Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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バトルシーンって整合性取るの難しいよねー(白目)


134話 十日目:いつかの豪語

「我が身すら焼く、永劫の焔よ」

 

篠突く雨が降っているはずなのに、彼の持つ槍の切っ先からは青白い炎が燃えている。

それはマッチにつけた火のように広がり、マンドリカルドの体まで燃え広がっていった。

青い炎ともなれば温度はかなり高いはずなのに、彼は苦しむこともなくギルガメッシュが繰り出す宝具の連打をことごとくいなすばかり。

 

「罪を熬る篝火」

 

雨水が、炎に触れた瞬間蒸発している。

足の裏からも吹き上がる炎は彼に推進力を与え、さらにギルガメッシュのすぐ近くまで迫る。

 

「精霊よ、俺の罪を焚物に・・・・・・全てを焼き払え」

 

マンドリカルドが、奴の手首を掴んだ。

不快そうにギルガメッシュが眉を顰め振り払うも、炎はもう避けられはしない。

 

「巻き添えになってもらうっすよ・・・・・・『咎人に与える鉄槌(エグゼキュシオン・クリミネル)』ッ!!」

 

ごう、と音を立て青い焔が燃え広がる。

消えぬ炎の手は止まるはずもなく、ギルガメッシュの着ている服へと燃え移った。

 

「・・・・・・手ぬるいな。その程度の罪で、焔で・・・・・・我を斃せるなどと思ったか」

 

「なっ────────!?」

 

裾が焼け焦げただけで、ギルガメッシュはなんともないと左手に剣を出す。

右腕を掴むマンドリカルドの手を逆に捕らえ・・・・・・穢らわしいと吐き捨てた挙げ句斬りつけた。

血の雨が、俺の顔にまで降り注ぐ。

 

「いっ・・・・・・でぇなあ!!」

 

ぼとりと重たげな音を立てて、何かが地面に落ちた。

一瞬にして魔力の霧となり拡散したが、あれは紛れもなく彼の腕。

ちょうど鎧の隙間から斬られてしまったのだろう、二の腕の真ん中から下あたりを綺麗に失っている。

 

「う、あ」

 

胃から酸っぱい何かが上がってくる。

我慢しきれるはずもなく、俺はその場に全部をぶちまけた。もっと凄惨な光景を見てきたはずなのに、どうしてか各段に胸が痛む。

早く回復をしてもらうために俺は回路をぶん回し、ほぼ限界というところまで魔力を生産し続ける。

 

「・・・・・・っはぁ・・・・・・はーっ・・・・・・!」

 

「・・・・・・そろそろ諦めたらどうだ雑兵」

 

濃密な力が吹き上がり、マンドリカルドの腕は再生する。

だがそれに手間取ってしまったせいか、あえなく鎖に絡められ動きを封じられる。

それはまるで標本のように、ピン留めされた蝶のように・・・・・・だがその制作者はそれを美しいとは微塵も思っていないようだ。

 

「前のような力は出ないようだな」

 

「・・・・・・っ、くっ・・・・・・あ”ぁ”!」

 

どれだけ鎖を掴んで動こうとも、それはびくともしないまま。

歯を食いしばる彼の顔を、俺は見たくないとすら思ってしまった。

 

「雑種、貴様はなんのために戦う」

 

英雄の王が、問う。

 

「・・・・・・俺と、マスターの夢を叶えるためだ。それ以外の何物でもねえよ」

 

「ふ、ふははははははははははははははははははははは!」

 

高らかな笑い声が、大雨の夜に響く。

すべてをつまらぬものと言われたも同然のような声だ。そりゃ、神と人の狭間にいる奴にとって、俺たちの願いはとるに足らないものなのかもしれない。

でも、でもだ・・・・・・

 

「はっ・・・・・・夢というものは、いつか必ず醒めて消え果てるのが道理というものよ」

 

「・・・・・・それでも、俺は戦う。例え無駄なことだとしても、俺は・・・・・・」

 

心臓が痛い。

体の中で刃物を振り回されているような、そんな感覚がする。

 

「おいおいマスターさん大丈夫か?お前さんはオジサンの命まで預かってんだからしっかりしてくれよ」

 

「・・・・・・あ、ああ」

 

