Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
それにしてもデュランダル(SNに出てくるデザイン)とドゥリンダナ(ヘクおじのやつ)をどう扱うか困りますねえ・・・
「・・・・・・なんだその表情」
頬を真っ赤に染め、唇を噛んでいるマンドリカルド。
そこまで霊核に触れたのがまずかったのかと額に手を当ててみたところまあまあ熱い。
「熱あるじゃないか・・・・・・さっきのがそんなにダメだったか?」
「だ、ダメじゃ・・・・・・ないっすけど。ちょっと体の中のエネルギー量が過多なだけで・・・・・・」
話によると注ぎ込んだ分が少し多すぎたらしく、体内に熱がこもっているとのこと。
しばらく安静にしていれば問題はないらしい・・・・・・次からは過剰供給を意識的に防止しなければいけないなと脳みそのメモ帳に書き記した。
「・・・・・・しばらくベッドに転がってるといい。その状態で座ったままの話はきついだろ」
「いや、いいっすよ別に!克親のベッドで寝転がるだなんてそんな」
「別に怪しいことはしないから安心しろ、ほらさっさと横になれ」
マンドリカルドの肩をとんと押して倒す。
それでもなお起きあがってこようとするのを手で止めた。
なんかこの様子、誰かに見られたら勘違いされるんだろうな・・・・・・などと、俺ら以外誰も居ないのだから心配するだけ無駄なことを考えながら俺は話を始める。
「・・・・・・まず、あのランサーについてだが。真名はブラダマンテで間違いないな?」
あの光を放つ盾と変な槍らしい武器を振り回す女騎士。
マンドリカルドは宝具解放の時に気づいたのかその名を叫んでいたが・・・・・・
「偽装されてたとしたらわからないけど、多分間違いないと思うっすよ。あの魔盾と真名解放した宝具の名を聞く限り、あれは魔術師アトラントの奴っす。幻惑の力を持ってるとかなんとかいう話があるっすけど、俺はそこまで知らないっすね」
あの目潰しは幻惑の能力によるものだと考えれば辻褄が合う。
俺は頷き、あのランサー=ブラダマンテということで確定というていにして話を進めていく。
「盾での突進はまあ置いといてだ、槍から出てくるあの光・・・・・・あれが厄介だな」
「・・・・・・あの光、浴びただけなのになんか力を感じたっす」
彼の報告にもあるとおり、あの光からはなにかしらの圧力を感じた。全面的に体が押されるような感覚・・・・・・それを、マンドリカルドの後ろに隠れていた俺でも感じ取っていたのだ、本人に行った力は凄まじいものだろう。
「あの光、魔術的なものだと言われればそれまでだが・・・・・・放射圧という物理科学的な話で説明がつかなくもない」
電磁放射を食らう物体に働く圧力であり、地球が受ける太陽光線で4.6μPa程度。
あれほどの圧力を感じるほどの光なら俺の体は消し炭になるはずなので、荒唐無稽な話だと結局笑った。
盾の力で放射圧のみを増幅したという考えもあるが、それをするくらいなら火力に回して敵を周囲の建造物やら自然諸共に焼き払った方が早いのであまりありうる話ではない・・・・・・これ以上の考察は中止にしておこう。
「他に厄介そうな装備とかはあるか?ビーム放つ剣とかそういう類の」
「ビーム放つ剣・・・・・・とかは思い当たらないっすけど、触れた相手を絶対落馬させる槍とか、あらゆる魔術を解除できる上に口に含めば姿が隠せるアンジェリカの指輪とか、ヒポグリフとか・・・・・・あいつがもってこれそうな類いはこれくらいっすかね?」
随分と彼女は厄介な物ばかり持っているようだ。
なにしろマンドリカルドのクラスはライダー。戦闘中一瞬だけとはいえ馬を顕現させ戦う彼に、絶対落馬させる槍が来るだなんて相性が悪いったらありゃしない。
その上魔術解除&隠密の指輪と幻獣の子、ヒポグリフときた。
このうちどれを向こうが持ってきているかによってこちらのとる戦術は大いに変わってくる・・・・・・落馬の槍ならばブリリアドーロは駆りだせないし、指輪なら俺の魔術攻撃による支援ができない。ヒポグリフなら言わずもがな空中戦を強いられるだろうし、悩ましいことだ。
「あっちにはマンドリカルドの名前がバレてるだろ?そうなると対策練られるだろうからな・・・・・・」
