Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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テストが嫌なので学校爆発してくだしあ


149話 十一日目:行きたいところに

「一応例の医療センターの院長・・・・・・あいつの父親にはいろいろ連絡をとっている。娘が聖杯戦争に参加していたことはきっちり知ってたそうだからまあ話は理解できるだろうよ」

 

洗面台のふちに乗せられていたタオルが、にゅっと浴室から出てきた手によって持って行かれる。なんでこんなところに置いてるんだと思っていたが、体から垂れる水滴でマットをびっちゃびちゃにしたくないという本人のこだわりらしい。

ばふばふと乱雑に髪の毛の拭かれる音と共に不破は話を続けた。

 

「ルーラーの奴はライダーとセイバーの決闘が始まるまでは基本教会にいるそうだ。曰わく聖杯戦争によって崩壊した箇所の修繕に協力したいらしい」

 

「・・・・・・今一番やべえのは間違いなく俺の家だがな」

 

研究室を中心にめちゃくちゃなことになっているのだから。

ブルーシートで隠してはいるが、あからさまにとんでもないことが起こったと言うのがバレバレの状態・・・・・・近所の奥様方が何か噂話でもしてそうだが、変なのが出回る前にさっさとカバーストーリーを流さなければならない。

 

「まあ誰がどうみてもそうだろうな。こいつ完璧に直すとなると相当な時間と金がかかる・・・・・・俺は戦争が終わったら始末書書かされに強制帰還だろうからな、力を貸すなら今くらいしかねえけど・・・・・・さすがにテメェは家の修繕で一日丸々潰したくはねえだろ?」

 

確かにそうだ。

せっかく与えられた猶予なのだ、少しでも・・・・・・マンドリカルドと長くいたい。

舞綱の街をもっと一緒に歩いて、もっと一緒に笑って・・・・・・そう考えると、あんまゆっくりもしていられないような。

 

「元々テメェらのやらかした後始末つけるのが俺だ。気にせず好きなだけライダーの野郎といちゃこらしてろ」

 

「んじゃ、お言葉に甘えて」

 

事態の収拾は不破へと任せることにして、俺は今日を全力で楽しむことにしよう。泣いても笑っても明日には別れの時がくる・・・・・・だから、今のうちに残すものは残していないとだめだ。

 

「空のSDカードまだ残ってたかな」

 

実験の記録用やらに必要だろうと買ったコンデジは一応機密資料まみれなので研究室の金庫に入れてあったはず。

カードさえ入れ替えればなんら問題はないため、それで思い出を残しておきたい。

俺は研究室のある二階へ移動し、もはや扉としての存在意義を失ったそれを跨いで越えた。

天気予報はめちゃくちゃに外れていたらしく現在は綺麗な晴天で、屋根にかかるブルーシートの向こうから強めの光が貫通してくる。夏でもないので放っておいても溶けるということはないだろうが、一応緩く強化の術だけはかけておく。

 

「お、あったあった」

 

防水加工していた机の引き出しに、未開封のSDカード(16ギガ)。1800万画素で1840枚くらいは残せるはずだから、よほど派手な連写でもしない限り使い切ることはないだろう。

もし足りなくなったら近くのコンビニにでも行けば買えるだろうし問題はない・・・・・・はず。

金庫からカメラを取り出し、不調がないか解析してバッテリーも充分な状態であることを確認する。

一日は持つはずだし、いざとなれば俺が魔力で電気を生成・・・・・・つっても今日は魔力の回復につとめるべきということを考えれば控えた方がいいのは明白。

必要なとき以外は起動しないほうがよさそうだ。

 

「ま、そろそろ起こしに行くか」

 

昨日のことを考えればああまで疲労困憊していても仕方がないけれど、そろそろ起きないと寝坊だろう。

カメラをポケットに入れて寝室に戻る。小さく物音が聞こえてきたあたりもう起きているのかもしれない。

 

「疲れはとれたか?」

 

「・・・・・・まあ一応はとれたっす。この状態で戦えって言われたらちょっと勝てるかわかんねって感じっすけど」

 

体中の傷は見る限りじゃ全部消えているが、使いすぎた魔力はまだ完璧に戻っていないらしい。

曰わく、激しい運動さえなければ普通の生活で充分万全になるそうで・・・・・・それなら遊びに出ても大丈夫なはずだ。

 

「結果はどうなるかわからんが、一応もうすぐお別れだろ?だからさ」

 

俺はコンデジを取り出して電源をつけ、おもむろにシャッターを押す。

最近のものは勝手に適切な設定を施してデータ化してくれるため、技術のない俺でもきれいに撮れるのだ。

小さい電子音が鳴り、液晶部分に撮影した画像が表示される。

きょとんとした彼の顔がきれいに真ん中を陣取り、なんとも言い難い雰囲気だ。

 

「・・・・・・写真?」

 

「不破にややこしい仕事丸投げしたから、今日は一日遊び倒そうじゃないか」

 

金ならある、とまるで不祥事を塗りつぶしたがる富豪のような台詞を吐いて俺はクローゼットを開きベッドの上に腰掛けた。

さて、服はどうするべきか。

 

「え、あのいいんすか?丸投げって・・・・・・全部?」

 

「全部だ。海のことも八月朔日のバカのことも篠塚も唐川も全部任せた。さすがに俺の家まで手が回せるかってのは微妙そうだったがな」

 

彼は心なしか嬉しそうな表情をしているが、なんとなく「いいんだろうかそれで」という思いが拭い切れてないような気がする。

あいつがいいって言ったんだからいいの。とごり押し感を覚えそうな言葉で俺は押し切り、淡々と服を選んでいく。

 

「・・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・・遊びに行ったほうがいいんすかね?」

 

「いいに決まってんだろ~」

 

さっさと服を着替え、寝癖がまだ残る髪を櫛で押さえつけてやった。俺の髪は反発的でもないが従順とまではいかないのでちょっと強めにいく必要がある。

ふと後ろを向けばすでにマンドリカルドはお着替え済。気合い入りすぎではなかろかルンバ・・・・・・

 

「かっこいいじゃん」

 

「そ、そっすか」

 

俺のあげたパーカーを着て、恥ずかしがりながらも楽しそうな顔をする。

そんな彼の手を取って、俺は家から飛び出した。来栖さんとセイバーは家に戻ってすることがあるそうなので、不破が今のところいるから大丈夫だと思うが結界の強化を施しておく。ICBMが飛んできても壁が焦げる程度で済むくらいには仕上げてやったのでとりあえずは大丈夫だろう。

 

「行ってきまーす」

 

俺たちの声が揃う。

リビングの方から不破のけだるそうないってら~という声が聞こえたのを確認して、扉を閉じた。

 

 

「じゃあどこ行く?舞綱たいがいのもんあるから遊園地でも水族館でも動物園でもあるし、買い物行きまくってもいいぞ?」

 

財布にはできるだけの金額を詰め込んであるし、いざという時にはカードとか電子決済もある。正直カード決済だとうっかり使いすぎそうな気がするのであんまり出したくはない。

現金だけでも「こっからここの棚全部くれ」みたいなことができる程度にはあるはず(高級ブランドの鞄屋とかはさすがに無理だが)だから大丈夫だろうけども。

 

「どこに行ってもいいんすか?」

 

ああ、いいよ。と俺は告げる。

どこにだって行ってやろうじゃないか、マンドリカルドの笑顔が見られるんなら。




まあここまで読んでくださっている皆様に向けていうのもナンセンスかと思いますが時間があれば評価及び感想をくれると泣いて喜びます。
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