Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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更新されていないマイフレンドのwiki情報を弄りに走るくらいになりました
次のFGOイベントくるのいつになるんですかねえ・・・それまでは延々種火地獄です()


19話 二日目:口下手どもの十六夜

「ま、俺らはお前さんらを最後まで攻撃しないってわけでそっちも介入すんのは控えてくれるとうれしいって話だ。それでも来るってんならオジサンも自己防衛のために本気出させてもらうからね」

 

剣についた血を2度の素振りで取り払い、そのままくるりと手首を返して肩に担ぐ。

不敵に笑う男・・・・・・マンドリカルド曰わくセイバーは、此方を見据えたまま動かない。

さっきの言葉を信じて俺たちが逃げようとしたら始末するという作戦などを考えていそうで、なかなか退くに退けない状況。

 

「・・・・・・つまり、今日はなにもしてこないんだな?」

 

「そういうこと。オジサンも体にガタがきてるからあんま頻繁に戦いたくないし、そっちもさっきので疲れてんだろ?」

 

確かに、マンドリカルドはさっきの宝具を食らったせいで戦闘能力が少しばかり落ちている。

もうしばらく止まって魔力を渡し回復させればいけなくもないが、その前に首を掻かれるのは間違いない。さっき見せた咄嗟の対応力と俊敏さを見るに相当分が悪いってやつだ。

戦うのを避けられるならこれ以上ありがたいことはない。

 

「・・・・・・そうだな、一時的な不可侵条約ってところだ。異論はないか、ライダー」

 

「ないっすよ。俺も今の状態で勝てる気がしないんで」

 

「理解が早くて助かるなぁ。んじゃ、俺はこれで失礼しま~す、っと!」

 

目の前でセイバーの姿が瞬時に消滅した。それはまるで吸血鬼が霧に変化して移動するかのような不思議な光景である。

俺は自分自身と繋がっているマンドリカルド以外のサーヴァントが霊体化した場合それを感知出来ない。

というわけで霊体化されてもある程度気配を察知できるマンドリカルドにセイバーはどこかにちゃんと行ったかと聞いたところ雑木林の奥に消えたと返ってきた。

 

「じゃあもうそろそろ帰るか。さっきの光でいろいろ察した他の奴が来ないとも限らんし」

 

「そうっすね。電車で帰りますか」

 

この場で武装を解除し普段着に換装、二人並んで林を出て路地を歩く。

今日は十六夜の月だから街灯が少なくても、意外と近隣は明るく見える。

 

「せっかくだから今日は乗客として電車乗ってみるか」

 

「・・・・・・電車賃無駄にならないかそれ?」

 

「まあいいじゃねえか、短い間でも舞綱市民として生活してみた方がためになるだろ。知らんけど」

 

また安定の持論押し付けである。

駅についたところで10年ぶりくらいに感じる切符購入を行い、最寄り駅までのそれをマンドリカルドに手渡す。

無論大人料金、しめて290円。安いもんだ。

 

「座れる席があるといいんだがな・・・・・・どうだろ」

 

改札を通過し目的地方面の電車がくるホームに降りる。

いつも無理やり定時退社を行っているので、今の時間帯だとちょっと残業して帰宅する人が多くまあまあ混んでいた。

そしてやってくる車両も50%程の入りよう・・・・・・こりゃ立つ以外なさそうだ。

 

「・・・・・・俺今からでも」

 

「ここでしたら怪奇現象だぞ。ここは一つ、我慢してくれ」

 

一瞬霊体化しかけたマンドリカルドを手で制し、そのまま人混みに押されるまま車内に流れ込む。

朝のギチギチ具合からは程遠いが結構混雑している世界。反対側扉の方に追いやられたが降車の時開くのはそっち側だったため問題ない。

 

「・・・・・・この時間に電車乗るのはあんま無かったから結構きついな」

 

「・・・・・・陰キャに人混みはきついっす・・・・・・」

 

隅っこで縮こまるマンドリカルド。心なしか体そのものすら収縮してるんじゃないかと感じるがさすがに気のせいらしい。

ごとごと揺れる車内、彼は駆け抜ける舞綱の街並みを見ながら小さくため息をついていた。見るからに憂鬱そうである。

どんなことを思っているのかと気にはなったが・・・・・・いくらパスで繋がっているとはいえ普段の考えまでは見抜けないし、プライバシーのために見抜こうとも思わない。

彼なりの感性があって彼なりの思いがあるのだから、無用な詮索はしないほうが吉。

 