「あれは迂闊だったっすね・・・・・・申し訳ないっす、克親を逃がそうとしたばっかりに・・・・・・一番教えちゃいけない情報を漏らしちまった」
もうこれに関しては過ぎたことだし許容する以外ない。俺を思ってのことだったばかりに怒ろうにも怒れないというところもある。
またマンドリカルドが自分はダメだループに入りそうだったので、俺はどうしたもんかと悩んだ末彼の頭を撫でるという行為をするに至った。人の慰め方とかがわからんので悲しい。
「・・・・・・大丈夫、大丈夫だ。俺がなんとかするから、落ち込むな」
彼は何か言いたげにしながら、しばらく口を閉じていた。
わかっている。彼は・・・・・・どう自分の意志を伝えれば俺が一番傷つかなくて済むかばかり考えているのだ。そうする理由が、嫌われることを恐れてかまではわからないが。
「言いたいことあったら遠慮なく言っていいんだぞ。俺は何だって受け入れるから」
少しだけ嘘をつく。俺にだって逆鱗はあるというのに、それを隠してしまった。
俺も似たようなものだ・・・・・・近くにいてくれる相手が萎縮しないように離れないようにと、自分をつい偽る癖がある。
「・・・・・・さ、話の続きだ」
自分自身が嘘で塗り固められてしまっても、それですべてがうまくいくのならいい。
俺が思うのはただ、それだけだ。
「とりあえず向こうは宝具クラスのもの全部持ってきているていで話を進める。まずアンジェリカの指輪により魔術がキャンセルされるだろうから火砲支援は不可能、俺からは能力強化や防護膜でのサポートが主体になるだろう」
俺は元より攻撃魔術の類はそこまでたくさん習得していないため、どっちにしろこういった形での支援が主なものになる。
そもそもからしてサーヴァントには同じサーヴァントをぶつけないと基本勝てない構図になっているため、俺の魔術がもし通ったとしても蚊に食われた程度にしか感じないと思う。そこは遊○王ZE○ALのナ○バーズ的な解釈で見ていい(※アニメ版とする)。
「で、落馬させる槍だが・・・・・・これを使われるとやっぱ危険だから、ブリリアドーロは基本出さない方向で行かせてくれ。次の戦闘とかでこれは持ってないなと判断したら解禁するつもりだ」
「うっす。正直早く一緒に戦いたいけど落ちて俺が死んだら駄目っすもんね」
「そういうこと」
きっちりブリリアドーロと戦いたいという意志を示してくれたのでこれはいい傾向だ。
この調子で少しずつ本人のやりたい戦術を聞き出して、できる限りそれを作戦に組み込んでやろう。
戦いにおける士気というものは、情熱というものはとても重要だ。
『情熱は心の刺激剤だ。それはネガティブな影響力を心から追い払い、心の平和をもたらしてくれる』
と、どこぞの実業家が言っていたとおり、やる気があれば無理なことも少しはひっくり返せるはずだ。
「最後にヒポグリフだが・・・・・・アレがいるとなるとこっちも空を飛ばなきゃならない。俺なら初級動魔術でいくらか動けるが、俺だけ移動できても意味がない。だからお前には簡易空中移動ユニットを渡す」
ベッド下に置いていた箱を引っ張り出してきて、それを開ける。
中に入っているのは薄っぺらい中敷きのような護符二枚。ついでに言うとサイズは靴に合わせてある程度の変更が可能だ。
「こいつは一定時間空中に仮の足場を作り出してくれるやつだ。空中に階段をイメージすればそれを登ることで上昇下降もできる。んで効果時間は約30分の使い捨て、ついでに言えばこいつは外国にいたとき買った奴で入手が今は難しいから替えは効かん。無駄遣いだけは禁物な」
仮想足場形成だけならば簡単な術式だけでいいのだが、こいつはまあまあの高級品なため転倒時や効果時間終了直後のダメージ軽減などの保険まで掛けてくれている優れもの。
一足分しかないため本当に無駄遣いはできないので、ここだけは口酸っぱく言っておく。
これを使い切ったらマンドリカルドには地上から俺にラジコンのような操作をされながらか、俺を背負って空中戦をしなければいけないことになるのだから。
「・・・・・・心得た」
了解を得たところで俺は護符をしまい、箱をベッドの下に戻した。
ブラダマンテ自身の対策はこれまでにして、これからはこちらの身を守る話を進めよう。