Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

32 / 172
設定の盛りすぎでとんでもないことになりそうなのですが調整って難しいですね・・・・・・アハハハハ


31話 三日目:なんだってんだよ

額が何か冷たいなと感じて重たい瞼のシャッターを開けてみる。

視界は見知ってはいるが自宅のものではない和風の天井・・・・・・そして顔を触ってみると冷えピタらしいものが貼ってあった。

俺が殴られたのは側頭部なのだが、そこらへんはまあどうでもいい。問題はここがどこかということだ。

・・・・・・司馬田の家なのである。そう、あの煙撒き散らし系ヘビースモーカー司馬田海の家。

気絶してたのをいいことに拉致してきたのか?

 

「お、やっと目ぇ覚ましたか。まったく、俺が外で煙草吸いに出歩いてたら道端でぶっ倒れてんだ・・・・・・見つけたときはついに野垂れ死んだかと思ったぞ」

 

「・・・・・・迷惑かけたな。ちいと内輪もめがこじれてセラヴィにぶん殴られたんだわ」

 

目覚めてから凶暴になった彼に混乱して扱いあぐねた挙げ句の果てにこのザマだ。

軽く記憶が飛び飛びな気がするくらい頭を強く打ったらしい・・・・・・これについては殺されなかっただけマシと考えるべきか。

 

「お前、その気になれば強化魔術で一ひねりじゃねえのか?」

 

ぐ、と詰まる。

強化魔術でも無理だったと思う、とか言うとマンドリカルドがサーヴァントであることがバレてしまう。

聖杯戦争はできるだけ秘匿性を保たなければいけない儀式・・・・・・ペラペラ喋りたくはない。

 

「・・・・・・友達を魔術とか使って殴りたくは無かったんだよ。フェアじゃねえ」

 

「はーん・・・・・・強化使ってもサーヴァントに本気出されたら勝てないからか?」

 

俺は絶句した。

いつの間にバレていたのだ、そういう素振りは全然見せていなかったはずなのだが・・・・・・

驚愕一色な俺の表情を見て心底愉快そうに海はくつくつ笑う。そういうときだけ奴は女の子っぽい顔するんだなとか言うと脳天に風穴が空くので口は開けない。

 

「いつからわかった」

 

「最初に会ったときから察してたさ、篠塚からの話を聞いた時から疑ってたがな。よっぽどの事情がなきゃあんな見た目の奴を下宿させるわけないだろ。近くの民宿でも借りてそこに押し込むはずだ、お前なら」

 

やっぱり少々ヤンキーぽい見た目だとは海も思っていたらしい。

教室の端で来るんじゃないオーラを出しつつ静かに来週のレポートやるような俺は、そういう類のとは関わらないだろうと思った。などと奴は続けてくる、俺が黙ってると見りゃ好き放題言いやがってこの野郎。

 

「・・・・・・海にはバレるか。ったく、俺も嘘が下手くそだわ!」

 

すでにぬるくなった冷えピタを引っ剥がして奴の顔面に投げつけるが海は飄々とした顔つきのままそれを避けた。

ぺたっ、と気の抜ける音を鳴らして力なくそれが貼りつく。

 

「このところ原因不明の建造物倒壊やら人の変死が起こってるらしいし、霊脈もいろいろと活発化してたからな。聖杯戦争が始まったってのは何となくわかったんだ。お前はここいらで一番古い家だし参加してても特に驚きはするまいよ」

 

「・・・・・・建造物倒壊ねえ」

 

やっぱり周囲を気にしないタイプのマスターが堂々戦ってやらかしているのだろう。

あのクソ神父は事後処理きちんとしているのだろうか・・・・・・全部ガス爆発で適当に済ませてなんてしてないだろうな、ああでもあいつならしそうだ。

雑に舞綱の会社2つか3つ潰しても知らん顔してそうだし・・・・・・俺の会社にまで被害が及ぶことだけは勘弁してほしいものだが。

 

「篠塚曰わくお前は朝になるまで安静にしてろ、だとよ。何があったか知らんが夕方頃にゃ頭から血を流すような重ための怪我してたんだろ、あんま無理するとすぐ傷口開いて鮮血噴水ぴゅーだぞ。俺に傷口縫われたいか」

