Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
つかキャストリア全然当たらんので悲しみのロリンチちゃんで轢き逃げアタックwithマイフレンドで心臓狩りツアー開始してます()
「意味のないことを」
「意味がなくったって、俺は戦う・・・・・・我が主のためならば、何を棄ててでも!」
あまりの力に、空間さえ歪んだのではないかと錯覚する。
山崎の放った斬撃はタナトスに直撃し、小さくはあるが傷を作った。
令呪を全部使っての攻撃だというのに、歯が立たない・・・・・・これ以上強い攻撃なんて、なにも・・・・・・
「食らえこのクソ外道!!」
俺のこめかみのそばを、何か黒い物体が通り過ぎる。
不破の放った炭素の黒鍵が唐川の体に刺さり、次の瞬間────。
「発散!」
黒鍵は溶け、奴の体内に浸透する。
炭素の塊が爆裂して、血しぶきと肉片を飛ばしながら唐川の腹を抉った。
「なかなかえげつないことをしやがる・・・・・・」
「うっせえ人類の敵ならぶっ殺す他ねえだろ!」
不破の連続攻撃によって体内から臓器をこぼしかけている二人だが、まったくもって死ぬ気配がない。
バックアップのことを無意識に考えてしまっているのだろうか・・・・・・
タナトスは神霊であるが、一応サーヴァントと同じシステムで呼び出され実体化しているので召喚者に従わなくてはならない。そして・・・・・・召喚したマスターに値する存在を消せば、自動的に向こうも帰るのではっつう寸法らしい。
「おいセラヴィ、克親の様子は────っ」
答えなぞ・・・・・・聞かずともわかった。
嘘だ、そんなこと、嫌だ。
「・・・・・・”海”」
強い認識災害の力で、自分こそが平尾克親だと奴は世界に言ったのだ。
抑止力により現実改変の力は弱められるはずなのに、奴は、平然と世界を・・・・・・そして神すらも騙しきった。
「・・・・・・どうして」
足元がふらつく。
勝手に俺は海のもとへ歩み寄り、どさりと崩れ落ちた。
何も言えないまま、別れの時を迎えてしまった。奴が示していた覚悟を、俺は冗談だろと笑い飛ばしていた。
それがどんなに愚かで、酷い行為だったのかなんて言わずもがなだろう。
「俺は、俺は・・・・・・」
頭が思考を止めたがっている。言いたいことが言葉にできない。
「今悲しんでる暇はねえ、さっさと立て!!」
戦わなければとは思っている。
だが、もう俺は一歩も踏み出せない。
どうしようもなく、生きる気力が失われていく。マンドリカルドが大丈夫かと差し出した手を、満足に握ることすらできない。
「克親、泣くのは・・・・・・あとにするっすよ」
「・・・・・・そんなこと言ったって」
「息を引き取る間際、言われたんすよ。”地獄で待ってるが、お前は80年後以降に来ねえと入れてやんねえからな”って」
それが海の言葉か。
遠回しに”死ぬな”と告げられたのなら、生きるしか無いじゃないか。
「・・・・・・セラヴィ。もっかい神をぶっ潰す覚悟あるか」
「・・・・・・ああ、克親がいるのなら・・・・・・何度だって撃ち落としてみせる」
デュランダルを顕現させるだけの魔力は、もう体内に残っていない。
篠塚・・・・・・否、山崎の放った宝具により魔力の消費はかなりきつい状況。龍脈から直接拾い上げていなければ、とっくの昔に俺は精魂ともども枯れ果てて土に還っていたところだろう。
「セイバー、来栖さんは無事なのか?」
「ああ大丈夫だ、今のところはとしか言えんがな・・・・・・!ていうかオジサンもそろそろ死ぬ気でやらねえとだめっぽいな」
セイバーは煌めく兜を身につけ、あからさまに殺気を放つ。
兜輝くヘクトール・・・・・・その二つ名の通り、というわけだ。
「行くぞ!」
