Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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ヘクおじのレベルアップに奔走してますがやっぱレベル80近くだと金種火でもきついっすねえ・・・賢王とかも強化したいのに足りない・・・APが足りない・・・・・・


20話 二日目:あんぱんで戦争を始めようとするな

終点まで来ると、もう乗っている客はほぼいなくなっていた。山の方だから当たり前なのだけど。

 

「そういや篠塚くんってここらへん住みだったっけ」

 

バスを降りたところで篠塚に話しかける。

基本的に俺が出社するより前に喫茶店は開くし、帰ってくるより後に閉まる。

そのせいで彼の住居がどこにあるかなんて知らなかったのだが、今日こういう形で分かるとは思わなんだ。

 

「そうですね、あるすっごいお金持ちの方がご厚意で住まわせてくださってるんすよ。俺はお手伝いもなにもしていないのに、家賃もなにも徴収されないんでちょっと申し訳ない気持ちになるんすけどね?」

 

そう答えて今度はあんぱんをむさぼる篠塚。

お前はプレイヤードのほうで昼晩とまかない食ってるんじゃなかったのかと突っ込みたい。

というか持っていた大荷物は家用だったのか、きっちり買い出しという手伝いしてんじゃねえか。

 

「・・・・・・ここいらの中でも金持ちというと、司馬田(しまだ)んトコか八月朔日(ほづみ)んトコか?どっちも居候なんてさせるようなとこじゃないけど」

 

司馬田は宝石商で隣の県に高さ100mは普通にあるでかい本社ビルをおったてている家。

そこの跡取りである(かい)は俺の高校の同級生。女ではあるが男装を好み、声も心なしか低く常日頃からモノクルを右目に掛けて煙草をふかしている少し変わった人間だ。

そんでもう片方の八月朔日は長く続く医者の一家で、そこは本家分家に関わらずほぼ全ての人間が医療関係者だ。

業界でも権力が強く、一族の誰かを怒らせた瞬間そいつの医者人生は終わるなんて噂さえまことしやかに囁かれている。

 

「司馬田さんのところにお世話になってます。ちょくちょく宝石の目利きみたいなことも教えてくれるんすよ、時たまとんでもないサイズの金剛石なんて見せられて卒倒しそうになるんでいきなり持ってこられるのは勘弁してほしいですけどね」

 

「まああいつは昔から宝石を見慣れてるからな。一般人が見りゃ驚きで吹き飛びそうなブツでも普通に投げてくるんだわ」

 

あいつの厄介な話ならいくらでも持っている。

そりゃもうそのまま新書サイズの本にして600円はむしり取れそうなくらいたっぷりと。

 

「帰ったら言っといてくれ。1個だけで面積甲子園並みの別荘が建つような物を雑に扱うなと」

 

「そうかそうかつまり君はこいつを投げてきて欲しいんだな!」

 

急に篠塚の背後から現れたのはダブルコートの誰かさん。

穴あきドームがフランチャイズの某球団投手よろしく完璧なアンダースローで飛んでくる赤い石・・・・・・

俺の顔面に直撃するか、というところでマンドリカルドがそれを防いでくれる。キャッチも丁寧で傷一つついていない。

 

「ありがとよセラヴィ。んで・・・・・・どうせ来ると思ったぞ海。金持ちにありがちなクレイジー価値観どうにかしろ」

 

「いいじゃねえか別に。これ人工のやつなんだし」

 

「人工だからって粗末にしていいわけないだろ。あと持ち歩くな。ったく、そんなんだから変な女に言い寄られるんだよ」

 

そう、家が家なだけあって司馬田はたくさん宝石を持っている。

中でも人工宝石は工業的にも需要が高いので、ドリルとかにくっつける前の試作宝石などがたくさん生産される。

検査後のサンプルがよく本家に送られてくるため、海の部屋にはその類がごろごろと転がっているのだとか。

別に天然じゃなくても構わないから宝石頂戴と海はよく女に寄ってこられていつも頭を悩ませているのだが、俺が何度お前の性格が悪いと言っても治らないのだ。

 

「そうは言ってもな。一回使えば終わりな石なんだからたくさん持っとかないと、だろ」

 

「・・・・・・お前さあ」

 

ここで察した人もいるだろうが、何を隠そう司馬田家は魔術師の家。

海で四代目なので七代目の俺が当主をしている平尾家より歴史は浅いが、それなりの実力を持つところなのだ。

得意な魔術は無論宝石魔術。一家が興った時からの家業なのでそれよりあとに始まった魔術師としての方向性がそうなるのも当たり前という奴。

 

「もういいやそれについては。んで?なんの用でこっちまで来たんだ。まさかこんなに立派な青年へご丁寧な迎えをしにきたわけでもあるまいに」

 

疑問点はそこなのだ。

どうみても篠塚は20歳を越えているのにお坊ちゃまよろしく親切な迎えが必要なわけがない。

 

「なに、ちょいとだけ夜風にでも当たっとこうと思ってうろついてただけだ。屋内禁煙令が敷かれてからこっちも肩身が狭くてね」

 

そう言って煙草をくゆらす海。

篠塚の顔が心なしか不機嫌そうだ。そらこのきつい臭いを強制的に嗅がされてるんだから仕方ない。

 

「ったく、近々路上喫煙も禁止になるぞ。ここらへん高齢者特に増えてんだし、近所の人の肺を壊しにいくな」

 

「知ったことか。さっさと副流煙でみんな仲良くくたばりゃいいんだよ」

 

「しれっと殺人宣言するなこのクソニコ中」

 