もどかしい。

もうすぐ、取り出せそうなのに何かがつっかえている。

どうすればいい。

なにをすれば・・・・・・

 

「アンタにどれだけ馬鹿にされたっていい、どれだけ無謀なことでもいい。俺は・・・・・・人故に、做すべきことがあると信じ続けるだけだ」

 

血にまみれたその体が、ぎしと震える。

怒りでも、悲しみでもない、決意による武者震い。

 

「俺たちは夢の為に戦う、俺と・・・・・・克親の二人で!!」

 

俺と、マンドリカルドの間にある繋がりが・・・・・・力を増していく。

それが我が王である彼の意志であるのなら、俺はそれに従おう。

 

「セラヴィ!!」

 

まだ封印は解けていない、だがその片鱗は見せられるはず・・・・・・

 

「・・・・・・人の幻想が、我に勝るとでも思ったか」

 

マンドリカルドに絡みついていた鎖が解かれたと思えば、いきなり別の鎖で横薙ぎに吹き飛ばされる。

宙に浮く彼の体、ここから落ちればサーヴァントとはいえ相応のダメージは食らいそうなものだ・・・・・・

そう思った瞬間、体は動いていた。

 

「ちょっと待て動くならオジサンに言ってからにしてくれっての!」

 

「んな暇ねえよ!」

 

体中に踏ん張るための術をかけ、マンドリカルドの体をなんとか受け止める。

なにやら雨水よりも粘度のある液体が手に付いたが、もう考えても特にはならない。

 

「大丈夫か」

 

「・・・・・・なんとか」

 

雨は小康状態へと落ち着いた。だがここで休めるわけなんてあるはずもない。

 

「なぜ貴様はそこまでして隷へと寄り添う。そうまでして聖杯を手に入れたいか?」

 

「・・・・・・言っただろ・・・・・・セラヴィは、ライダーは俺の友達だからだよ。お前なんぞが理解できるかわかんねえがな・・・・・・友であるのなら、どんな時だって見捨てたりはしない。ひとりで死なせやしねえ!!」

 

俺は御守りとして密かに持っていた”それ”を握りしめる。

もうこんなところで怖じ気づいていられるか、俺が戦わないでどうするんだ。

 

「俺たちは絶対に勝つと、そう約束した。神だってぶち殺すと、俺はセラヴィに言った!!」

 

濡れた前髪を掻き分けて、俺は屋根の上で悠々と見下してくるギルガメッシュに言い放つ。

もうどうなろうが関係ない、邪魔立てするなら潰すのみだ。

 

「決めたぞ────貴様は、殺す」

 

少しだけ焼けた上着を脱ぎ捨てて、ギルガメッシュは上半身をさらけ出す。

金色の門が開く・・・・・・何を取り出すのかと思ったら、それは赤い剣のような物体。

 

「こんな雨の中で機嫌は悪かろうが、目覚めてしばしの宴に華でも添えてもらおうか・・・・・・」

 

「おいおい、ありゃ俺でも無理だぜ・・・・・・?」

 

全てを瓦礫に変えてしまいそうな風が吹き荒れる。

赤い烈風が、肌を切り裂いてくるような錯覚。

俺は本能的に察知した・・・・・・あれは、ギルガメッシュ本人の持つ宝具。

 

「セラヴィ、一応聞くが・・・・・・諦めちゃいないよな」

 

「・・・・・・当たり前っすよ」

 

俺は、握っていたそれを元の大きさに戻す。

これなら、不完全な今でも使えるはずだ。

 

「これは、まさか」

 

「・・・・・・そいつを軸に、呼び覚ます」

 

俺の意図を察したのだろう。マンドリカルドは静かに頷いた。

 

「セイバー、ちょっとでいいから時間を稼いではくれないか」

 

「・・・・・・何秒だ」

 

「5秒でいい」

 

それならまあオジサンみたいなロートルにもいけますかねえ。とセイバーが剣を握りしめた。

 

「・・・・・・これが”手本”だ、しっかり見とけよ」

 

いつも通りのへらへら笑いではない。

セイバーの本気が、俺には見えた。




咎人に与える鉄槌ですがFGOで言うとどうなるんでしょうね
自分にやけど状態(5ターン・300ダメージ)を付与&バスターアップ(1ターン)&「悪」属性特攻を付与&敵全体に強力なダメージ
的な(微妙)
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