Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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地味にマイフレンドの黒歴史を晒していくスタイル
派生作品まあまああるので要約文でも読むの楽しいですよ(ド畜生)


29話 三日目:ローランキャストオフの被害者

「ああ・・・・・・実を言うと、軽い居眠り病なんだこいつ。アフリカ睡眠病じゃないからまだいいんだけどな・・・・・・最近は金縛り頻発くらいの症状だったのに、今日はいきなり落ちちまったんだ」

 

その場で思いついたことを言ってどうにかしようともくろんだが、めちゃくちゃな設定付け過ぎてあとでどう取り繕うべきかわからなくなった。

サーヴァントがナルコレプシーとか生前の伝承が昇華された以外に何があったらそうなるんだっての。

 

「・・・・・・そうなんですか。お薬とかは?」

 

「ああ、一応貰ってる。定刻になりゃ無理矢理飲ませてるし大丈夫だ」

 

また嘘に嘘を重ねまくる。

収拾がつかなくなる前にやめたいのだが篠塚がどこまで聞いてくるかわからない恐怖・・・・・・早く帰ってくれねえかなあ。

 

「定刻、というのは」

 

「あぁ・・・・・・明確には決まってねえが朝と昼に一回ずつってところだな。昨日は飲むの忘れたせいかね、今日いきなりこれだったのも」

 

もうこれ以上の追求はよしてくれという俺の意志が伝わったか、篠塚はそこからさらに質問を続けるということはしなかった。

右手を顎に軽く当て、熟考しているもよう・・・・・・篠塚くんは魔術師でもなんでもないはず、マンドリカルドがサーヴァントであることなんてバレやしない、うん大丈夫だ。

 

「そういえば旦那もおでこどうしたんですか。血の跡がついてますよ」

 

え、マジ?とか言いつつ額を触ると乾いた血の塊が粉になって落ちてきた。

洗うことを完全に失念していたのだ・・・・・・これはこれでまたいろいろ問いただされる予感。

 

「そう言えばすっ転んでやっちまったんだっけか。その直後にセラヴィがいきなりぶっ倒れたから洗うのも忘れてた」

 

「駄目ですよそんなの。雑菌が入ったら大変なことになりますから・・・・・・俺タオル持ってきます」

 

ああいいのにと止めかけたがその前に篠塚は行ってしまった。

なかなか世話焼きな奴・・・・・・こりゃ女タラシの類だなとひとりで合点する。

 

「はい、水道勝手に借りましたよ・・・・・・顔拭いてください」

 

「わーってるよ・・・・・・ったく」

 

水で湿ったタオルを顔面にこすりつけ、額の血を拭き取る。いつの間にか結構出ていたようで、くっついた粉状の血がかなりとれた。

 

「うへぇ・・・・・・こんなに出てたか」

 

「そうですよ、ちゃんと消毒してくださいよね傷は」

 

口酸っぱく言ってくる篠塚の小言を半分聞き流しつつ、俺は再びベッド横の椅子に座る。

横でぎゃいのぎゃいの言っていたにも関わらず、マンドリカルドは未だにぐっすり。いつ起きるかも分かったもんじゃない。

 

「・・・・・・そういえば、セラヴィさんはどういった経緯でここに?」

 

「あー・・・・・・俺のじーちゃんと知己だった奴の孫なんだ、こいつ。家全体でも絡みあったもんだから、俺が当主になってからもこいつの家といろいろしててな・・・・・・今回もその縁でこっちに来たわけよ。都を離れて他の場所の勉強をしろってことで」

 

「そうだったんですね・・・・・・俺もここに来て間もないのでセラヴィさんとは舞綱初心者同士で友達になれそうです。再来週位には帰ってしまう予定だと聞いてますがその間にでも」

 

にこ、と笑う篠塚。

・・・・・・友達かと、俺は考えつつマンドリカルドの顔を見る。

俺が無理矢理言っているだけでこいつからすれば本当の友達なんてどこにもいないのだろうと少し思っていた。

マスターでもなんでもない一般人の友を、作った方がいいのだろうか。

でも1か月続くかすらわからないこの聖杯戦争、その上友達になったが故巻き込まれ怪我を負うかもしれない・・・・・・そう考えると悩ましい話だ。

マンドリカルドにとって、そして篠塚にとって互いの幸福が最大となる可能性はどれか。功利主義的な”最大多数の最大幸福”という考えを軸に考えるとかなり難しい。

 

「どうしたんです旦那、そんなに考え込んで。もしかして・・・・・・俺みたいなフリーターは駄目だとか?」

 

「そういう訳じゃねえんだよ。いやこいつなあ・・・・・・結構繊細なとこあるから旅行先で友達作っちゃったら最後になって帰りたくないって喚くかもしれねえし。いや俺は友達になるの歓迎したいくらいなんだけどな?」