人道的感覚が完全に欠落した畜生だがこいつとの関係は切っても切れない腐れ縁。

このまま死ぬまでこれだと思うと心底嫌になってくる。

 

「へっ、さすが舞綱イチの名家たる平尾さんとこのぼっちゃまは違いますわ。どうせあんぱんもこしあん派だろ」

 

「しいていえばそうだが、それがどうした」

 

「開き直りやがって!戦争(クリーク)戦争(クリーク)!明日にでも準備整えて殺しにいくぞ貴様!」

 

どうやら向こうはつぶあん派らしいが正直言ってそんなのどうでもいい。つぶあんだろうがこしあんだろうが白あんだろうがずんだあんだろうがおいしければ構わないってのに。

 

「んなくだらんことにつきあってる暇はねえんだよ、こちとら明日も仕事だ仕事。お前みたいなのとは違って毎日身をニュートリノレベルに粉砕して働いてんだ」

 

もういい帰ると俺はそのままマンドリカルドの手をひっつかんで引きずるように歩く。

あいつとつき合ってると仕事の三倍くらい精神が疲れるからこれ以上はやってらんない。

 

 

「・・・・・・克親、よかったのか?あれで」

 

「いいんだ、あいつとあれ以上やり合ってたら夜が明ける」

 

家にたどり着くための坂を登りながら、俺はため息をついた。

帰ったら戦闘の話やら研究の続きやらしなきゃならないのになんで今日はこんなめんどくさいことになるんだか。

家の門扉を開きつつ、結界の確認をする・・・・・・綻びも侵入者跡もないので、俺はそのまま家に戻った。

 

「ただいまぁ~」

 

「ただいまっす」

 

誰もいない家の灯りをつけ、そのまま寝室へ転がるようになだれ込む。

ふかふかベッドに沈み、この世ならざる存在のような声を上げた。もう寝たい、だが寝ることはならぬ。

 

「もううごきだぐない」

 

「・・・・・・着替えくらいはしたほうがいいんじゃないか」

 

マンドリカルドの正論にぐぬぬと唸りつつスーツやらを脱ぎ、ベッド横の洗濯物用籠に放り込む。

礼装はクローゼットの中にしまい込み、そのまま寝間着を着た。今すぐに落ちる準備はもう万端だ。シャワーももういらない。だがしなければいけないことが残っている。

 

「・・・・・・Personne ne devrait dormir(起きろ俺)

 

魔術で無理やり意識を覚醒させ、ベッドの上に座った。

こいつを長時間使っていると体に悪いので、やるべきことだけさっさと済ませてしまおう。礼装改良研究は中止だ。

 

「マンドリカルド、こっち来い」

 

ぺしぺしとシーツを叩く。柔軟剤の効果が素晴らしいためか、しばくたびにいい匂いが立ち上る。

 

「ソファじゃなくっていいんすか?」

 

「ああ、耐久Bだし大丈夫とは思うが一応体を見ておきたい、あと俺が動きたくない」

 

彼は俺のずぼらさにため息を吐くこともなく静かに頷き、俺の隣に座った。

目立った外傷などはないが、先ほどの戦いを見るに筋肉や骨などに何かがあっても可笑しくはないので手を出させてそれを握る。

そこから魔力を通すことで内部の解析を行うのだ。

普段ならそこから強化の魔術をかけたりするのだが、今回は解析のみにとどめておく。

 

「っ・・・・・・う、あ、熱っ」

 

「すまんな、霊媒医師とかじゃねえから苦しいだろうが我慢してくれ」

 

目を閉じる。他人の体に魔力を通すのは難しいことで、それは自分とパスをつなぐサーヴァントも例外であるとは言えない。

流し込むこと自体は魔力供給の観点から容易なのだが、注いだあとのそれを自分の意志で操ることが難儀なのだ。

パスから滲ませるように力を広げ、異常なポイントがないか素早くチェックしていく。

基本的にダメージがあるのは筋肉(特に手足と腰まわり)と内臓。筋肉に関してはブラダマンテの突進を野球のバッティングみたいな動きで打ち返したことが原因。そして内臓はあの謎の光による圧迫で少し・・・・・・というかこれに関しては彼自身が猫背であることのほうが悪い気がするのであとで多少矯正しておいた方がいいのかもしれない。

いやサーヴァントにそういうの必要なのかと言われたらそれまでだけど。

 

「ひっ!」

 

とある場所を探るとマンドリカルドの体がびくりと跳ねた。なにかの症状かもしれないと思って数度魔力で撫でるように触れてみる・・・・・・が、そこに集う魔力が濃いだけで別に異常はない。

 

「れ、霊核だけはっ・・・・・・触らないでくれ・・・・・・!」

 

「・・・・・・すまん」

 

人間で言ったら心臓を素手でさわさわされているようなものだろう、そりゃ拒否反応が出ても仕方あるまい。

多少宝具の影響でそこもダメージを受けているのだが、それ以上そこを診るのは諦めてほかの場所を治しにかかる・・・・・・といっても俺の魔力を馴染ませるだけだが。

 

「最初はちいとアレだろうが、これを繰り返していけば慣れてくるはずだ」

 

俺の魔力パターンを定着させることにより、次回以降の供給と強化がよりスムーズになる。そうすればいざという時の対応力も高くなりやられる可能性も低くなる、という算段だ。

だいたいの場所を修復した所で、俺は握っていたマンドリカルドの手を離し、顔を上げた。




やっとこさ主人公以外の魔術師が増えましたね・・・
主人公が強化魔術使いでその次に出てくるのが宝石魔術使いとかそれどこのsnなんだ()

魔力供給的なのの描写がおかしいって?それは原作リスペクトです(苦しい言い訳)
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