Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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小説内での出来事予定変更しまくりでカオスになりそう(白目)


33話 Interlude:拒絶の理由

木剣が粉々に砕け散る。

そりゃそうだ、あからさまに耐久を無視した攻撃をかましたのだから無事なはずはない。

 

「・・・・・・ふぃー・・・・・・交換、交換っとぉ・・・・・・」

 

相手が怯んでいるのをいいことに俺は後ろに飛び、公園のベンチを持ち上げた。

重量もあるし足は細く攻撃向きな性能・・・・・・立ち直られる前に畳み掛ける。

 

「あなた・・・・・・そこまでの力を持っていたのになぜ」

 

前の戦いではあんなに逃げ腰だったのかとでも問いたいのだろう。

そんなのは自明の理。マスターを守らねばならなかったからと、あの時の俺は無意識のうちに戦闘を避けていたからだ。

あんな俺なんていらない、返り血を浴びて楽しく笑う俺さえいればそれでいい。

王の座を蹴り飛ばして捨てた俺にはお似合いだ。

 

「・・・・・・テメェ・・・・・・反撃はしてこねえのかぁ?」

 

「そんなにお望みならばたっぷりとしてあげますよ!」

 

俺の一撃で肩口にえらく深い傷を負ったブラダマンテだが、まだ折れる気はないらしい。

勢いよく立ち上がり、俺の方に突進してくる。

 

「そうかそうかそうこなくっちゃなあ!!」

 

ブリリアドーロを一度帰しつつ迎撃態勢へと移行、こないだとは違うところをもっと見せつけてやる。

そのまま盾とぶつかり合うように思わせておいて眼前でベンチを振り下ろす。

勢いで体を跳ね上げ一回転、背後へと回り込み奴の背中を打った。ベンチの足で刺せればよかったのだがそこまでの操作に手を回せなかったのが悔しい。

 

「っがはっ!」

 

彼女の体が吹き飛んで公園の木にぶち当たる。

とどめを刺すために再度飛びかかったが、捉えていたはずの像が一瞬にして霧散し俺の振り回したベンチが空を切った。

姿隠しができるアンジェリカの指輪は手に見えなかったのだがその能力を他のものに移しているのだろう、この現象の説明をつけるならそれしかない。

 

「おうおうどこ行ったぁ?まさか逃げたわけじゃないだろうな?」

 

ちょいと煽りを入れてやったところすぐに奴はすぐに出てきた・・・・・・が、姿が点滅するように出ては消えを繰り返され狙いがつけられない。しばしば盲点に入られてそれも俺の捕捉が追いつかない原因となっている。

・・・・・・ここで攻撃されたらさすがに守りきれない。

仕方ないと割り切ってベンチを傍らに置き仁王立ちする。

 

「はぁぁああ!」

 

正面から現れ例の槍を振りかぶるブラダマンテ。俺は腕を組み咄嗟の防御をするが防ぎきれはしない。

上にしていた左腕の肉を易々と裂き、そいつがぎりぎりと骨を軋ませるような力を与えてくる。

焼けるような熱さを伴い腕から血がこぼれ、公園の土をじっとりと濡らしていく。

 

「ぐ、ぎ・・・・・・いっでぇなあ・・・・・・」

 

骨で止めたはいいが左腕はしばらく使い物にならん。再生速度を無理やり速めることにより止血するとともに、ブラダマンテの槍を固定する・・・・・・魔力の消費が割に合わんが今はこの一手が最善。

 

「・・・・・・動かねえだろ。その槍がいくら魔術を解除するって言おうが・・・・・・無駄だ」

 

橈骨尺骨が二人して悲鳴を上げている。さすがにこれを長時間続けりゃ俺もろともぶった切られるのは間違いない。

・・・・・・ブラダマンテの得物が槍で良かった。

 

「・・・・・・このまま、どうするつもりですか」

 

「どうするってったって・・・・・・こうするに決まってんだろ!」

 

左腕の肉が剥離するのと引き換えにブラダマンテの手から槍を奪い取る。

向こうがバランスを崩した隙を狙い、地面に倒して上を取ってやった・・・・・・絶対優位な状況ではあるが油断はできない。

 

「・・・・・・随分と、てこずらせやがって・・・・・・ロジェロの野郎と同じでめんどくさい奴だ」

 

「くっ・・・・・・不覚、です・・・・・・!」

 

このまま余裕ぶっこいてやられるという可能性が無きにしもあらずなので、俺はさっさとこいつを始末するために奪った武器を構えた。

ああ、なんと心地いいのだろう。戦いの末に得られる快楽、相手を我が手に掛けるという事実に恍惚してしまいそうだ。

喉からは勝手に笑い声が漏れ出す。

 

