Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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あづい

シグルド育てる資産が~()


147話 十日目:告白を

「あ、あの・・・・・・ごめんなさい、セイバーさんが勝手にあんなこと計画しちゃって」

 

「あ、ああまあいいんですよ・・・・・・はい」

 

一気に話がぐだり始めた。どう言えばこの場が丸く収まるのかが分からないせいだ。

ヘクトールの奴機会があったら一回しばくぞという決心だけして、なんとか脳内で言うべきであろうことをまとめる。

まず俺の好意自体は露呈した。その先・・・・・・どこまで行きたいかは提示していないが。

まあどこまでと言ってもただの知り合い、友達、体だけの関係、交際、結婚を目的とした交際などいろいろあるため此方からこうしたいと言うのもなんだか違うような気がする。あくまでも俺は来栖さんの意志を尊重したいのだ。

 

「・・・・・・あの、えーっと・・・・・・ひ、平尾さん」

 

「な、なんでしょうか」

 

来栖さんが何かを言い出そうとして、口を噤む。

おそらく未だ躊躇いが残っているせいで、はっきりと言葉にできないんだろう。俺が急かす訳にもいかないだろうと、ゆっくり言っていいんですよなんて言葉をかける。

 

「・・・・・・ひ、平尾さん・・・・・・好きです。もしも迷惑でなければ、け、けけ結婚を前提にお付き合いさせてください!」

 

完璧な90°のお辞儀をして、来栖さんはそう確かに言った。

・・・・・・まあ今時男だの女だの言ってられないかもしれないが、こういうのって普通俺からするもんだよな?

 

「司馬田さんのこともありましたし、私なんかがいきなり平尾さんの隣にいるのなんて駄目かもしれませんけど・・・・・・それでも、好きなことに変わりは・・・・・・なくって・・・・・・」

 

海がここにいたのなら、こんなときどう言っただろうか。

無論オレは海じゃないから分からないのは当たり前だが、手紙に書いていた言葉を思い出す。

 

『私はただ、克親が幸せでいてくれたのなら・・・・・・それでいいと思ってた』

 

自分と結ばれなくてもいいからと、あいつはただただ俺の幸せを願っていてくれた。

・・・・・・それなら、認めてくれるだろう。今はただ、そう信じたい。

 

「・・・・・・こちらからも、よろしくお願いします」

 

来栖さんはただ、両手を口に当ててあわあわとしているばっかりだ。

駄目でもともとみたいな告白だったんだろう・・・・・・まあ玉砕覚悟の特攻ってのはなかなか心打たれるものがあった。

 

「海も、たぶん許してくれるはず・・・・・・向こうで”リア充爆死してミンチ肉にでもなればーか”とか言って堂々と中指立ててるだろうけど」

 

なんか背筋に冷や汗が伝ったんですけど気のせいでしょうか。なんも憑いてないよね、と振り向くが案の定と言わんばかりになにも無かった。

 

「・・・・・・ありがとうございます、ほんとに・・・・・・!」

 

今にも泣き崩れそうな来栖さんだが、ここはちょっとでも抱きしめるべきなのだろうか。

おずおずと手を差し伸べ、触れる寸前で指先を止める。不用意に触りでもしたらさすがに怒られそうな気がしたし。

 

「せっかく交際を始めんならもう、タメ口でいいよな?・・・・・・あーまあ、会社でそれだといろいろ言われるからアレだけど」

 

いきなりこんなことを言い出すのもなんだが、これからずっと敬語混じりなしゃべりだとお互い疲れそうだし早めに言い出しといたほうがいい。

 

「そんな・・・・・・平尾さん先輩なのに」

 

「いいっていいって。変わらない変わらない」

 

いつになく無理しているせいか精神が加速度的に磨耗していきそうだ。やはり高校時代恋愛とは無縁だったしまともな付き合いなんてしたことなかったし・・・・・・誰か俺によい彼氏としての動き方かなんか教えてくれないかしら。

 

「じゃ、じゃあ・・・・・・また明日からよろしくおね・・・・・・よろしく!」

 

「ああ、よろしく」

 

まあなんだかんだで落ち着いたしこれでいいだろう。明日(というより今日)は魔力の回復につとめ、明後日(明日)の戦いを経て本格的にいろいろ始めよう。

・・・・・・これが嫌なフラグにならないといいのけど。

 

「それじゃ、おやすみ」

 