 

「はー久し振りだなこの時間帯にここらへんほっつき歩くの」

 

駅を出てバスターミナルまで移動した。

俺の家近くを通る24系統のバス停には人がまあまあ並んでいて今回も混雑が予想できる。

ため息をつかざるを得ないがこれはどうしようもない。前にいる奴全員焼き払ってもいいがそうすりゃ俺の帰るところは豚箱になるだろう。

 

「あれ、こんな時間に珍しいですね二人とも」

 

ちょうど前に立っていたのは俺が贔屓にしてる喫茶店のバイト、篠塚だった。

両手に大きな荷物を引っさげにこやかに笑う。多分あのオヤジに言いつけられての買い出しなのだろう。

 

「まあ今日はこいつと親睦会してきたんだ。いやあスーツ着てたの忘れて騒いだもんだからもうぐちゃぐちゃよ」

 

皺の増えたジャケットを引っ張って笑ってみせる。

今さっき命狙われてたなんてことは言えないので適当なことを言ってやった。

 

「あらま、大丈夫なんですか明日の出社。洗うの間に合います?」

 

「大丈夫、替えはあるから・・・・・・てかなんでこんなところで金平糖ぼりぼり食ってんだ」

 

両腕にレジ袋を掛けた状態で袋から取り出した金平糖を頬張る篠塚。

なぜそこまでしてバス待ち中に食べているのか訳が分からない。

 

「口が寂しくてですね・・・・・・どうも、食べちゃうんですよ」

 

ぼりぼり、ぼりぼり。

あっという間に大きい袋がすっからかんになってしまった。

こないだはたくあん一本分茶漬けでまるまる食ってたり饅頭30個のピラミッド瞬時に解体してたし、こいつの嗜好はどこか突き抜けてると思う。作る飯はとても美味いのになぜ本人はこんななのか。

 

「くれぐれも糖尿病にはなるなよ」

 

「大丈夫ですよ自制してますんで。これ以上持病が増えたらさすがに・・・・・・いや、何でも、ない。俺は大丈夫だから気にするな」

 

なんかものすごい爆弾発言をされたのだが追求するのも恐ろしい形相で見られたので何も言えなかった。

そうこうしているうちにバスがやってきて、後ろのドアが開く。俺らは流れ込むように乗車し、なんとか2人席を勝ち取った。

 

「ほれバス代」

 

「うっす」

 

210円をマンドリカルドに渡し、俺は体の力を抜く。

この先会社勤めを続けながら戦っていけるのか心配だ。

俺が万一死んだとしたらそれの補填をするのにどれだけの力がいることやら。常日頃から断れない性格のせいでたくさん仕事を押しつけられていることもあって、営業部の間では俺に任せときゃどうにかなるって風潮まであるらしいし。

まあ、あんな働かせといて俺の給料に一切の箔なしとかいうクソ会社さっさと潰れろとも思うけど。

 

「セラヴィ、明日の朝飯なにがいい?」

 

「・・・・・・別に何でもいいっすよ」

 

「そういうのが一番困るんだって~」

 

静寂が耐えられなかったのでマンドリカルドに話しかけるが不毛な会話しかできない。

話したいことは山ほどあるがここでできるわけもないせいだ・・・・・・さっさと家に帰りたいものなのだが、降車する予定の場所は終点。つまり暫くはこのままだ。

結局話は止まって、俺は虚空を見つめるばかり。マンドリカルドのほうに視線をやると、彼はまた窓の外で流れていく景色を物憂げに眺めていた。

ガラスに反射する彼の目は昏々。底知れぬ闇を湛えたままだ。

 

「・・・・・・あんま、自分を責めるなよ」

 

口出しするつもりではなかったが、つい言ってしまった。

マンドリカルドがその貌を此方に向けるが、俺は前を見据えたまま動かないでやる。

 

「あのときこうしていればなんてのはいくらでも言えるが実利はない。だからな、んなこと考えてる暇あったらこれからどうすりゃ挽回できるかをもっと考えろ」

 

人の心は損得だけで動かないのはわかっている。

一介の人間性を欠かした魔術師としての俺はこういった言い方しかできないのだから仕方ないのだ。




篠塚くんの様子からなんか気づけた人がいたらすごい(例え正解だろうが何も出ませんけど)
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