「じゃ、さよならだ(アデュー)

 

投げつけた槍で心臓をひと突きし、踵で地面に刺さるまで深く押し込む。

大量の血を出すまでもなく霊核を一発で破壊し殺すのは俺なりの優しさというものだ。

ブラダマンテの体から光の粒子が溢れ出て、少しずつ実体化していたそれも稀薄になっていく。

・・・・・・なぜか、胸が痛い。

 

「・・・・・・あぁクソッ」

 

なぜこの状況において戦うことに否定的なのだ”アイツ”は。

サーヴァントは戦う為だけに呼ばれたただの戦闘人形。非道にもならねばこの先やっていけるわけがない。

それになぜ、アイツはマスターへ手を伸ばそうとしているのだ。

 

「・・・・・・どうせ失うものならば、最初から求めなければいいんだよ」

 

これは、自分のためなのだから。

かつて人を受け入れず孤独なまま生を終えた俺自身の願いなぞもう諦めたのに、なぜ・・・・・・アイツが蒸し返す。

怖いのならば触れるな、嫌ならば夢想をするな、自分の運命すらもうすうす感づいている癖にわがままを言うな。

・・・・・・俺は、ひとりぼっちのままでいい。否、()()()()()()()()()()()()

 

 

少し座面の板が凹んだらしいがこの程度なら不満も言われまい。

ベンチを元の場所に戻し血痕を拭き取り休息とばかりに座り込む。

左腕の大きい裂傷はすでに塞がったが、しばらくは戦闘が不可能・・・・・・武器を魔力で編むだけでカツカツなのだ。

 

「どーせあのおせっかいマスターのことだ、目が覚めりゃどっかでやんややんや言いながら探し回るんだろうな」

 

めんどくせえなとため息をつきつつ空を見る。

曇天らしく星は一つも見えない・・・・・・頬に触れる風からして暫くすれば雨が降りそうだ。

 

「・・・・・・ちょいと先回りして雨宿りといくか」

 

公園の中央部にある休憩所へと入る。扉がないので風が吹き込んでくれば一発で濡れるが、まあベンチの上で野ざらしよかましだろう。

こんな夜だから誰もいない・・・・・・椅子に寝転がって俺は静かに目を閉じる。

 

「あれ、平尾くんところのわんこやないか。何やこないなところでお休みなさーいとか・・・・・・もしかして飼い主に捨てられた?俺が拾ったろか?あとキャロライナたん食べる?」

 

うるせえ声でうとうとしていたのに目が覚めてしまった。嫌悪の感情を顔からはみ出すくらいに塗りたくって起きあがったところそこにいたのはマスターが毛嫌いする神父がいた・・・・・・名は唐川とか言ってたっけか。

目の前でうりうりと見るからに殺意凛々な赤い物体をちらつかせ、赤ん坊を相手にするような変顔を見せつけてくる。

 

「なんだテメェ、安眠妨害すんじゃねえよ。魚みてえに頭から背骨と神経丸ごとぶっこ抜いて永眠させてやろうか・・・・・・あとキャロライナなんたらはいらねえ、自分で食えや」

 

「おーこわ。一日二日でなんちゅうイメチェンぶりや」

 

こりゃおもろいわとけたけた趣味の悪い笑顔を浮かべ唐川は俺の前にあるテーブルへと座る。

偉そうに足まで組みやがってムカつく。こいつならサーヴァントじゃないけど殺していいんじゃねえかと思うくらいだ。

 

「・・・・・・見たところ、精神汚染ってところやね。ここまでぐっちゃぐちゃにされて会話ができるってのは根っこがよほどまっすぐだったか、元からめちゃくちゃやったか」

 

「テメェと話すことは何にもねえよ、失せろクソ野郎」

 

そう言い放ってやったのにも関わらず唐川はにたにた俺を査定するかのように見るばかり。

よほど俺のようなゴミに興味がわいたのか。随分と物好きな輩だ。

 

「失せろっつってんだよ耳ついてんのか」

 

「ついとるついとる、でもずぁーんねーんなーがーら・・・・・・失せまっへぇん~」

 

流石に耐えきれず盾を持って立ち上がった。撲殺したい、めっちゃこの場でぶちのめしたい。

こいつは人をイラつかせる天才か。俺が短気めなのもあると思うがそれにしてもデフォルトおちょくりがひどすぎる。

 

「まあまあちょいと聞いてくれや俺の話。お前のマスターのことなんやがな?」

 

こいつ、話してくれと言ってもいないのに勝手に語り出した。

・・・・・・もうこいつは殺すまで喋るんだろうなとある意味心が折れ、結局俺は唐川の話に耳を傾けることにした。

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