「おやすみなさ・・・・・・おやすみ」

 

わざわざ途中で止めて言い直さなくたっていいのに、とか言ったらまた何かしらが飛んできそうな気がしたので俺は口を噤み、寝室へ戻った。

 

「ひゅーひゅー」

 

「茶化すんじゃないよ」

 

しれっと現れたヘクトールの頭をちょっとだけ小突く。こんくらいじゃ痛くも痒くもないだろうが、俺のせめてもの怒り表明だと思え。

 

 

「セラヴィもう寝てる?」

 

「・・・・・・んー・・・・・・」

 

小さい唸り声を上げてマンドリカルドはベッドの上で寝返りを打った。無事爆睡中なようで何より。

俺もさっさと寝るべくベッドの上に転がろうとしたところ、向こう側の机に何かが置いてあることに気づいた。

近づいてみると、それはマンドリカルドの作っていた木箱。盾についている黄色い布をリボンにしたのだろう、ちゃんと蓋と本体はそれで縛られている・・・・・・これは簡単に触ったら気づかれそうだなと、俺はなにもせずそっとしておいた。

起きたときにマンドリカルドがちゃんと渡してくれるだろうから、それを静かに待ってやろう。

 

「・・・・・・ふぁぁああ」

 

俺史上一番大きいあくびをかまして、毛布の中に潜り込む。

戦いで疲れ、泣き疲れ・・・・・・夢の世界なら疲労もなく遊んでいられるだろうか。

そんなことを思いながら、ゆっくりと沈んでいった。

 

 

気づけば、まっさらな草原が目の前に広がっている。

一部分だけ露骨に草がなく凹んでいる場所を見つけたのでそこを見てみると、無言で空を見つめているマンドリカルドがいた。

雲一つない晴天だが、眩しくはないのだろうか。

 

「・・・・・・もうすぐ、終わりっすね」

 

「・・・・・・そうだな。あと48時間もないうちに、さよならだろうな」

 

寂しいけれど、それが現実。

聖杯戦争が始まったときからわかっていた結末だ。

 

「別れるのは辛いか?」

 

「辛いに決まってるだろ。俺は・・・・・・いや、なんでもない」

 

今言うべきじゃねえと彼は口を閉じる。

そんな含み持たされたら気になるのが人間というものだ。なんとかして聞き出せないだろうか・・・・・・?

 

「言いたいことがあるなら今のうちだぞ」

 

「・・・・・・だめっすよ、言ったら・・・・・・」

 

口を割らんなこいつは。かと言って令呪は使い切ったし無理に言わせることもできないから諦めるしかないんだろう。悔しいことだ。

 

「まあいいや。俺は言いたいことあるんだよ」

 

「なんすか」

 

マンドリカルドの隣に転がり、同じようにして空を見上げる。

めちゃくちゃ網膜が太陽光で焼かれる感覚を覚えたので、まぶしっ、と反射的に俺は目を閉じた。

眩しかったけれど、空はやはり綺麗な蒼。澄みきった心の中を感じさせる、いい色だ。

 

「この戦争が終わって、お前が消えても・・・・・・俺はまたいつか、お前に会いたい」

 

「・・・・・・どうするつもりっすか。もう一回戦争参加するつもり・・・・・・ってわけじゃなさそうっすけど」

 

「俺は自分の力で根源に到達する。そうなりゃ、抑止力の使いっぱしりなお前を呼べるだろ」

 

俺が到達できるという根拠もないし、到達したところで本当にアラヤとやらが来るかもわからん話だが、夢だからでかくいってもいいだろうと俺は大法螺を吹いた。

 

「あのっすね。もしそうなったとしても俺が来るとは限らぬぇーっすよ。俺以外にも同業者いっぱいいるんだし」

 

「それはお前がどうにかして俺の所まで来いよ」

 

「無理っすよ!!下っ端に仕事は選べぬぇーんすから!!」

 

とんでもないこと言うな克親は・・・・・・と呆れたように彼は言うがどこか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 

「どうせなら最期に見る顔はお前と来栖さんの顔がいいなーって・・・・・・だめか」

 

「それは・・・・・・だめじゃ、ないっすけども」

 

いややっぱりよくねえ!!とマンドリカルドはいきなり起き上がる。

目を開けてその顔を見たら、なぜか知らんがほっぺたが赤い。

 

・・・・・・そんな風になるようなこと言ったつもりねえんだけど。

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