 

「死んでも勘弁だわ」

 

「じゃあ素直~に寝ろ、すぐ寝ろ」

 

俺の喉元に手をやりそのままぐいいと押して寝かせてくる海。抵抗すれば息が苦しくなるという寸法だろう。

だがのうのうと朝を待つわけにもいかないのだ。

 

「いや、俺はあいつを追いかけなきゃならねえんだよ。あいつを・・・・・・一人ぼっちにしちゃあ駄目だって思うんだ」

 

「・・・・・・駄目だっつってるだろ。セラヴィとやらはサーヴァントだろ、お前が思っているよりずっと強いはずから安心しろや」

 

「お前になにがわかるんだよ。いや、俺だって出会ってから三日ほどしか経ってねえから偉いこた言えねえけどさ」

 

海の手を引っ剥がして、俺は立ち上がる。

魔力のパスを辿ってマンドリカルドを見つけようと目を閉じたが・・・・・・なぜか、彼の存在は知覚できるのに居場所がわからない。

まさか、双方向性な繋がりが片方のみ絶たれてしまったのだろうか・・・・・・こうなってしまえば俺はただ魔力を吸われるだけで何もできない。

存在自体に魔力を多く使うバーサーカーよりマシっちゃあマシなのだが、ライダーの彼が自慢の宝具を連発してしまえば、いくら魔力回復の早い俺でも魔力不足で倒れてしまいそのままゲームオーバーだ。

 

「海、お前バイク持ってたよな。あいつに俺の魔力が吸われまくって死ぬ前に見つけてとっつかまえたいんだが」

 

「お前確か免許4年前位に更新忘れてそのままだろうが・・・・・・俺が2ケツでのっけてやってもいいが、それを許可するのは夜が明けてからだ。眠くて俺が事故るからな。つか体を粉々にしてまで勤める会社はどうするんだ、もし今から出たとしても捜索が長引かないという確証はねえぞ」

 

向こうの言い分も尤もだ。つい先日会社が大事とかいうことをのたまっておいて今日になったらこんな調子。

つっこみたくなるのもよくわかる。

 

「生死がかかるとなるとさすがにな。有給無理やり分捕った」

 

「わっるいやつ。まあ俺はそこらへんとやかく言わねぇ、勝手にしろ。だが今日は何と言おうと俺ん家の結界出て勝手に探し回ろうとすんな」

 

煙草関係では平気で条例違反してくるくせにこういうところは厳格なこいつにため息が出る。

法律と条例だから違うもんって線引きなんだろうがむかつくのに変わりはない。

 

「はぁ・・・・・・わーったよ強情な奴め」

 

「うるせえな寝ろ、こっちもそろそろ寝るから」

 

雑に髪をくくっていたゴムを取り去り、海はぶんぶんと顔を振った。

美しい茶髪が夜風に靡く・・・・・・こういうとき、彼女が年相応の女性として可愛く見えるのだ。

 

「見惚れるな気持ち悪い」

 

「・・・・・・自惚れるなよ、馬鹿が」

 

モノクルのチェーンに引っかかった髪を指先に巻きつけて耳にかけ、海は苦笑する。

あんまりにも辛辣な言われようだったのでつい言い返してしまったが、実際綺麗なもんは綺麗。

今まで貰い手がつかなかったのも奔放な性格とヘビースモーカーなせいで・・・・・・それさえ抜くことができれば完璧なのだ、司馬田海という人間は。

・・・・・・まあその、”それさえ抜けば”を本当に抜いたら、奴はほぼ確でニコチンを求めるばけものじみた何かになるだろうし無理なんだろうけど。

 

「・・・・・・ちったあ信用してやれよな、自分の仲間をよ」

 

去り際に海はそれだけ言って襖を閉じ、ごそごそと向こうで布団を引き出した。

・・・・・・さすがに部屋が近すぎじゃねえかと思ったが今更ずけずけと文句を言えるわけもない。

仕方ないので俺は渋々目を閉じた。明日の5時には彼奴を叩き起こしてでも出発せねば。




次回
多分(←ここ重要)Interlude入ります
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。