海の体を比較的被害の及ばなさそうな場所に動かしてやり、俺は意を決してマンドリカルドの横を走り出した。
敏捷Aのサーヴァントが出す本気に追いつくというだけで相当工程の多い術式になるのだが、魔術刻印によるブーストにより現状俺の使えるあらゆる魔術式はシングルアクションと同じ程度の短さで発することができる。
こうなれば脳筋戦法だと思い切り、俺はいくつものバフをかけまくってやった。
龍脈から溢れ出す魔力はよほどのことでもない限り尽きることがない。一瞬くらい派手に使ったって大丈夫。
「Renforcement! Renforcez votre vision dynamique! Déployez un film protecteur! Taux de réussite! Augmentation de la vitesse de calcul!」
噛みそう。ものすごく舌を噛み切ってしまいそう。
だが止めるわけにもいかない。
「そぅら食らいなっ!!」
「クソ天パテメェのことは会ったときからぶち殺してぇと思ってたぜ!!」
セイバーと不破が八月朔日と唐川に猛攻を加えている。その隙に俺らでタナトスをぶっ飛ばすしかないというわけだ。
「・・・・・・行くぞ。海はもういねえが、大丈夫か篠塚」
「ええ。アサシンなもんで・・・・・・動けはしますよ」
ならそれでいい、と言いながら俺はマンドリカルドに念話で指令を飛ばす。
もう海の手助けはない。俺が今一度あの権能により死を与えられることとなれば、避ける手だてはないだろう。
「結界が効くたあ思わんが・・・・・・っと!」
幻想種に対抗するためにと開発された式を編み、展開する。
さすがに神相手には効き目が悪く、ほんのり動きが遅くなったかというレベルに過ぎない。
だが時間稼ぎがまだいる。あれを完全に俺の体から出す方法はわかっているが、何しろ工程が嵩む・・・・・・
「・・・・・・無駄な足掻きよ」
「っあ”っ・・・・・・!!」
またあの痛みだ。
背中に冷や汗が伝う。ここでくたばるわけにはいかない、死ぬわけにはいかない、死んだら海に殴り飛ばされてでも現世に戻されるだろう。
俺はもう、すべてを捨てる覚悟で刻印を起動させた。この体が朽ち果てようとも俺は生きてやる、「死にたくない」ではない、俺は「生きたい」のだ。
本能、即ちリビドーが間欠泉のように湧き上がる。
「っ・・・・・・あ”、う”ぁ・・・・・・!」
何度も心臓が止まる感覚。
鼓動を完全に止めてなるものかと力業で動かしながら、俺は自分の奥底にあるそれに指をかけた。
「う”、ぁ”・・・・・・ぁ”あ”あ”あ”あ”ア”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ァ”!」
叫んだ。
海の死を無意味なものにさせないためにも。
叫んだ。
まだ生きていたいという願いを。
「・・・・・・克、親」
マンドリカルド。
俺の、大切な友よ。
「・・・・・・令呪を以て命ず・・・・・・勝つぞ、マンドリカルド」
彼は何も言わず、静かに頷いた。
俺と彼の共鳴はこれ以上ないと言っていいほどに高まる。
もはや俺たちの間に、心の境界線は存在しない。
『聖剣・・・・・・完全解放』
声が揃う。
英雄のマンドリカルドと、なんでもない凡人の俺。二人の存在が混ざり合って非局在化することにより、タナトスの権能は無効化される。
マンドリカルドが俺の体から一本の剣を抜いた。
それは紛れもなく、俺たちが見た夢の結晶。彼に足りなかった、最後のひとかけら。そして、俺の存在そのもの。
「・・・・・・これが、克親の、デュランダル」
「違う・・・・・・”俺たちの”だ」
彼の手を握る。
こんな戦いはおしまいにしよう。
幸せを、望んでもらおう。
しあわせを、認めてもらおう。