のような既に死んでしまった人間の蘇生は無理だろう。遺体はもう残っていない(焼かれた)だろうし・・・・・・

時間旅行、平行世界への干渉及び運営、無の否定・・・・・・この3つのうちどれかあるいは複数の魔法が絡むのだ。

無の否定をする方法探求が俺に課された命題でもあるが、答えなんてのは未だに見つかるわけもない。

俺がそう言い訳のように答えたあと、彼が口を開くことはなかった。

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