Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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あえてルビはふらない!(いかんでしょ)

途中登場人物設定とまあまあの齟齬が生まれてしまったけど許してください何でもはしませんけどそれなりのことであればウアアアアアアア


十日目
124話 十日目:ものづくりはたのしい


気づけばもう朝だった。昨日の疲れを鑑みると当然というくらいの眠りこけぶりではあるが、少し寝坊してしまっただろうかと思い俺は部屋の時計を見る。

時刻は概ね許容範囲内。アラーム設定を完璧に忘れていたわりには上出来だと思いたい。

 

「・・・・・・あれ」

 

ふと隣を見ると、マンドリカルドがいない。

昨日言ってたとおり、剣を作るのに没頭しているのだろう。

俺は大きく伸びをして、なんとか体を叩き起こす。耳をすますと隣の部屋から木を削る音が聞こえてくる・・・・・・来栖さんはもうリビングに行ったのだろうか。

 

「いっでっ!?」

 

時折そんな叫び声が聞こえてくる。

昨日同様に勢い余って指先でも切ったのだろう、ぶきっちょなやつめ。

 

「・・・・・・あー・・・・・・俺もやらなきゃいけねえことが多いなあ」

 

もはや意味をなさなくなったごまかし用のライダーセットも、勿体ないからなんかに改造してやりたい。

あと、もうすぐ誕生日である海に一応プレゼントを押しつけておきたい。実際は15日なのであと3日はあるのだが、早いうちに渡しておかないと後悔しそうな気がするのだ。

 

「・・・・・・つってもなあ」

 

今から買いにいくとなると絶対みんなついてきそうだから怖い。

できれば家から出ずにどうにか出来ないものか・・・・・・

宝石屋なんだからそういった装飾品というのはあまりよろしくなさそうだし、どっかで勝手に魔術へ転用されかねないし。

・・・・・・アクセサリー関連でプレゼントするのならまあ時計とか、そういう・・・・・・

 

「・・・・・・あ」

 

一つ思い出した。

海のつけているモノクルは最近劣化が激しくなっていて、今にも魔眼殺しの効力を失いそうになっている。

さすがに常時認識を改変しかねない状態というのは危険なので、新しい眼鏡をあげた方が良さそうだ。

 

「そうと決まれば・・・・・・だな」

 

幸い我が家の魔術は物作りにも適している。強化を自分以外にかけそれを自然解除しないように保護することさえできれば、の話ではあるが。

俺はもうそういった魔術品の作成は慣れているので、焦らず行程を進めれば何ら問題はないだろう。

研究室へ向かうため、二階へと続く階段を上る。

今日は雨が降っている。ギルガメッシュもわざわざこんな日に来ないだろうという希望的観測をしつつ、俺は椅子に座り込んだ。

体全体を優しく包み込んでくれるこの力・・・・・・最高だ。

 

「さーてとっ」

 

モノクルなので基本的に眼鏡と素材は同じ。

海の視力は両方とも本人曰くAAだそうなので、別に度は必要ないだろう。

レンズ径は45mm、つるの長さも平均くらい。

 

「・・・・・・ねじあるかこれ」

 

眼鏡用の小さいねじを引き出しの中から探し出す。

かなり古い菓子の入れ物(中にフィギュアの入ってるチョコ菓子)に大きさで分類しまとめた部品は入れているが、何しろどれにどれが入っているか皆目見当もつかんのが困りどころだ。

いつかクリアケースに入れようと思っているけれど毎度毎度めんどくせえなと思ってしまい今の今までやらずじまい。俺の悪い癖だ。

 

「これでいけるか」

 

かなり小さいねじを発見した。サイズ的に眼鏡用と見て間違いない。確か母さんが眼鏡っ子だったこともありそこら辺は結構揃っている・・・・・・って、これ俺の記憶にあったか?

 

「・・・・・・元の俺か?」

 

昨晩見た夢の中出会った本当の平尾克親。

あのときは、俺の後悔や自責の念が生んだ幻想だと思っていたが、もしかしたら本物の可能性もある。

そうだとすれば、少しありがたい。いつか彼を蘇生させるため、人格は残っていた方がいい。

 

「さて、材料が揃いはしたが・・・・・・」

 

レンズ、フレーム、つる、チェーン、鼻当てなどの基本部品はなんとか引き出しから探し当てたり、元となる金属を簡単に整形してコンプリート。飾りの部分はあとから考えるとして、まずはレンズの加工からだろう。

 

「excitation」

 

空想のボタンを押し込んで、正式に魔術回路を起動させる。いつも通りの頭痛も、今となっては懐かしい気分だ(最近ちゃんとした起動してなかったし)。

レンズに指紋が付かないよう専用の台に移し、両手に魔力を充填する。

簡略化が大好きな平尾家なので、呪文はどれもこれも短いものばかり。暴発を防ぐためにイメージ力はかなり必要で、きっちり出力するためにはそれなりの時間をかけなくてはならない。面倒ではあるが長ったらしい呪文を言わされるよりかはマシだ。

 

「l'écriture」

 

宝石より書き込みやすさが低い硝子素材なので、最初にコマンドプロンプトの状態にさせておく。

向こうが命令を受け付けるようになったところで、本題のプログラムを構築する。

 

「Contrôlez l'œil magique éblouissant.」

 

まずメインの効果として、魔眼の制御。

口には出さないがかなりややこしい術式を組み上げ一瞬でぶち込んでいる。

 

「Et parfois l'aider.」

 

そして副次効果として、魔眼起動時に魔力の拡散防止措置や標的追跡機能をくっつける。

前に『一回目標的から目を離すと効果が半減する』と言っていたため、視線固定を強制しない方式でターゲティングをサポートするのだ。

そしてもれなく俺の強化を隠しコマンドのようにねじ込んでやった。使用者が強く願うことによりコマンドが起動、魔眼の効力を強める作用がある。

これこそ基本を極めようとする家の技術力。ちょっと屁理屈を言うだけでたいていのことはできてしまうのだ。

 

「Je n'ai qu'un seul souhait ... Béni par mon mauvais ami.」

 

最後に祈りの言葉。マンドリカルドにあげたペンダントとは少し違う思いだが、本質は似たようなものだろう。

魔術品としての加工を終えたレンズをある程度研磨し細かい傷を落とす。言ってもそこまで細かい目のものを使っていないので普通のものと比べたら微妙かもしれないがまあそこはご愛嬌。

薄くコーティングをして、一度埃がつかぬよう保管しておく。

 

「さて、物持ちの悪いあいつに耐えられるようなフレームかあ」

 

隙あらば手に持った新聞でしばくし、ペンも気分で折る。宝石も適当に投げることだってあるし、服はちょくちょく破ける。

絶望的なまでに荒々しい生き方をしているあいつなので、その乱暴に屈しないものを作る必要があった。

硬く、熱にも強く、人体に悪影響を及ぼさない・・・・・・となると、チタンが一番適している。

金属加工はあまり得意ではないほうなのだが、一応可能っちゃあ可能だ。

あいつのことだから少しでも不備があると文句垂れそうだし、全力で挑むほかあるまい。

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