Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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うーん小さな軋轢ィ

最近テストまみれで死にそうなんですけどだれか運命力わけて


127話 十日目:友達ごっこなわけあるかい

「魔眼とか憧れます、かっこいいです!!」

 

「・・・・・・お、おう」

 

いきなり詰め寄られたせいで海が完璧な困惑の声を上げた。いきなりパーソナルスペースに侵略してくるタイプは容赦なく張り倒す奴ではあるが、さすがに高校生相手にそれをするのは憚られると思ったのか何もしなかった。

 

「どうなんですか、それって普通の目と視界が違ったりするんですか?」

 

「まあ独立した魔術回路みたいなもんだし、どっか微妙差はあるんだろうが・・・・・・母ちゃんの股から捻り出された時からこんなんだし、どこがどう違うとかはわからねえよ」

 

モノクルを目にかけ、ソファにもたれかかる海。

そういえば、どこかでそんな話を聞いた。俺とお前の見ている景色は違うのかもしれないという話を。

 

「こっちのは使いすぎるとわかりやすく機能不全に陥るポンコツおめめでなあ。一日に能力をフルパワーで1、2回も使えば一瞬でやられるから困りもんなんだぜ」

 

だからあんまり力を使いたがらない海なのだが、此度の戦いで目にブラック業務を押しつけていないかと心配になる。

あからさまに体は不調を訴えているようだったし、一度魔術関係の医者にでも連行したいところだったのだが、八月朔日なんて絶対魔眼くり抜いてきそうだし、唐川も一応そういった治療法を会得してはいるがその場の気分でいらんことをしでかす気しかしないので頼れない・・・・・・というわけで手をこまねいていたのだ。

 

「機能不全とは?」

 

「色覚異常だな。もう疲れた日なんて全部が全部白黒の世界よ。もう左普通で右白黒とか頭おかしなるっての」

 

それを防ぐための魔眼殺しでもあるんだがな、とモノクルのつるを撫でた。俺そんな色覚補正の式入れてねえけど大丈夫なのだろうか。

 

「んで、俺のめんたまの話はどうでもいいだろ?問題は八月朔日ぽいなんかだ」

 

「・・・・・・それはそうだな、あいつはアーチャーに始末されたはずなんだが」

 

ギルガメッシュによって死体に加工された直後、不破の手によって解体されているためにあそこで入れ替わったということはないだろう。

となれば、俺を追いかけてやってきたアレそのものが偽物で、今貴志を狙う奴こそが本物・・・・・・もしくはまた別の偽物である。俺の体も、八月朔日喪というやつの複製に手を加えたという話なので、クローンを作成する技術自体は10年前に完成させているはず。奴自身がそれを使っていたってなんらおかしくはないだろう。

 

「複製可能となると厄介だよな、どれくらい奴を叩けばいいんだかわからねえ」

 

「1人いたら300人はいるってことだろうな」

 

「ゴキブリかなんかか」

 

まあ俺らにとっちゃゴキブリ以上に不快かつ有害なオオスズメバチみたいなもんだ。さっさと巣ごと焼いて駆除してやりたいところだがまあそれは問屋が卸さんだろう。

 

「あいつのことだ、令呪奪ってマスターに返り咲きとかその程度で済ます訳がねえ」

 

「そりゃそうに決まってんだろ、下手すりゃ人類崩壊シナリオまで書いててもおかしくねえようなリア狂だぞ」

 

リア(ル)狂(人)なのは俺もお前も同じじゃねえかという突っ込みはさておいて、八月朔日のことだからやりかねないのが困ったところ。

 

「聖杯なんて英霊7騎放り込みゃ世界に穴ぶちあけて根源まで到達させることができる代物だ、あんなもんあいつがほっとくかよ」

 

「・・・・・・マスター、それ本当ですか」

 

傍らで聞いていた篠塚が少しだけ、困惑と怒りの混じったような声で告げる。

聖杯はサーヴァントにそういうことを伝えてないらしいし、こんなことを聞いても困るだけだ。自分の願いを叶えるために来たのに、最後の最後で信頼していたマスターに殺されるとかいう展開許されるべきではない。

 

「知り合いから聞いた話だが恐らく1000%マジの話だろうな」

 

「じゃあ、じゃあマスターは俺を・・・・・・最後の最後に殺すつもりなんですか?その令呪を使って」

 

「だーれがんなつまんねえことするか馬鹿かお前」

 

そもそもそんなんで根源到達して嬉しいわけねえだろ、と人差し指を鼻の穴に突っ込んで盛大にほじくる海。もう何も言うまい。

 

「・・・・・・でも」

 

「なんだ、令呪が怖いか?」

 

無造作にシャツをたくしあげ右の脇腹を見せつける海。いきなりのことで驚きながら視線を背けた貴志だが、なんだか首からヤバそうな音を上げていた。大丈夫かと一応診るだけ診てやったが1日もすれば治るくらいの奴なので、いたいのいたいの飛んでいけ(自己回復強化魔術つき)をかけてやったからもう大丈夫だろう。

風車のようなその模様は、きっちり3画残っている。

確かに令呪というのはいざという時サーヴァントを自害させるという命令も通せるもの(抵抗される場合はあるが)だ。

それほどの命令権が3回分も残っているとなると、彼にとっては怖くないわけがない・・・・・・

 

「・・・・・・俺は、自決を言い渡されたらきっちりこの腹を切るつもりでした。でも・・・・・・でも今は・・・・・・いや、やめておきます。惨めなしがみつきなんて、武士道に反しますから」

 

生に執着する自分自身が恥ずかしくなったとばかりに、篠塚はその場で姿を消した。

 

「つい口を滑らしちまったな」

 

「まあああなって当然だろ。信頼してる奴に裏切られる可能性がいきなり飛んできて後頭部に当たったようなもんだし」

 

「俺らには縁の無いことでも言わねー方が良かったな」

 

やらかしたわ、と頭を抱える海。

 

「でも、お前はやる気ねえんだろ?外への穴空けるってのは」

 

「当たり前なんだよなあ。俺は魔法使いになるよりも金が重要なの」

 

それはそれでどうなんだと言いたくもなるが、まあ聖杯への願いで金ってのはまあ平和な方だろう。

やろうと思えば因果を少々ねじ曲げて変な方向に行かせることもできるだろうし、使い方さえ間違えれば抑止力の社員がすっ飛んでくるはずだ。

 

「お前はそこらへんどうなんだよ」

 

「まあ俺も根源へは自分の足で行きたい。聖杯とかいうヘリコプターで上から到達までの道すっ飛ばして頂上きちゃ~とか面白くねえにもほどがある」

 

その頂上へ至るまでに必要な、靴とかストックにあたるツールくらいなら聖杯に要求してもいいだろうが、それであればわざわざ親友を殺さずとも可能だろう。

 

「そうだろ?あんなんアラサーさしかかるかさしかからんかくらいの年齢で至ってもそのあとめんどくさいだろ。協会&教会からずっと追いかけ回されること不可避ってやつ」

 

封印指定なんて食らった暁には不破と同程度かそれ以上クラスの戦闘狂が大量投入されるはずなので、地獄であることは間違いないはずだ。

 

「やっぱ根源到達は次の代任せだろうな」

 

「お前で末代だったりしてな」

 

「そのセリフそっくりコピペして返すわ」

 

双方今までロクな恋愛をしていない。

というわけで互いをこう笑うのは当然・・・・・・なのかもしれん。

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