Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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さてまた文章の雰囲気が怪しくなっちまったじゃねえかわいのばかやろう


158話 十一日目:甘噛みとマジ噛みって境界線どこ

「テメェはただの被害者だった。才能がないからって、幾度となく自分の複製を作られては殺され・・・・・・デュランダルの力を軍事転用するために利用された。最初に会ったとき俺はテメェを敵視するようなことを言ったが、あれは撤回させてくれ」

 

デュランダルの力を適切に使えなければ地球を破滅させるかもしれない人類の敵だなんだと言われてその当時はむっとした覚えがあるけれど、実際それは間違いじゃなかったのだし怒る気もない。

 

「・・・・・・思い出したがあのとき、なんでお前は俺のことを全部知ってるって言ったんだ」

 

「ありゃあ、ただのでまかせだ。正直言っちまえばあん時俺はテメェの名前、身長、体重、勤務先、専門の魔術部門、デュランダルを精神的な次元に内包している特性くらいしか知らなかったからな」

 

それでも今まで会ったこともないような人の情報としては十分だとは思うが。

 

「・・・・・・この戦いが終わったら、俺はどうなる?」

 

「どうもならねえよ。固有結界にも等しい現実性を持つデュランダルの概念は、ライダー・・・・・・マンドリカルドとか言ったっけか?の手によって吸収・習合された。まだテメェの中には強いイメージが残ってるだろうが、もうそれを実体化したところで本物には到底及ばんさ」

 

確かに、目を閉じると強いデュランダルの像が脳裏へ浮かんでくる。

魔力さえ流してしまえば普通に具現化できそうだったので、試しに力を込めようとしたところ不破に止められた。

 

「明日のためにとっていろ」

 

まあ、確かにそうだ。

明日は俺とマンドリカルドにとって最後の戦いになる。

勝とうが負けようが後悔のない戦いにしてやるんだと決めた以上、途中で魔力不足を起こしてぶっ倒れる訳にはいかない。

 

「じゃあ俺はそろそろ帰る。明日の朝8時には来て、ルーラーと最後の決闘を見守ってやる。寝坊したらセイバーの不戦勝な」

 

遅れることのペナルティが重すぎではなかろうかと思うが、監督の言うことは絶対なので目覚ましをつけられるだけつけるしかない。

不破が部屋を出ようと立ち上がり、ドアの前に立ったところで止まった。

 

「・・・・・・どうした?」

 

「最後に一つ。テメェは・・・・・・ライダーのことはなんだと思っている?」

 

確かめるための問いだろうが・・・・・・愚問だ。答えなぞ、とうの昔に決まっている。

 

「マンドリカルドは、俺の最高の騎士で、王様で、家族で・・・・・・親友だ」

 

俺の背後に漂っているマンドリカルドが恥ずかしそうに俺の背中をつついた感覚がした。おそらく指先だけ実体化させすぐ元に戻したんだろう。

 

「そうか。道具でもなく、奴隷でもなく・・・・・・友達か」

 

彼は目を閉じて、少しだけ微笑んだように見えた。

 

「一緒に笑って一緒に泣いて、そして一緒に戦ってくれる。いいマスターを持てて幸せだったな。ライダー」

 

にや、とその微笑みはニヒルな笑顔に変わり、俺のすぐ後ろにいる彼を見やった気がした。

そこにいるというのは感じていたのだろうか。そうだとすれば恐ろしいことこの上ないが。

 

「じゃあ明日」

 

「お、おう」

 

静かにドアが閉まる。不破の気配はどんどん遠ざかっていき、最終的には感じ取れなくなるほどになった。

家を出たという確認ができたので、俺は静かにソファへと腰を下ろす。

 

「・・・・・・もう実体化しても大丈夫だろ」

 

俺を包み込むようにして彼は空気へ溶けていたが、その言葉を聞くなりすぐに姿を見せた。

心なしかほんのりと頬が紅潮しているように見える。気のせい・・・・・・かもしれないが、俺にはさっきの言葉を恥ずかしがっているように思えた。

 

「どうした。今更あの程度言いふらしたところで何ともないだろ」

 

「そうかも、しれないっすけど・・・・・・やっぱ俺、克親に友達って言って貰えるのが嬉しくて、恥ずかしくて」

 

少しだけ伏し目がちになった彼の瞳をのぞき込もうとすると、ぷいっとそっぽを向かれる。

逆側から攻めようと試みたらあえなく逃げられる。恥ずかしいというラインがどこなのか未だによくわからん。

 

「こっち向けよ~」

 

「嫌っす」

 

「なんで」

 

「なんでもいいじゃないっすか」

 

「正当な理由がないなら却下」

 

ぐぬぬ、と渋々ではあるがマンドリカルドはこちらに顔を向けてくれた。

茹でた蟹かと思うくらい耳や頬を真っ赤に染めて、ほんの少しだけ唇を噛んでいる。

 

「風邪でも引いたか?」

 

「サーヴァントがそんなもん引くわけないっしょ。霊体に干渉する病原菌があるならまだしも」

 

まあそりゃそうか。

英霊が死後も風邪やらなんやらの感染症で苦しんでたら働きづらいしかっこがつかなさすぎる。

 

「じゃあなに、興奮してんの?」

 

「・・・・・・克親、そういうこと言うんなら俺もそれなりにやっちまいますよ」

 

じりじりと俺をソファの端っこに追いつめてくる。ちょっと目つきがガチっぽいのはなんなのだろうか、まさか本気でそういうことするわけもなし・・・・・・

 

「お前サラセン人だろそういうのは信仰的にアウトじゃねえのかぁああ」

 

「死んでから無宗教になりましたぁ!!」

 

ついにソファへ引き倒されてしまった。

やはり口は災いの元と言うべきか、ここまで怒らせるとは想定外である。

 

「・・・・・・ちょっと勘弁してつかあさい俺にもさすがにそんな経験はないっつかなんというか」

 

「本気でやるわけないっしょ、なにいってんすか克親は」

 

「いやお前目つきがガチだったから・・・・・・ってなんだよ」

 

未だに頬の赤い、整った顔が近づいてくる。

 

「・・・・・・克親のばーか」

 

そんな軽い罵倒をして、マンドリカルドは右耳にかぶりと噛みついた。彼にとっては甘噛みなのだろうが、俺の体には結構なダメージが入っている。耳たぶが千切れそうだ。

 

「いだいいだいいだいいだいたんまたんまたんま!!」

 

口を離れさせ被害の箇所に触れてみる。血こそ出てはいないっぽいがきっちり歯形らしい凹凸ができていた。

せめてもの反抗、みたいな感じで行為自体はかわいらしいのだが、それはそれ、これはこれ。

 

「なんの意図があってこんなことをしたんだ・・・・・・片耳なしになるところだったぞ」

 

犯人は悪びれる様子もなくテレビをつけて何ともいえないバラエティ番組を見ている。こいつ自分悪くないオーラ出しやがって・・・・・・

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