Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
閃光が炸裂する。俺は反射的に目を瞑り目を護ろうとするが、瞼など貫通してくるような白色のオーラがあふれ出ていた。
目を開けると、そこにいつもの彼はいない。白銀の髪に、黒のメッシュ。よく日焼けした、という印象を受ける褐色の肌・・・・・・そして、手に握られた聖剣。これこそが、彼の本来の姿。
「神代の存在だろうと構わない、俺たちの剣はそれすらも凌ぐ牙・・・・・・否、剣だ!」
「・・・・・・小賢しい真似を」
マンドリカルドは、デュランダルをぎゅうと握りしめた。
あれだけの大見得を切っても、いまだに恐怖心は残っているようだ。
俺は何も言わず、その手を包み込むように手で触れる・・・・・・微かな震えが、はっきりと知覚できた。
「もう怖いものはないだろ、冀った・・・・・・望みを叶えられたんだ。さっさと決着つけちまおうぜ」
「・・・・・・ああ、そのつもりだ」
俺たちはただ、剣を掲げた。
全てを斬り裂く不毀の絶世・・・・・・その剣に、斬れないものなどありはしない。
神を潰すのならなんだってしてやるという決意が、強い因果操作の力を引き起こす。
海が命を賭してまで行った行った印象改変のおかげで、現実改変までもが可能となっている。
ああ、あいつは・・・・・・最期まで世界と、俺を騙しきったんだ。
とんだ大嘘付きだよと俺はため息混じりに呟く。
「く、あ”ぁ!兵器風情が・・・・・・神を倒すとか、あるべきじゃない!!」
「うるせえお嬢ちゃんだ・・・・・・つかなんで死なねえんだこれ」
八月朔日の体には数えるのすら馬鹿馬鹿しくなるほどの裂傷ができている。
それなのに、内臓はこぼれていないしほとんど血も出ていない。どう考えてもおかしい。
「・・・・・・テメェらさっさと神ぶち殺して来い!業腹だがこいつら殺すのはあとんなる!」
不破もカーボンナノチューブを集合させた縄で唐川を縛り上げめきめきと右腕の骨を粉にするかのごとき勢いで殴打していく。
それでもなお唐川は悲鳴など上げず、されるがままだ。
「・・・・・・神に仇なすのか、兵器よ」
タナトスはただ、その場に突っ立っている。
それはこの状況を一瞬で塗り替える手立てがある故の余裕か、諦めかはわからない。
俺たちはただ、神を倒すだけだ。
「俺は・・・・・・俺たちは、兵器なんかじゃない」
自分に言い聞かせるように、俺は言った。
「そうっすよ。サーヴァントだって夢を見ていいっしょ・・・・・・例えこの体が紛い物であったとしても、俺は俺。この時代に生きる、ひとりの人間なんすから────」
神に近しい存在でもなく、想像で生まれたものでもない。
俺たちは誰がなんと言おうと人間だ。例え親に望まれなくとも、この世界に生まれ、この世界で生きて、この世界で死んでいく人間だ。
「死の神格化とかそういうのは関係ない。俺は必要とあらば誰だって倒す・・・・・・そう、それが例え、全ての母であったとしてもだ」
俺の名は、その願いを込められた。
克親。
親に克つ、親を超克する────それは人間にとって、必要な力だ。
俺は、親父を超える。そして、俺という存在を作った奴にも克ってやる。
その邪魔をするのなら、なんだって吹き飛ばす。
「・・・・・・準備、できてるか」
「ああ、いつでも」
マンドリカルドが微笑んだ。もう恐怖はない、ただこの剣を振るうのみ。
「人の聲剣、その身でしかと受け止めろ」
「我が手は、天をも切り裂く」
タナトスは、この瞬間に至るまで何もしなかった。
「そこまでして、守りたいか・・・・・・アラヤの遣いよ」
「守りたいに、決まってるだろうが!!」
一緒に、その手を振り下ろした。
「神を貫け、『
網膜すら焼き切れそうな光の柱が上がった。
それは再び集い始めた雲を蒸発させ、大気圏を簡単に突破・・・・・・月すら穿ったのではないかという錯覚にさえ陥るほど、それは簡単に伸びていった。
「・・・・・・は、所詮は英霊の域を超えないとはいえ、退けるだけの力はあったか」
大きな傷を負っているのにも関わらず、タナトスはかなり余裕を持った声で呟いた。
「・・・・・・まあいい。欲張って魂をかっさらうべき時ではなかったと言うわけだ・・・・・・最後に非礼を詫びる、とでも言っておこうか。人間」
まさか神に謝られるだなんて、と声を上げかけたところでタナトスは空間に空けた穴から帰っていった。
これにて一件落着というわけにも行かないのが悲しいところだ。
「さて、人類悪×2を粉々にするしかねえなこりゃ」
不破の魔術でめちゃくちゃな緊縛を食らっている二人。普通だったらもう死んでいるだろうという状況だが飄々としている。さすがにおかしい・・・・・・
「ちょっと待つっす・・・・・・今残ってるサーヴァントって何騎っすか」
なにを言っているのだマンドリカルドは。宝具連発で疲労の末に記憶が飛んでしまったのか?
デルニ曰わく抑止力のパシリをやってるとそうなるときがあるらしいが、このタイミングでか。
「お前と、セイバーと、篠塚。どう数えたって三騎じゃねえか」
「・・・・・・克親違う、なんか・・・・・・新しい奴が」
「は?」
まさか、ギルガメッシュが前に言っていた厄介な存在が召喚されるとでも?
これ以上聖杯戦争がぶっ壊れたら来るかもしれないという話だったが、それならタナトスがくる前に出てこいよという話なのだが。
「そいつの言うとおりだ、新しい霊基っぽいのを確認した・・・・・・クラスは・・・・・・ルーラー?」
不破が霊器盤を見て告げた。
ルーラー・・・・・・まさか、定規を司るサーヴァントって訳じゃないだろう。となると答えは自ずとわかる。
裁定者・・・・・・つまりゲームマスターのような存在だ。
「遅れて申し訳ございません・・・・・・なにしろ、不慣れなもので」
緑のシャツに赤い布を纏った、一人の男が現れた。
裁定者らしく敵対的な雰囲気は全くといっていいほどない。
「私の名はヨハネ。ゼベダイの子、ヨハネと申します」
俺は一応仏教徒の類ではあるが彼を知らんわけはない。新約聖書におけるイエスの使徒ヨハネ。誰がなんと言おうと聖人であること間違いなしといった人物だ。ヨハネによる福音書や、ヨハネの黙示録と言ったものが有名だろう・・・・・・さすがに中身までは読んだことがないため知らないが。
「ルーラーってことは、この戦争を管理するために?」
「ええ。例え善悪が明らかであろうとも、平等に裁定を下すのが役割です。ですが今回は、この戦争に起因する事象で世界に歪みが発生すると判断されたために召喚されたのです」
世界の歪みって?などと聞く必要はないだろう。もしかしなくても俺の身に宿ったデュランダルとタナトスの召喚関連のはずだ。
「タナトスは追い返した。っつーことは・・・・・・俺の始末が目的ということか」
「いえ、違います」
きっぱりと彼は言い放った。
「この戦争が終結し、ライダーがその剣を座に持ち帰ることであなたの考えているであろう問題は解決されます」
真の問題はこちらなのです。と彼がその手で指し示したのは八月朔日と唐川。
・・・・・・思っていたよりろくでもないことをしていたのかもしれない、こいつらは。
それにしてもルーラー出るの遅すぎ問題g(タイミング逃しただけ)