 

それっぽいことを言ってはいるが正直適当である。

すまんなマンドリカルド、お前が寝ている間にめちゃくちゃな設定ばかり盛っちゃって。

目が覚めたらそれなりに詫びを入れるつもりだから我慢してくれ・・・・・・

 

「・・・・・・そう言われたらちょっと困っちゃいますね。でも、まずはセラヴィさんの気持ちを聞くところからじゃないとだめですから。また今度、機会があればセラヴィさんと一緒にお店へ来てくれると嬉しいです。俺はこのあたりで・・・・・・他の家にもおすそ分けを騙った押し付けしてこなけりゃならないんで」

 

「そっか、明日か明後日には行けるはずだからよろしくな。あとあのオッサンに言っといてくれ、お前もボケが回ってきたなって」

 

言えるわけないでしょ俺みたいなのがマスターに!という焦ったような声を上げつつ、篠塚は玄関から出て行った。

取りあえずこれにて一難は去った・・・・・・なんだかんだで篠塚との話はいい気分転換になったし、もう一回本腰入れて解析を進めるとしよう。

 

 

「・・・・・・ぐぬぬ」

 

マンドリカルドの食らった攻撃の性質まではわかった。

トラウマなどの記憶を強制的に思い出させ、精神的に疲弊したところを利用し霊基に有無を言わさず圧力をかけ歪ませる宝具・・・・・・真名解放をされていないので、ここは仮称として『狂乱蜃気楼(ビェズウーミエ・ミラーシ)』とでも言おう。

それにしても本気の力を解放せずにここまでとなると、全力で解き放たれた時はそれこそ主導権を奪われるかもしれない。

そうなれば俺の死は確実・・・・・・なんとまあ恐ろしい敵なのだバーサーカーは。

 

「もう夜になっちまったか・・・・・・こりゃ長丁場だ」

 

篠塚から貰ったおすそ分けを開けて食べつつ、マンドリカルドの様子を見る。

ご飯抜きにして大丈夫なのかと考えたが、そもそもサーヴァントは飯なぞ食わずとも存在を保てるのだから心配はまあいらないと気づいた。でもやっぱりかわいそうな気がしたので、冷蔵庫にあったゼリー系保存食をなんとか流し込んでやる。

ちょくちょくこぼしかけたが無事胃の中に収まったようだ。

 

「これが無駄じゃなかったって証明される日が来るといいな」

 

来るわけねえよと内心自分につっこみつつ、俺はまた気分転換に本を開いた。

その題名は狂えるオルランド・・・・・・そうですマンドリカルドの黒歴史たっぷりブックです。

彼の話はだいたい14歌から始まり、ヘクトールの鎧を手に入れるまでとデュランダルを手に入れるまで真剣を持たないという誓いをしたという壮大な自分がた・・・・・・武勇伝が綴られている(狂えるでは詳細が普通端折られるのだが、俺の持っている本はご丁寧に補完されている)。

ついでとばかりにさらってきたドラリーチェと懇ろな仲になってたりする。

今の人とあまり関わりたがらない彼と大違いだ。

その後23から24歌あたりでローランとの決闘・・・・・・アンティルールで勝者にもたらされるのはデュランダル。

だが途中でマンドリカルドの馬が暴走し彼は落馬、戦闘中断の間にローランが色々あって失恋の末素っ裸になって狂乱(よくあること)。彼が戻ってきたときにはデュランダルやらブリリアドーロが放置プレイを食らっていたため略奪、止めた奴も始末して口止め、とここで闇堕ち。

あとは皆さんご存知の通り調子乗ってロジェロにぶっ飛ばされたというわけである。おもしろすぎる人生とか言ったらもんのすごく失礼だがそう思いたくもなるというものだ。トンチキ十二勇士に振り回され最終的には主人公の餌食。そもそもこの作品が貴族ヨイショのために書かれたという事実も鑑みればかわいそうなまでの扱い・・・・・・いやまあ最初はめっちゃかっこよかったんだけど。

 

「せっかくだからもうちょっとだけほかの奴も・・・・・・」

 

なんか気分が上がってきたので書斎の奥を漁りとある本を掘り出してくる。

名は『ロドモンテの嫉妬』・・・・・・本人の寝ている間に洗濯ならぬ黒歴史洗いだ。

 

「俺も、悪よのう・・・・・・」

 

いつかこいつを彼の前で声高らかに朗読会なんて出来るといいな。いやストレスでマンドリカルドが座に帰るからやめよう。




最近文体に悩んでいます。
こうしたほうがいいよってアドバイスくださるとありがたいです(改善するかどうかはわからない)。
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